はじめに
私は、大企業の精密機器メーカーに勤務するソフトウェアエンジニアですが、私の職場にも生成AIの大波がやってきました。
全社的にClaude Codeを導入し、派遣社員・契約社員の人数を見直す可能性の検討が始まっています。
私も現場のプロジェクトリーダーとして導入を検討していますが、確かにこれはソフトウェア開発の現場を激変させるポテンシャルを持っていると認めざるを得ません。
まだまだ過渡期で今後どうなっていくかはわかりませんが、今までの検討でわかったことと課題を書き留めておこうと思います。
これまでの経緯
私の会社では、以下のような流れで生成AIを取り入れてきました。
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2023年
OpenAI等を活用した社内AIサービスが導入。
できることはChatGPTと大差なく、生成AIによるチャットができる。
社内機密を入力しても問題ない社内公式サービス。 -
2025年9月
Claude Codeを利用してソフトウェア開発を効率化できないか、全社のソフトウェア開発メンバーから有志を募って検討を開始。 -
2025年12月
参加メンバーを増やして全社で本格的な導入を目指し始める。(← 今ここ)
私の立場
私は、とある新商品のソフトウェア開発メンバーです。
1つのプロジェクトの中のソフトの仕様・設計・実装リーダーを担っており、契約社員と共に開発をおこなっています。
私自身も設計・実装をおこなうプレイングマネージャーで、全員のコードをレビューする品質責任者でもあります。
生成AIは、ChatGPTや社内AIサービスは使っていましたが、2025年後半までは、生成AIによるコーディングはおこなっていませんでした。
無料で使える範囲でCursorを少し触ってはいたものの、本格的に生成AIで開発をおこなうのはClaude Codeが初めてです。
最初の有志のメンバーには参加しませんでしたが、参加メンバーが増えたタイミングで私も参加し、開発現場への適用を検討し始めた段階です。
Claude Codeを私のソフト開発に適用してわかったこと
Claude Codeを使い始めてまだ約一か月ですが、すでに私の仕事にはなくてはならないものになりました。
これまでに私が使って感じたこと、わかったことをまとめます。
良い点
探索能力・調査能力が尋常でなく高い
コードの読解能力は、非常に高いです。
特に威力を発揮するのが、不具合の原因調査です。
私のソフトはハードウェアも絡むので、ハードウェア由来の原因究明はできませんが、ソフトウェアのコード内に原因がある問題は、かなりの確率で何が起こっているのかを明らかにしてくれます。
定型的で単純な実装も得意
これは当然かもしれません。
文言の一括変更、同じような構成のメソッドの量産などは全く問題なくできます。
報告文章の作成に便利
会社でソフトを開発していると、仕様書や不具合修正記録など、報告文章を書く必要があります。これらの文章の作成も得意です。
一例としては「~のコミットで加えられた修正内容をまとめて」と言う感じでしょうか。
この報告文章の作成は今まで自分でやるときは苦痛だったので、楽になりました。
プロトタイプ開発・実験的開発にも有用
これは、とにかく動くものを作らせて、コードの品質・書き方は一切気にしない場合の話です。
「こういう風に動くものを作って」といえば、とりあえず動くものは出してくれます。
プロトタイプ・実験では、とりあえず動きを見て捨てる場合が多いので、そういう時には大変便利です。
注意点
業務に組み込むなら、CLAUDE.mdをはじめ指示のチューニングは必須
Claude Codeは、CLAUDE.mdをはじめとしたルールの記述をおこなって初めて真価を発揮します。
業務のルールを上手く指示できれば、定型フローのほぼすべてをClaude Codeがやってくれます。
ただ、このルールを書くのはなかなか大変です。
まずは生成AI自身に書かせて一応チェック・修正してから運用を開始し、「これはこういうルールにした方がいいかな」とチューニングをして洗練させていくのは、必須と思います。
人間が微修正できるなら人間が修正した方がいい
Claude Codeの成果物を見て、「ここはちょっと直したいな」と思ったときに、人間がすぐ直せるなら人間が直した方がいいです。
具体的には、リネームとかメソッドの抜出などでしょうか。
Claude Codeに全部やらせようとすると、全部指示を出さなくてはいけないので、それはそれで面倒になります。
人間が一操作でパッと直せるなら、直した方が速いし楽と思います。
コードに限りませんが、Claude Code(おそらく生成AI全般)に成果物を出させて、人間がチェックして手直しするのが、一番速く、楽に、高品質なものを作れると感じています。
動作確認はできない(少なくとも今の私の開発現場では)
これは私が開発しているソフト(ハードウェア制御のデスクトップアプリ)故であって、Web開発などではまた違うのかもしれません。
ただ、動作確認を無理やり任せても、確認必須なところしか確認せず、人間であれば感じるちょっとした違和感などは全く気づけないので、今のところ動作確認はAI向きではないと思っています。
設計力は高くない
これも場合によりけりだとは思いますが、構想力・設計力をClaude Codeに求めるのはやめた方が良いと思っています。
私も、「~の機能を追加したいが、どこをどのように修正するのが良いか検討して」といって検討させることは多いですが、あくまで一参考意見に留めた方が良いと思っており、最終的には自分で勘所を確認して決めています。(その参考意見が役に立つこともありますが。)
今考えている課題
今のところ、このClaude Codeは私のチーム内では私しか使える状態なっておらず、契約社員の方はまだ使っていません。
これは、会社で契約したClaude Codeの価格が高価なため、現在は使用に応じた成果が出せる見込みがある場合しか、使ってはいけないことになっているためです。
契約社員の方にも活用していただければ効率は上がると思うのですが、現時点ではその効果がどの程度見込めるのか、私自身まだ見通しが立っていない状態です。
私は会社から、Claude Codeの導入によって派遣社員・契約社員の人数を見直せる可能性を問われています。
もちろん強制ではなく、実際の契約は現場に委ねられてはいますが、私としてもClaude Codeによって必要な人数が減るのであれば、その方向で検討することになると思います。
問題は、Claude Codeを本格的に導入した場合、契約形態に関わらずClaude Codeを前提とした新しい能力が求められる可能性が高い点にあります。
Claude Codeを使った実感として、Claude Codeを使いこなすには、1開発メンバーでも今まで求められなかった類の能力が求められます。
- Claude Codeの回答を理解するだけの読解力
- 回答に違和感があった時にそれをクリアにするための問いを立てる能力
- 設計・構想能力
- Claude Codeの成果物に微修正を加えられるだけのチェック能力
などでしょうか。
私自身、日々これらの能力を問われている感覚があり、容易なことではないです。
いわば、開発メンバー全員に対して、今までであればリーダー的業務を回し得るだけの能力を求められているわけです。
そんなこと、本当に可能なのでしょうか。。。
終わりに
色々と課題も感じてはいますが、生成AIによるソフト開発は、総じて面白いです。
会社の中での立場故に色々考えることはあるものの、一開発者としてはやはり知的好奇心が先に立ちます。
今後職場での開発の仕方は大きく変わるでしょうが、変わったとて何とかなるだろうとも思います。
変化がさらに進み、展望が変わったら、またご報告したいと思います。