はじめに
本年11月から12月にかけて、時間的な余裕ができたため、12/21(土)に3年ぶりにLinuc認定試験を受験しました。私は既に有意性のあるLinucレベル2を保有していたこと、自分自身がここ数年の間OSSよりもクラウド領域の有識者になるべく奮闘していたこともあり、少しでもクラウド領域に近いLinuc304試験(Virtualization and HighAvailability)に挑戦しました。Linuc304の詳細については、下記のサイトをご確認ください。
本記事では、私が思うクラウド技術者がLinuc304試験を受験する意義について、少し触れたいと思います。(※一部、合格体験記も兼ねてますので、ご承知おきください)
受験前の保有認定
参考までに、Linuc304試験受験前の私が保有しているIT関連の認定は以下になります。
- AWS認定
- 全認定(計15個)保有。2024 Japan AWS All Certifications Engineer受賞
- Microsoft Azure認定
- Expertレベルの認定(Solutions Architect Expert、DevOps Engineer Expert)を含む、計7個保有。
- Google Cloud認定
- Professional Cloud Architect認定を含めた計3個保有。
- Linuc認定
- レベル2保有
その他、PM関連の認定資格(PMP)も保有。
学習教材
私が使用した教材は以下になります。
徹底攻略 LPIC Level3 304 教科書+問題集[Version 2.0]対応
Linuc304の出題範囲
現時点では、出題テーマは大きく分類すると、下記3つとなっています。
- 仮想化技術
- 高可用性クラスタ
- 高可用性ストレージ
仮想化技術
仮想化の概念理解と、KVM、Xen、クラウドの仮想化(IaaS、PaaS、SaaS)について問われます。私はここ数年クラウドに注力していたため、クラウドの仮想化については特段の学習は不要でした。また、KVMについては、業務で構築支援リーダーを実施していたこと、及び、個人で使用しているRHEL環境にKVM構築を実施していることもあり、こちらも復習程度のスタディーで済むかと思ったものの、普段あまり使わないコマンドを覚える必要があり、その点が苦労しました。(Linuc試験特有の悩み)
ただ、今の時代からみると流行おくれの技術ではと思われるXenについては何も知らなかったので、一応一通り市販の問題集に目を通しました。とは言え、今更環境構築までする気にはなれなかったので、問題集を繰り回すことで受験前に知識を蓄積するようにしました。
高可用性クラスタ
ロードバランサー・クラスタやフェールオーバー・クラスタについての理解が求められます。ただ、既にクラウドでのロードバランサー等の知識は持っていたので、概念的な理解については左程困りませんでした。ただし、内容がOSSのものとなっていることと、これまであまりオンプレミス環境でのLinuxを担当したことがないので、初めて耳にするソフトウェアが多く、ある意味新鮮でした。
とはいえ、定義ファイルのパラメータに何があるかを覚えるのは、Linuc202試験対策のようで大変でした。
高可用性ストレージ
こちらもディスクのレプリケーション、DR(Disaster Recovery)対策に関する理解が求められますが、自身がインフラエンジニアであることと、こういった高可用性、災害対策領域においては10年以上の実務経験(Linuxではないですけど。)があるので、その点は特に困りませんでした。
困るのは、コマンドを覚えたり、設定ファイルのパラメータを覚えないといけないことです。
受験しての感想
85分間で60問の設問を解く必要がありますが、私は20分ほどで1周終わり、残りの時間は全て見直しに充てました。Linuc202試験の時ほど、設定ファイルの細かいパラメータについて聞かれることが少なかったこと、仮想化技術の範囲が体感で6割以上占めていた感があり、クラウドとKVMに精通している自分としては助かりました。試験時間が終わり、結果が表示されるまでの数秒はいつも緊張しますが、無事「合格」の文字が表示されて良かったです。これで、クラウド領域の認定に加えて、Linuc認定についても上級レベルのLinuc-3認定になることができました。
クラウド技術者がLinuc304試験を受験する意義
さて、本記事のタイトルに記載の、クラウド技術者がLinuc304試験を受験する意義について、私個人が思うところを書いてみます。
現在、入社2,3年目位の社員の方は、入社してきた時からクラウドの潮流が激しく、OSを学ぶことよりもクラウド領域を優先度を上げて学ぶことが期待されるかと思います。クラウド→Linuxの順番に学ぶことは、私的には決して間違っているとは思いません。最近の多くの新しいテクノロジーを身に着けるためには、それぞれ優先順位をつけて学ぶのは、ある意味当然のことだと思います。
ただし、クラウドのスペシャリストになったからといって、OSを知らないでも大丈夫なんてことはありません。これまでオンプレミス環境で運用してきたお客様が、クラウド環境へ移行する場合にも、完全移行するばかりではなく、一部のシステムはオンプレミスに残すといったハイブリッド・クラウドの構成を取るお客様が多いかと思います。オンプレミス環境では、オンプレ独特のLinuxの知識が必要になりますし、クラウドでもIaaSを使う場合には、クラウドの責任分担モデルに従い、普通にLinuxの環境をお客様自身が責任をもって管理することが必要になります。そういった、ハイブリッド・クラウドやIaaSの環境で稼働するLinuxを技術者としてサポートできるようになるためには、Linuc304をスタディーして認定取得を目指したほうが良いかなと考えます。
今後のLinuc304試験に対する期待
現状、Linuc304試験の出題内容は、8年近く前の技術から変わっていないように感じました。個人的に、仮想化技術としては、Xenはもう範囲から外して、KVMのみにしたほうがいい気がします。KVMは、本年様々なセミナーで紹介されたRedhat Openshift Virtualizationのベース技術になっているので重要です。
後は少しでもハイブリッド・クラウドを意識したLinuxの出題になるといいなと思いました(自身がクラウド好きだからというのもありますが(笑))。今後は、なるべく今の時代に沿った出題範囲となるよう、Linuc-1、Linuc-2のように出題範囲の見直しが行われ、より最新のスキル習得がしやすい試験に生まれ変わることを期待しています。