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理系だから院進?その「思考停止」を一度捨てると、あなたのキャリアはより良くなる

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「周りのみんなが院進するから、自分もするのが当たり前」

もしあなたが今、そんな風に考えているのなら一度立ち止まってこの記事を読んでほしい。これは周囲の95%が院進する環境で、あえて「学部卒でエンジニア就職」を選んだ私の一つのポジショントークである。

結果から言えば、私はその選択によって、20代後半時点で同世代の院卒サラリーマンと比較して倍以上の年収に到達することができた。

最初に断っておくが、院進そのものを否定するつもりは一切ない。特に、明確な目的(学歴ロンダリングをしたい / 高度な研究をやりたい / 院卒以上が条件の技術職や研究職を志す)がある人や、海外院を狙えるまたは学問において目覚ましい実績を残した / 残せそうな優秀な方は、迷わず突き進んでほしい。

ターゲットはあくまで、なんとなく

  • 「モラトリアムを伸ばしたい」
  • 「院卒の方が就活有利そう」

という理由で、20代前半の貴重な2年間を投じようとしているあなただ。

※本ページにはプロモーションが含まれています

「思考停止の院進」が抱える主な3つの問題

① 院生が院卒でなくても就職できる企業の就活やインターンに全力を注いでいる

私はとある旧帝大の情報系学部を卒業した。3年次の5月から就職活動を開始し早期に内定を得ていたため、4年次の研究室配属時にはすでに進路が決まっていた。そのため院試や就活に追われる必要がなく、1年間卒業研究に専念できる環境にいたのだが、そこで一つの違和感に気づいた。M1の春から遅ければM2の夏頃まで、多くの院生が研究室を不在にし、皆ほとんど研究をしていない実態だ。週次の進捗報告は、就活やインターンを理由に欠席する者が珍しくない。しかも、彼らの志望先の多くは、直接的には研究内容に関係ない、学部卒でも十分に採用される企業が大半である。

これを強く実感したのは、大学4年の時、ある大企業の夏インターンの実態を耳にした時だ。私の研究室のM1の先輩と、バイト先で仲の良かった後輩の私文のB3生が、たまたま同じグループで机を並べていたという。修士としての2年間を投じている学生が、文系の学部生と同じ枠で選考を受けている。この事実に触れた時、私は違和感を覚えた。

※ 日本の就活制度も問題大アリですが、別の話題になってくるため今回は触れません。

②「院卒だから」という理由だけで、本当にやりたいことではなく、選べる範囲で妥協した就職先を選んでいる

理系院卒は就職先に困らない。これは事実だ。実際、一定以上の偏差値帯の大学においては、推薦枠の数が学生数を上回ることも珍しくない。しかし、その「選べる範囲」の中に、あなたが本当に望むキャリアはあるだろうか。

業務内容、年収、勤務地、そして理想とするライフスタイル。これらを総合的に判断した時、単に「推薦リストに名前がある有名企業だから」という理由で妥協していないか。周囲が用意した選択肢に乗るだけの決断は、長期的なキャリア形成において大きなリスクとなり得る。

③ 院生の生活は精神的に大変

院進した友人の多くが口を揃えて「きつい」と漏らす。卒業要件を満たすための研究や授業、そして就活。スケジュールの隙間を縫ってアルバイトをしても、学部時代より自由に使える金が減るケースも多い。さらに、奨学金という名の借金を重ねたり、社会保険料の支払いを猶予して将来へ先送りしたりと、経済的な負債や負担も着実に蓄積していく。社会に出た同期との生活水準の差に焦り、サークル活動のような楽しみも失われた閉鎖的なコミュニティで、精神的にすり減っていく姿を何度も見てきた。実際、私の友人もM2の春に心身のバランスを崩し、中退を選択した。幸い、彼はその後とあるスタートアップ企業でバリバリと働き、「毎日が楽しい」と語るほど回復したため安心したが、彼が院進するべきだったかは一度冷静に考えるべき問題だ。

多くの新卒が就くエンジニア職の現実と中途市場の実態

日本でエンジニアとしてキャリアを築くなら、知っておくべき重要な事実がある。それは実務経験が圧倒的に重要視されると言うことだ。

大半の仕事に「修士の知見」はいらない

新卒が就くエンジニア職の8〜9割は、ビジネスにおけるアプリケーションレイヤーの開発だ。基盤技術や高度なアルゴリズムを要する仕事(修士・博士号が必須となる領域)は、市場では極めて少ない。(そういった職は本記事では対象外としている)したがって、修士で学ぶ高度な理論が現場で直接活きる場面は極めて限定的であるため、この領域には文系出身の学生も数多く存在している。

これは企業の採用実績を見ると明らかであり、実際に複数名参加型のインターンや内定後の懇親会などに参加するとさらに痛感する。理系大学院に進学できる能力があるなら、学部卒の時点でそれらの企業から内定を得ることは決して難しくないのだ。

