はじめに
Shopify でまとめ買いを促進したいとき、まず思いつくのが「2点目から〇%オフ」のようなセットセール施策です。1点だけ買うお客様にも、2点目・3点目とカゴに追加してもらうきっかけを作れるため、客単価(AOV)を上げる定番の手法として多くのアパレル・コスメ・食品ストアで使われています。
ただし、Shopify の標準機能だけではこの割引を組むのが難しく、多くのストアがアプリを導入しています。この記事では、
- そもそも「2点目以降割引」とはどんな施策か
- Shopify 標準機能でどこまでできて、どこからアプリが必要か
- 「シンプル2点目購入割引|2点目以降自動セール設定」でできること(設定項目を実際の管理画面ベースで解説)
- 同じ目的で使える競合アプリ4本を、実際に開発ストアへインストールして触った結果
を、実際に触った一次情報つきで紹介します。
「2点目以降割引」とは?
「2点目以降割引」は、同じ商品(またはグループ化した商品)を複数点購入したお客様に対して、1点目は通常価格のまま、2点目以降にだけ割引を適用する施策です。似た施策に「まとめ買い割引(ボリュームディスカウント)」がありますが、こちらはカート合計や数量のしきい値を超えるとカート全体に一律の割引がかかる方式が多く、「1点目は定価、2点目からお得」という値付けの見せ方とは少し異なります。
業種別によくある使いどころは次のとおりです。
- アパレル・雑貨: 同じTシャツやソックスを2枚目から20%オフにして、色・サイズ違いのまとめ買いを促す
- コスメ・消耗品: 詰め替え用や日用品を2点目から割引し、リピート購入のハードルを下げる
- 食品・飲料: 「2本目半額」のようなキャンペーンで、ケース買いを後押しする
メリット・デメリット
メリット
- 1点だけ買うつもりだったお客様に対して、追加購入の動機を作れる(客単価アップ)
- クーポンコード不要で自動適用できるため、購入体験を邪魔しない
- 在庫の消化を早めたい商品・季節商品のセールに使いやすい
デメリット
- 割引前提の価格設定に慣れると、定価での購入が減る可能性がある
- 商品ページやカートでの見せ方(バッジ表示など)を工夫しないと、お客様が割引に気づかないまま離脱することがある
- 複数の割引設定が競合すると、どちらが優先されるか分かりにくくなることがある(併用条件の設計が必要)
Shopify 標準機能の限界
Shopify 管理画面には「ディスカウント」機能が標準で用意されており、Shopify Functions ベースの割引や、注文金額に応じた自動割引を作成できます。ただし、標準機能だけで「2点目以降のみ割引」を組もうとすると、次のような壁にあたります。
- 標準のディスカウント作成画面には、「何点目から」を指定する項目がない(「◯点以上で△%オフ」というカート全体への一律適用が基本)
- 商品ページに「2点目がお得」であることを伝えるバッジ表示は、Liquid テーマを直接編集しない限り用意されていない
- 同じ割引グループの商品をカルーセルで回遊させるような、販促目的のUIコンポーネントは標準にはない
そのため、「1点目は定価・2点目以降だけ割引」という値付けと、それをお客様に伝える見た目までを両立するには、専用アプリの導入が現実的な選択肢になります。
シンプル2点目購入割引|2点目以降自動セール設定
アプリの概要
「シンプル2点目購入割引|2点目以降自動セール設定」は、同じ商品を2点以上購入すると自動的に割引が適用される、まさに「2点目以降割引」に特化したアプリです。管理画面から割引設定を作成し、商品やコレクション単位で適用できます。料金は Basic Plan: $9.99/月(年払い $99.99/年で17%お得) で、インストールから7日間は無料で試せます。21言語に対応しており、管理画面・ストアフロント表示ともに日本語で使えます。
できること
割引率・定額の両方に対応した2点目割引を設定できる
割引設定の作成画面では、以下の項目を指定します。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| 設定名 | 管理画面で識別するための名前(例:「夏セール割引」)。必須項目 |
| 割引ラベル | チェックアウト画面に表示されるメッセージ(例:「2点目50%OFF」) |
| 割引タイプ | 「割引率(%)」または「定額」から選択 |
| 割引値 | 割引率の場合はパーセンテージ(例: 50)、定額の場合はストア通貨での金額(例: 300) |
| 適用条件 | 何点目から割引を適用するかを指定(例: 2点目)。「のみ」ならその点数だけ、「以降」ならそれ以降すべてに適用 |
| 割引適用対象 | 「最も高い商品」「最も安い商品」のどちらに割引を適用するかを選択 |
対象商品は「商品を追加」による個別選択と、「コレクションから追加」による一括選択を併用できます。保存すると対象商品にメタフィールドが自動設定され、割引はチェックアウト時に自動適用されるため、お客様がクーポンコードを入力する必要はありません。
商品ページに割引バッジを自動表示できる
