ITコーディネータ試験の知識について、まとめていきます。
実は、覚えることは、そんなに多くないんです。
問われることは、ITコーディネータ協会が考えるIT経営推進プロセスガイドラインに定義されている「プロセス」と「原則」についてです。
- プロセス:どのような順序で進めるか。誰がやるか。何が成果物か?
- 原則:それぞれのプロセスで、どのような考え方をするか?
それでは、IT経営推進のそれぞれの「プロセス」と、そのプロセスで求められる「原則」を見ていきましょう。「プロセス」には、大きく分けて(A)(B)(C)の3つの領域があります。ちなみに、早速ですけど、実は最初のIT経営認識領域(A)は、あまり出題されない部分です。試験勉強として考えるのであれば(B)と(C)だけに注力して覚えた方が良いと思います。
IT経営認識領域(A)
定義:IT経営認識領域(A)では、経営環境やIT環境の大きな変化の中で、経営者や従業員が新たな変化に気づき、危機感や問題意識を共有し、経営者が変革の方向性を明示、是正していく取り組みを継続的に行う。これによって経営変革を推進しやすい企業風土に変え、持続的な成長を成し遂げることを目的としている。
IT経営認識領域(A)の「認識」とは、変革認識のこと。常に変革していく風土を作っていくことが求められるIT経営認識領域(A)には(A1)(A2)(A3)の3つのプロセスがあります。
変革認識プロセス(A1)
定義:変革認識プロセス(A1)は、危機感や問題意識を経営者や従業員で共有し、環境変化に気づき、変革のためのモチベーションを組織的に高め、変革の必要性を全社にわたり認識させるプロセスである。
ちなみに、この活動には,①経営者の意識改革,②人財育成,③変革への参画意識の形成の3つがある。
進め方:
- (1)変革のための企業体質の確立
↓ - (2)変革への気づき
↓ - (3)変革に向けての課題・解決策の可視化
↓ - (4)変革に対するコミットメント
↓ - 成果物:
- 変革の表明
- 変革構想書
変革マネジメントプロセス(A2)
定義:変革マネジメントプロセス(A2)は、変革の推進を支援するとともに、変革構想書の前提条件の変化とIT経営実現領域(B)の活動状況とを継続的に把握し、必要な是正を行うプロセスである。
・・・とのことで、変革認識プロセス(A1)の成果物である変革構想書の前提状況の変化とIT経営実現領域(B)をすり合わせるプロセスなんですね。
進め方:
- (1)変革推進の体制づくり
↓ - (2)変革の推進支援
↓ - (3)変革の実行状況の把握と是正
↓ - 成果物:
- 変革マネジメントの実施状況報告書
- 是正の表明
- 変革構想書(改訂版)
持続的成長認識マネジメントプロセス(A3)
定義:持続的成長認識マネジメントプロセス(A3)は、変革構想書に基づいた経営戦略、業務改革、IT戦略、IT化プロジェクト実行成果の評価によって組織の成長を確認し、次の変革の実現に向けて何が必要かを認識するプロセスである。
進め方:
- (1)経営ビジョン達成の評価
↓ - (2)新たな変革の可能性の認識
↓ - (3)持続的成長に対するコミットメント
↓ - 成果物:
- IT経営の成熟度が向上した組織
- 次期変革構想への表明
IT経営認識領域(A)における基本原則
- IT経営認識領域における共通の基本原則(A共通)
- (1)変革への本気度を示す
(経営者のリーダーシップとコミットメントの原則)
⇒ 経営者は、変革の軸となる部分を、自らの言葉で表明し、自ら動きを伝える。 - (2)組織を超えて共創する
(オープンマインドの醸成の原則)
⇒ 経営者は、ステイクホルダーが組織横断で「共創」するための環境を構築する。 - (3)変革を続け成長する
(SPDLI経営サイクルの原則)
