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【AI駆動開発】AIに「図を描いて」と頼むと“それっぽいけど使えない図”が出てくる問題を、draw.io生成スキルで倒した

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はじめに

受託開発やSESの現場にいると、とにかく「図」を作る場面が多いんですよね。

業務フロー図、システム構成図、ER図、シーケンス図、画面遷移図、体制図、CI/CDパイプライン……。設計書のページをめくるたびに図、図、図。しかもこれ、お客様に出す資料だったりするので、雑には作れません。

「じゃあAIに描かせればいいじゃん」と思うじゃないですか。僕もそう思ってました。

でも実際に ChatGPTClaude に「この仕様から業務フロー図を描いて」と投げると、出てくるのは——

✅ それっぽい
❌ でも、使えない

という微妙なシロモノ。色はバラバラ、凡例はない、矢印の向きはおかしい、スコープも書いてない。結局レビューで毎回同じ指摘をして、自分で描き直す羽目になる。これ、AI駆動開発で一番「任せられそうで任せられない」領域が“図”だったんです。

そこで、「図のお作法」をまるごとスキルに閉じ込めた draw.io 生成スキル集を作りました。この記事ではその中身と使い方、そして「これは誰の痛みを解決するのか」を丁寧に書きます。

📦 リポジトリはこちら → https://github.com/enomoso-pm/drawio-diagram-skills


こんな人の痛みを解決します

先に結論。このスキルが刺さるのは、こういう人たちです。

こんな人 抱えている痛み
🧑‍💻 受託 / SES の SE・PM 設計書に載せる図が多すぎる。1枚1枚 draw.io で手描きするのが地味に重い
🧑‍🏫 レビューする側のリーダー 後輩が描いた図に毎回同じ指摘(凡例ない・矢印の向き・色・スコープ)。レビューが消耗戦
🤖 AI駆動開発を進めたい人 「図だけはAIに任せられない」と感じている。出力品質が毎回ガチャ
🏢 お客様向け資料を作る人 技術的には正しくても“誤解を生む図”を出すと事故る。でも丁寧に作る時間はない
🆕 図の“お作法”を知らない若手 「この色は何層?」「点線の意味は?」が分からず、毎回先輩の図を真似している

ど真ん中の痛みを一言でいうと、

「AIに図を描かせても“それっぽいけど使えない図”しか出てこない。結局レビューと描き直しで時間が溶ける」

これを倒すのがゴールです。


なぜAIに「図を描いて」だとうまくいかないのか?

原因を分解すると、だいたいこの5つに集約されました。

問題 何が起きるか
🎲 品質がガチャ 同じ依頼でも毎回レイアウト・色・粒度が変わる。再現性がない
🤐 お作法が属人的 「外部サービスへの矢印はApp層から」等のルールはシニアの暗黙知。AIは知らない
➡️ 矢印の向きが破綻 DBから外部APIへ直接矢印が伸びる等、因果関係がおかしい図が普通に出る
🏷️ 凡例・スコープが無い 色や線の意味が不明。「この図はどこまでが対象か」が書かれず誤解を生む
🖼️ 編集できない形式で来る 画像やMermaidで渡されて、お客様が手元で直せない/微調整できない

特に効くのが「お作法が属人的」という点。シニアエンジニアの頭の中には「この色はApp層」「破線は戻り」「1枚に詰め込みすぎたら分割」みたいな暗黙のルールが大量にあります。これをAIに毎回プロンプトで伝えるのは現実的じゃない。

だったら、そのお作法を“スキル”として一度きちんと書き起こして、AIに常時参照させればいいのでは? というのが今回の発想です。


解決のアイデア:「図のお作法」をスキルに閉じ込める

Claude Code のスキルSKILL.md)は、特定タスクの手順・ルールをMarkdownで書いておくと、関連する依頼が来たときにAIが自動で読み込んで従ってくれる仕組みです。

