この記事では、私が学生時代から現在に至るまでのキャリアを振り返りつつ、Kaggleがどのようにキャリアに役立ったのか をまとめます。
※本記事は「Kaggle Advent Calendar 2025」の11日目です。
ボヤッとした不安を持っていた学生時代
私は高専出身です。最近だと知名度も上がってる印象がありますが、履歴書など経歴を書くところに「高専」という選択肢があれば「お、めずらし」と思うほどでした。
高校進学の時、将来に対してずっとボヤッとした不安があり、「普通科だとまずい?」「手に職をつけた方が良いのか」など考え、めちゃくちゃ悩んでました。その一方で技術自体は好きで、新しい技術を見る・使うことに高揚感を感じてました。なので選択するなら理系だなという認識はありました。
色々調べ悩んだ結果、一度提出した進路希望を締切1週間後に「待った」をかけ、普通科の高校を変更して高専を選択しました。(迷惑かけました。)そして勉強を頑張り、なんとか入学することができました。
その後結果、高専本学5年間, 専攻科2年間と計7年間、機械工学について学びました。そのため、就職時も「機械屋」として就活、就職することができました。
がむしゃらだった7年間半
入社してから7年間半「機械屋(設備屋)」としての職務を必死に頑張ってました。
立場名は「技術営業」でしたが、実際は、設備の構想設計から協力会社さんへの見積、受注したらスケジュール管理、設備図面チェック・シミュレーション・図面承認打ち合わせ・事前立ち合い・現地据付管理など色々やりました。
その時はただただ必死で、与えられたタスクを、与えられた期間で、どう完遂させるかを考えて動く日々でした。
帰宅は0時を過ぎることも多く、当時は実家暮らしだったので、親にも心配をかけていたと思います。
同じように別会社で働く幼馴染と、近所のポツンと光る自販機の前で深夜にだべるといったルーティンをしてました。
そのため「自分が本当にやりたいこと」に向き合う余裕もなく、与えられたタスクをただこなす。
良くも悪くも、がむしゃらでした。
起点となった客先との会話
設備事前立ち合い時に客先と話をしていると、「今はできないんだけど、今後〇〇みたいなことってできないのかな」という話をもらいました。要件がソフトウェア側の話だったので客先にその場での回答ができずだったのですが、聞いているとかなり現実的かつ建設的な話で私も「これならできるのでは?」と思いました。
そして技術部門と掛け合うことにしました。そうすると
「できない。以上。」
みたいな感じで終わりました。
まあその時代の技術部門とのやりとりは「できない。」と言われてからがスタートなところもあり、「じゃあこの制約条件を入れたら?」など条件入りで交渉したのですが受け入れてもらえずでした。客先にもこのことを説明し、非常に残念がっていたことを覚えています。
その晩、色々反芻しながら考えた結果
「いや、やっぱりできるやろ。」
という思いがありました。
今までソフト系の勉強をほぼしてこなかったため、技術部門のレベル感で課題提起ができなかったことが悪いと反省しました。
この出来事をきっかけにプログラミングを勉強しはじめました。
就職してからこのような勉強はしてきておらず、ほとんど仕事に費やして「経験」を積むことに全振りしていた私。
そもそも勉強の仕方さえもわからなかったので、まずは資格勉強をしながら知識を蓄えていくことに。
「基礎情報技術者」、「G検定」、を取得し、久しぶりに勉強をすること、資格を取ることで、前に進んでいる感覚を取り戻していきました。そんな試行錯誤を続けていくうちに、仕事では悩みながらも、狭まっていた視界が広がっていくのを感じました。
データサイエンティストってなに?
ソフトウェアの全体像が見えてきた頃に「これを使う仕事ってどんなのがあるんだろ」、「こういう仕事をしてみたい」という気持ちが芽生え、転職イベントに参加したり、面接を受けたりしていた時に、とある転職サイトの職種カテゴリに見慣れない言葉を見つけました。
データサイエンティスト
なんだこれは。データ科学ってどういうこと?と思いながら調べているうちに一気に興味を持ちました。
「利用目的に応じて情報を収集・分析しビジネス上の意思決定や課題解決に役立つ知見を見出す。」
そんな風に社会に貢献することが出来るのか、と、非常に惹かれたのを覚えています。
そこから「データサイエンスを勉強しよう」と心に決めました。
Kaggleとの出会い
データサイエンスって何をすればいいのか?
