2024年の10月から秋葉原ロボット部の「ガロア理論の頂を踏む」読書会に参加していますが、4章4節に円分多項式が出てきます。円分多項式$Φn(x)$とは$Φn(x)=0$の解がちょうど全ての1の原始n乗根1となる多項式のことです。
本ではベン図を用いていくつかの具体例で円分多項式を求めていますが得られた結果を見ると規則性が感じられ円分多項式を機械的に求める手順がありそうに感じたので考察してみたところ以下のような手順にたどり着きました。検証ができている訳ではありませんが書いてみます。
円分多項式$Φn(x)$の求め方(分数式の分子と分母の決め方)
- まず分子を$(x^n - 1)$にする。
- nを素因数分解し得られた素因数の個数をmとすると、素因数をi個選ぶ(iは1~m)全ての選び方において、選んだ素因数を掛けあわせた数でnを割りjとする。
- $(x^j - 1)$を掛けあわせた式を最初は分母に、それ以降は分子分母交互にかけていく。
具体例に当てはめると理解しやすいです。
本に乗っていた例に当てはめますがやや複雑な例の方が逆に分かりやすいので本とは説明順序を変えます。
・問4.11 $Φ105(x)$
105を素因数分解すると3と5と7の3つ。
まず分子を$(x^{105} - 1)$にする。
素因数を1個選ぶ方法は3または5または7。それで105を割ると35、21、15なので$(x^{35} - 1)(x^{21} - 1)(x^{15} - 1)$を分母におく。
素因数を2個選ぶ方法は7と5または7と3または5と3。それらの積で105を割ると3、5、7なので$(x^3 - 1)(x^5 - 1)(x^7 - 1)$を分子にかける。
素因数を3個選ぶ方法は7と5と3。それらの積で105を割ると1なので$(x^1 - 1)$を分母にかける。
よって答えは
分子=$(x^{105} - 1)(x^3 - 1)(x^5 - 1)(x^7 - 1)$
分母=$(x^{35} - 1)(x^{21} - 1)(x^{15} - 1)(x^1 - 1)$
・問4.10 $Φ15(x)$
15を素因数分解すると3と5の2つ。
まず分子を$(x^{15} - 1)$にする。
素因数を1個選ぶ方法は3または5。それで15を割ると5、3なので
$(x^5 - 1)(x^3 - 1)$を分母におく。
素因数を2個選ぶ方法は3と5。それらの積で15を割ると1なので
$(x^1 - 1)$を分子にかける。
よって答えは
分子=$(x^{15} - 1)(x^1 - 1)$
分母=$(x^5 - 1)(x^3 - 1)$
・問4.12 $Φ27(x)$
27を素因数分解すると3の1つのみ。
まず分子を$(x^{27} - 1)$にする。
素因数3を選びそれで27を割ると9なので
$(x^9 - 1)$を分母におく。
素因数が1個しかないのでこれで終了。
よって答えは
分子=$(x^{27} - 1)$
分母=$(x^9 - 1)$
・定理4.10 $Φn(x)$、ただしnは素数
nを素因数分解するとnの1つのみ。
まず分子を$(x^n - 1)$にする。
素因数nを選びそれでnを割ると1なので
$(x^1 - 1)$を分母におく。
素因数が1個しかないのでこれで終了。
よって答えは
分子=$(x^n - 1)$
分母=$(x^1 - 1)$
-
n乗して始めて1になる数 ↩