ダラダラとした思い出話。2013年~2016年、いっとき、上海に海外赴任していたことがあり多拠点開発というのを経験した。ミッションは上海と、東京(日本)との開発の橋渡し。世間では「ブリッジ」とか言われる役割です。結論から書くと多拠点開発 (主に東京が拠点となり、対そのほかとやるばあい) のもっとも難しい点は以下だ。
まず、どうしても東京は神になってしまう。神にお願い。 メテオフォールしないで 、に尽きると思った。感じた壁は無数にあるのですが、そんな中で書き溜めていたメモがクスッと笑えるものだったり、しばし浸れるものだったのでそれも含め、少しだけ思いを馳せて頂けたら嬉しいです。
赴任当時、何が難しいと思っていたか
以下2013~2016年位当時の原文を混ぜて書いていきます。
- 言語
- 距離
- 時差
- 文化
身近なグローバル
中国人メンバーにバドミントンのスキルを褒められました、というネタを携えて東京に月次報告を提出している昨今。上海の半分はあなたのやさしさに支えられています すこしだけ意識してみてもらえると上海は非常に助かります。
でも互いの尊重は大事だと思います。日本だけで閉じていても、同じく上海だけで閉じていても、それは単なるローカル対ローカル。グローバルではない気がします。知ることから始めましょう。まずは雑談・トリビアとして読んでください。
オフィスの公用語
英語ということになっていますが中国人メンバー同士日本人メンバー同士は当然母国語で喋ります。混ざったときは英語です。でも私は「うん」は日本語でも中国語でも「うん」だと知って以来その相槌は日本語です。最近でもよほどのときは まじかー とか そうかー とか、言います。その感情はそうとしか言いようがないからです。挙句チームメンバーが「そうかー」については覚えてくれました。そんなノリです。
その後チームメンバーは「なるほど」を覚えてくれたようです。
でも「不具合がここにありますよ」という指摘に対する返答として「なるほど」という返答はややニュアンス的にはどうなの (開き直りかっ) と思わざるを得ません。
こういう悪口をこっそり書いていると日本語をさりげなく読んでいるメンバーが「yamada_nさんなんかへんなことかいてるでしょ」的な指摘をしてきます。カオスです。こんなこと書いてもみんな良い奴だとおもっています。
初期は社内Wikiの翻訳とかをやってましたがまあ、無理でしたこの莫大な記事。意識としては絵とか図とかソースコードで簡潔に説明する、日本語で書くにしても簡潔な日本語で書く。結論をまず書く。行間を読ませない。
「いつもきれいに使って下さってありがとうございます」は「汚すな綺麗に使え」と書く。
「良い感じによろしくやっといてください」「ここが微妙です」は「こことここが分からない、ここが悪い」「ここはこう直すべきだ」と書く。
子供時代、縁者にアメリカ国籍のアチラ育ちがおりそいつと数カ月遊んだ思い出があります。手紙のやりとりはあっても自分は英語は全く話せる気も話せた記憶も進行形で無いしそもそもイチ言語としてかなり好きじゃないのです。
「古池や 蛙飛びこむ 水の音」の感動のポイントは古池でも蛙でも水の音でもなく飛び込んだ後の静けさそのものだと高校の国語の先生に習って以来それがテメエらに伝わってたまるかこのやろうと今でもどちらかといえば思います。
でもそもそもその小学生時代って言葉は通じなくても水遊びやら花火やらファミコンやらその従兄弟と一緒にやれたしそれが一番いい思い出です。そして子どもにとってはそれが全てです。なので、思ってもない美辞麗句を伝えるどうでもいいスキルなんていらないと思います。
何を言いたいかというと英語の勉強をいくらするよりもまずキレイな日本語やロジカルな日本語を書くことに専念した方がそして綺麗なソースコードをそもそも交わすほうが、意外とそれだけで多拠点開発はまずはうまくいくと思います。
一方で
久々に東京に出張してみたら思った以上に英語アレルギー感がある気がしたので追記します。
英語が苦手だと思う方、安心して下さい、英語を英語と思う必要はありません。言語です。
英語を英語じゃなくてJavaだと思って下さい。皆書けます。Hello Worldです。良いプログラムを作れるかどうかは別としてまずは皆なにか書けると思います。
同じです。書かないと動きません。バグが出たら必死こいて直してください。でもバグを怖がって何も書かなければ、ゼロです。出荷物ナシです。
皆、めげない心、バグを恐れない心、図太い精神で我々のプロダクトは動いていることを知っているはずです。なので喋れます。英語も言語のひとつです。ハァ?とかアァ?って返されたら開発者たるもの、うっせえ黙れと言えば良いです。
調子に乗り過ぎて怒られたらまあその時は謝りましょう。そんな感じです。
更に最近感じている次のチャレンジを書きます。英語はしょせん言語ですが、残念ながら、世界では英語が共通言語のようで それは認識しておいた方がいいみたいです。
上海で上海のメンバーと話している分には先に記載の言い訳は筋が通りますが、更に第三国のメンバーが現れた時、英語ができないと、多分負けると思っています。負けないためには、相手にストレスを与えないレベル、適度に口げんか出来るレベルで喋れることが求められます。口げんかの強さの要素はボキャブラリーや格好いい言い回しに限らないので大声を武器にするならそれもアリと思います、が、最近ソフトウェア勉強会的な集まりに参加してみたらソースコードレビューより怖かったよママン