「割引バッジ」ブロックを商品ページに設置すると、「2点目はお得!」であることを視覚的に伝えられます。バッジテキストは [count](適用条件)、[discount_number](割引の数値)、[discount_unit](%OFF などの単位)、[discount_value](数値+単位)といった変数を組み合わせてテンプレート化でき、例えば「[count] [discount_value]」と設定すると「2点目 10%OFF」のように表示されます。文字サイズ(10〜24px、数値部分は10〜40px)・文字色・背景色・テキスト配置(左/中央/右)まで細かく調整可能です。
割引対象の商品をカルーセルで一覧表示できる
「割引対象の商品一覧」ブロックは、同じ割引グループの商品をカルーセルまたはページネーション形式で一覧表示し、お客様に関連する割引対象商品を提案してまとめ買いを後押しします。表示モード(スクロール/ページネーション)、列数(スクロール時1〜8列、ページネーション時1〜8列×1〜4行)、価格表示の有無、「カートに追加」ボタンの表示・テキストまで設定できるほか、カードの背景色・角丸・枠線、画像の表示方法(カバー/コンテイン)や縦横比、ナビボタンやインジケーターの配色まで、ストアのデザインに合わせて調整できます。同じブロックはセクションとしてトップページなど商品ページ以外にも設置できます。
割引設定を一覧で確認・編集・削除できる
作成した割引設定はダッシュボードに一覧表示され、設定名・ラベル・割引タイプ/値・紐づいている商品数を確認できます。行をクリックすれば編集画面が開き、削除すると紐づいていた商品のメタフィールドも解除されます。複数のキャンペーンを並行運用しても管理に迷いません。
アプリのインストール
Shopify 管理画面の「設定」→「アプリと販売チャネル」→「Shopify App Store」から「シンプル2点目購入割引」を検索し、アプリ詳細画面で「インストール」→権限確認画面で「インストール」をクリックすれば導入は完了です。テーマへの追加は、アプリ管理画面からの「テーマに追加」ボタンによるワンクリック追加と、テーマエディタから手動で「アプリ」タブのブロックを追加する方法の両方に対応しています。
おわりに
「1点目は定価、2点目以降だけ割引する」という値付けそのものに機能を絞り、割引バッジ・商品カルーセルの表示までをセットで提供しているのがこのアプリの特徴です。コーディング不要でテーマに追加でき、21言語対応・7日間の無料トライアル付きなので、まずは試しやすい構成になっています。
競合アプリ4本を実際にインストールして比較
「2点目以降割引」または近い数量割引を実現できるアプリを4本、実際に開発ストアへインストールして管理画面を確認しました。
Discounty: Bulk Discount Sales
アプリ概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アプリ名 | Discounty: Bulk Discount Sales |
| 開発者 | Discounty |
| 価格設定 | $0.99/月 / $1.99/月 / $2.99/月・3 日間の無料体験 |
| 主な機能・特徴 | 一括価格エディター: 開始日と終了日を指定して、数千種類の商品をセール価格に設定します、X を購入で Y を獲得: 無料ギフトや BOGO を、自動またはポップアップでカートに追加します、数量ディスカウントとカート目標: 購入数またはカートの合計額に基づいた段階的なディスカウントを提供します、高度なディスカウントコード: 商品、注文、配送のディスカウントを 1 つのコードに組み合わせます、ディスカウントマネージャー: セグメント、チャネル (オンライン/POS)、または購入タイプ別にターゲットを設定します |
| 対応言語 | 管理画面は英語のみ(実際に確認) |
実際にインストールして触ってみた
- アプリストアの説明は日本語表示だが、管理画面(Discounty)は英語のみで日本語化されていない
- 「Quantity discount」機能は「最小数量に達したらカート全体(対象商品の合計)に一律%オフ」という仕組みで、購入数に応じて段階的に割引率が上がる「2点目から割引」とは設計思想が異なる
- 無料プランでは割引ティア(段階)を1つしか作れず、「Add discount tier」は鍵アイコン付きで有料プラン限定
ワンポイント解説
数量条件を満たすとカート全体に一律割引が乗るタイプ。1点目と2点目以降で単価を変える細かい制御はできない。
パンパーバンドルの数量割引
アプリ概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アプリ名 | パンパーバンドルの数量割引 |
| 開発者 | Profit Pumper Bundle |
| 価格設定 | $9.99/月 / $29.99/月 / $49.99/月(年払い $94.68/年 / $269.88/年 / $449.88/年)・7 日間の無料体験 |
