藤田眞作氏の縦組パッケージは使い勝手が良いのだけれども、LuaLaTeXではそのまま使えないので、これを修正する方法を示す。
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zw あるいは zh となっているところを、それぞれ、\zw、 \zh と書き換える
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\kanjiskipとなっているところを、\ltjsetparameter{}で囲む
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\xkanjiskipとなっているところを、\ltjsetparameter{}で囲む
たとえば、\xkanjiskip=\kanjiskipとなっている場合には、
\ltjsetparameter{xkanjiskip=\ltjgetparameter{kanjiskip}}
とする。 -
\smash{...}となっているところを、\hbox{\smash{...}}とする
以上
補足;
\ltjsetparameter{} とは、LuaTeX-ja(LuaTeXをベースにした日本語組版拡張)のパラメータを設定するためのコマンドである。概要はつぎのとおり。
LuaTeX-ja は、LuaTeXに日本語組版機能を追加した拡張で、従来のpTeX系とは異なる方法で日本語組版を実現してる。\ltjsetparameter{} は、LuaTeX-jaの組版パラメータを調整するためのコマンドである。引数にパラメータ名と値を指定して、組版の挙動(字間や禁則処理、縦横の設定など)を変更することができる。
使い方
\ltjsetparameter{kanjiskip=0.3zw}
これは、漢字間の字間(kanjiskip)を「0.3zw」に設定する例である。ほかにも
xkanjiskip(漢字と異種文字間の字間)
prebreakpenalty(行頭禁則のペナルティ)
postbreakpenalty(行末禁則のペナルティ)
autospacing(自動字間調整の有効・無効)
などがある。
\kanjiskipと\xkanjiskipについて
日本語組版では、漢字(全角文字)と英数字(半角文字)が混在するため、文字間のスペース(字間)を調整する必要がある。これを「字間調整」と呼ぶ。
\kanjiskip は、漢字と漢字の間に挿入されるスペース(漢字間の字間)を表すパラメータであり、\xkanjiskip は、漢字と英数字・記号などの異種文字との間に挿入されるスペース(異種文字間の字間)を表すパラメータである。そして、
\xkanjiskip=\kanjiskip
とは、「漢字と異種文字の間の字間(\xkanjiskip)を漢字同士の字間(\kanjiskip)と同じ値に設定する」という意味である。
注意
藤田眞作氏の縦組パッケージは、Copyright xxxx by Shinsaku Fujita. All right reserved. とのみ記載されており、改編についての一切の記載がない。コードが公開されている以上、これらのコードを私的利用の範囲(個人が家庭内や業務上限られた範囲で使う)で改編することは容認されるはずであるが、これを公開することには著作権上の問題がある。この点に注意する必要がある。