はじめに
この記事はNTTドコモソリューションズ Advent Calendar 2025のシリーズ3 19日目の記事です。
こんにちは、NTTドコモソリューションズの森です。(2025年7月1日に社名をNTTコムウェアからNTTドコモソリューションズに変更しています)
私は今までExcelは少ししか触ったことがなかったのですが、
最近 集計業務やピボットテーブル作成、マクロ作成などを行うことが多く、
その中で、これは知れてよかった!という機能をこの記事を通してお伝えできればと思います。
◆筆者経歴・当記事の想定
- Excelは昨年度まで高校までで習った知識程度
- プログラミングも会社の初期研修+α 程度
のため、専門的な方ですとより良い方法をご存じかもしれませんが、Excelをもう少し活用してみたい!という人にとって役立つ知識を紹介できればと思います。
《マシン・アプリ情報補足》
下記以外の場合、操作方法や機能有無、表示内容が異なる場合があります。
- OS : Windows 11 Pro
- Excel : Microsoft 365 Apps for enterprise (Excel バージョン 2510)
知らなきゃ損! 絶対知ってほしいExcelの小技
シートのジャンプ
- シートが沢山あって見たいシートが見つけ辛い!移動が大変!
…という方
この機能を使ってください!

(出典:Microsoft Corporation, Microsoft Excel(筆者ローカル環境/スクリーンショット取得日:2025年12月17日)以下同様)
※非表示シートは一覧に表示されないので、シート名部分を右クリック→再表示 で表示してから実施してください
また、上記とは別ですが
[Ctrl] + [PgUp] or [PgDn] キーで隣のシートに移動が可能です
合計値のテキストコピー
- 複数セルの合計値をテキストコピーしたいな…
という方
わざわざSUM関数やピボットテーブルを用意したり、手打ちで転記していませんか?
・・・なんと、上記赤枠を クリックするだけ でコピーできます!!!
合計したいセルを選択して下の方に出た「合計:」をクリックするだけ
(補足:セルの複数選択)
セルの範囲選択:開始セルを選択後、[Shift]を押しながら終了セルを選択
セルの任意選択:開始セルを選択後、[Ctrl]を押しながら次のセル、次の次のセル…をクリック(セルが隣同士でなくてもOK)
フィルターショートカット
- 余計なフィルターがかかっているときに、素早く全解除したい
- 新しく・または再びフィルターを付けたい
という方
フィルター化・フィルター解除の切り替えは [Ctrl] + [Shift] + [L] で可能です!
XLOOKUP
索引によく使う「VLOOKUP関数」ですが、使っていて
- 範囲指定がよく分からない
- 列番号が分かり辛い
- 検索列が取得したい列より右側にあり、使えない
- 検索値が見つからない場合#N/Aになる
となったことはありませんか?
2020年に 上位互換 「XLOOKUP関数」 が追加されています。
- 検索範囲と、取得範囲(戻り範囲)を明示して指定 列番号不要
- 検索範囲と、取得範囲の左右は問わない
- データがない場合の処理や表示テキストを指定可能
例えば下記の例でA001の売上を検索したい場合、
◆VLOOKUPの場合

- 範囲 「B3:E5」を検索列と取得列を含むようにし、かつ検索列が一番左になるように範囲指定
- 列番号 を指定(取得列は範囲内で左から何列目か)
と非常に分かり辛いですね
また、H3の値を表に無いコード(A004など)にすると、#N/Aが返ってきます
- 検索範囲と取得範囲(戻り範囲)が明確になり、どこを検索し、どこから取得するのか分かりやすくなっています
- 見つからない場合の処理を記載することもできます(例では「データ無し」を表示)
よくあるExcelトラブル小ネタ
スクロールバーが小さい
データに対してスクロールバーがやたら小さくなったことはありませんか?

