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モダンなLaTexで書いたレポートを簡単にdockerでPDFに変換してCIで配布する方法

Last updated at Posted at 2018-08-23

output.gif

TL;DR

dockerがインストールされているPCで

docker pull eisoku9618/latex:latex-japanese
cd /path/to/target_dir
docker run --rm -it --user=`id -u $USER` -w=/root -v $(pwd):/root eisoku9618/latex:latex-japanese /bin/bash -c "latexmk -pvc main.tex"
evince /path/to/target_dir/.tmp/main.pdf

をすると,上のgifのように生成されるPDFを見ながらソースとなるtexを編集することが出来る.
そして,texファイルが完成したら,
PDFはコミットせずtexファイルのみをgitlabにコミットすることで,
gitlab-ciが回って,上記と同じ手順で最新のtexファイルをPDFに変換し,それをブラウザで見れるようにしてくれる.
例えば, https://gitlab.com/eisoku9618/report のREADME.mdから以下のようにPDFを閲覧できる.
image.png

特徴のまとめ

2019/11/24追記: notoフォントを使うとdocker imageが大きくなるので,より軽いかつ日本語なipaexフォントを使うようにした.

ポイント 参考サイト
日本語フォントにNotoフォントを使う Google Noto Fonts
日本語フォントが埋め込まれたPDFを生成する upLaTeX文書で源ノ明朝/Noto Serif CJKを簡単に使う方法(最新のdvipdfmxとpxchfonを使用)
texを更新する度にPDFを自動で再生成する 数式ありのレポートや本をモダンに書く
必要な環境はdockerで構築してポータブルにする DockerhubのAutomated buildを試す
texファイルのみをgit管理下において,PDFはブラウザから閲覧できるようにする Introduction to job artifacts

設定手順

ここでは,上記を実現するための手順を備忘録として書いておく.

STEP0: 日本語フォントにNotoフォントを使う

texで簡単に使える日本語フォントとしては,デフォルト(texlive-lang-japanese)でインストールされるIPAフォントまたはIPAexフォントがあるが,IPA/IPAexを埋め込んだPDFをブラウザで閲覧すると日本語が表示されないことがある.
詳細は分かっていないがpdffonts hoge.pdfしたときにuniの列がNoになっている場合はそうなるらしい.

そこで,notoフォントをインストール(aptで入る)して,それを埋め込むと,pdffontsの結果が次のようになって,uniの列がYesになって,ブラウザから見た時にも日本語が表示されるようになる!
STEP4でPDFをブラウザで閲覧できるようになるので,IPAフォントではなくてnotoフォントを使うことにする.
※ フォント自体にこだわりはなくて,インストールが簡単,かつ,uniYesになるフォントであれば何でも良い

pdffontsの結果
name                                 type              encoding         emb sub uni object ID
------------------------------------ ----------------- ---------------- --- --- --- ---------
QYAGJC+NotoSerifCJKjp-Regular-Identity-H CID Type 0C       Identity-H       yes yes yes      5  0

STEP1: 日本語フォントが埋め込まれたPDFを生成する

upLaTeX文書で源ノ明朝/Noto Serif CJKを簡単に使う方法(最新のdvipdfmxとpxchfonを使用)で詳しく説明されているように,TeX Live 2017からdvipdfmxが新しくなり,noto/ipaexフォントを埋め込むまでの手順が簡単になった.

例えばUbuntu 16.04だとTex Liveは2015なのでNGで,
Ubuntu 18.04だと2017になってOK.
よって,Ubuntu 18.04にて次のコマンドでuplatexとnotoフォントをインストールすればOK.
また,aptで入れるだけでnoto/ipaexフォントが「TeXから見える状態」になっているので簡単.

(STEP3でDockerにするので次のパッケージを手元でインストールする必要はない)
sudo apt install texlive-lang-japanese # (u)platexをインストールする
sudo apt install fonts-noto-cjk fonts-noto-cjk-extra # noto fontをインストールする
sudo apt install fonts-ipaexfont-gothic fonts-ipaexfont-mincho # ipaex fontをインストールする

STEP2: texを更新する度にPDFを自動で再生成する

texをPDFにするには

  • uplatex main.tex
  • dvipdfmx main.dvi

のようにコマンドを複数回打つ必要がある.
さらに,citerefがあると打つ必要があるコマンドが増えていく.

これでは大変なので,Makefileを自分で作って簡略化する方法があるが,
よりモダンにするにはlatexmkというプログラムを使うのが良いっぽい.
詳しくは数式ありのレポートや本をモダンに書くに書いてある.

