読書感想文です。
感想
- 「FAQの書き方を学ぶ UX×テクニカルライティング勉強会 #5」を視聴したので、その記録 - Qiita にて読みたくなった本。
- コールセンターの1回の問い合わせ対応コストは1回1200円らしい...月に10000問い合わせ来ていたら1200*10000円 ということ
- FAQ整備に1月100万でも予算をかけてコール数を30パー減らせれば十分お釣りが来る
- ... ということでFAQの整備で効果を上げることの戦略が具体的に考えられる点でも読んで十分お釣りが来る本である。
要点
第1章:FAQはなぜ重要なのか
1.1 FAQの存在意義
- お客さま向けFAQサイトとして
- カスタマーサポートにかかるコストの課題を解決する
- 顧客満足度と企業評価を上げる
- オペレーターのストレスを緩和する
- ユーザーの負担を減らす
- 内部用FAQサイトとして
- 企業内での情報共有で生産性を上げる
- 社内業務での時間の使い方を改革する
1.2 現実のFAQは存在意義を出せているか
- FAQサイトに関する残念な統計
- FAQサイトの課題を解決する鍵
1.3 FAQの質を高める
- 質の高いFAQと,質の低いFAQ
- FAQの質を高める要素
- 文の書き方
- 検索されやすさ
- カテゴリ
- 分析とメンテナンス
- FAQシステムとの相互依存
- FAQに携わる人たち
1.4 FAQサイトの改善に関わるコスト
- コストの簡単な計算方法と代表的な計算式
- 全国のコールセンターのCPC(Cost Per Call)平均は1200円。月に1万本のコールがあるならば1200*10000円が月にかかるコストとなる。
- お客様にとっても問い合わせコストがかかる。
- FAQ改善にしっかり予算をとるべき理由
- FAQの室の改善のために100万/月。このくらいで質を上げるプロの仕事ができる。一方ユーザーの自己解決できる割合が増え問い合わせが減らせる。予算をかけてコール数を30パー減らせれば現在のコストと比べたら十分お釣りが来る。
1.5 FAQの失敗例と成功例
- 失敗の実例
- FAQが多すぎるサイト
- わかりにくすぎるサイト
- 稚拙な日本語のサイト
- 成功の実例
- FAQを見つけられる率が30%以上も向上した実例
- 見られている上位のFAQのみを残し他のFAQを削除した。
- 結果73%のユーザーがまずFAQを見つけられるようになり自己解決もできるようになった。
- チャットボットが活かされた実例
- コールセンターのナレッジに活かされた実例
- エンドユーザーのFAQと内部FAQという区別をなくした。結果内部FAQとされていたものも簡潔に表現されるようになりユーザーと理解の違いを埋められるようになった。
- FAQを見つけられる率が30%以上も向上した実例
第2章:FAQを書くための基礎知識
2.1 質の高いFAQの条件
- ユーザーが読んで理解できること
- 「ビデオが録画できない」
- → 「録画ボタンを押しても、ビデオが録画できない」
- 「ビデオが録画できない」
- ユーザーに信頼されること
- ユーザーが迷わず取捨選択できること
2.2 質の高いQ
- 質の高いQの具体的な目的
- 質の高いQの基本
- 解決案を示すこと
- 「問題+解決案」の文体になっていること
- 「ABCカードを無くした」
- →「ABCカードを無くしたので、利用停止手続きを知りたい」
- →「ABCカードを無くしたので、再発行手続きを知りたい」
- 「ABCカードを無くした」
- 必ずQの基本文体で書くこと
- 質の高いFAQ一覧
- 視認性を意識すること
- 語の統一、インデント
- 視認性の高いFAQ一覧にすること
- 「スマートフォンはいくら」
- 「ガラケーを機種変したい」
- →「スマホの契約料金を知りたい」
- →「ガラケーの機種変手続きを知りたい」
- 視認性を意識すること
2.3 質の高いA
- 質の高いAの具体的な目的
- 質の高いAの基本
- ユーザーが最後まで読めること
- ユーザーが理解できること
- ユーザーの安心感を得ること
2.4 質の高いQとAに共通する文
- 一問一答にする
- 一意の文にする
- 6W1Hにする
- 文のかかり受けに気を遣う
- 「冷凍・生鮮食品を定期配達で注文した場合の料金を教えて」
- →「冷凍・生鮮食品を定期配達で注文した場合の料金総額を教えて」
- →「冷凍・生鮮食品を定期配達で注文した場合の送料を教えて」
- 「冷凍・生鮮食品を定期配達で注文した場合の料金を教えて」
- 用語,言葉遣いを統一する
- 略称を活用する
- 短文化する
2.5 FAQコンテンツの準備
- 対象となる原稿
- すでにあるFAQを推敲する
- 分析レポートをもとにFAQを書く