⇒ SPDLI経営サイクルの観点で気づきを拾う音で、持続的成長を促す。
ちなみに、「SPDLIサイクル」とは・・・- S:戦略
- P:計画
- D:実行
- L:学習
- I:革新
- (4)変革を捉え行動に移す
(変革認識3Aの原則)
⇒ 変化への「気づき」は意識的に捉え、可視化し、実行に落とし込む。
ちなみに、「変革認識の3A」とは・・・- Awareness(気づき)
- Attention(注視)
- Action(行動)
- (5)情報を見える化し活用する
(変革のための情報共有・知識集約の原則)
⇒ 変革のための情報を共有し、知識を集約する仕組みを導入する。 - (6)事実から本質を見極める
(本質追求の原則)
⇒ 意思決定の納得性を高めるために、事実情報から自社課題の本質を見極める。 - (7)社会からの要請に応える
(企業価値創造の原則)
⇒ ステイクホルダーから共感を得る経営を行うことで、社会からの要請に応え社会的貢献を果たす。
- (1)変革への本気度を示す
- 変革認識プロセス(A1)の原則
- (1)変革への「思い」を語る
(経営者の思いの形式知化の原則)
⇒ 経営者は、自信の「思い」、使命を具体化し、形式知化する。 - (2)戦略とイノベーションを意識する
(戦略経営とイノベーション経営のサイクルの原則)
⇒ 環境変化に対応し、事業革新(イノベーション)の可能性も捉えられるような経営サイクルの導入を行う。
ちなみに、「戦略経営サイクル」とは・・・次のトリプル・ループから構成されている。- SPDLIサイクル
- PDCAサイクル
- PDSサイクル
- (3)チャレンジと失敗を許す
(新しい領域・事業へのチャレンジの原則)
⇒ 経営者や上司は、失敗を恐れずチャレンジしていく組織風土の醸成の理解と支援を行う。 - (4)変革の構想を描く
(構想明確化の原則)
⇒ 変化への対応を分かりやすいストーリー(構想化)としてまとめる。
- (1)変革への「思い」を語る
- 変革マネジメントプロセス(A2)の原則
- (1)目的と価値をマネジメントする
(全体最適の原則)
⇒ 「変革の目的」と「提供価値」の観点でマネジメントする。 - (2)変化に迅速に適応する
(変化へのモニタリング&コントロールの原則)
⇒ 常に経営環境状況のモニタリングを行い、経営環境やIT環境、法制度・法令等の変化や変更に迅速に対応する。 - (3)変革マネジメント自体を目的にしない
(変革マネジメント合目的性の原則)
⇒ 変革マネジメントの本質を捉え、マネジメントすることを目的化しない。
- (1)目的と価値をマネジメントする
- 持続的成長認識プロセス(A3)の原則
- (1)成長を客観的に見る
(客観的評価の原則)
⇒ 成長の評価は、あらかじめ定められた目標に対して客観的に行う。 - (2)組織能力を高め成熟度を上げる
(学習と成長の原則)
⇒ 客観的評価を行うことで、組織能力を高め、IT経営の成熟度を上げる。 - (3)成果に報いる
(成長の評価の原則)
⇒ 経営者は、成果に対して個々のステイクホルダーに報いることで次なる成長につなげる。
- (1)成長を客観的に見る
IT経営実現領域(B)
定義:IT経営実現領域(B)では、IT経営を実現するための、経営戦略の策定から戦略目標達成までの一連の活動を行う。活動には、経営戦略に関するもの、業務に関するもの、ITに関するものが含まれる。また、ビジネス改革や業務プロセスの革新(イノベーション)の活動も含まれる。
IT経営実現領域(B)には、(B1)(B2)(B3)(B4)の4つのプロセスがあり、さらに(B4)は(B4ー1)(B4ー2)(B4ー3)の3つのステップで構成されています。
経営戦略プロセス(B1)
