1
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

AIが全部コードを書く時代、未経験者が最初に詰まるのは文法じゃなく「やりたいことを言葉にする力」だ

1
Posted at

「AIがコードを書いてくれるなら、もう勉強しなくていいんですよね?」

最近、プログラミング未経験の方からよく聞かれます。半分は当たっていて、半分は外れています。

たしかに今は、Claude Code のような AIに「ブログを作って」と頼めば、それっぽいコードが出てきます。文法を暗記していなくても、動くものに近づける。ここまでは本当です。

でも実際に未経験の方の隣で作業していると、手が止まるポイントはほぼ毎回同じです。コードが書けないからではなく、「自分が何を作りたいのか」を言葉にできないから止まる。

この記事では、未経験者が AIにアプリを作らせるときに本当に詰まる「言語化の壁」と、ふわっとした要望を "AIが動ける具体的な指示" に分解する型を、before/after のプロンプト例つきで書きます。

⚠️ この記事は「自分の要望を言葉にして AIに渡す」発信側の話です。AIが返してくる専門用語を読み解く受信側の話とは別角度なので、用語に溺れて困っている方は別途そちらのアプローチが必要です。

なぜ「アプリ作って」では止まるのか

AIは賢いですが、エスパーではありません。あなたの頭の中にある「こういう感じ」は読めない。だから入力された言葉の範囲でしか動けません。

未経験の方がよくやる丸投げプロンプトはこれです。

タスク管理アプリを作って。

これで返ってくるのは、AIが勝手に想像した「平均的なタスク管理アプリ」です。あなたが本当に欲しかったものとはたいてい違う。そこで「なんか違う」と感じて手が止まる。でもどこがどう違うのかを言葉にできないので、修正の指示も出せず、そのままフェードアウトする。これが未経験者の挫折のかなりの割合を占める、というのが現場での体感です。

ここで効いてくるのは「コードを書く力」ではありません。自分のふわっとした願望を、他人(=AI)が動ける具体的な指示に翻訳する力です。これは言ってしまえば「仕様を言葉にする力」で、エンジニアが普段やっていることそのものです。

要望を分解する4つの型

ふわっとした「○○作りたい」を、AIが迷わず動ける指示に変えるには、最低限この4つを言葉にします。

観点 問い
誰が(Who) 誰が使う? 自分専用? 家族と共有?
何を(What) 何ができればいい? タスクの追加・完了チェック・削除
どうなったら完成(Done) どこまでで「完成」? 追加して、完了を付けられて、リロードしても消えなければOK
制約(Constraint) 守ってほしい条件は? ログイン不要・スマホで見やすく・データは自分のブラウザに保存

順番は Who → What → Done → Constraint で考えると埋めやすいです。特に大事なのが Done(どうなったら完成か)。ここを言葉にできていないと、AIも自分も「完成」の判定ができず、永遠に手直しが続きます。

before / after:同じアプリ、違う伝え方

実際に4つの型を使うと、プロンプトはこう変わります。

before(丸投げ・止まる)

タスク管理アプリを作って。

after(分解済み・動ける)

個人用のタスク管理ページを作ってください。

- 誰が: 自分1人だけが使う(ログイン機能は不要)
- 何を: タスクを「追加」「完了チェック」「削除」できる
- 完成の条件: タスクを追加でき、完了のチェックを付け外しでき、
  ブラウザをリロードしても入力したタスクが消えないこと
- 制約: スマホでも崩れない見た目/データは自分のブラウザ内に保存

まずこの仕様で合っているか確認してから、実装を始めてください。

after は専門用語を1つも使っていません。それでも AIは「何を作って、どこまでできたら完成か」が分かるので、的外れな出力がぐっと減ります。最後の一文「まず仕様が合っているか確認してから」を足すだけで、いきなり大量のコードを吐かれて迷子になる事故も防げます。

ポイントは、未経験者でもこの4行は書けるということです。useStatelocalStorage も知らなくていい。「自分が何を欲しいか」を日本語で並べるだけで、AIが動ける指示になります。