ここに、図種別ごとのレシピを全部書き込みました。

  • 抽出対象 … 何をノード/エッジにするか(例:業務フローならアクター→レーン、ステップ→ボックス)
  • レイアウト … どう並べるか(例:構成図は Client→App→Data→External の層構造)
  • 色ルール … どの色が何を意味するか(層・役割ごとに固定)
  • 点線の意味 … 図種別ごとに一意に定義(戻り/配信/兼務 など)
  • ID体系 … ノードに付ける接頭辞(C-XXX=コンポーネント等)
  • スケール制限 … 1枚あたりノード40・エッジ60を上限とし、超えたら分割を提案
  • 誤解防止 … タイトル・凡例・注記(Scope/前提/対象外)を必須化

そして出力は .drawio(編集可能なdraw.ioファイル)。画像でもMermaidでもなく、お客様がdraw.ioで開いてそのまま直せる形式にしています。


何ができる? — 7種の図

題材を「タスク管理アプリ」に統一して、各スキル内蔵テンプレートの完成例を載せます。これ、全部AIが生成→そのまま .drawio で出力したものです(手で整えていません)。

システム構成図

Client → App → Data → External の層構造、Cloud/External の境界、OAuth・Push の因果ルール(配信=破線)。

システム構成図

業務フロー(スイムレーン)

レーンで責務を分け、DBは操作名(UPSERT等)で表記、検証失敗の戻りループは破線。OAuthの因果チェーン(フロント→外部→バック→DB→フロント)も型どおり。

業務フロー

シーケンス図

同期=実線 / 非同期=破線 / 戻り=破線。活性区間は省略し、メッセージは「動詞+目的語」で統一。

シーケンス図

ER図

PK/FK を明示し、N:N は中間テーブルで解消、関係線にカーディナリティ(1..N)。

ER図

CI/CD パイプライン

dev/stg/prod の環境帯、ツール名(GitHub Actions / ArgoCD)を明記、手動承認ゲート(◇)と監視(破線)も表現。

CI/CD

画面遷移図 / 体制図

画面遷移図(戻り遷移=破線、初期/終了状態を明示) 体制図(報告線/承認線/兼務=破線)
画面遷移 体制図

ポイントは、どの図にもタイトル・凡例・注記(Scope/前提/対象外)が必ず入っていること。これが「使える図」と「それっぽい図」の決定的な差です。


インプットは何を渡す?

「魔法のように何もなしで出る」わけではありません。いいインプットがいい図を作ります。とはいえ、構えなくて大丈夫。手元の仕様書・議事録・要件をそのまま貼るだけです。

スキルが最初に確認してくる(=渡すと精度が上がる)項目はこれ。

項目 必須
プロジェクト名 タスク管理アプリ
入力情報 仕様書 / 議事録 / 要件 / 設計メモ(テキストでOK)
図種別 業務フロー / 構成図 / ER図 / シーケンス / 画面遷移 / 体制図 / CI/CD
対象範囲(Scope) 「ログイン機能のみ」「全体俯瞰」など
抽象度 L1=俯瞰 / L2=主要詳細 / L3=実装寄り(未指定ならL1)
前提 / 制約 「認証はGoogle OAuthのみ」など

コツは Scope(対象/対象外)を最初にハッキリさせること。これだけで「全体図に見える部分図」みたいな事故がなくなります。


使い方(3ステップ)

Step 1. インストール

リポジトリを clone して、各スキルを Claude Code のスキルディレクトリに置くだけ。

git clone https://github.com/enomoso-pm/drawio-diagram-skills.git

# 各スキルをグローバルに配置(プロジェクト単位なら .claude/skills/ でもOK)
cp -r drawio-diagram-skills/skills/* ~/.claude/skills/

Step 2. 依頼する

あとは普通に話しかけるだけ。仕様や議事録を貼って、図種別とScopeを添えます。

このログイン仕様で業務フロー図を draw.io で作って。
Scope は「Google OAuth ログインのみ」、抽象度は L1 でお願い。

(ここに仕様書 or 議事録のテキストを貼る)

図種別に応じて適切なスキルが自動で起動し、お作法に沿った .drawio を生成してくれます。

Step 3. draw.io で開いて仕上げ

出力された .drawiodraw.io(デスクトップ / Web / VSCode拡張)で開けば、

  • ボックスの移動・色変更・文言修正がそのままできる
  • PNG / SVG / PDF に書き出して資料に貼れる
  • お客様にもファイルごと渡せる(編集可能)