- コールセンターでの対応履歴からFAQを書く
- マニュアルをもとにFAQを書く
- 公開するFAQの選抜
- ユーザーターゲットによる選抜
- 利用者の問い合わせ数による選抜
- 「カードの解約について」のお問い合わせが100件
- 「カードの解約手続きを教えて」
- 「カードを解約した場合のポイントの有効期限を教えて」
- 「カードを解約しなかった場合の会費を教えて」... に分けたほうが問題を細分化して集計しやすい
- 「カードの解約について」のお問い合わせが100件
- パレートの法則による選抜
2.6 FAQを書く前の基本的な心構え
- FAQを書く専任者と品質責任者を任命
- FAQのレビュー
- FAQの質を上げていく運営の継続
- FAQは商品やサービスと同じだという意識
- ユーザーへの思いやり
- FAQを育てる意識
- ガイドラインの制定
- FAQ運営関係者全員の協調
2.7 FAQの存在意義を見える化しておく
- 見える化=数値化
- KPIの種類
- 回答到達率
- 問題解決率
- 2つの掛け合わせが自己解決率
- KPIの数値目標
- KPIの目標値とFAQ運営のサイクル
- 飽くなき高品質化の追及と継続
第3章:Qの書き方
3.1 Qで解決への道筋を作る
- 良くないFAQの例「海外で運転したい」
- このケースでの問題点
- 何かを尋ねる文ではない
- 改善ポイント
- 「海外で運転したいので国際運転免許証の取得方法を知りたい」
- まとめ
- 改善してみる
- 「問題+解決案」の文体で書く。
- 改善前
- 「ログインできない」
- 「荷物を再送してほしい」
- 「サイズが違う」
- 「カードを無くした」
- 改善後
- 「ログインできないので新しいパスワードを教えて」
- 「荷物を再送してほしいので再送依頼窓口を教えて」
- 「サイズが違うので交換依頼方法を教えて」
- 「カードを無くしたので会員サイトで利用停止手順を教えて」
3.2 Qの書き方でAを端的にする
- 改善ポイント
- ユーザーが知りたいことをQに盛り込む
- 6W1Hを意識する
- 「新聞紙・雑誌・ダンボールの捨て方を教えて」
- →「新聞紙・雑誌を出せる曜日を教えて」
- →「ダンボールを出せる曜日を教えて」
- →「新聞紙・雑誌・ダンボールのゴミ捨て場を教えて」
- 「インターネットに接続できないので解決したい」
- →「接続エラーe001の解決策を知りたい」
3.3 Qの文に誤解の余地を作らない
- 「~の場合はどうしたら良いのですか?」は、「~の場合の~の方法を教えて」という具体的な解決策に変える
3.4 QをYes/Noクエスチョンにしない
- 改善ポイント
- Qに解決案を明示する
- ネガティブな回答の場合の記述方法
- 「払込書は、コンビニで処理できますか?」
- →「払込書で処理できるコンビニを教えて」
- 自己解決を促すのがFAQ
3.5 Qを読む人の立場に配慮する
- 配慮する。
3.6 Qのリストで視認性を高める
- 改善ポイント
- 言葉遣いに一貫性を持たせる
- 一貫性があるので目立たせることができる
- 視認性の要素
- 言葉の統一
- 語尾を揃える
- パターン化
- インデックス化
- 異形化
- 言葉の統一
3.7 Qのリストで粒度をそろえる
- 字数
- 言葉遣い
3.8 Qの文のさまざまなアイデア
- 専門用語・技術用語を使う場合のアイデア
- ユーザーからのお叱りなどを減らすアイデア
- 代替案の提示
- 改善状況の提示
- 長くなったQの文をシェイプアップするアイデア
- 単語と構文での短縮
- 記号・シンボルの活用による短縮
- 質を上げつつ短文にしていく
第4章:Aの書き方
4.1 Aの中で場合分け(条件分岐)をしない
- Qを分ける
4.2 Aに情報を盛り込みすぎない
- 解決したいことをQに盛り込んで、Aを軽くする
4.3 AとQを一致させる
- QとAは一問一答。Aのなかで条件分岐が起こらないようにする。
4.4 Aには結論をまず示す
- お礼や挨拶文は不要。簡潔に答え始めるほうが建設的で親切。
- 必要最小限の情報だけにする。
4.5 Aで使うすべての言葉に配慮する
- 6W1Hの文を作り上げる前後のシミュレーションをする
- Aは箇条書きにする
- Aでは装飾・記号は効果的に使う
- Aではリンクを効果的に使う
- Aでは目視でもユーザーの理解を助ける
- イラストは過剰にしすぎない
第5章:FAQのガイドラインの作り方
5.1 基本事項
- 目的と目標を示す
- ユーザーターゲットや利用デバイスを定める
- ルールにしたがっているかをチェックする
- 作文ルール
- FAQサンプル
5.2 FAQ(QとA)作文ルール
- 最大文字数
- Qの最大文字数
- Aの最大文字数
- 漢字,ひらがな
