これを書いている2021年9月末。「100日後に退職する47歳」というTwitter連載が佳境を迎えている。この記事は
- 「円満退職したい!」と考えている人向けに、どうすれば円満退職できるのか
- つまり今の会社でどこまで好かれれば良いのか
を考察した記事(ポエム)です。
円満退職するにはどうすれば良いのか
到底円満退職しないように思える47歳さん。そしてそれに触発される、これはこれは釣りですか、釣れますか、と言われても仕方のないような当記事タイトル。だが、筆者も当然、円満退職というのが憧れである。
筆者略歴
氷河期世代の文系未経験ソフトウェア会社入社、どうにか生き延びることだけ精一杯で退職・転職というのをしたことがなく退職理由をほんとうの意味でじっくり考えたことがない。でももう新卒から、早20年近く経ってしまった。
就職先に選択肢のなかった氷河期世代。だから一生今の会社にいたくて入ったわけでもない、仮にでも間違って一生ここにいたら、それはそれで負けだな...と新卒のときから思って働いてきた。
生まれながらの負け世代のポエムなので共感してほしいとは全く思わないが、自分の人生、この会社で終えるのは無しだ、やりたいことをやって、人生終えたいというのだけが決めている答えである。
かといって、では、いつどういったタイミングで現在のこの会社をやめたら良いんだろうというのは思い浮かばないくらいにはそれなりに楽しく働いてきた。かと思えば突然理不尽な査定を突きつけられたり、でも人生なんてこんなものと諭されたり、優しい人々に囲まれアップダウンが激しすぎる。早20年。なんというかもう倦怠期である...。
で、とりあえず円満退職をゴールとした場合、どうすればゴールを達成できるのか。
円満退職できそうな「理由」
1. 「結婚します」
大きな理由の一つだ。そしておめでたい。これを読んだ各位は「寿退社」を思い描くだろうか?いやいやそんなことはなく男性社員でも、実家が国外で、などというケースを想像してみて欲しい。その人にしか達成し得ない人生の大事なイベントなのだから、そのために退職する必要があるなら、そしてそれ以外に今応えられる方法がないなら仕方ない。このコロナ禍でもそんな仲間を見てきた。元気かなあ。
2. 「実家に帰ります」
家業を継ぎます、なのかどうかは分からない。”Family issue” ということもあるようだ。最優先されて良い話だ。「円満」というと語弊があるケースもありそうだが、人生のプライオリティは見誤ってはいけない。頑張れ。退職しろ。
3. 「大学に行きます」、「留学します」
これはカッコイイと思ってしまう理由の一つ。数年後、数倍のパワーを得て戻ってきてくれる気もする。今しかやれないこともある。応援したい。退職しろ。
4. 「子育てに専念します」
って男性社員が言ったらむしろカッコイイと思う。そういう時代でいいじゃないかと私は思う。退職しろ。
5. 「友人の会社から誘われました」
これが今だ。考え直してよとは言いたいが、こういう理由でやめていく人には理由を深堀りできずおめでとうと声をかけて送り出してしまう。だって本人がとても楽しそうだから。逆に、残ってと言われて残るような人はその人のその後の人生もどうせ他人任せなのでしょう。頑張れ。退職しろ。
6. 「独立します」
はい来た。どうやって独立する?誰と?何を?会社人生の折返しに近い40代がやりそう。この話題も避けられない。
【考察】45歳定年説について - Qiita
ITエンジニアと「45歳定年説」|久松剛/IT百物語の蒐集家|note
ITエンジニア、ミドルの転職の仕方/35歳以下転職との違い|久松剛/IT百物語の蒐集家|note
「これからはエンジニアになり、フリーランスにならないと生き残れない」
知らんけどまあ一度やってみたら良いんだよ。頑張れ。退職しろ。
円満退職に必要な「タイミング」
そんな難しいことを考えずともごくシンプルに「良い会社から内定いただいたので」、で十分と言えるかもしれない。が、注目したいのはいずれも、「本人にとって、それがまさに今しかないタイミング」かどうかだと考えている。そして最も大事なのは「利己的な理由を持つこと」だと思う。会社がとか他人がとかどうでもよく、本人が決めることだ。
天秤にかける?会社の「理不尽」への復讐
ある。誤支給されたことはある。納得のいかない査定もある。謎なルール、休日出勤、泣き寝入り? 見方によってはいつも泣き寝入りだ。
共感しか無いですがしかし、円満退職するひとというのはたいていこうなのだ。「そんなのごく一面的な見方だ」。こういう考え方もできるけどそんなのこちら側から見たらこんなもんだよね、ルールが減点方式ならそれに従うか、加点を取れるようにルールを変えさせるか、どちらも無理なら無視して別のところで稼ぐか。やりようは色々ありまして何というか、多少のことはどうでもよいのである。
最近気づいたことがある。理不尽と言えば最近久しぶりに美容院に行ってバッサリ切ってきたんだが、うちのチビッコは「おかあさんへんなかみがただね」とか普通に言うんです。はっきり言ってこどもの意見なんて常に、全力で理不尽です。でもこんなこと、なんともおもわない。
ではなぜ会社から受けた査定は、給与は、理不尽だと思うのか?
