Space Bunny Alphaをまだ触っていないなら、残り時間はあと2日だ。
OpenRouterには今、466個のモデルが並んでいる。そのうち、次の3条件をすべて満たすモデルは1つしかない。
- 無料(入力・出力とも$0)
- 100万トークンのコンテキスト
- 動画を入力できる
それが、作者不明の覆面モデル「Space Bunny Alpha」だ。
9月下旬には、OpenRouterで1日約4兆トークンが流れ、全モデルの中でトークン量1位になった。OpenCodeでも5日連続で1位、合計40兆トークン。
そして、OpenRouterのモデルAPIにはこう書かれている。
"expiration_date": "2026-10-05"
10月5日に消える。
結論から言うと
1. 消える前に、100万トークンと動画入力が必要な作業を今のうちに回すこと。 10月5日以降、この3条件を満たす無料モデルはOpenRouterからなくなる。
2. 正体はMiniMaxの未発表モデルである可能性が濃厚。 3件の独立したトークナイザー検証と、9月27日発表の MiniMax M3.1-Flash-Preview の仕様が一致している(公式には未確認)。
3. 無料で100万トークンを使える移行先は4つ残る。 ただし、動画入力に対応したものは1つもない。

覆面モデルをトークナイザーの一致から特定する過程を表したイラスト(プログラムで生成)。実際の検証データを図にしたものではない。
数字は2026年10月3日にOpenRouterの公開API(/api/v1/models)から取得したもの。利用量とトークナイザー検証は、CellCogの検証記録による。モデルの正体はMiniMaxもOpenRouterも認めていない。筆者はこのモデルの性能を実測していない。
数字で見るSpace Bunny Alpha
| 項目 | 値 |
|---|---|
| 公開日時 | 2026年9月23日 14:48 UTC |
| 価格 | 入力$0 / 出力$0 |
| コンテキスト | 1,000,000トークン |
| 最大出力 | 524,288トークン |
| 入力 | テキスト / 画像 / 動画 |
| 推論の強さ | low / medium / high / xhigh / max(既定は max) |
| OpenRouterでの利用量 | 1日3.99兆トークン(9月28日時点の直近集計日、全モデル1位) |
| OpenCodeでの利用量 | 5日連続1位、合計40兆トークン |
| 速度(登録直後の計測) | 中央値79トークン/秒、レイテンシ1.61秒 |
| 終了予定 | 2026年10月5日 |
最大出力の524,288トークンは、日本語の本なら数冊分にあたる。それが無料で、しかも正体不明のモデルから出てくる。
ここまでは「すごい無料モデル」の話。面白いのはその先だ。
正体はどうやって暴かれたのか
公開15分後に「トークナイザーの指紋」が照合された
モデル名は伏せられても、隠せないものがある。文字列をトークンに切る、その切り方だ。
APIは usage.prompt_tokens を返す。同じ文字列を覆面モデルに送り、返ってきたトークン数を各社の公開トークナイザーで数えた値と比べれば、どのファミリーのモデルかを絞り込める。
# 検証の考え方(擬似コード・未実行)
for text in ["こんにちは世界", "def f(x): return x**2", "🐰🚀"]:
observed = call_stealth_model(text).usage.prompt_tokens
for name, tok in candidates.items(): # MiniMax, Qwen, GLM, DeepSeek, Llama...
print(name, observed == len(tok.encode(chat_template(text))))
公開当日の9月23日には、3件の検証が出そろった。
| 時刻 (UTC) | 検証者 | 結果 |
|---|---|---|
| 15:03 | cheaty | テキストトークナイザーがMiniMaxと一致。15:29に画像トークナイザーの一致も追加 |
| 16:32 | MarMar Labs | 12種のテキストで計36回比較し、全件がMiniMax M3の公開トークナイザーと一致。Qwen、GLM、DeepSeek、Llamaは不一致 |
| 17:52 | YFarmX | 50文字列で全件一致 |
ただし、MarMar Labsは正直に書いている。
M2.7 matched too, so this points to the family rather than a specific release.
トークナイザーからわかるのは「MiniMaxのモデル」というところまで。どのモデルなのかはわからない。
4日後、MiniMax自身が答え合わせをした
9月27日、MiniMaxは公式アカウントでこう発表した。
MiniMax's latest text model, M3.1-Flash-Preview, debuts today on MiniMax Code. Built for everyday development, it's fast, reliable, and ready for real work, from quick bug fixes to full features.