定義:経営戦略プロセス(B1)はIT経営実現領域(B)の最初のプロセスで、経営者の変革構想を受けて、経営戦略の策定・実行・評価を行う。経営戦略は全体計画と個々の組織計画にブレイクダウンして実行され、結果は経営戦略目標の達成度で評価される。
進め方:
- (1)企業理念・使命の確認
↓ - (2)経営環境情報収集・分析
↓ - (3)あるべき姿の構築
↓ - 成果物:
- 経営ビジョン(案)
- ビジネスモデル(案)
↓
- (4)経営リスク評価・対応
↓ - (5)経営戦略策定
↓ - 成果物:
- 経営戦略企画書
(全体戦略、事業戦略、機能別戦略)
↓
- 経営戦略企画書
- (6)経営戦略の展開
↓ - 成果物:
- 中期経営計画書
(全体戦略、事業戦略、機能別戦略)
↓
- 中期経営計画書
- (7)経営戦略の実行
↓ - 成果物:
- 短期実行計画書(各組織)
- 短期実行報告書(各組織)
↓
- 経営戦略達成度評価
↓ - 成果物:
- 経営戦略達成度評価報告書
業務改革プロセス(B2)
定義:業務改革プロセス(B2)は、新たなビジネスや業務プロセスを検討し実現する。当プロセスは、経営戦略でビジネス改革や業務改革が必要とされた場合に、業務改革プロジェクトとして実施する。
進め方:
- (1) 改革課題の明確化
↓ - 成果物:
- 業務改革企画書
↓
- 業務改革企画書
- (2)現状ビジネス・業務分析
↓ - (3)目標ビジネス・業務の決定
↓ - 成果物:
- 業務規程、業務マニュアルなど、
- 業務改革実行計画書
↓
- (4)ビジネス・業務改革の実施
↓ - 成果物:
- 新たなビジネスの創造
- 新たな業務プロセスの実現
↓
- (5)ビジネス・業務改革の評価
↓ - 成果物:
- 業務改革報告書
IT戦略プロセス(B3)
定義:IT戦略プロセス(B3)は、ITサービスやIT利活用のための戦略・実行を評価する活動をする。このプロセスは、経営戦略立案時にIT戦略の検討が必要と判断された場合に発足するIT戦略プロジェクトによって実施する。
進め方:
- (1)IT領域環境分析
↓ - (2)IT要因による業務プロセス改革の特定
↓ - (3)経営戦略とリンクしたIT戦略策定
↓ - 成果物:
- IT戦略企画書
↓
- IT戦略企画書
- (4)IT戦略の展開
↓ - 成果物:
- IT戦略実行計画書
↓
- IT戦略実行計画書
- (5)IT戦略の実行
(IT資源調達、ITサービス導入、ITサービス利活用)
↓ - 成果物:
- 新たなIT利活用の実現
↓
- 新たなIT利活用の実現
- (6)IT戦略達成度評価
↓ - 成果物:
- IT戦略達成度評価報告
IT利活用プロセス・IT資源調達ステップ(B4-1)
定義:「IT資源調達ステップ(B4-1)」は、IT戦略プロセス(B3)で策定した「IT戦略実行計画書」の基本方針を元にした調達先の選定および契約、契約後のIT導入の準備のための活動を行う。
進め方:
- (1)IT資源調達計画
↓ - 成果物:
- 調達要件定義書
- 調達評価基準書
↓
- (2)RFPの発行
↓ - 成果物:
- 秘密保持契約書(NDA)
↓ - RFP
↓
- 秘密保持契約書(NDA)
- (3)調達先の選定、契約
↓ - 成果物
- 調達先の決定
- 契約書
↓
- (4)IT導入計画策定
↓ - 成果物:
- IT導入計画書
↓
- IT導入計画書
- 「IT導入ステップ(B4-2)」へ
IT利活用プロセス・IT導入ステップ(B4-2)
定義:「IT導入ステップ(B4-2)」は、経営目標実現のためのIT利活用を行う業務プロセスの具体化と、IT導入そのものを実施する活動を行う。
進め方:
- (1)IT導入実行計画策定
↓ - 成果物:
- IT導入実行計画書
↓
- IT導入実行計画書