- カタカナ,アルファベット
- 全角,半角
- 略語,通称
- 採用する略語を定める
- 新たに略語や通称を採用するときの採用基準を決める
- 文体・基本構文
- Qの文体・基本構文のルール
- Aの作文の基本的な作文ルールを決めておく
- 記号,特殊文字のルール
- 専門用語・技術用語・商品用語・サービス用語のルール
5.3 ガイドラインの管理
- 更新の見極めとタイミング
- FAQ制作者と承認者
第6章:FAQのカテゴリの作り方
6.1 カテゴライズの重要なポイント
- カテゴライズの検討
- カテゴリタイトル
- カテゴリの粒度
6.2 質の高いカテゴライズ
- シンプルなカテゴライズを心がける
- シンプルなカテゴリのアイデア
- シンプルなカテゴライズの管理面でのメリット
- 質の高いFAQを書いておくとカテゴライズが容易
- ユーザーが取捨選択しやすいカテゴリタイトルにする
- ユーザー視点のカテゴリタイトルにする
- カテゴリ配下のFAQの数
- 商品名やサービス名をカテゴリにするケース
- 取捨選択しやすいカテゴリの例
6.3 さまざまなカテゴリ構成
- 階層型カテゴリ構成
- ユーザー目線の階層化
- FAQにおけるユーザー目線
- 階層の深度は2階層まで
- マルチカテゴリ構成
- マルチカテゴリ構成とユーザー目線
- 階層型カテゴリ,マルチカテゴリ構成の組み合わせ
- レコメンド型カテゴライズ
- 恣意的なレコメンドによるカテゴライズ
- FAQを関連付けるにはFAQ分析が役に立つ
- ソート型カテゴリ
- ソート型カテゴリはQの文の構成が鍵
- 特別なカテゴリ
- 緊急カテゴリ
- 80%のユーザーが自己解決できるカテゴリ
- カテゴリ不要なFAQ
第7章:FAQの分析とメンテナンス
7.1 分析とメンテナンスの基本
- FAQを陳腐化させない
- 完璧なFAQを目指さない
- FAQでユーザーの声を集める
- 質の高い分析の大前提は,質の高いFAQ
- 質が高いゆえに数が増えたFAQの課題
- メンテナンスしやすさのためのスモールスタート
- FAQのテーマをステップバイステップで増やす
- 分析とメンテナンスを継続する
7.2 分析値の種類と活用法
- KPI
- PV(FAQサイトの訪問者数)と直帰率
- 回答到達率と問題解決率
- コールセンターでの分析値
- ランキング
- FAQのアクセスランキング
- 回答未解決ランキング
- 検索キーワードランキングとゼロ件ヒット
- カテゴリランキング
7.3 メンテナンスを継続しながらFAQを育てる
- FAQを追加する
- FAQを更新(推敲)する
- 標準単語を整理する
- 新しい言葉を取り入れる
- ユーザーのリテラシーを標準単語にするときの注意
- 同義語辞書のメンテナンスもまめにする
- FAQを削除する
- ユーザーの時間を節約できる
- FAQ制作者の時間を節約できる
- 運営コストを落とし利益に貢献できる
7.4 質の高いFAQはメンテナンスもしやすい
- 定型文は書くのも推敲もしやすい
- 6W1Hの文は,書くのも推敲も楽になる
- 用語を統一するとメンテナンスが早い
7.5 メンテナンスの次のステップ
- 分析値を比較する方法
- 利益を比較する方法
7.6 分析とメンテナンスの効率化
- 分析はシステムにやらせる
- 判断は人が行う
- メンテナンスはシステムに手伝わせて人が行う
第8章:FAQ制作者が知っておくべきFAQシステムのしくみ
8.1 FAQシステムの導入目的とメリット
- ユーザー向けの基本機能
- FAQの検索・絞り込み
- FAQの閲覧
- FAQの自動ランキング閲覧
- FAQ制作者向けの基本機能
- FAQの管理
- FAQの分析
- FAQサイトのUI設定
- アカウント・操作管理機能
- FAQシステムの基本機能以外の機能
- Web検索からの導線とSEO対策機能
- チャットボットなどのヒューマンライクなUI
- CRMシステムとの連携
8.2 FAQシステムとFAQを活かす基礎知識
- キーワード検索機能を活かす
- テキストマイニングを利用する
- キーワード検索の対象をQにする
- 複数単語でのキーワード検索機能を活かす
- and検索
- or検索
- 自然文検索と形態素解析について知っておく
- 自然文検索機能とは
- 自然文検索のチャットボットでの応用
- 同義語検索を活かす
- 同義語検索のしくみ
- 同義語検索の便利な使い方
- 複合的な検索を活かす
- タグ付け機能を知っておく
- タグ検索機能
- SEOへの応用
- カテゴライズ機能を知っておく
- FAQ分析機能
- さまざまな分析値の提示
- 分析機能のカスタマイズ
- できる分析とできない分析
8.3 FAQシステムの採用
関連
以上です~