円満退職の鑑?退職エントリは是か非か論
ふと思い出すのがいわゆる「退職エントリ」である。「典型的な退職エントリ」は、基本的には円満退職ストーリーでないとただの絶縁状に過ぎない。
引用: なぜエンジニアは退職エントリを書くのですか?他の業種はあまりない文化ですよね? (Quora)
- エンジニアの文化として、情報をオープンにしたいと考えるから。
- 退職エントリーを見て、次の仕事が決まることもあるから。
- なんとなくみんながやってるから。
等と分析される。エンジニアがなんでオープンさを好むかって、隠すと「嘘」をつかないといけなくなる場面があるからだと思います。嘘は次の嘘が必要になり矛盾がどんどん膨らみます。整合性のとれない状況ってすごく開発にとってストレスです。ただ理想的には前職にも、そして次の職場にも、「円満で前向きであった気持ち」を表現して気持ちに区切りをつけておきたいから書いているものだと思う。あるいはそう書いておいたほうがキャリアの見せ方としても、次の職場にも、都合がいい。逆にそうでないものが格好の炎上燃料だったりもする。以下は適当なピックアップ。
6年勤めたNTTを退職しました - Software Transactional Memo
Life is beautiful: NTTの株価総額が世界一だった時に、Microsoftに転職した理由
ソニー株式会社を退職しました
Google退職します|xyx|note
15年間務めた会社に退社を切り出したら史上稀にみるクソ展開になった(前編) - 放浪軍師のアプリ開発局
DMMをだいぶ前に退職しました|sasakipochi|note
LAPRAS株式会社を退職します|Ryusuke Takahama|note
ボクがマイクロソフトを辞めた理由。「仕事を選ぶことは、誰にでも許されている自由」【連載:澤円】 - エンジニアtype | 転職type
残業ゼロで年収600万円超、それでもプログラマーを辞めた理由 | キャリコネニュース
非Web系の僕がWeb系IT企業からTwitterで勧誘されて入社した話|ミノ駆動|note
元ホストだけど、意外とサクッとエンジニアになれた話|元ホストのエンジニア@好奇心に全振り|note
[いわゆる退職エントリ] Microsoft を辞めることにしました(あるいはサポートエンジニア → Product Marketing Manager になるまでなど) - Qiita
円満退職って何より、自分が 前向きでないとできないものですね。
結論: 円満退職するには
どうすれば円満退職できるのか
Answer: 自分自身で、「この会社でこれを達成する」あるいは「(会社はどうでもよく、)人生にこういうキャリアを描いている」を決めておく。できたら周りの人に言っておく。
今の会社でどこまで好かれれば良いのか
Answer: 人に好かれていれば、会社(そもそも会社ってなんだ?)に好かれなくてもいいんじゃない?