この新モデルの仕様と、OpenRouterのAPIに載っているSpace Bunny Alphaの仕様を並べてみる。
| 項目 | Space Bunny Alpha | M3.1-Flash-Preview | 現行のM3 |
|---|---|---|---|
| コンテキスト | 1,000,000 | 1,000,000 | 1,048,576 |
| 入力 | text / image / video | text / image / video | text / image / video |
| 推論のオフ | できない | できない(無効化すると400エラー) | できる |
| 推論の強さ | low〜maxの5段階 | low〜maxの5段階 | APIに記載なし |
| 既定値 | max | max | なし |
推論をオフにできず、5段階で、既定値がmax。 この3点まで一致している。現行のM3は推論をオフにできるので、候補から外れる。
M3.1-Flash-PreviewはMiniMax CodeとToken Plan(月額$22〜$132)でしか使えず、従量課金のAPIはまだない。
正式な従量課金を始める前に、名前を伏せてOpenRouterで世界中の開発者に使わせ、性能を確かめていた。そう考えると、時系列のつじつまが合う。
これは状況証拠の積み重ねで、別のMiniMax系モデルである可能性も残る。あなたの予想もコメントで教えてほしい。
消える前に試すべき3つの使い方
100万トークンと動画入力の組み合わせを無料で試せるのは、あと2日だけ。普段のモデルではできないことをやらないともったいない。
1. リポジトリを丸ごと渡してレビューさせる
100万トークンあれば、中規模のリポジトリなら丸ごと入る。
# Git管理下のファイルを1つにまとめる(秘密情報らしいファイルは除外)
git ls-files | grep -v -E '\.env|secret|\.pem$' \
| xargs -I{} sh -c 'echo "=== {} ==="; cat "{}"' > repo.txt
wc -c repo.txt # サイズを確認してから送る
「このリポジトリで、同じことを2回実装している箇所を全部挙げて」と頼めば、ファイル単位のレビューでは見つからない重複を拾える可能性がある。
2. 画面録画を渡して、操作を再現するコードを書かせる
OpenRouterの動画入力は、Chat Completions APIでは次の形式で送る。
curl https://openrouter.ai/api/v1/chat/completions \
-H "Authorization: Bearer $OPENROUTER_API_KEY" \
-H "Content-Type: application/json" \
-d '{
"model": "stealth/space-bunny-alpha",
"reasoning": { "effort": "medium" },
"messages": [{
"role": "user",
"content": [
{ "type": "text", "text": "この操作録画を再現するPlaywrightのテストを書いて" },
{ "type": "video_url", "video_url": { "url": "https://example.com/demo.mp4" } }
]
}]
}'
対応形式はmp4、mpeg、mov、webm。ローカルファイルはbase64のdata URLで送る(上のコマンドは未実行で、URLは例)。
バグ報告の画面録画をそのまま渡せる、というのがこのモデルの面白いところだ。
3. 長いログを丸ごと渡して原因を探させる
CIのログ、本番のエラーログ、数十万行の出力も、切り詰めずに渡せる。「最初に異常が起きた行はどこか」を探させるのが効く。
送る前に必ず確認すること。 OpenRouterのモデルページによると、このモデルのデータ方針は「プロンプトと出力はプロバイダーに保存されうるが、学習には使われない」。保存する相手は匿名だ。社内コード、顧客データ、.env は送らないこと。
知らないと損する3つの罠
罠1:何も指定しないと推論はmaxで動く
"reasoning": { "mandatory": true, "default_effort": "max" }
OpenRouterのドキュメントによると、max_tokens は推論と回答の合計に適用される。そのため max_tokens: 4096 のままmaxで推論させると、推論だけで上限に達し、finish_reason: "length" で本文が空のまま返ってくることがある。
さらに、推論トークンは出力トークンとして課金される。今は無料なので気づかないが、正式版の有料APIに切り替えた瞬間、推論の分もそのまま請求に乗る。
対策:"reasoning": {"effort": "medium"} を必ず明示すること。
罠2:tool_choice は auto しか使えない
エンドポイント情報の supports_tool_choice を見ると、none、required、function はすべて false。特定の関数を強制的に呼ばせる実装は、このモデルでは意図どおりに動かない。CellCogがまとめた登録直後の計測値でも、ツール呼び出しのエラー率は3.16%だった。
罠3:モデルIDを直書きしていると10月5日に止まる
# 自分の環境に直書きが残っていないか確認
rg -n "space-bunny" ~/ --glob '!**/node_modules/**' 2>/dev/null
CIや夜間ジョブに組み込んでいると、10月6日の朝にジョブが失敗して初めて気づくことになりかねない。
消えた後も無料で100万トークンを使える移行先4選
2026年10月3日時点のOpenRouterのAPIで、「無料」かつ「コンテキスト100万トークン以上」のテキストモデルを抽出した(音楽生成モデルは除外)。
