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【AI駆動開発】"エクセル1行"の要望と議事録から、顧客提出レベルの要件定義スライドをAIで組み立てる方法

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はじめに

受託開発の現場だと、要望って**「管理表のエクセル1行」**で飛んでくること、ありませんか。

「利用者が館をまたいで本を予約・受け取りできるようにしたい」

……はい、これだけ。ここからヒアリングして、出てきた生煮えの議事録をベースに、顧客に出せる要件定義資料を組み立てる。
これ、世の中の受託PM・SES・社内SEの方、めちゃくちゃやってると思うんですよ。そして、地味にしんどい。

前回の記事で「AIに『資料にして』と丸投げすると体裁が崩れる」話を書きました。今回はその一歩手前——"荒い1行 + バラけた議事録"という最低限のインプットから、重厚な要件定義資料を組み立てるところまでを、AIにやらせる話です。

僕がAIと組んでこの作業をだいぶ楽にできたので、同じところで消耗している人に届くといいなと思って書きます。最後にGitHubで公開しているので、コピペで使えます。

※この記事の例は、説明のために用意した**架空のプロジェクト(複数館をもつ図書館の予約・蔵書システム刷新)**です。実在の案件・顧客の情報は含みません。

関連記事もよければどうぞ🙇


「荒い要望から要件を組み立てる」── 何に引っかかるのか

この作業、しんどいポイントははっきりしています。

引っかかりどころ 何が起きるか
入力が1行 「何を作ればいいか」が決まらない。要望が抽象的すぎてスライドにできない
議事録が話が飛ぶ 在庫の話 → 受け取りの話 → 急に会員カードの話、と前後する。構造化できない
1つの要望の裏に論点が複数 「横断予約したい」の裏に、在庫整合・受け取り館・会員統合・予約競合・通知…が隠れている。抜け漏れる
未確定が混ざる 「先着でいいかも、要相談」みたいな"決まってない"が紛れていて、断定で書くと事故る
体裁にする工数 中身を考えるより、顧客提出の体裁に整える時間のほうが長い(PowerPoint地獄)

要は、抽象的な入力を「実装できる粒度」に分解して、抜けなく、決まってないことは決まってないと書いて、提出体裁で出す——この一連が重い。
ここをAIに型で手伝わせます。


インプットはこれだけ

今回のスタート地点は、本当にこの2つだけです。

① 管理表のエクセル1行

No. 要望(管理表の1行) 起票 優先度
1 利用者が館をまたいで本を予約・受け取りできるようにしたい 図書館

② ヒアリングの議事録(生メモ)

【定例ヒアリング 議事録(抜粋・生メモ)】

・図書館さん:とにかく「他の館にある本も、近所の館で受け取れる」ようにしたい。
  今は館ごとに別システムで、利用者から「なんで分館の本は予約できないの」と苦情が多い。
・こちら:在庫って今リアルタイムで見えてます?
  → 図書館さん:夜間バッチ。だから「予約できたと思ったら貸出中」がたまに起きる。
・受け取りは? → 利用者が受け取る館を選べると嬉しい。取り寄せが「今どこ?」も分かると親切。
・会員カードは? → 館ごとに作り直してる人がいる。できれば1枚に。ただ既存カードは使い続けたい。
・(その場で出た懸念)同じ本に予約が重なったら? → そこ決めてない。先着でいいかも。要相談。
・通知、今メールだけで遅い。アプリでも送ってほしい。延滞のリマインドも。
・会員情報をまとめるの、規約とか個人情報的に大丈夫? → 法務に確認が要りそう…
・スケジュール:年度末は繁忙期なので避けたい。
・予算と工数は別途。今日は要望の洗い出しまで。

見ての通り、整っていません。話は飛ぶし、決まってないことも混ざっている。
でも受託あるあるで、最初に手元にあるのはこのくらいなんですよね。ここから顧客提出資料を作ります。


AIにやらせる流れ(4フェーズ)

このインプットを渡すと、型を持ったAIはこう動きます。

① 精読 ── 隠れた論点を拾う
1行と議事録を読み、表に出ていない論点まで拾い出す。今回なら「在庫のリアルタイム性」「受け取り館の指定」「館間搬送の可視化」「会員統合」「予約競合」「通知チャネル」「個人情報」あたり。ここで拾えるかが品質の8割です。

② 領域に分解 + アウトライン提示
バラけた要望を、実装できる粒度の領域に束ね直す。今回は「① 横断予約基盤 / ② 会員統合・認証 / ③ 通知基盤」の3領域。そのうえで「何ページに何を載せるか」を先に出して合意を取る(ここで手戻りが激減)。

③ テンプレから生成
1領域 = 「サマリー → 詳細要件 → 実装方針・リスク → 確認事項」の5枚パターンで量産。固定枠1280×720・14色・3フォントの型に流し込む。

④ チェック
密度(はみ出していないか)・一貫性(フッター/ページ番号/色)・内容を確認。とくに大事なのが——

議事録に書いていないことは、書かない。決まっていないことは「確認事項」に逃がす。

「先着でいいかも、要相談」は、断定で仕様に書かず、確認事項スライドに回す。ここを守るだけで"それっぽい捏造"が消えます。

AIは、議事録の中身を自動でこう振り分けてくれます。

議事録の中身 変換先
要望・決定事項 アクションタイトル(各スライドの見出し)
背景・経緯 リード文
リスク・懸念 実装方針・リスク表のリスク行
「決めてない」「要相談」 確認事項スライド
口頭で出た構造・流れ SVGの図