原因は、末尾に何らかのデータが入ってしまっているためです(値に限らず、書式など)
「ホーム」タブ 虫眼鏡マーク(検索と選択)>「条件を選択してジャンプ」を押下し、「最後のセル」を選択して余計なセルを探します。
行ごと削除などし、上書き保存をすると解消されます。
スピル
他の人が作成したExcelを開いたとき、
- なんだか関数がグレー表示されていて編集できないし、よく分からない式が入ってる
- 値を編集しようとするとデータが消えてしまう
これはおそらく スピル です
後述で紹介します
使ってみたいが手が出ない Excel機能 4選
①スピル
おすすめ度 低
【概要】
スピルとは、数式を入力したセルだけでなく、隣接するセルにも結果を自動的に表示する革新的な機能です。2019年に追加された機能です。
1セルに式を入力しただけで隣接する複数列*複数行に結果が反映されます。
【見方・使い方】
例ではE3に式を入れるだけで、E12まで式が展開されています。
一番左上のセルに式が入っており、他は編集できないので、画像上部関数部分がグレーになっている式を見かけたら左上をたどってください。黒字のセルがあるはずです。
(式の展開範囲が青枠などで囲まれているので、その範囲の左上です)
式の書き方はかなり特殊で種類もあるので、ここでは割愛します。検索してみてください。
【所感】
個人的には
- 式がかなり分かり辛い・難易度が高い
- 処理が重く、マシンスペックや他処理状況によっては計算ができない
ため、あまりおすすめしません。
(最終行などを指定して式を展開できたりする、処理が一応セル上に記載されている(マクロなど開かなくても分かる)と利点もありますが)
(豆知識)#スピル!について
スピルは式の展開先に値が入っていると展開できずエラー(#スピル!)になります。
②マクロ(VBA)
おすすめ度
!
【概要】
知っている方も多いと思いますが、
Excel の マクロ とは、Excel 上で行う一連の操作を 自動化する機能のことです。
繰り返し作業や定型処理を、ボタン1つやショートカット、指定の操作時(ブックを開いた時等)に実行できるようになります。
指定の命名規則に該当する全ブックから所定のシート・セルをコピーしてきたり、
複雑な計算を行いシートに出力する、など色々なことができます。
当ページではプログラミング・フォーム(ボタン)設置など基本的な使い方を紹介します
※操作の記録もありますが、割愛します。
プログラミングを何かしらの言語でやったことがあり、簡単なデバッグをしたことがある人であれば、当記事を読めば十分に扱えます!
【見方・使い方】
1. 開発タブを表示する ※画面上部に開発タブがない場合のみ実施
「ファイル」タブ > 「オプション」 > 「リボンのユーザー設定」
右側 リボンのユーザー設定 のドロップダウンリスト から「メイン タブ」を選択し、「開発」にチェックを入れ「OK」
2. マクロ有効ファイルとして保存する ※既に実施済みの場合は不要
ファイルの種類を「Excel マクロ有効ブック(*.xlsm)」として保存
※画面上部にセキュリティの警告「マクロが無効にされました。」が出た場合、「コンテンツの有効化」を押下
3. Visual Basicを起動する
「開発」タブ > 「Visual Basic」
4. コードを見るor書く
※見る場合は後述の豆知識も参照
コードを見たいor書きたいシート名をダブルクリック(新規作成の場合、削除されないシートであればどれでもいいかと思いますが、分かりやすいシートに)
コードはVBAという言語で書かれています。
見る場合も書く場合も、Copilotに聞くのがおすすめ!
(Microsoft Corporation, Microsoft Copilot や Copilot in Microsoft 365など)
Microsoft製品のため、かなり詳しく解説してくれますし作ってもくれます。
5. コードを動かす
あとは普通のプログラミングと同じです
関数内を選択し、▶を押下
ブレークポイントもつけれますし、ウォッチやステップインショートカットは上部のタブを活用してください。
6. 作成したマクロをVisual Basic外から呼べるようにする
押すだけで処理を実行してくれるボタンを作りたい!方
下記のどちらかで可能です。
(パターン1)
・「開発」タブ > 「挿入」 で挿入したいフォームを選択 ※(以下は左上ボタンを選んだ場合)
・図形を書くみたいな枠が出るので、適当な大きさに引っ張る
・マクロ名の選択画面が出てくるので、呼びたいシート・マクロを選択しOK
(パターン2) ※図形をボタンとする場合のみ
・マクロを付けたい図形を挿入するor選択する
・右クリックで「マクロの登録」
他にも色々あるのですが当記事では割愛します。ファイルオープン時に実行などの設定もできます。
【所感】
VBAが分からず敷居が高かったのですが、今はCopilotがあるので素人でも思ったマクロが作れるので非常に便利です。
挙動がおかしい時のデバッグ能力は必要ですが、何かしらのプログラミング言語の知識があれば十分使いこなせると思いますので、興味のある方はぜひやってみてください。
(豆知識)マクロのボタンはどの関数を呼んでいる?
デバッグしたいが、ボタン押したときに何の関数呼ばれてるか分からない場合、
- ボタンを右クリック > 「マクロの登録」
でデフォルトで表示されているシート名・関数名が呼ばれるマクロです。
③ピボットテーブル
おすすめ度
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【概要】
こちらも有名な機能ですが、
特殊な数式を使わずに、膨大なデータを、誰でも簡単に整理、集計、分析が出来る機能です。
UIの操作で項目ごとの合計などが簡単に表示できます。
【見方・使い方】
(一番簡単な方法を抜粋して紹介)
-
ピボットテーブルの挿入
集計したい表をフィールド名(売上など)ごと範囲選択
「挿入」タブ > 「テーブル」 > 「ピボットテーブル」