- (2)IT導入のマネジメント
↓
↓
↓ - (3)ITサービス利活用開始判断
↓ - 成果物:
- 新業務プロセス定義書、業務マニュアル
- システム運用マニュアル
- IT導入評価報告書
- 新たなIT環境の実現
- 新たなITサービスの実現
↓
- 「ITサービス利活用ステップ(B4-3)」へ
IT利活用プロセス・ITサービス利活用ステップ(B4-3)
定義:「ITサービス利活用ステップ(B4-3)」は、新たに構築したIT環境で、ITサービス提供部門がITサービスの提供を行い、業務改革プロジェクトチームおよび業務部門がITサービスを利活用する活動を行う。
進め方:
- (1)ITサービス利活用の開始準備
↓ - 成果物:
- ITサービスの詳細SLA
↓
- ITサービスの詳細SLA
- (2)ITサービス利活用の開始
↓ - 成果物:
- 新たなIT利活用の実現
↓
- 新たなIT利活用の実現
- (3)ITサービス利活用の評価
↓ - 成果物:
- ITサービスレベル評価報告書
- ITサービスレベル改善または
ITサービス利活用改善実行計画書 - SLA(改訂版)
IT経営実現領域(B)における基本原則
- IT経営実現領域共通の基本原則(B共通)
- (1)価値に基づく
(価値に基づく経営の原則)
⇒ 企業経営は、数値や統計データだけにとらわれず、ステイクホルダーの価値実現を目指す。 - (2)ITの可能性を引き出す
(IT積極的活用の原則)
⇒ ITの潜在能力を経営レベルで理解し、ITが経営変革の重要な牽引役となりうるという発想を常に持つ。 - (3)仕事の固定観念を捨てる
(新たな可能性追求の原則)
⇒ 既存のビジネスや業務のやり方にとらわれず、IT利活用による新たな仕事の展開の可能性を追求する。 - (4)業務とITの足並みを揃える
(業務改革・IT戦略協調の原則)
⇒ 業務改革は、現行業務プロセスとの連携はもちろん、IT戦略、IT化プロジェクトとも並行し、協調して推進する。 - (5)身の丈に合ったIT導入から始める
(IT経営の成熟度の原則)
⇒ IT導入にあたっては、現状のIT経営の成熟度と制約条件を考慮し、成熟度に見合ったITサービスを導入する) - (6)経営戦略と収益をリンクさせる
(収益性の原則)
⇒ 経営戦略の活動を収益(財務指標)で測れるようにする。
- (1)価値に基づく
- 経営戦略プロセス(B1)の原則
- (1)企業理念と整合させる
(企業理念との整合の原則)
⇒ 経営経営は企業理念に基づく経営ビジョン(あるべき姿)に整合される。 - (2)強みを認識して強化する
(コアコンピタンスとトータルコンピタンスの原則)
⇒ 自社の強み(コアコンピタンス)を核として、高い企業能力(トータルコンピタンス)を目指す。 - (3)内・外部資源の有効活用を図る
(最適資源配分の原則)
⇒ 競争力向上のためには、内部経営資源の配分の柔軟な見直しと外部経営資源の積極的活用を行う。
- (1)企業理念と整合させる
- 業務改革プロセス(B2)の原則
- (1)常に変革の目的に立ち戻る
(変革目的と全体最適確保の原則)
⇒ 各組織での業務改革推進では、全社の変革の目的から外れ部分最適に陥らないようにする。 - (2)改善・改革を一時的な対応で終わらせない
(継続的改善・改革の原則)
⇒ ビジネスや業務プロセスは一時的でなく、改善、改革を繰り返すことで成熟させることができる。 - (3)新しい事業に積極的にチャレンジする
(新事業へのチャレンジの原則)
⇒ 新しい事業や業務改革に積極的にチャレンジし、新たな事業やビジネスモデルを開発する。
- (1)常に変革の目的に立ち戻る
- IT戦略プロセス(B3)の原則
※IT利活用プロセス(B4)を包含する基本原則- (1)経営者はIT化プロジェクトに関与する