  • latexmkaptでインストールできる.

STEP3: 必要な環境はdockerで構築してポータブルにする

STEP0からSTEP2までの内容を手元のPCでやるには大変(dvipdfmxが新しい必要があってUbuntuなら18.04が必要,手元のPCの環境が汚れる,他の人のPCでやるときに0から設定するのは面倒,,,)なので,Dockerで環境構築をして,手元のtexファイルをそのDockerコンテナにマウントしつつ,PDFを生成するのがモダン.

Dockerfile
FROM ubuntu:18.04

ENV DEBIAN_FRONTEND noninteractive

RUN apt update && apt install -y --no-install-recommends \
# for (u)platex
texlive-lang-japanese \
# for CTAN packages
texlive-plain-generic texlive-latex-base texlive-latex-extra \
# for latexmk
latexmk \
# for noto font: Bold and Regular
fonts-noto-cjk \
# for noto font: Black, DemiLight, Light, Medium, Thin and so on
fonts-noto-cjk-extra \
&& rm -rf /var/lib/apt/lists/*

CMD ["/bin/bash"]

確認のために

docker build -t test_container ./
docker run --rm -it test_container /bin/bash

してDockerコンテナに入って

  • kpsewhich NotoSerifCJK-Black.ttc: Notフォントが認識されていることが分かる
  • kanji-config-updmap status: デフォルトのフォントを変更していないことが分かる(CURRENT family for ja: noEmbed
    • notoフォントはtexファイルにて\usepackage[noto-otc, unicode]{pxchfon}とすることで使用するため.

image.png

とすると確認できるし,

/tmp/test.tex
\documentclass[uplatex]{jsarticle}
\usepackage[ipaex, unicode]{pxchfon}

\begin{document}
ハローワールド.
\end{document}

というtexファイルを手下に作り

docker run --rm -it --user=`id -u $USER` -w=/root -v /tmp:/root test_container /bin/bash
uplatex test.tex
dvipdfmx test.dvi

のように手元のPCの"/tmp"をコンテナにマウントして,uplatexdvipdfmxを行うと,
手元のPCに"/tmp/test.pdf"が生成される.
image.png

また,

/tmp/.latexmkrc
#!/usr/bin/env perl
$latex            = 'uplatex -halt-on-error -file-line-error %O %S';
$out_dir          = '.tmp';
$bibtex           = 'upbibtex';
$dvipdf           = 'dvipdfmx %O -o %D %S';
$makeindex        = 'upmendex %O -o %D %S';
$max_repeat       = 5;
$pdf_mode     = 3; # generates pdf via dvipdfmx

# Prevent latexmk from removing PDF after typeset.
# This enables Skim to chase the update in PDF automatically.
$pvc_view_file_via_temporary = 0;

$view       = 'none';

のようなlatexmkの設定ファイルを手元の"/tmp"に作り,

docker run --rm -it --user=`id -u $USER` -w=/root -v /tmp:/root test_container /bin/bash -c "latexmk -pvc test.tex"

すると,texが更新される度に/tmp/.tmp/test.pdfも更新されるようになる.
output.gif

また,上記のDockerイメージをdockerhubに置いたものがeisoku9618/latexになるので,

docker pull eisoku9618/latex:latex-japanese

とすればSTEP0から3で構築した環境をコマンド1つで構築することが出来る.

  • Ubuntu 16.04でもTex Live 2017を使える
  • 手元のPCの環境は汚れない
  • 他の人のPCでもすぐに環境構築できる

STEP4: texファイルのみをgit管理下において,PDFはブラウザから閲覧できるようにする

https://gitlab.com/eisoku9618/report に具体例を置いた.

このレポジトリにはバイナリである.pdfはコミットしていないが,
gtilab-ciの設定を次のようにすることでコミットされた.texをPDFにして所定の場所に置いてくれる.

.gitlab-ci.yml
services:
  - docker:dind

latex_job:
  image: eisoku9618/latex:latex-japanese
  script:
    - (for dir in *; do [ -d "${dir}" ] && echo "$dir start" && (cd $dir && latexmk main.tex && mv .tmp/main.pdf ../${dir}.pdf); done)
  artifacts:
    expire_in: 2 days
    paths:
      - ./*.pdf

その所定の場所はREADME.mdに書かれており,以下のようにPDFをブラウザから閲覧できるようになる.
image.png

gitlab-ciの成果物は一定期間経過すると消されてしまうらしいが,
次のように毎日4時にorigin/masterでCIを走らせるようにすることで,
常に最新のPDFを閲覧できるようにすることができる.

image.png

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