東京でも上海でも外国人が集まる場所はどこかしらにあるので参加して世界レベルとソフトウェア議論で勝ってみる、というのも一つの身近なトレーニングだなーと感じます。これに関しては費用対効果の問題、という分かりやすい記事があったのでこの話は終了(ここには貼らない)。英語の話はいくらでも巷に書かれている。
服装、電話、勤務時間
私服ですすみません。中国で背広って私は外人だっていうアピールになってしまいますね。
余談ですが虹橋空港は背広着たジャパニーズのおじさんがわらわら居ました。この人もKTVばっか行ってんのかなーと余計な心配をしていました。
電話。使わない(相談するというマインドがない)から増えないのか増えないから使えないのか微妙ですが、東京大阪間 くらいの雰囲気でメンバー同士が電話できると健全なのでは、と感じます。
勤務時間は 9:30-18:30 (昼休み13:00- 1H)でした。
例えばフルフレックスっていろいろな意味でマインド的に難しいと聞いています。
一方でそれゆえ夜21時22時くらいにtelもらうとブチ切れたくなります。社畜の日本人め!すみません。
ランチ、オフィス
中国に気軽な飲み会文化があまり無いといわれた故、チームメンバーとランチしています! これは自慢です! 更に、上海のLightningTalkという定例セッションイベントで話題を提供しました。自分的に満足な量の笑いがとれました。
オフィスビル、ファミマと、日本食料理屋があります。オフィスの最寄駅まで10分15分、他に3駅利用可能!
17Fが本部 基本エレベータで移動する必要があります。出勤時、昼時、エレベータが混みます。最大20分位待ちます。たまにエレベータが壊れます。その場合は貨物エレベータを使います。階段でも良いです。
22Fのトイレにはありませんが17Fのトイレはウォシュレットです。17Fはネズミが出たことがあるようです。空調は暑いときと涼しいときと、両方あります。そんな感じです。
ネットワークインフラ
GFW、グレートファイアウォールを超えるため色々経由しています。
余談ですがこのころ、私は登大遊さんを知りました。
開発者のPC
英語OSです。
ファイル名に二バイト文字を入れない。こちらで開くとひどいことになります。
色々
なにがしかのステータスチェックみたいな資料は ○/× マルバツではなく 有/無 完了/未完 くらいだとありがたいです。世界的に○はNoticeっぽい意味だそうですよね。
中国でも×がチェック済みなのかどっちなのか混乱します、一方漢字なら読めます。
同じ理由で△ってなんやねんとチームメンバーに言われたことがあります。曰くつきの○だよと言っています。ぜんぜん違う話ですがこっちの誰かの作ったテスト用社員の名前が「春春」(ちゅんちゅん)、「夏夏」(しゃあしゃあ)でした。「ぽいな」と思いました。
カレンダー
中国の年間休日カレンダーは、例年12月初旬に国務院弁公庁が発表します。
上海の、上海オフィスのカレンダーもそれに従っていました。
http://calendar.yamanoha.com/calendar/china_calendar.html
12月まで来年のカレンダーがわからないということです。長期連休が多いと思いきやその前後の土日が何故か出勤日となるフェイクがあります。これも政府が決めています。一方春節は飛行機に乗って船に乗ってバスに乗ってetc 6時間かけて実家に帰るメンバーも居るようです。大晦日、皆キャリーバッグで出勤していますね。
1/30 大晦日 上海はあきらかに閑散としてきました。
逆にいま街に残っているひとはやや激しいいでたちの人ばかりな気がします。
日本の80年代90年代風のヤングがコンビニの前でたむろしています。早く家に帰りなさい、といってあげたくなります。
フェアリーテール「年」
So an old fairy tale saying, 年 is the name of a monster. He will came out on this time of year and eat people.
And we will fight them in a way of firecrackers, to scare him off. Greet each other on the first day of new year, as a congratulation to each other that we are not eaten by 年.
Gradually, greeting each other on the first day of year became 拜年 and this saying can be used for a long while around new year, for example, now, we can say 拜早年, means it is a little bit early, but still, greetings!
