10
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?

この記事はNTTドコモソリューションズ Advent Calendar 2025の1日目の記事です。

こんにちは、NTTドコモソリューションズの平塚です。2025年7月1日に社名がNTTコムウェアからNTTドコモソリューションズに変わりました。最近はワンス・アポン・ア・塊魂で塊を転がして大きくしています。

Gemini要約・翻訳ツールのUI/UX改善要望対応

昨年紹介したブラウザ拡張機能「Geminiによる要約と翻訳」は12月1日時点でChrome/Edge/Firefox版を合わせて11,000名ほどのユーザーに使っていただいています。このくらいユーザーが増えてくると色々と改善要望が送られてくるようになってきます。本日はそれらの改善要望に私がどのように対応しているのか、あるいは対応できていないのかをご紹介します。ほんの少し機能追加するだけでユーザーの満足度が上がるものもありますし、逆にユーザーは気軽にリクエストをしてくるのですが実現が極めて困難なものもあります。これらの事例がブラウザ拡張機能を作る方の参考になれば幸いです。

image.png

対応済みの改善要望

改善要望のうちユーザーの使い勝手に直結し比較的実装規模が小さいものについては積極的に対応してきました。ここでは代表的なものをご紹介します。

1. 処理結果をクリップボードにコピーするボタンを付けてほしい

Need a 'copy button' on the result page.

対応しました。

image41.png

テキストを選択してCtrl+Cを押すだけなのではと思わなくもないのですが、よく使う機能にはすぐにアクセスできるようにしてほしいということですね。同じ要望を複数のユーザーからいただきました。

Qiitaでもコードブロックを書くと右端にコピーボタンが付きます。

2. アラビア語に対応してほしい

It doesn't have some languages like Arabic.

対応しました。

image44.png

アラビア語は右から左に書く言語なので、以下のコードで書字方向を指定しています。

// Set the text direction of the body
document.body.setAttribute("dir", chrome.i18n.getMessage("@@bidi_dir"));

加えて、ウェブブラウザの表示言語をアラビア語にした場合は上のスクリーンショットのようにUI全体が左右反転します。ブラウザ表示言語、結果表示言語の組み合わせを複数パターンテストしていくことになるため、少し手間が増えることにはなってしまいます。

3. ダークモードに対応してほしい

Great extension, works well. Please support dark mode.

対応しました。

image50.png

このツールで採用しているnew.cssはOSの設定に合わせて自動でダークモードを適用してくれます。ただOSとアプリケーションで設定を分けたいという話だと受け止めましたので、OSの設定によらず強制的にダークモードを適用するオプションを追加しました。

4. 処理結果に対してフォローアップ質問をしたい

First off, this extension is REALLY good thank you for that!
I think it would be cool if we could provide it with a follow up prompt, after the summary to ask additional questions about the summarized article.

対応しました。

image.png

このツールの初版には単にウェブページの要約・翻訳をするだけの機能しかありませんでしたが、フォローアップ質問に対応することで内容を深掘りしたり、誤りを訂正させたりができるようになりました。このあたりからツールの方向性が少し変わってきたと感じています。

5. プロンプトをカスタマイズしたい

Hi I like you chrome extension. It would be great if you can allow users to customize prompt for different purpose. Another one is to select text to use your extension. Thanks.

対応しました。

image.png

要約・翻訳以外に、このツールに行わせたい処理を最大六つ定義できるようにしました。本機能を用いて学術論文の読解など複雑な処理を行わせているユーザーもいらっしゃるようです。この機能追加をきっかけとして、設定内容のインポート/エクスポート、コンテキストメニューの追加、ショートカットキーの追加など周辺の改善要望がしばらく続くことになりました。最近ようやく落ち着いてきたところです。

対応できていない改善要望

一方で仕組み上の制約が大きいものや拡張機能の構造を大きく変える必要があるものについては、まだ実現できていません。ここからは対応できていないものをご紹介します。

1. 翻訳結果で元のウェブページを書き換えてほしい

Thank you very much. Best extension. Will it have the function to change dom, convert original text to translated text? Instead of clicking on the extension to see the translated content.

対応できていません。

Chromeが備えているGoogle翻訳のように元のウェブページのテキストを翻訳結果で書き換えてほしいという改善要望です。実装がかなり大がかりになりそうなこと、拡張機能に追加の権限を与えなければならない可能性があることから、現在のところ対応の予定はありません。

2. 表示されているPDFを要約できるようにしてほしい

I noticed that when I'm viewing a PDF within Firefox, if I click the summarize/extension button, it will only provide a summary of the text that's currently visible on the screen. e.g., it's not summarizing the whole document, or even what's currently selected in the PDF. If I zoom out and re-run the summarization, it then has the context of the text that's visible since zooming out.
It'd be nice if it would get the text from the entire PDF, as well as only the text if there's a selection.

