Webコミュニティの根底にあるものは、あくまでも人と人のコミュニケーションである。人間の命題ともいえるコミュニケーションをどう味付けし、おもしろくするか。それがWebコミュニティの肝なのだ。
大企業が予算をかけたからといって成功するものではないが、裏を返せば、個人がつくったものでも、世界を変えるほどの爆発力を備えることが可能になる。
人がたくさん集まるWebをつくりたい、すべての人へ。
「みんなの就職活動日記」や「楽天」、「ライブドア」などのWebコミュニティを成功させてきた8人の“成功請負人”たちが、Webコミュニティを成功に導くためのノウハウや考え方、リスク対策、そして“Webコミュニティでいちばん大切なこと”を実体験をもとに披露する。
この読書感想文です。
感想
- 古の社内Wikiに原点として取り上げられていた本: 古の情報共有プロジェクト - Qiita
- という理由で、読んでみようと思い読みました。それ以上の理由はありません。
- 2008年の本ということもあり内容、状況は既に古い。現在ならTwitterは欠かせない話題である等不足もある。
- が、根っこのところで「コミュニティ」の運営の仕方、継続の仕方、どうやって仲間を惹き付けるかはまったく変わらないのだなあ、と逆に気付かされる。
chapter 1 スタートから成功までの目標とプロセス
1-1 コミュニティづくりの基本を固める
- コミュニティによるCGM(Consumer Generated Media)の力が最大限発揮されるテーマは3つの要素を持つ
- たくさんのうちから一つしか選べないもの
- 車や高額な機器など複数のものを同時に買って比較することが難しい分野
- 経験前と経験後の「情報の非対称性」が大きいもの
- グルメや就職、映画、ゲームなど
- 専門雑誌でも網羅しきれないほど多様性があるもの
- 化粧品など
- たくさんのうちから一つしか選べないもの
- サイトにキャッチコピーを付ける
- コミュニティ参加者のプロフィール
- アルバム
- 投票など
1-2 設計・開発から、プレオープンまで
- トップページが重要
1-3 コミュニティを軌道に乗せるには
- ファンを作る
- イベント
- 指標
- メルマガ
- 『キャズム』にみるプロセス改善の普及策 - Qiita
chapter 2 リスクマネジメントの必須項目
- 2-1 コミュニティサイトに潜むリスクとは
- 炎上
- 荒らし
- 2-2 リスクのある書き込みを減らす
- 「何でも話そう」「感想を聞かせてください」ではなく、「オススメの理由を教えてください」とするなど
- 2-3 法的リスクについて
- 具体例
chapter 3 ユーザーモチベーションを高める運営術
3-1 管理人はいるか コミュニティをはじめる前に
- コミュニティサイトへの愛
- ユーザーを増やすこと・ユーザーのアクティブ率を上げること
- 要望、疑問にこたえる
3-2 コミュニティの育て方
- レスポンスのスピード
- 競合の研究
3-3 少しの工夫が大きく刺さる 動的に見せるコツ
- 毎日見たくなる工夫
- アクセスカウンター
chapter 4 Webコミュニティにおける収益モデルの考え方
- 4-1 Webコミュニティの収益モデル『CREAM』メソッド
- 4-2 ネット広告による収益の最適化
- 4-3 ネット広告の変化の兆し
chapter 5 ECと集合知の融合 ~ソーシャルコマースの潮流
- 5-1 ソーシャルコマースの実態
- 5-2 ソーシャルコマースの機能
- 5-3 コマースと連動したコミュニティの運営
- 5-4 ソーシャルコマース構築の実際
- 5-5 ソーシャルコマースによる新しい消費行動
chapter 6 モバイルコミュニティの可能性
- 6-1 モバイルコミュニティの特徴
- 6-2 モバイルコミュニティの収益化
- 6-3 モバイルコミュニティの動向・事例
chapter 7 コミュニティビジネスの未来
- 7-1 コミュニティビジネスの可能性
- 7-2 ミニブログによる「Where」の変化
- 7-3 動画による「What」の変化
- 7-4 3D仮想空間による「How」の変化
- 7-5 エンタープライズ2.0による「When」の変化
- 7-6 あらゆるものがコミュニティにのみこまれる「OpenSocial」「Social Timeline」「Social Finance」
- 7-7 コミュニティビジネスのこれから
-
Smart、Simple、Small
- パーソナライゼーション、リコメンデーション等、必要なものだけを
- シンプルに、参加しやすい仕組みを
- 少数精鋭で
-
Smart、Simple、Small
付録 ひろゆき氏インタビュー
- コミュニティの新陳代謝
- 「コミュニティの一生」というのが有名ですね
まとめ
以上、たった十数年前の本と思いつつ十数年前の本です。思い出のようなものにふけりながら、このころ生まれたコミュニティ基盤はそりゃあそろそろ構築し直しだよなと感じました。まえがきの 「大企業が予算をかけたからといって成功するものではないが、裏を返せば、個人がつくったものでも、世界を変えるほどの爆発力を備えることが可能になる」は元気が出ます。
なにがしか参考になればさいわいです。