(経営者関与の原則)
⇒ 経営者は、IT化プロジェクトに関与し、ITサービスを利活用した業務改革ができるようなリーダーシップをとる。 - (2)経営戦略との整合性を確保する
(経営戦略との整合性確保の原則)
⇒ IT戦略プロジェクトでは、経営戦略での奉仕にゃ経営戦略で設定された指標などを通じて、その整合性を常にチェックする。 - (3)ITの進化と利活用のインパクトを見極める
(経営環境変化・技術動向への対応の原則)
⇒ ITの進化とIT利活用の変化が経営に影響を与えるインパクトを見極め、変化の先手を打つ対策を講じる。 - (4)セキュリティとその他リスクを適切に管理する
(セキュリティ&リスク管理の原則)
(セキュリティポリシーおよび、リスク対策方針にそったセキュリティ/リスクマネジメントを行う。) - (5)投資対効果を明らかにしたIT化投資を行う
(投資対効果の原則)
⇒ IT化投資は投資対効果を十分に評価し、関係者を明らかにし、合意の上でIT化投資を行う。
- (1)経営者はIT化プロジェクトに関与する
- IT利活用プロセス(B4)・IT資源調達ステップ(B4-1)の原則
- (1)IT資源調達は評価基準をもって選ぶ
(評価基準による選定の原則)
⇒ 全てのIT資源調達は、あらかじめ定められた的確な評価基準によって評価、選定する。 - (2)IT資源調達は公平性をもって選ぶ
(調達公平性確保の原則)
⇒ IT資源調達は、公平な立場で、公正、オープン、透明性を確保して実施する。 - (3)IT資源調達は総合的な視点で選ぶ
(最適IT資源調達の原則)
⇒ 技術調査、自社の現状、移行性や実現性、導入効果とリスクなどの視点で総合的に評価し、最適なIT資源を調達する。
- (1)IT資源調達は評価基準をもって選ぶ
- IT利活用プロセス(B4)・IT資源導入ステップ(B4-2)
- (1) 関係者の信頼関係を構築し協働する
(ステイクホルダーによる協働の原則)
⇒ IT導入ステップ(B4-2)では、関係者全員の信頼関係を構築し、全員がIT化プロジェクトの目標を認識し、協働する。 - (2)契約の履行でIT導入を確実なものにする
(契約履行の原則)
IT導入組織と外部サービスの開発・提供者との間で結ばれた契約は、確実に履行する。
- (1) 関係者の信頼関係を構築し協働する
- IT利活用プロセス(B4)・ITサービス利活用ステップ(B4-3)
- (1)ITと業務改革両方のプロジェクト完遂にこだわる
(IT化プロジェクト完遂の原則)
⇒ 業務改革が確実に遂行されるよう、IT化プロジェクトを完遂させる。 - (2)IT戦略目標の達成にこだわる
(ITサービス利活用によるIT戦略目標達成の原則)
⇒ ITサービスはIT戦略目標を達成するために、業務改革の実行手段として導入する。
- (1)ITと業務改革両方のプロジェクト完遂にこだわる
IT経営共通領域(C)
プロジェクトマネジメント(C1)
定義:IT経営におけるプロジェクトマネジメント(C1)は、IT経営実現領域(B)での各プロジェクトを整理、統制し、目標、成果物、期限、品質や対象範囲、責任範囲を明確にし、目的の達成に導く取り組みである。
※この説明だとわかりづらいが、プロジェクト間の連携を図ることが重要視されていると思う。
進め方:
- (1)プロジェクト計画立案
↓ - 成果物:
- プロジェクト計画
- 目的(戦略の中で与えられた目的と範囲)
- KGI/KPIと成果物
- 作業範囲とその順序
- スケジュール
- 費用
- 体制(目的別会議体の設定も含む)
- リスクマネジメントおよび規制等への対応方針
- 品質目標
- 変更管理方針
↓
- プロジェクト計画
- (2)プロジェクトの実施と統制