対応できていません。

技術的に、ウェブブラウザに表示されているPDFファイルのテキストをブラウザ拡張機能から取得する方法がありません。このツールはウェブページのテキストが取得できない場合はスクリーンショット解析にフォールバックすることで何かしらの結果を返そうとするのですが、PDFについては現状それ以上の処理は行えていません。

代替案としては、PDFファイルをアップロードしてサーバー側でPDFの要約や翻訳を行う別のウェブサービスを提供することが考えられます。しかし私がそのようなウェブサービスを開発するよりも、ChatGPTやNotebookLMに任せる方が現実的でしょう。

3. 時間がかかる処理をバックグラウンドで実行させたい

Sorry for all the requests :) Just really enjoying this extension and have found another item I think that would be beneficial.
There are some times where I know I am going to want to bring the response of the summarization up in a new tab right away. Now, I have to click the summarize extension button, then wait for it to generate the response, then I can click "Open results in a new tab". It'd be nice if I could Ctrl+Click the summarize button and it would open the new tab immediately and generate the response there instead.

対応できていません。

時間がかかる処理をバックグラウンドで実行したいという要望は複数のユーザーからいただいています。

現在の実装ではポップアップウィンドウにロジックの大部分が記述されており、ポップアップウィンドウを閉じると処理自体を終了してしまいます。これを解決するにはModel-View-Controllerのようなアーキテクチャを導入して、まずロジック(Controller)をポップアップウィンドウ(View)から分離する必要があります。

時間はかかりますが、将来のバージョンで対応したいと考えています。

4. OpenAI互換APIに対応してほしい

I hope you are alright :-) I am still using the extension almost on a daily basis, it is so incredibly useful! Thank you so much for continuing working on it :D
I would like to suggest to support local models through ollama or just OpenAI-compatible APIs. Nowadays I think tiny models such as gemma3:1b have become good enough with a long enough context window to be useful for this purpose on most websites content.
This can likely be done via generative AI, it is particularly good nowadays at plugging genAI APIs anywhere we want. I can make a PR if you may consider it (I have a custom prompt to minimize changes to the minimum necessary so it mimics well a human contribution, although it is not as good as an experienced dev knowing the codebase like you :-) ).

対応できていません。

現在Gemini、Claude、Ollamaのような多くのサービスやツールがOpenAI互換APIをサポートしています。もしこのツールを今から開発するとしたらOpenAI互換APIのみをサポートすると思います。一つのAPIをサポートするだけで複数のLLMを利用できるようになるためです。

懸念点としてOpenAIのAPI仕様が頻繁に更新される点があります。最近ですとGPT-5.1のリリースに合わせてreasoning_effortの取り得る値にnoneが追加されました。こうした仕様更新に対して、広範なテストを継続的に行い互換性を維持していくところに難しさがあります。

ある程度機能を絞った形で、将来のバージョンで対応したいと考えています。

今後の展望

今後もしばらくは趣味として無理のないペースで開発を続けつつ、いただいた改善要望には可能な範囲で応えていきたいと考えています。ただ、あれこれ機能を足し続けると複雑さが増してしまうため、これまで通り「シンプルに使えること」を最優先にします。

方針としては次のようなイメージです。

  • 直感的に分かりやすく操作できるようなシンプルさを守る
  • 実装コストが小さく、効果が大きい改善要望は積極的に取り込む
  • 大がかりな機能追加は、時間の余裕があるときに慎重に検討する
  • 長く維持しやすい作りを心がける

本業の合間に少しずつ更新しているプロジェクトなので一気に大きく進化させることは難しいのですが、日々の作業がちょっと楽になる「小さくて便利なツール」として育てていければと思っています。これからも気軽にフィードバックをいただけると嬉しいです。

本記事の要約

この記事自体を要約してみました。

image.png


記載されている会社名、製品名、サービス名は、各社の商標または登録商標です。

10
2
0

Register as a new user and use Qiita more conveniently

  1. You get articles that match your needs
  2. You can efficiently read back useful information
  3. You can use dark theme
What you can do with signing up
10
2

Delete article

Deleted articles cannot be recovered.

Draft of this article would be also deleted.

Are you sure you want to delete this article?