次の画面では、テーブル範囲はそのままに、ピボットテーブルを追加したいシートを選択(新規/既存) -
ピボットテーブルの設定

(パターン1)右側にフィールド名が表示されるので(上部赤枠)、行・列・値に設定したい項目を一つずつ上の赤枠から下の赤枠内4種別のいずれかにドラッグアンドドロップ
(パターン2)フィールド名のチェックボックスを押すと推奨の形で自動でフィルター/列/行/値に分類してくれる ※うまくいかない場合はドラッグアンドドロップで調整

値に10月売上/11月売上/12月売上、行に商品コードを設定すると商品コード毎や月毎の売り上げを計算してくれる。例の場合列は自動で設定されている。
また、例にはないですが、1列に日付が入っているデータがあると自動で年/月/日をグループ化してくれたりします。
※右側に出ている画面が消えてしまった場合はピボットテーブル内で右クリック>「フィールドリストを表示する」で表示できます。 -
データの更新
《データ範囲を変更したい場合》
元のデータの行・列が増えたときなどは
ピボットテーブル内のいずれかのセルを選択肢、
「ピボットテーブル分析」タブ> 「データソースの変更」で範囲を変更できます。
《データを更新したい場合》
元データのデータ変更を反映したい場合は
ピボットテーブル内のいずれかのセルを選択肢、
「ピボットテーブル分析」タブ> 「更新」 もしくは
テーブル上で右クリック時のメニューからも「更新」できます。
※その他の使い方は豆知識として後述
【所感】
単純な集計業務にはとても使いやすい機能。グラフとの親和性も高い。
ただそこまで利用頻度が高いかといわれるとそうではないのでおすすめ度は2
年度ごとの集計ができない点はイマイチ。
(豆知識)表形式で表示する(行ラベルを横並びで表示する)
下記画像のように、行を2つ指定した時に、東京 A001、東京 A002と同行に表示したいと思ったことはありませんか?

ピボットテーブル内のいずれかのセルを選択し、
「デザイン」タブ > 「レポートのレイアウト」 > 「表形式で表示」
「デザイン」タブ > 「レポートのレイアウト」 > 「アイテムのラベルをすべて繰り返す」

でこのように表示できます!BIツールに取り込む場合など、表形式で他に取り込みたい場合はこちらを使ってみてください。

東京 集計 や 総計 部分が邪魔な場合は以下で削除できます。
「デザイン」タブ > 「小計」 > 「小計を表示しない」
「デザイン」タブ > 「総計」 > 「行と列の集計を行わない」
(豆知識)列を並び替える
ピボットテーブルのフィールド(上述画像参照)内で値部分などをドラッグアンドドロップで入れ替えれば表示は替えられますが、
枠が小さくて操作しづらくて、列の順番を入れ替えたいのにうまくできないことがありませんか?
下記のように、移動したいフィールド名の赤枠部分にカーソルを合わせてください。

