はじめに
FortiGateの冗長構成(HA: High Availability)を組むとき、Active-Passive構成は最もよく使われる方式です。片方が障害でダウンしても自動で切り替わるので、通信断を最小限に抑えられます。
ただし、実際に設定してみると「同期がうまくいかない」「フェイルオーバーしない」といったトラブルに遭遇することも多いです。自分もHA構築案件で何度かハマった経験があるので、そのあたりも含めて手順をまとめました。
HA構成の前提条件
Active-Passive構成を組む前に、以下を必ず確認してください。ここを飛ばすとあとで面倒なことになります。
- 同一モデル: 2台とも同じFortiGateモデル(例: FortiGate 60F同士)
- 同一ファームウェア: FortiOSのバージョンを完全に合わせる
- 同一ライセンス: 両方のライセンスが同一であること
- HA専用ポート or 汎用ポート: heartbeat用のインターフェースを決めておく
ファームウェアの確認コマンド:
get system status
バージョンが違うままHA組もうとすると、同期フェーズでコケます。先にファームウェアを揃えましょう。
GUIでのHA設定手順
1. システム → HAの設定画面を開く
FortiGateの管理画面にログインして、System > HA に移動します。
2. 基本パラメータの設定
| 項目 | Primary機 | Secondary機 |
|---|---|---|
| Mode | Active-Passive | Active-Passive |
| Device priority | 200 | 100 |
| Group name | 任意(同一にする) | 同上 |
| Group ID | 1(デフォルト) | 1 |
| Password | 任意(同一にする) | 同上 |
| Heartbeat IF | port3等 | port3等 |
Device priorityは数字が大きい方がPrimary(Active)になります。200と100にしておくのが定番です。
3. Heartbeatインターフェースの選択
Heartbeatは最低1本、できれば2本設定しておくと安心です。1本だとheartbeatケーブルの障害でスプリットブレインが起きるリスクがあります。
CLIでのHA設定
GUIが使えない場合や、Config投入を自動化したい場合はCLIで設定します。
Primary機:
config system ha
set mode a-p
set group-name "MyHA"
set group-id 1
set password "hapassword123"
set priority 200
set hbdev "port3" 50
set override enable
set session-pickup enable
end
Secondary機:
config system ha
set mode a-p
set group-name "MyHA"
set group-id 1
set password "hapassword123"
set priority 100
set hbdev "port3" 50
set override enable
set session-pickup enable
end
group-nameとpasswordは両方で完全一致させること。ここが1文字でも違うとペアリングしません。
フェイルオーバーの確認テスト
HA構築が終わったら、必ずフェイルオーバーテストをやりましょう。
# HA状態の確認
get system ha status
# 手動フェイルオーバー実行
diagnose sys ha reset-uptime
get system ha statusでPrimary/Secondaryの役割が正しく表示されることを確認してから、手動フェイルオーバーで切り替わりを検証します。
現場でよくハマるポイント
- ファームウェアバージョン不一致: 同期が始まらない原因の8割はこれ
- Heartbeatケーブルの接続ミス: クロスケーブルが必要な機種もある
-
override設定の落とし穴:
override disableだと、障害復旧後に元のPrimaryに戻らない - session-pickupの有効化忘れ: セッション引き継ぎされず、切替時に全セッション切断
- 管理アクセス用のha-mgmt-interface未設定: Secondary機にログインできなくなる
特にoverride設定は見落としがちです。override enableにしておかないと、障害復旧後にpriority値が高い機器が自動でPrimaryに戻りません。運用方針に合わせて決めてください。
まとめ
FortiGateのHA Active-Passive構成は、前提条件の確認→パラメータ設定→heartbeat接続→同期確認→フェイルオーバーテストの順で進めれば、それほど難しくありません。ハマりどころを事前に把握しておけば、構築当日にトラブルで焦ることも減ります。
詳しくはブログで
この記事の完全版(GUIスクリーンショット・エラーメッセージ対応表・override/session-pickupの詳細解説など)はブログで公開しています。
👉 FortiGate HA設定完全ガイド|Active-Passive構成の構築手順