| モデル | コンテキスト | 最大出力 | 入力 | 推論の強さ | JSON出力指定 |
|---|---|---|---|---|---|
| Space Bunny Alpha(10/5終了) | 1,000,000 | 524,288 | text / image / video | low〜max | ○ |
thinkingmachines/inkling:free |
1,048,576 | 262,144 | text / image / audio | none〜max | × |
thinkingmachines/inkling-small:free |
1,048,576 | 262,144 | text / image / audio | none〜max | × |
nvidia/nemotron-3-ultra-550b-a55b:free |
1,000,000 | 65,536 | text | medium / high | × |
nvidia/nemotron-3.5-lightning:free |
1,000,000 | 65,536 | text | 指定なし | × |
(JSON出力指定は、APIの supported_parameters に response_format があるかどうかで判定)
表から読み取れること:
- 動画を入力できる移行先はない。 動画を入力できる無料モデル自体はほかにもある(Gemma 4、Qwen3.8-27Bなど)が、コンテキストは最大26万トークン前後だ。
- 最有力の移行先は、Thinking Machines Labの Inkling(総パラメータ975B、アクティブ41B)。100万トークン超のコンテキストに加えて、画像と音声も入力できる。
- NVIDIAの2モデルはテキスト専用で、最大出力は65,536トークン。長いコードを一気に生成させる用途には向かない。
ただし、:free 付きのモデルにはOpenRouterのレート制限がある。
| 条件 | 1分あたり | 1日あたり |
|---|---|---|
| クレジット購入が10未満 | 20リクエスト | 50リクエスト |
| クレジット購入が10以上 | 20リクエスト | 1,000リクエスト |
エージェントを本格的に動かすなら、10クレジットの購入で1日の上限が20倍になる。
コピペで使えるフォールバック設定
OpenRouterのモデルフォールバックを使えば、Space Bunnyが消えた瞬間に自動で次のモデルへ切り替わる。
# OpenAI互換クライアントでの例(未実行)
resp = client.chat.completions.create(
model="stealth/space-bunny-alpha",
extra_body={
"models": [
"stealth/space-bunny-alpha", # 10/5まで
"thinkingmachines/inkling:free", # 無料・1M・画像OK
"minimax/minimax-m3", # 有料だが動画OK($0.30/$1.20 per 1M)
],
"reasoning": {"effort": "medium"},
},
messages=messages,
max_tokens=16000,
)
print(resp.model) # 実際に応答したモデル。課金もこのモデルで計算される
ドキュメントによると、フォールバックはモデルの停止、レート制限、コンテキスト長エラーなど、あらゆるエラーで発動する。
教訓:無料の覆面モデルは「借り物」
✗ "無料だからコストは気にしなくていい" → 既定のmax推論は、有料化した瞬間にコストになる
✗ "max_tokensを指定したから安全" → 推論と回答の合計に適用される
✗ "tool_choiceで強制しているから大丈夫" → このエンドポイントはautoのみ
✗ "学習に使われないなら何を送ってもいい" → 保存はされうる。しかも相手は匿名
✗ "動いているから明日も動く" → expiration_dateは2026-10-05
覆面モデルは、AIラボが正式発表の前に実際の利用で性能を確かめる場だ。使う側にとっては、次の世代のモデルを誰よりも早く、しかも無料で試せるチャンスでもある。
ただし、借り物には返却日がある。残り2日。今日のうちに、普段のモデルでは無理だったことを1つ投げてみてほしい。
参考リンク
Space Bunny Alpha - OpenRouter
OpenRouter Models API
Space Bunny Alpha エンドポイント情報 - OpenRouter API
Reasoning Tokens - OpenRouter Docs
Video Inputs - OpenRouter Docs
Model Fallbacks - OpenRouter Docs
API Rate Limits - OpenRouter Docs
MiniMax M3.1-Flash-Preview 発表 - MiniMax Agent (X)
Space Bunny Alpha: The Stealth Model and the MiniMax Clues - CellCog
MiniMax M3.1 Flash Preview: Code, Token Plan and Effort Controls - AgentRiot
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コメントで教えてほしい。
- 正体はMiniMax M3.1-Flashだと思う? それとも別のモデル?
- 10月5日以降、どのモデルに移行する?
- Space Bunnyに投げて一番驚いたタスクは何だった?
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