※近年はインターンでの開発経験が重視される傾向にあり、「文理」や「学部・修士」の差はさらに小さくなっている印象を受けます。

2年で評価されるのは実務経験の方

IT業界は変化が激しい。大学の研究室で扱うレガシーな技術よりも、現場で商用コードを書き、モダンな技術スタックに触れる2年間の方が、市場価値は圧倒的に上がりやすい。

あなたが24歳になったとき、企業はどちらを欲しがるだろうか。

  • 「一律の研修からスタートする、実務未経験の院卒新人」

  • 「チーム開発の勘所を押さえ、即戦力として動ける実務経験2年の学部卒」

中途採用市場における評価の差は、言うまでもない。確信が持てないなら、自分が志望する企業の「中途採用枠」の募集要項を覗いてみてほしい。そこに書かれているのは、「大卒以上」と「Xの実務経験Y年以上」が大半のはずだ。

※ 大学院時代に目覚ましい実績や素晴らしい経験を得た場合を除く

結論: 一旦今すぐ就職活動を始めよう

ここまで読んで、少しでも院進に迷いを覚えたのなら、今すぐ就職活動を始めてみてほしい。 そして、就活をやり切った上で、改めて院進するかどうかを判断すればいい。

特に「現時点でやりたいことがない」「なりたい職業が思い浮かばない」という人ほど、このアクションは不可欠だ。やりたいことは、ある日突然降ってくるものではない。自分の考えや興味は、その時自分が見ている世界や、入ってくる情報の質によって形作られるからだ。大学院は、学部時代以上に生活がルーティン化し、コミュニティも閉鎖的になりがちだ。サークル活動のような接点は減り、研究室に拘束される時間が増えれば、得られる情報はさらに限定されてしまう。

だからこそ、「やりたいこと」を探すための手段として、今すぐ就活をして外の世界に触れてほしい。 市場のリアルを知った上で、それでも研究が必要だという結論に至るのなら、その決断による院進は、あなたの視座をさらに高くしてくれるはずだ。

何から手をつければ良いかわからない方は、まずは先人の知見を借りて、エンジニアの実務やキャリアの解像度を上げることから始めてほしい。私が目を通した中で、特に学生時代に読んでおくべき本をいくつか紹介しておく。

ITエンジニア働き方超大全 就職・転職からフリーランス、起業まで
単なる就職活動の枠を超え、フリーランスや起業といったエンジニアの「働き方の全体像」を俯瞰できる一冊だ。自分が将来どのようなライフスタイルを送りたいか、長期的なキャリアを設計するための地図として役立つ。

ITエンジニア1年目の教科書
「現場で働く」とはどういうことか。基礎知識からマインドセットまで網羅されており、学生時代の開発と現場での開発のギャップを埋めるのに最適だ。実務での即戦力として動くイメージを具体化するために、まず目を通しておきたい。

ITエンジニアの転職学 2万人の選択から見えた、後悔しないキャリア戦略

「市場価値の高いエンジニアとは何か」を膨大なデータから解き明かしている。新卒であっても、中途市場のニーズを知ることで、今どの技術に触れ、どのような経験を積むべきかという「逆算の視点」を手に入れることができる。

適職の結論 あなたが気づいていない「本当の強み」がわかる

  • そもそも自分は、何がしたいのか?
  • 今の会社で働き続けるか、転職か?
  • 自分にぴったりの会社はどこか?
  • 心から納得できる職業を選ぶには?
  • 自分の強みを最高に活かせる職業を探すために、最適な一冊です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

おまけ: 学部卒就職のメリット3選

①ホワイト企業の新卒は、研究室より圧倒的に「楽」

「モラトリアムを伸ばしたい」という動機で院進を考える人は少なくないが、それならむしろ学部就職の方が「質の高いモラトリアム」を享受できるような気がする。 週40時間働けば相応の給与が得られ、週末は趣味や自己研鑽に完全な自由が担保される。昨今の圧倒的な新卒売り手市場と働き方改革の浸透により、この傾向はさらに加速している。金銭的・精神的な余裕という点では、閉鎖的な研究室生活とは比較にならない。実は、社会人2〜3年目の方が、院生よりも自由を謳歌できる可能性が高い。

② 第二新卒のカードが切りやすい

22歳で一度社会に出る最大の利点は、24歳時点で「第二新卒」として再挑戦できる権利を保持していることだ。もし最初の職場でミスマッチが起きても、24歳なら未経験領域への方向修正は十分に間に合う。一方で、院卒が社会に出るのも同じ24歳だ。そこからキャリアの再選択を迫られた場合、学部卒と比べてリスクの許容度は格段に低くなってしまう。

③学びたくなったら院に戻る or 社会人の大学院という選択肢もある

「深く学びたい」という欲求は、必ずしも現役の学生のうちに解消する必要はない。実務経験を経てから大学院へ戻る、あるいは社会人大学院に通う道も常に開かれている。現場の課題を肌で感じた後の方が、学びの目的意識は明確になり、学生時代よりも遥かに高い学習効率が期待できるはずだ。

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