| 対応言語 | 管理画面は日本語(実際に確認) |
実際にインストールして触ってみた
- インストール直後のテンプレートが「1個目は通常価格、2個目20%オフ、3個目30%オフ」という、まさに2点目以降割引の構成になっている
- 管理画面の大部分は日本語だが、「Advanced Settings」「Visual Options」など詳細設定の一部ラベルは英語のまま
- 商品ページに「Buy More Save More」ウィジェットとしてライブプレビュー表示され、価格が個数ごとに動的に変わる
- 無料プランは「追加売上のライフタイム累計$300まで」という上限付きで、それを超えると有料プランへの案内が入る(月額課金ではなく成果報酬に近い枠組み)
ワンポイント解説
4本の中では最も「2点目以降割引」というテーマに近い。ただし無料枠は売上の累計額で区切られる方式で、当社アプリのような固定月額とは料金モデルが異なる。
Discount Mixer: 一括割引
アプリ概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アプリ名 | Discount Mixer: 一括割引 |
| 開発者 | Discount Mixer |
| 価格設定 | $1/月 / $8.99/月 / $2/月 / $20.99/月 / $49.99/月(年払い $479.90/年)・3 日間の無料体験 |
| 対応言語 | 管理画面は日本語(実際に確認) |
実際にインストールして触ってみた
- オンボーディングのテンプレート例が「1個: 10% Off、2個以上: 20% Off」と表示され、2点目以降だけ割引率を上げる設定が可能
- 管理画面は全体的に日本語化されているが、複数ティアの追加は「詳細 Essential」という表記で有料プラン(Essential)に誘導される
- 無料プランでは割引ティアを1つしか保存できず、「1個目」「2個目以降」を同時に組み合わせた設定は事実上有料プラン前提
ワンポイント解説
設計思想としては当社アプリに近いが、無料で使える範囲は1ティアのみで、2点目以降割引を組むには課金が必要になる。
Discount Plus – カスタム割引
アプリ概要
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| アプリ名 | Discount Plus – カスタム割引 |
| 開発者 | Plus Apps |
| 価格設定 | $14.99/月(年払い $143.88/年)・7 日間の無料体験 |
| 対応言語 | 管理画面は英語のみ(実際に確認) |
実際にインストールして触ってみた
- 「Tiered (Volume) Discount」「Progressive Discount」など割引タイプが7種類に分かれており、2点目以降の割引を作るには複数ステップのウィザードを理解する必要がある
- 対象商品・除外商品・他割引との併用可否・適用順序まで細かく設定できる反面、初見では操作のハードルが高い
- 管理画面は英語のみで、日本語のヘルプやラベルは無い
ワンポイント解説
機能の自由度は高いが、2点目以降割引だけをやりたい場合には設定項目が多すぎる印象。日本語未対応も導入のハードルになる。
5つのアプリを比較
| アプリ | 日本語 | 2点目以降割引 | 動画対応 | 月額 |
|---|---|---|---|---|
| シンプル2点目購入割引 | ✅ | ✅ | — | $9.99/月 |
| Discounty: Bulk Discount Sales | ❌ | — | — | $0.99/月 |
| パンパーバンドルの数量割引 | ✅ | ✅ | — | $9.99/月 |
| Discount Mixer: 一括割引 | ✅ | ✅ | — | $1/月 |
| Discount Plus – カスタム割引 | ❌ | — | — | $14.99/月 |
※ 「—」は用途が異なるため単純比較できない項目です。対応言語・機能の有無は、実際にインストールして確認した結果です。
まとめ:どれを選ぶべきか
4本を実際に触って比較した結果、次のような使い分けになりそうです。
- 「1点目は定価、2点目以降だけ割引」をそのまま、無料枠の制約を気にせず日本語で設定したい → シンプル2点目購入割引
- バンドル演出やライブプレビューも含めて凝った見せ方をしたい → パンパーバンドルの数量割引(ただし無料枠は売上累計制)
- 数量割引だけでなく配送割引・割引コードなど幅広い機能を1本でまかないたい → Discount Mixer(複数ティアは有料プラン)
- BOGOや条件付きルールまで含めて、割引ロジックを細かく作り込みたい(英語UIでも構わない) → Discount Plus
「シンプル2点目購入割引」は、2点目以降割引という一点に機能を絞り、日本語の管理画面と割引バッジ・商品カルーセルの表示までを迷わず設定できる構成にしています。まずは7日間の無料トライアルで、実際の商品に設定してみることをおすすめします。












