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「書くしかできない」ポメラを買ったら、それは弱点ではなく私得の設計思想だった

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IT エンジニアがポメラを買いました。
pomera.png
デジタルメモ「ポメラ」DM250XYZ Midnight Purple

結論

ポメラは「何でもできる」ではなく、「これしかできない」ことに価値を置いた製品だと思います。

IT エンジニアとして日々 PC に向かい、ブラウザを開き、検索し、ChatGPT に聞き、エディタでコードを書き、Teams を見て、メールを返す。そんな環境に慣れきった自分にとって、ポメラは憧れではあるものの逡巡したあげく結局購入は躊躇する道具でした。

できることは、基本的に「文章を書く」ことだけ。

でも結論としては、その「書くしかできない」が、思った以上によいです。

ポメラを買った

以前から、いつかポメラが欲しいと思っていました。

ただ、通常モデルをすぐ買うほどでなく、たまに発売される限定モデルやスケルトンモデルに応募して、

「当たったら仕方ないから買うしかないな!」

と思いたい。そういうチャンスに委ねるくらいの気持ちでいました。そんなある日、当たってしまいました。

Midnight Purple...

仕方ないですね。買うしかありません。

できること

まずは、できることです。私がポメラでしたかったことは、文章を書くことでした。

早速、届いたポメラに感想を打ち込んでみました。以下実際に初めてポメラに打ち込んだ内容です。

おおおお
これがポメラ。。。

予想以上にはでかかったのと、予想を超えて紫色のスケルトンがばちばちでウケる。
あとキーボードなのにマウスがないのが違和感がある。笑

これどうしたら保存できるの?

まずはいろいろ思ったことを何でもいいから打ち込みたいなあ。
想定よりでかい笑

だいぶ素直な初見の感想です。

使ってみてまず驚いたのは、起動の速さでした。本当にすぐ起動します。秒です。これは大きいです。PC のように、起動して、ログインして、ブラウザやエディタを開いて、通知を見て、ついでに何か別のことを始めてしまう、という危険な流れはありません。

開く。
書く。

それだけです。

もちろん、コード補完はありません。検索もできません。AI に続きを提案してもらうこともできません。でも、打ち込むこと自体は、元来かなり楽しい作業だったのだと思い出しました。雑学、本の感想、日々のメモ、なんとなく浮かんだ言葉。そういうものを、とりあえず何でも書き留めたくなります。

できないこと

一方で、ポメラにはできないことがたくさんあります。

インターネットはできません。
検索もできません。
ChatGPT も使えません。
メールもできません。
もちろん Teams も Slack も見られません。

道具としては、タイプライターやワープロの時代に戻ったような製品というのが正確です。OS は Linux ベースらしいのですが、詳細は調べないと分かりません (参考: pomera DM250 の Linux 化のメモ #Debian - Qiita)。そして、ポメラ本体ではそれを調べることもできません。

その他参考:

ここが面白いところです。

現代の PC やスマートフォンは、だいたい何でもできます。文章を書くつもりで開いたのに、気づいたら検索していたり、SNS を見ていたり、メールを返していたりします。

でもポメラは、それができません。できないことばかり。だから書くしかない。

「書く」には 2 種類ある

ポメラを使ってみて、書くという作業には 2 種類あるのだと気づきました。

ひとつは、自分の頭の中にあるものを外に出す作業です。

考えていること、感じたこと、覚えておきたいこと、まだ形になっていない違和感。そういうものを、とにかく文字にしていく作業です。

もうひとつは、アウトプットのためにインプットしながら書く作業です。

調べる。
確認する。
引用する。
比較する。
補足する。
構成を整える。

技術記事を書くときは、後者の要素がかなり大きいです。公式ドキュメントを確認したり、仕様を調べたり、動作検証したり、正確な表現に直したりします。その意味では、ポメラだけで技術記事を完成させるのは難しいです。

しかし、自分の頭の中から最初の文章を取り出すだけなら、ポメラは十分です。むしろ、余計なものがないぶん向いていると感じます。

道具によって行動は変わる

ポメラを使って一番感じたのは、道具によって行動は変わるということです。

PC を開くと、私はいろいろなことができます。そして、いろいろなことをしてしまいます。スマートフォンを開くと、もっといろいろなことができます。そして、もっといろいろなことをしてしまいます。

でもポメラを開くと、文章を書くことになります。強い制約です。そして、この制約によって目的に近づくことができることもあるのです。

できないことが増えることで、できることが増える。少し不思議ですが、そういうことです。集中力を「気合い」で手に入れるのではなく、道具の側に任せる。自分の意思の弱さと戦うのではなく、そもそも余計なことができない環境にする。

これは、IT エンジニアにとっても設計思想として、あらためて示唆的だと思います。

現代の絵の具とキャンバス

この記事の元になった文章は、すべて人間の手で書きました。

もちろん、最終的に整える段階では PC を使いました。検索もしました。ChatGPT と推敲しました。Qiita に投稿するにはブラウザも必要でした。

それでも、最初に頭の中からアイディアを取り出す場所として、ポメラは行動を変えられる道具でした。現代における絵の具とキャンバスのようなものかもしれません。

カメラや印刷、PC、スマホがある時代にもはや誰も必要としていないように見える。でも、使ってみると楽しい。便利さとは少し違う場所にある道具だと感じます。

おわりに

しばらくは、ポメラと一緒に散歩して、心の中に浮かんだアイディアを書き留めてみます。

欲を言えば、本当は「書く場所を見つける」ことすら少し面倒です。どこでも、脳から流れ出た言葉をそのまま記録したい。そう考えると、音声入力が最適解なのでは、という気もします。でも「しゃべる」と「書く」は少し違います。声に出すことで出てくる言葉と、キーボードで打つことで出てくる言葉は同じではありません。レコーダー「しかできない」道具を持ち歩くべきなのだろうか。

もう少し熟考が必要そうです。

とりあえず今は、「書くしかできない道具で書く」という楽しさを、もう少し味わってみようと思います。コードを書くという作業も元来そういう楽しさだった気がします。ポメラでポエムを書くって良いね。

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