「俺さ、○千万貯めたらラーメン屋やりたいわけよ。もう昔からの夢なんよ...」なんて言われたら応援するしか無い。段階を分けてみた。
- 種まき
- 自分の人生や開発人生のゴールやプライオリティを決めて、普段から皆と共有しておく。
- 失敗したら戻っておいでと言ってもらえるように普段から誠心誠意働いておく。
- 実らせ
- 今の会社でしかできないことというのがあるので、やれるうちに搾取しておく。
- 退職してからも大事にできる人間関係を大事にしておく。
- 収穫
- 収穫時期はある。会社に勝手に干されるとか、干されたからとかではなく、自分の収穫時期を決めておく。
- ちょっとした衝動的な罠に戸惑わない。普段から会社とプロジェクトを自分のスキルアップのために利用する。
会社に期待する必要はない。利己的に働くのだ。
参考: 人生は強気スタンスでいけばうまくいく話…「死ぬ気ではなく殺す気」「嫌われるのが怖いではなく自分を嫌う奴はどうでもいい」など - Togetter
To.「何だこの結論は!自分は今すぐに、今日にでも明日にでも円満退職したいんだ!この会社と!やっぱり釣り記事じゃねえか!」と思った方
申し訳ありません。申し訳ないですが、いま素直に上司に同僚に、心の底から退職したい旨を言い出せないなら、もしかしたら今退職するのは「自分が損をするだけ」である可能性もあります。上司に一泡吹かせたい?わかる!...わかるけど、でも仮にそれをやっても敢えて、自分に得することもお金も無いのです。
退職、転職って結構面倒くさいです。働く時間も、保険も、契約ももしかしたらやり直さないといけないし、人間関係もゼロから作り直しである(個人的にはそれが一番メンドイ)。仮に今フルリモートで働けている、ギリギリ土日は休めている、最低限の人権はある、その状況で敢えていっときの理不尽を理由に「今」退職する必要はあるか。まともな会社なら、会社もいろいろ考えてくれている。まともでない会社はどうしよう、わからないが...。
いずれにせよ自分が損する必要はない。賢くカネを搾取すればよい。言い方にどういう印象を持つかは置いておいて、ともかく自分の中にモノサシを持ちたい。
補足: 有給取得
有給を数日取ってみたらそれだけで得した気になるし、気分もスッキリします。体力も回復します。冷静な判断ができなくなっていたら一旦休むが作戦です。
補足: 種まき~実らせ
普段から人生のゴール、大事にしたいことを周囲に語っておかないと円満退職って無いんじゃないかななど。「出戻り制度」がある会社は本当にラッキーだし、仮に無くても、上司や同僚が理解ある人でずっと良い関係を維持できる人たちだったら、彼らが勝手に出世しておいてくれることを期待して、どうにかして戻ってこさせてもらえるのではと思う。そしてそういう会社でこそ働きたい。
補足: 収穫
「100日後に退職する47歳」さんの話に戻るわけだが、会社なんて、どんな職場も理不尽なものだ。敢えて、理不尽をネタに、バネに、芸の肥やしにできる人間は最強 だと思いたい。
今日現在まだ47歳さんの物語は続いているのですが、意外と上司から「お前は漫画で食える」って言われて勘違いしての円満退職だったりしないものですかね。あるいは書籍化、映画化、行くところまで汚くカネを稼いでほしいです(ワニと逆)。期待。
以上47歳さんへのリスペクトと、会社との倦怠期に悩む私の考えるところでした。
まとめ
会社も、この業界もそもそも理不尽だ。親ガチャがあれば会社ガチャもあろう、だから理不尽を食らうタイミングも理由もガチャであり、そんなものにそそのかされて衝動的に退職しても、それが自分にとってベストなタイミングかなど、どこにも保証されていない。むしろ利用しろ。利己的に生きろ。「自分にとって」円満な退職の時期を理想を描いていつかは退職しろ。
筆者は、ああこういう仕事しないとなあなんて思いながら...
... 自社と自社ブランドに恩を売りつけていつか円満退職したい。
関連リンク
以上参考になればさいわいです。