「AIで土台を一発生成 → draw.io で微調整」という流れが、図作成の体感を一番ラクにしてくれました。


“効く”ポイント:シニアの暗黙知をルール化した

このスキル集の本体価値は、見た目より**「描いてはいけない図」を描かせない**ところにあります。いくつか例を挙げます。

  • 因果関係の制約:システム構成図で「外部サービスへの矢印は必ず App 層から」。Cache/Queue/Storage(Data層)から外部へ直接矢印を出すのは禁止。→ AIがやりがちな破綻を封じる
  • Push通知の表現を固定Worker → APNs/FCM は実線(HTTPS)、APNs/FCM → クライアント は破線(配信)。→ 方向と種別が一目で分かる
  • 点線の意味を図種別ごとに一意化:業務フローでは「戻り」、構成図では「配信」、体制図では「兼務」。混用禁止&凡例に必ず明記
  • スケール制限で“詰め込み事故”を防止:1枚にノード40・エッジ60を超えそうなら、勝手に描き切らず分割案を提示してから描く
  • バージョニング必須:ファイル名に _v1.0 を付与、上書きせず繰り上げ保存

要は、レビューで毎回指摘していた内容を、最初からルールとして組み込んだわけです。だから出力が一発でレビューを通りやすい。


ビフォーアフター

観点 Before(素のAIに「図描いて」) After(このスキル)
品質 毎回バラつく(ガチャ) 図種別ごとに一定
凡例・スコープ だいたい無い 必ず入る
矢印の向き 破綻しがち 因果ルールで担保
形式 画像/Mermaidで編集不可 .drawio で編集可能
レビュー 毎回同じ指摘 一発で通りやすい
若手の学習 先輩の図を見様見真似 ルールが明文化され再現できる

まとめ

  • AIに「図を描いて」と頼んでも“それっぽいけど使えない図”しか出ないのは、お作法(暗黙知)をAIが知らないから
  • そのお作法(抽出対象・色・点線の意味・因果ルール・スケール制限・凡例必須)を スキルに明文化すると、出力が一気に“使える図”になる
  • 出力は 編集可能な .drawio。AIで土台生成 → draw.io で仕上げ、の流れが一番ラク
  • 「設計書の図が多い」「レビューが消耗戦」「図だけAIに任せられなかった」人にこそ効きます

図にかけていた時間を、本来やりたい設計や検討に回しましょう。ぜひ試してみてください!

📦 リポジトリhttps://github.com/enomoso-pm/drawio-diagram-skills
サンプル7種・テンプレート・各スキルの SKILL.md を同梱しています。


付録:コピペで使える依頼プロンプト例

図種別ごとの“最初の一言”テンプレです。(ここに仕様/議事録を貼る) の部分に手元の情報を入れてください。

# 業務フロー
この業務の流れを draw.io の業務フロー図にして。
Scope=「(対象範囲)」、抽象度=L1。レーン分割と戻りループも入れて。
(ここに仕様/議事録を貼る)

# システム構成図
このシステムの構成図を draw.io で。Client/App/Data/External の層構造で、
外部連携(OAuth/Push)の因果ルールに沿って。Scope=「全体俯瞰」、抽象度=L1。
(ここに構成メモを貼る)

# ER図
このデータ要件から ER図を draw.io で。PK/FK明示、N:Nは中間テーブルで解消。
(ここにエンティティ/項目を貼る)

# シーケンス図
このAPI処理のシーケンス図を draw.io で。同期/非同期/戻りを区別して。
Scope=「(ユースケース名)」。
(ここに処理の流れを貼る)

# 画面遷移図
このアプリの画面遷移図を draw.io で。初期/終了状態と戻り遷移(Back/Cancel)も必ず。
(ここに画面一覧/遷移を貼る)

# 体制図
このプロジェクトの体制図を draw.io で。報告線/承認線/兼務を区別して。
(ここに役割/担当を貼る)

# CI/CD
このリリースフローを draw.io の CI/CD パイプライン図に。
dev/stg/prod の環境帯、ツール名、手動承認ゲートを明記。
(ここにデプロイ手順を貼る)
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