Claude Code での実践ワークフロー3つ

ここからは、言語化が苦手な状態からでも回せる具体的なワークフローを3つ。

ワークフロー1:AIに「仕様を言わせてから」作らせる

自分でうまく分解できないときは、分解そのものを AIに手伝ってもらいます。

タスク管理アプリを作りたいのですが、何から決めればいいか分かりません。
いきなりコードは書かず、まず「これを決めないと作れない」という質問を
5つだけ出してください。私がそれに答えたら、その回答をもとに仕様を
箇条書きにまとめ直してください。

AIが「誰が使いますか?」「データは保存しますか?」と聞いてくれるので、それに答えるだけで仕様が埋まります。質問に答える形なら、ゼロから言語化するより圧倒的にラクです。

ワークフロー2:完成条件を「受け入れテスト」の形で書く

Done を箇条書きにするのが難しいときは、「こう操作したら、こうなる」という形にすると一気に書けます。

以下の動作が全部できたら「完成」とします。実装後、この通りに
動くか順番に確認してください。

1. 入力欄に「牛乳を買う」と入れて追加ボタンを押すと、一覧に出る
2. その項目のチェックを押すと、文字に取り消し線がつく
3. 削除ボタンを押すと、一覧から消える
4. ページをリロードしても、1〜3の状態が保たれている

これは未経験者でも書けて、しかも AIにとっては「やることリスト」として最高の指示になります。完成の合否を自分で判定できるようになるのが大きい。

ワークフロー3:プロジェクトの前提を CLAUDE.md に固定する

毎回「スマホで崩れないように」「ログインは不要」と書くのは面倒です。Claude Code なら、プロジェクト共通の前提を CLAUDE.md に書いておくと、毎回のプロンプトから省けます。

# このプロジェクトの前提

- 対象: プログラミング未経験の自分1人が使う練習用アプリ
- 重要: コードを書く前に、まず「何を作るか」の仕様を箇条書きで
  確認してから実装を始めること
- 完成の定義は、私が渡す「動作チェックリスト」を全部満たすこと
- 専門用語は使わず、何をしているか一言そえて説明すること

前提を一度言語化してファイルに置くと、以降は要望の差分だけを伝えればよくなります。言語化の負担を「毎回」から「最初の1回」に減らせるのが、AIと長く付き合うコツです。

言語化力は、コードより一生使える

ここまで読んで気づいた方もいると思います。やっていることは「相手が動けるように、要望を具体的な言葉に分解する」だけ。これ、プログラミングだけの話じゃありません。

  • 上司に企画を通すとき、「いい感じにして」では伝わらない
  • 調べ物をするとき、検索ワードが具体的なほど答えにたどり着く
  • チームに仕事を頼むとき、Who / What / Done / 制約が揃っていると手戻りが減る

言語化力は、AIを動かす力であると同時に、仕事のあらゆる場面で効く一生モノのスキルです。文法暗記はAIが肩代わりしてくれる時代だからこそ、「やりたいことを言葉にして人にも機械にも伝える力」の価値が相対的に上がっています。これが AI協働スキルの核心だと考えています。

未経験から始める人へ。最初に鍛えるべきは for 文の書き方ではなく、「自分は何を・誰のために・どうなったら完成として作りたいのか」を言葉にする力です。それさえできれば、コードは AIと一緒に書いて、ちゃんと公開まで持っていけます。


未経験者向けの講座を運営しています

未経験から Next.js + Supabase + Claude Code で Webアプリを作って公開するまで を、全20セッションで体系化した教材です。要望を仕様に分解する考え方から、Claude Code を学習パートナーにする CLAUDE.md / Skills 設計までセットで含みます。

※ Qiita 読者の方には易しすぎる内容なので、初心者の知り合いへの紹介や社内研修・後輩育成の参考としてどうぞ。

1
1
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
1
1

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?