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皆さんこんにちは。この記事は株式会社カオナビ Advent Calendar 2025の21日目の記事です。

はじめに

人生の様々な局面で自分を成長させてくれた経験の裏には、道標となる"金言"との出会いがありました。
本稿では、私の開発スタイル、マネジメントの向き合い方、そして仕事へのプロ意識を根本から見直すきっかけとなった、特に印象深く、今なお私の中に生き続けている言葉たちを紹介します。
※各エピソードは全て前職以前のエピソードです。

金言

1. 【リーズナブルに開発】

1と1という2つの引数を渡すことで、2という値が返却される関数をリーズナブルに開発すると、どんな処理を書く?
この問いに、反射的にこう答えました。

fn(int $x, int $y):int => $x + $y;

つまり足し算の結果を返す関数です。
しかし、求められているのは足し算ではなく2を返すことなので、リーズナブルな解としては以下になります。

fn($x, $y) => 2;

経験を重ねるほど、要求の背景を想像し、無意識のうちに要求を課題解釈しがちになります。
自分の思考がいかに拡張性・保守性という名の"思考の視野狭窄"に陥っていたかを痛感させてくれました。

2. 【ログイン画面を欲しがる人はいない】

顧客管理クラウドシステムの見積もりをしていた際、機能一覧を洗い出して工数を検討していました。

  • ログイン画面
  • 管理者メニュー
  • 顧客検索画面

その様子を見た方に言われました。
「ログイン画面を欲しがる人はいません。利用者が本当にやりたいことは何ですか?」
利用者が本当にやりたいことは"顧客情報を確認・変更できること"であり、その手段について思考ロック状態になっていることに気づきました。
管理者だけが利用可能な環境であれば、ログイン機能は不要で、「顧客〇〇を参照」と検索欄に書くだけで参照できれば、管理者メニューや顧客検索画面が無くても要求に答えられます。
画面や機能を作るというアプローチは思考ロックしやすいため、"やりたいことを実現する一番いい方法か?"という問いを常に持って設計するようになりました。

3. 【剥がれた付箋は捨てればいい】

バックログを物理的に付箋で管理していた時、エアコンの風で貼りっぱなしの付箋が剥がれて落ちていくのを見て、付箋を拾い集めていた時にかけられた言葉です。
「本当に必要ならまたバックログに積まれます。付箋がなくなっただけで忘れ去られるようなバックログは剥がれて消えるべきです。」
確かに、長期的に未着手なバックログを管理し続ける価値を問う考え方でした。
デジタル管理では意図的に消さない限り残り続けますが、そんなバックログを見るときはエアコンの風に揺られる付箋を思い出すようになりました。

4. 【5分も1時間も結果に大差ない】

ブレインストーミングでアイディア出しの制限時間を5分に設定しましたが、なかなかアイディアの数が出せず延長するかどうかという時に頂いたアドバイスです。
「同じ人間が同じ状況下で5分考えようが1時間考えようが、発想レベルは変わらないため結果に大差ない。」
熟考することでアイディアが出ることもあるため、質が上がると信じ込んでいましたが、出てきたアイディアの質は大差ないと言われて、確かに、同じ脳から出てくるものが時間をかけた途端に劇的に変わる訳がないと納得しました。
それよりも他者からのインスピレーションなどが新しいひらめきに繋がるため、まずはアウトプットを共有することの方が質の向上につながります。
開発においても自分の中で完璧を目指してから共有するのではなく、悩んでいる状態でまず共有することがプロダクトの質の向上につながります。

5. 【100%より30%】

新卒の教育を任され、「自分の分身を育てなさい。」という上司からのプレッシャーに悩んでいた時期に頂いたアドバイスです。
「あなたの100%を1人に引き継ぐより、30%のスキルを4人が習得した状態を目指す方がバリューは大きい。30%くらいなら着実に伝えていけるでしょ?」
確かに新卒を自分の分身まで育てるには何年もかかるし可能かどうかも分かりませんが、30%の知識を引き継ぐだけなら確実に短い期間で達成できるイメージができるため、重荷を一気に軽くしてくれました。
ビジネスシーンでは"ムーンショット"や"ルーフショット"が推奨されがちですが、ボウリングのスパットを狙うように、手の届く範囲の現実的な目標を設定する方が、再現性が高い目標設定だと感じました。

6. 【評論家はいらない】

主力ソフトのリニューアルをするため、複数のエンジニアが集まり設計会議を行っていました。
そのうちの1人はとても勉強家で常に正しい意見を言い、最新のノウハウを我々に広めてくれる優秀な方でしたが、議長を務めていた上司が
「評論家はいらない。」
と優秀な彼を認めませんでした。
彼の発言は確かに正しいのですが、必要なのは"意見ではなく提案"であり、批評をするだけでは何の価値も生み出さないということに気づかされました。
コミットに対するレビューコメントでも、「この書き方はアンチパターンです」とダメ出しで終わるのか、「こう書いた方がいい」と提案を添えるのか。
この意識の差が、チームが生み出す価値の違いに直結します。

7. 【あの本はファンタジー】

アジャイルやチームマネジメントに関する参考書としてロングセラーになってる書籍はいくつか存在します。
書籍の中で描かれている成功物語を夢見てチームで試している時、ご自身も本を出版してる方に言われました。
「あの本に書かれてる内容はファンタジーです。」
冷静に考えてみました。
書籍は内容の正しさではなく購読されることが目的なので、読者が憧れる物語を書くのは当然なのに、なぜか現実に再現できると思い込んで試していました。
その学びを得てからは、手を替え品を替えトライして"なぜ上手くいかないんだ?"と悩むことはなくなりました。

8. 【恐怖しかない】

学生時代にプロドラマーを目指して、日本を代表する師匠に指導を受けていました。
師匠の練習に対する桁外れの集中力を目の当たりにして、モチベーションの源泉について質問しました。
「世界中には天才がいて恐怖しかない。練習せずにはいられない。」
日本を代表するようなプロドラマーが自己研鑽する理由が"恐怖心"という状況に、プロとアマチュアの圧倒的な違いを感じましたし、日本を代表するレベルだからこそ世界を知っていたのかもしれません。
私は現在エンジニアのプロとして働いていますが、師匠のような強烈な恐怖を感じられていないうちは"プロとしての基準"がまだ先にあると自分を奮い立たせ、その危機感を自己研鑽への原動力へとつなげています。

おわりに

これらの金言は、私の中にあった固定観念を打ち破り、プロとしての本質を見つめ直す機会を与えてくれました。
技術や経験が増すほど、私たちは無意識のうちに思考や行動を習慣化してしまいます。
これらの言葉が、自らの習慣や思考を立ち止まって見つめ直し、さらなる自己成長へと繋がる一助となれば幸いです。

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