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採点器(grader)— Pass@k と Pass^k:「一度動いた」で業務自動化を評価していませんか?

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Last updated at Posted at 2026-10-19

初めに

AIエージェントを試して、5回目でようやく成功した。

デモなら「できました」と言えるかもしれません。
ただ、毎日の業務を任せるなら、話は変わります。

実務の業務自動化で重要なのは、安定性を見る Pass^k です。

ユーザーは「5回に1回しか動かない機能」を「動いた」とは認めてくれません。

1. まず、「成功」を判定する採点器を作る

grader は、AIの処理結果を採点する仕組みです。

たとえば、請求書を読み取って業務システムに登録する場合。AIが「登録しました」と回答しただけでは、成功とは判断できません。

確認したいのは、次のような状態です。

  • 金額と取引先が正しい
  • 登録先のデータが実際に更新されている
  • 同じ請求書が二重登録されていない

数値や登録状態はコードで検証し、説明の分かりやすさはLLMや人が評価する。判定する対象に合わせて採点器を選びます。

2. Pass@k と Pass^k は、見ているものが違う

同じタスクを、同じ初期条件から k 回試します。

指標 成功とする条件 分かること
Pass@k k 回のうち、1回以上成功 試行の中で成功に届くか
Pass^k k 回すべて成功 繰り返しても安定して成功するか

たとえば、5回の結果が次の場合です。

1回目 2回目 3回目 4回目 5回目
失敗 失敗 成功 失敗 失敗

この組は Pass@5 の条件を満たします。
一方、Pass^5 の条件は満たしません。

1回成功したことと、繰り返し任せられることは別です。 この違いを捉えるのが、2つの指標です。

3. 1回の成功率が80%でも、5回すべて成功する確率は?

各試行が独立で、成功確率が一定の p だと仮定すると、次のように計算できます。

  • Pass@k:1 - (1 - p)^k
  • Pass^k:p^k

成功率80%、5回試行なら、

指標 計算結果
Pass@5 99.968%
Pass^5 32.768%

「5回まで試せば、ほぼ成功する」。
でも、「5回とも成功する確率」は約33%です。

この差は、日々の運用では無視できません。

※これは仮定に基づく計算例です。実際の評価では、複数のタスクを繰り返し実行して集計します。

4. 業務自動化では、失敗した回も見る

候補を何度も生成し、人が正解を選べる用途なら、Pass@k は役立ちます。

一方、請求書登録や顧客情報更新では、失敗するたびに確認や修正が必要になります。

そこで、次の順番で評価すると実務につなげやすくなります。

  1. 正常終了とする条件を grader に書く
  2. 各試行の前に、データや環境を同じ初期状態へ戻す
  3. 同じタスクを繰り返し、Pass^k と失敗原因を確認する

リトライを製品の機能に含めるなら、リトライ込みの処理全体を「1回」と定義します。そのうえで、所要時間や二重登録も採点対象にします。

一度の成功を確認したら、次は何度任せても、期待した結果になるかを測る。

そこまで確認して、業務を任せる判断につなげたいところです。

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