↓ - (3)プロジェクトの評価と戦略の達成
モニタリング&コントロール(C2)
定義:IT経営におけるモニタリング&コントロール(C2)は、環境の変化と、各領域、各プロセスの状況をモニタリングし、目標達成に向けてコントロールする取り組みである。
ちなみにA2からA3、B1~B4に至るほとんどのプロセスがモニタリング&コントロールの対象となる。(だから、共通領域なんだろうね。)
進め方:
- (1)モニタリング&コントロール対象の設定
- (2)モニタリング&コントロールの実施
- ①目標の明確化と周知徹底
- ②状況の把握
- ③差異分析
- ④リスクに対する対応策・防止策の実施
コミュニケーション(C3)
定義:IT経営におけるコミュニケーション(C3)は、IT経営を実現する過程において重要なコンピテンシー(能力・適正)である。IT経営実現には、ステイクホルダーが良好な関係のもとで、経営変革の活動に主体的に関与することが重要である。そのためにも、情報がさえぎられることなく共有される環境を構築する。
進め方:
- (1)ステイクホルダー別コミュニケーション作戦のプラニング
↓ - (2)エンゲージメントの計画と作成
↓ - (3)実行
↓ - (4)関係のメンテナンス
ちなみに、主要なステイクホルダーとプロセスへの関与度合いは、次の通り。
ステイクホルダー | A | B1 | B2 | B3 | B4 |
---|---|---|---|---|---|
経営者 | ◎ | 〇 | △ | △ | △ |
IT経営推進者 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 〇 |
IT経営支援者 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ |
IT経営共通領域(C)における基本原則
- プロジェクトマネジメント(C1)の原則
- (1)実施条件のバランスをとる
(経営変革プロジェクト実施条件バランスの原則)
⇒ プロジェクト実施に当たっては、コストと達成可能な戦略目標、各種制約条件の両立性を考慮し、バランスをとる。 - (2)リスクを意識して運営する
(経営変革プロジェクトにおけるリスク意識の原則)
⇒ 経営変革プロジェクトの運営に関するリスクと、結果に関するリスクを意識して運営する。
- (1)実施条件のバランスをとる
- モニタリング&コントロール(C2)の原則
- (1)事実情報による客観的な観察を行う
(評価客観性の原則)
⇒ 評価は定性的・定量的目標それぞれに対して、第三者の監査を行うなど事実データを収集する。 - (2)ステイクホルダーの責任権原を明確にする
(ステイクホルダーの責任権原明確化の原則)
⇒ ステイクホルダーの責任と権限、果たすべき役割を明確にして各領域やプロセスを遂行する。
- (1)事実情報による客観的な観察を行う
- コミュニケーション(C3)の原則
- (1)効果的なコミュニケーションを行う
(効果的なコミュニケーションの原則)⇒ 効果的なコミュニケーションを意識的に進め、情報伝達が滞らない良好なコミュニケーションの「場」を進んで用意する。 - (2)論理的なコミュニケーションを行う
(論理的コミュニケーションの原則)
⇒ 論理的なコミュニケーションとコンテンツで、正しい意思決定を行う。 - (3)不一致領域の調和で合意形成を行う
(集団的意思決定の原則)
⇒ 不一致領域に対する調和をするためのコミュニケーション基盤を整備する。
- (1)効果的なコミュニケーションを行う
その他のテーマ
IT経営の成熟度
定義:IT経営の成熟度とは、IT経営実現能力レベルを示す指標であり、IT環境、IT経営ガバナンス、IT経営マインド、ITサービス利活用の4視点から測られる。