はじめに
テスト自動化エンジニアのシラバスを再度読み直し、各章をDailyで読めるようにしてみた
4.2 Risks Associated with Test Automation Development と 4.3 Test Automation Solution Maintainability を今回は翻訳・解説する
テスト自動化デプロイメントのリスク
テスト自動化のデプロイとは、開発したテスト自動化スクリプトを実際のテスト環境に導入し、実行することです。
このフェーズでは、単にスクリプトが動くだけでなく、テスト対象システムとの連携、テスト結果の収集、そして継続的な実行のための環境構築などが含まれる。
このテスト自動化のデプロイには、様々なリスクが伴います。
そのリスクと緩和策を挙げる
技術的なリスク
- パッケージング
テストスクリプトを適切にパッケージングし、共有できる状態にする必要があります。 - ロギング
テスト結果を適切に記録し、分析できるようにする必要があります。 - テスト構造
テストケースを効率的に管理し、再利用できるように構造化しなければなりません。 - 更新
テスト環境やテストスクリプトの更新に伴う問題が発生する可能性があります。
環境的なリスク
- ネットワーク
ネットワーク障害や遅延によってテストが中断する可能性があります。 - リソース
テスト実行に必要なCPU、メモリなどのリソースが不足する可能性があります。 - セキュリティ
ファイアウォール設定やアクセス権限の問題が発生する可能性があります。
リスクの緩和策
これらのリスクを軽減するために、以下の対策を検討する必要があります。
- 計画的なパッケージング
バージョン管理システムを活用し、テストスクリプトを適切に管理します。 - 詳細なロギング
テスト実行中の詳細な情報を記録し、問題発生時の原因究明に役立てます。- 致命的エラー
テスト実行を中止する可能性のあるエラーイベントを記録します。 - エラー
条件やインタラクションが失敗し、テストケースも失敗した場合に記録されます。 - 警告
予期しない条件やアクションが発生した場合に記録されますが、テストケースの流れを中断しません。 - 情報
テストケースの基本情報とテスト実行中のイベントを記録します。 - デバッグ
基本的なログには不要ですが、テスト失敗の調査に役立つ実行の詳細を記録します。 - トレース
デバッグと似ていますが、さらに詳細な情報を記録します。
- 致命的エラー
- モジュラーなテスト構造
テストケースを小さな単位に分割し、再利用性を高めます。- テストハーネス (Test Harness)
テストハーネスは、テストケースを実行するためのフレームワークです。テストケースの実行環境を制御し、テスト結果を収集・分析する機能を提供します。 - テストフィクスチャ (Test Fixture)
テストフィクスチャは、テストケースの実行に必要な初期状態と終了状態を定義するものです。
事前条件: テストケースを実行する前に必要な環境やデータを設定します。
例: データベースの初期化、ファイルの作成、システムの起動
事後条件: テストケース実行後に環境を元の状態に戻します。
例: データベースのロールバック、ファイルの削除、システムの停止
- テストハーネス (Test Harness)
- 定期的な更新
テスト環境やテストスクリプトを定期的に更新し、最新の状態で保ちます。 - 安定したネットワーク環境
高速で安定したネットワーク環境を構築します。 - 十分なリソースの確保
テスト実行に必要なリソースを事前に確保します。 - セキュリティ対策
ファイアウォール設定やアクセス権限を適切に設定します。
テスト自動化の保守性
テスト自動化は、ソフトウェア開発の効率化に大きく貢献しますが、その効果を維持するためには、継続的な保守が不可欠です。ソフトウェアの変更、新しい技術の導入、環境の変化などに伴い、テスト自動化も適応させていく必要があります。
テスト自動化の保守の種類
テスト自動化の保守は、大きく以下の4つの種類に分けられます。
-
予防保守 (Preventive maintenance)
異なるテストタイプや、インターフェースやバージョンに対応して、テスト範囲の拡大をはかる -
修正保守 (Corrective maintenance)
テスト自動化スクリプトや環境設定に発生したバグを修正する。定期的に保守実行して確認を行い、リスクを減らすのがベストプラクティス -
改善保守 (Perfective maintenance)
テスト自動化のパフォーマンスやユーザビリティ、耐久性、保守性を目的とした改善 -
適応保守 (Adaptive maintenance)
環境変化への対応(新しいハードウェア、ソフトウェア、規制)
技術革新への対応(新しい技術やツールの導入)
テスト自動化の保守のスコープとアプローチ
テスト自動化の保守の範囲は、以下の要素によって決まります。
- テスト自動化の規模と複雑さ
システムが大きくなればなるほど、保守の範囲も広くなります。 - 変更の規模
小規模なバグ修正から大規模な機能追加まで、変更の規模によって作業量が大きく異なります。 - 変更によるリスク
変更によって既存の機能に影響が出ないか、慎重に評価する必要があります。
保守のアプローチ
- 影響分析
変更がシステムにどのような影響を与えるかを事前に分析します。 - 段階的な変更
小さな単位で変更を行い、その都度テストを実施することで、リスクを軽減します。 - 自動化
可能な限り、保守作業を自動化することで、効率化を図ります。
保守のベストプラクティス
- ドキュメント化
テスト自動化の仕組み、手順、利用方法などを詳細に文書化します。 - モジュール化
テストコードをモジュール化することで、変更が容易になります。 - バージョン管理
テストコードをバージョン管理システムで管理し、変更履歴を記録します。 - CI/CDの導入
継続的インテグレーション/継続的デリバリー(CI/CD)を導入することで、自動化されたテスト環境を構築します。 - サードパーティの依存管理
サードパーティのライブラリやツールへの依存を明確にし、更新情報を常に把握します。
ネーミング規則とドキュメント
- ネーミング規則
可読性が高く、一貫性のあるネーミング規則を定めることで、保守性を向上させます。 - ドキュメント
テストケース、テストシナリオ、テストデータなど、すべての情報をわかりやすくドキュメント化します。
トレーニング
- 定期的なトレーニング
テスト自動化に関する知識をチームメンバーに共有し、スキルアップを図ります。 - 実務経験
実務を通して、テスト自動化のスキルを習得できるようにします。