現状資格の上位である「応用情報技術者」を勉強し、その他にもデータを扱うためには統計が必要だと考えて「統計検定2級」の勉強をしてみたり。。。そんな試行錯誤しているうちに、「Kaggle」に出会いました。
世界最大級のデータサイエンス・機械学習コンペティションサイト
機械学習でみんなと競い合うことができる。知見も共有できる。
そんな世界があるなんて衝撃でした。
今まで全て独学でやってきたので、こんなコミュニティがあるなんて。とすぐJoinしました。
Titanic, Housing Pricesなど、Playground系を中心に、解法を見よう見まねで解きながら学んでいきました。(沼)
Kaggleをやってて良かった(社内公募)
そんな風に資格勉強とKaggleをプライベートで続けていたある日。
社内公募を見ていると、なんと「データサイエンス」の言葉が。
その日のうちに職務経歴書を準備して、すぐさま応募しました。
私の周りにKaggleを知っている人が1人もいなかったため、不安もありましたが有効なアピールになると信じ、職務経歴書にもKaggleという言葉を出し、資格勉強と共に継続しているということを記載しました。
それが功を奏したのか書類選考は通過し、面接を受けられることに。
その面接でもKaggleで勉強をしていることを伝え、無事採用、部署異動することになりました。
後々上長に話を聞いてみると、
面接に辿り着くまでの倍率もかなり高かったらしく、「Kaggleを含め資格勉強など、自主的に取り組んでいるところに熱意を感じた」と言っていただきました。
例え未経験であっても、表面的なことだけではなく、Kaggleなど実践的な取り組みをしていたことが採用に繋がったのかなと思っています。
何にせよ、未経験の私をひろってくださった職場には本当に感謝しています。
Kaggleをやってて良かった(人との出会い)
その年からデータサイエンティストとしての職務につきました。
そこでKaggleや資格など、過去に勉強してきたことが仕事にいきていることを実感し、さらに人生で初めてKaggleをやっている人達と出会いました。
その方々は駆け出しの私からすればもちろんレベルが高く、それでも「一緒にKaggleをしよう」と言ってくださり非常に嬉しかったです。
Kaggle活動はそこからブーストがかかり、仲間が増え、共にチームを組んでいただいたり、コミュニティに参加したりと学習を継続し、おかげさまでCompetition Masterになることができました。チームを組んでくださった方、関わってくださった皆様方には感謝です。
Kaggle Competition Masterになりました!
— eikichi (@eikichi838) April 9, 2024
チーム組んでくださった皆様ありがとうございます。
引き続き精進します pic.twitter.com/2hwV4VXEOb
さらにKaggleを通して、会社対抗のコミュニティコンペに参加することにもなりました。
その時には部署移動をして4年。データサイエンスの様々な経験を積ませてもらいつつも、新たなチャレンジもしてみたいと思っており、このコンペも何かのきっかけになればと思って参加しました。
そんな中で同チームのメンバーとして出会った方とお話ししているうちにその方のやっている仕事に興味を持ちました。
実際に詳しい話も伺うと自分もやりたいという思いに。
その方に協力していただき、また自身の上長にも相談し、承諾を得て、半年後にはその方のいるデータサイエンスのR&D組織に異動しました。
そして今
データサイエンスのR&D組織に異動して1年半ほど経ちましたが、物体検知、回帰タスク、異常検知、生成タスク、最適化、マテリアルインフォマティクス、と様々な案件に携わらせていただいています。
今年はさらにまたKaggleのご縁でUdemy講師としてデビューする機会もいただきました。
また、社内イベントではありますが技術論文がアクセプトされ、ポスター発表も予定しています。
さいごに
振り返ると、
Kaggleのおかげで学び、人と繋がり、キャリアを変えることができた
と感じています。
私にとってKaggleは、いろんな人・出来事を繋げてくれる「コネクタ」になってくれました。
機械屋 → データサイエンティスト → R&D
というキャリアの流れはKaggleをやっていなければあり得ませんでした。
自分がやりたいと思えたら、少しでもいいので行動してみる。
私の場合、その行動の一つがKaggleでした。
これからも好奇心を持って、チャレンジしていきたいです。
この記事が誰かの行動のきっかけになれば嬉しいなと思います。
ありがとうございました。