On the first few days of new year (no clear boundary, maybe 4 or 5 days), it is 拜年 And later than that, it became 拜晚年. 年兽 as full name
中国の紅白歌合戦
Tonight I think most Chinese people will watch the Evening Party of the Spring Festival (春节联欢晚会) by CCTV. Maybe you can have a try.
http://chunwan.cntv.cn/
It's a tradition that all family members gather together , have diner and watch 春节联欢晚会。
歌だけではなくコメディ等等含まれる番組のようです。裏番組で格闘技をやるかどうかは気になるところです。
出勤時にも爆竹屋で爆竹を買い求めたご家族を見ました。新春快乐。
上海の日本人
日本に住めなかったから上海に居ます、みたいな人で構成されていると言っても良いかもしれません。
噂の大気汚染
ここでチェックできます。
http://aqicn.org/city/shanghai/
不健康極まりないといわれた上海マラソンをはじめ、アウトドアスポーツが基本体に心配という上海ですがバスケットボール、卓球はさすが人気みたいです。
以上書いたが、色々あると思った。2016年に私は帰任したのだが、まず大きな問題はやはり言語の壁だと思ったから、「通翻訳」を専任にするチームをコーディネートする役につこうと思った。
通翻訳
翻訳外注に色々書いたがまずできるだけ早くの意思疎通を助けるべきだと思っていた。言葉なんて所詮ツール。
結果
既に、翻訳は蓄積された社内辞書や機械翻訳、有志活動、勉強会等などによる自己研鑽等により、ある程度の品質が確保できるには至った。方や、有志単位で既に業務をどうにかこなせているチーム、翻訳を依頼してそこに依存したチーム。なんでも良いけど意思疎通をしようよと私は思っていた。いや、切磋琢磨するはずの多拠点開発。結局は東京の皆のブレないマインドが最も大事という結論。難しかった!
一方、赴任していて何が楽しかった?
端的に私が当時したためたレポートを公開しよう。
アップルが発表会を行う1日前に中国大手検索サイトの百度がこのようなイベントを催していました
百度世界 (Baidu World)
http://baiduworld.baidu.com/
こちらでBaiduに日常的にアクセスする必然がある状況だとそれなりに盛り上がっているように感じられるのですが、発表されていた機能の一つが"度秘"という百度版Siri的機能らしいのでもう少し調べてみました、ので、共有です
[記事]
Baidu launches Duer digital assistant to take on Siri, Cortana and Google Now
http://www.theguardian.com/technology/2015/sep/09/baidu-duer-digital-assistant-siri-cortana-google-now
-> "New Siri-like virtual assistant called "Duer", which roughly translates to "Du Secretary".
Baidu adds an AI personal assistant, Duer, to its mobile search app
http://www.pcworld.com/article/2981500/baidu-adds-an-ai-personal-assistant-duer-to-its-mobile-search-app.html
Baidu Unveils Siri-Like Service‘Duer’To Chinese Market
http://technode.com/2015/09/08/baidu-duer/#.VfDs-CB5l8Y.twitter叫板苹果Siri的百度“度秘”是这样玩的
http://www.cnbeta.com/articles/428467.htm
[要約]
- Baidu CEO Robin Li曰く, Duerはユーザにお薦めのサービスを提案などをするように設計された音声起動アシスタント
ガーディアン紙ではとりわけ
百度は、Google, Apple, Facebookを視野にUS外でAIに力を入れている唯一の会社だとされており
今回のDuerは
Mapsと連動
レストランの予約
映画チケット購入
フライト予約
出前
Nuomi(百度版グルーポン)
等その他サービスを各種ディバイスに提供ヘルスケアやその他のサービスプロバイダと連動
将来的にはBMW車の自動運転
AI, machine learning and mapping technologies
において技術的にはMicrosoft and Googleをしのぐと紹介されています
Duerは中国語オリジナルでは「度秘」、つまり百度の秘書ということらしいです"中国はアメリカの技術系企業に真の課題で、グーグルは中国に復帰が期待されているが、
百度を含めAndroid独自版でも優勢な小米科技等の中国対抗馬に立ち向かう必要がある" (ガーディアン紙)
上記の通りGoogleが中国に復帰等などの話等含め、
http://japan.cnet.com/news/business/35070048/英語の記事は速報でそれなりにあるのですが
日本語でこの手の中国国内ITニュースを取り扱っているサイトがあまり分からず…
折角なので上海からそれらしい情報共有が何かできないかなと思い、以上お送りしました
本気でアメリカに喧嘩を売る中国の若者に圧倒されたしうらやましかった。
結局、変わらないといけないのは日本で、日本に帰任したときに私は日本のこの業界で一体どう貢献できるものだろうと真面目に考えていました。
せっかく学んだこと、振り返って生かさないといけないなと思いました。