←のようなカーソルになったらそのままドラッグアンドドロップで移動先に移動ができます。
(豆知識)表示形式を変更する(金額にカンマを付ける、マイナスを赤字にするなど)
ピボットテーブルのフィールドで下の方にあるフィルター/列/行/値内にある、変更したいフィールド名をクリック > 値フィールドの設定が表示されるので表示形式を設定

※合計を表示してほしいのに値が個数表示になってしまった場合は表示形式ではなく、その上「選択したフィールドのデータ」で合計を選んでください
④クエリ
おすすめ度
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【概要】
Excelクエリは、データの抽出、整形、分析を効率化するための機能であり、特にPower Queryを使用することで、外部データを簡単に操作できます。
カスタムの列を追加したり、2つのテーブルをマージしたりとデータ操作に向いている機能です。
【見方・使い方】
基本的な使い方を紹介します。
以下のような2つの表があったとします。
・商品コードをキーにマージした表を作成する
・単価×売上個数で売上列を作成する をやってみたいと思います。

- テーブルを作成する
左の表をフィールド名含み範囲選択し右クリック>テーブルまたは範囲からデータを取得
すると、Power Query エディターが立ち上がります。
左にテーブル1とあるので、適宜名前を変えて、「閉じて読み込む」を押下
シートにテーブルが表示されますが、シートは不要であれば削除してしまって大丈夫です。
次に右の表も同じことを行います。 - テーブルをマージする
「データ」タブ > 「データの取得」 > 「クエリの結合」 > 「マージ」

画像では、1で設定したテーブル名をそれぞれドロップダウンから選択し、結合キーとなる商品コードをクリックしています。
結合の種類についてはもっと詳しく解説しているブログなどあると思いますので、割愛しますので活用の際は調べてみてください。
「OK」を押すとマージしたクエリ(表)ができます。マージ1ができるため、適宜リネームします。 - テーブルを編集する
2つ目に選択したテーブルのフィールドはデフォルトだと閉じられた状態のため、下記画像赤枠 >「展開」を行います

列の削除などは直感的にできます。右クリックや上部メニューから可能です。
商品コードが2列あったので消します。

右側にある「適用ステップ」に、ユーザーがしたデータ操作が記録されています。
ステップ単位で操作の削除が可能です。この時点で「削除された列」ステップを右クリック>「削除」すると、削除操作がなかったことになり、商品コードが2列ある状態に戻ります。
また、画像上部に見えていますが、この箇所を編集すればコードでの操作も可能です(Vマーク押下でウィンドウ広げれます)。UIで操作した内容もすべて自動でコード化されています。 - 新しい列を作成する
色々な列が作れますが、ここでは単価×売上個数で売上列を追加してみます。
単価列をクリックし「列の追加」タブ > 四則演算記号アイコンの下「標準」 > 「乗算」

「列の値を使用します」を選択し、列名を指定
「乗算」列がクエリに追加されます。
列のリネーム:列名をダブルクリックなどで可能
列の並び替え:直感的に操作可能です。列名をドラッグアンドドロップ
「ホーム」タブ > 「閉じて読み込む」で完成した表が表示されます。

また編集画面を開きたいときはテーブル上のセルを選択し、「クエリ」タブ > 「編集」
もしくは「データ」タブ > 「データの取得」 > 「Power Query エディターの起動」を選択
【所感】
利用頻度がそこまで高くないのでおすすめ度2。
あとは機能知らない閲覧者が何をやっているのか辿りつけない点は難点かと感じます。
あとがき
いかがでしたでしょうか。もっと良い機能や小ネタなどあればぜひコメントで教えてください!
少しでも皆さんの作業効率改善に役立てれば幸いです!
※当記事で記載されている会社名、製品名、サービス名は、各社の商標または登録商標です。