アウトプット:1行と議事録から、これだけの要件定義資料になる

実際に上のインプットから組み上げた資料がこちらです(架空の図書館案件)。

表紙
要件定義資料の表紙

全体像 ── "1行"が3領域に整理される
ここが一番のキモ。バラけた要望を、優先度つきの3領域+将来スコープに分解します。
全体像スライド:要望を3領域に整理、スコープ図つき

ここからは1領域ずつ「サマリー → 詳細 → 実装方針・リスク → 確認事項」の5枚で深掘りします。① 横断予約基盤を例に。

サマリー(1枚で全体像 + 図)
横断予約基盤サマリー:階層図つき

一番大事なのがアクションタイトル(見出しの一文)です。
「横断予約について」みたいな"名詞"ではなく、**「どの館の本でも横断予約できる統合基盤を新規構築する」という"一文の主張"**にする。これだけで資料の説得力が変わります。

詳細要件(課題 → 対策)
横断予約 詳細要件:課題と対策

実装方針・リスク(仕様とリスクを1枚に)
議事録の「予約が重なったら?」「在庫がズレる」が、ちゃんとリスク行に落ちています。
実装方針・リスク表:3系統統合と主要リスク

確認事項(決まっていないことを、決めてもらう)
「先着 or 抽選」「履歴は何年分移行」など、議事録で"未確定"だった点を捏造せずここに集約。
確認事項スライド:顧客に方針確認したい論点

同じ5枚パターンで、② 会員統合・認証、③ 通知基盤も展開します。図も内容に合わせて作り分け。

② 会員統合(Before / After 図)
会員統合サマリー:3つの会員DBを1マスタへ

③ 通知基盤(Before / After 図)
通知基盤サマリー:夜間バッチからリアルタイムへ

最終的に、1行+議事録から「表紙 + 全体像 + 3領域 × 5枚 = 計15枚」の要件定義資料に。全部1つのHTMLファイルで、ブラウザで開けてPDF化もできます。


どんなインプットで使えるのか

「うちの入力でも使える?」がたぶん一番気になるところなので、具体的に。

使えるインプット 補足
エクセルの要望一覧(1行でもOK) 横断管理表の1行から、ヒアリングで肉付けして組み立てられる
ヒアリング・定例の議事録 / 文字起こし 話が飛んでいてOK。AIが領域に再編する
既存の仕様書・要望メモ 箇条書きやWordでも、論点を拾って構造化
前バージョンの資料 + 新しい議事録 差分だけ更新し、変更箇所に「追加」タグを付けられる

そして、荒い入力に対して効くのは次の3点です。

  • 隠れた論点を拾ってくれる ── 「横断予約」の裏の在庫整合・会員統合・予約競合・個人情報まで引き出す
  • 未確定を捏造しない ── 決まっていないことは確認事項スライドに逃がす(ここが信頼の肝)
  • 体裁が毎回そろう ── 14色・3フォント・固定枠。誰が作っても同じ"提出できる"見た目

実際にやってみた結果

内容
Before 1行+議事録を前に、論点を自分で洗い出し、PowerPointで数日かけて整形
After 1行+議事録を渡す → 領域分解とアウトラインに合意 → 15枚の要件定義資料が体裁そろって一気に
効果 論点の抜け漏れが減り、未確定は確認事項に自動集約。整形の手作業がほぼゼロに

正直、この作業って**「考える時間」より「体裁を整える時間」と「論点を漏らさないための気疲れ」**のほうが大きいんですよね。そこがまるごと軽くなります。


まとめ

項目 内容
課題 "エクセル1行+議事録"という荒い入力から、顧客提出の要件定義資料を作るのが毎回重い
解決策 ①論点を拾う ②領域に分解+アウトライン合意 ③型で量産 ④チェック、をスキル化
キモ 1行を実装粒度の領域に分解する/未確定は捏造せず確認事項に逃がす/体裁を型で固定
おまけの教訓 荒い要望ほど、AIの価値は「隠れた論点を拾う」と「決まってないことを決まってないと書く」に出る

「1行の要望から要件を立てるの、毎回しんどい」という方は、ぜひ1行と議事録をそのままAIに渡してみてください。きれいに整える前のメモで大丈夫です。


付録:GitHubで公開しています

スキル一式(テンプレート + デザインシステム + SVGパターン集)はGitHubで公開しています。

🔗 https://github.com/enomoso-pm/estimation-tech-brief

使い方はシンプルで、**管理表のエクセルとヒアリング議事録を渡して「このスキルで要件定義資料にして」と言うだけ。ちゃんと作ってあると、AIはいきなり作り始めず、最初に「この要望はこの3領域に分けます。アウトラインはこれでいいですか?」**と聞いてきます。そこで合意してから生成に入るのが肝です。

最後に、僕がAIに要件整理を頼むとき毎回渡しているルールを置いておきます(いつもの口癖です)。

【品質と型のルール】
・最高品質優先:時間をいくらかけてもいいので、最高品質をお願いします。
・領域分解 → アウトライン先行:1行の要望は、まず実装粒度の領域に分けて、構成を合意してから作る。
・詰め込み禁止:1枚に収まらないなら、スライドを割る。

【事実の扱い】
・推測禁止:議事録・要望に書いていないことは載せない。
・未確定は確認事項へ:「決めてない」「要相談」は断定で書かず、確認事項スライドに回す。

ここまで読んでいただきありがとうございました🙇
「荒い1行」からの要件組み立て、AIと分担するとだいぶ楽になります。きれいにしてからではなく、散らかったまま渡すのがコツです。

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