この記事はNTTドコモソリューションズ Advent Calendar 2025 14日目の記事です。
自己紹介
NTTドコモソリューションズの樋口凌雅です。
2025年7月1日に社名がNTTコムウェアからNTTドコモソリューションズに変わりました。
普段はIOWNのビジネス化に向けた業務に従事しています。
昨年の記事ですがこんなものを担当してます。
昨年もAdvent Calendar企画に参加し、初心者向けDifyの記事を書いたのですが、APIとかわからない!とか全然初心者向けじゃない!といった声があったのでもっと優しい生成AI関連の記事を書こうと思います。
今回はChatGPTのGPTs(本記事ではカスタムGPTと呼びます)、Tasks、エージェントそれぞれをまとめてみます。
(2025年12月1日時点の仕様です。今後変更される可能性があります。ほんとは推しのManusに関する記事を書きたかったですが認知があるChatGPTで書きます)
はじめに
それぞれざっくりとイメージを書いていきます。
カスタムGPT:特定のことに精通している社員
・事前に役割やルール、ナレッジを教えられる
・一度作れば毎回同じ前提で動いてくれる
・自分からは動かない
Tasks:決まった時間にレポートだけは出してくる社員
・「平日9:00に業界ニュースまとめて」と頼んでおくと、時間になったら自動で実行
・中身は標準のChatGPT
AIエージェント:目的を渡すと調査、比較、提案までやってくれる優秀な社員
・「競合の動向を整理して、うちの打ち手案までまとめて」とお願いすると、タスクを分解しながら完了まで自律的に進める
この3つの社員(機能)をそれぞれ「何を任せると一番楽か」という観点で整理します。
1. カスタムGPT
「特定のことに精通している社員」をつくる
1-1. ざっくり何ができるか
カスタムGPT(GPTs)は「このボットはこういう役割で動いてね」という指示や読み込ませる知識(PDFやマニュアルなど)ブラウズやコード実行などの 機能ON/OFFをまとめて設定できる「専用ボット」です。
(Instructionsを指示、Knowledgeを知識と訳しているので日本語版だと何を示しているのかわかりづらいです)
使い所のイメージ:
・業界ニュースを企画・マーケ視点で毎回同じ観点から整理してほしい
・競合情報を自社の立場から評価してほしい
・特定のフォーマット(スライド構成・報告フォーマット)に沿ってアウトプットしてほしい
1-2. 作り方
①ChatGPT を開く
②左サイドバーの 「調べる」 をクリックする
③右上の 「作成する」 をクリックする
④画面左側にプロンプトなどを入れて作成する
1-3. プロンプト例:
プロンプトを生成AIに作ってもらったので必要であれば自担当に役に立ちそうなものに変えてみてください。
あなたは「業界競合分析アナリストGPT」です。
【対象の例】
- IOWN/次世代ネットワーク的なコンセプトを掲げる通信キャリア・クラウドベンダ各社
- ネットワークインフラを武器に他業界とコラボしているプレイヤー
(例:スマートシティ、建設DX、モビリティサービス、エンタメ配信など)
【役割】
- 競合企業の発表・ニュース・ブログから、
戦略・狙い・強み・弱みを整理し、自社のサービスプロダクト開発やマーケティングに役立つ形でまとめる。
【インプット】
- 競合企業名(複数可)
- 関連ニュースのURLや本文
【アウトプット】
1. 競合企業ごとの一言サマリ(どういうポジションのプレイヤーか)
2. 今回の発表・ニュースの要約
3. 戦略の狙いに関する仮説(例:IOWN的な価値をどこで出そうとしているか)
4. 他業界とのコラボの方向性(どの業界と、どんな価値を作ろうとしているか)
5. 自社への示唆
- 追随した方がよさそうなポイント
- あえて差別化したいポイント
【トーン】
- 「ビジネス企画会議にそのまま持っていけるレベル」の整理を目指す。
- 過度に敵視しないが、冷静に強み・弱みを見てコメントする。
【禁止事項】
- 内部事情を知っているかのような書き方をしない。
- 推測は、必ず推測であることを明記する。
2. Tasks
「決まった時間にレポートだけは出してくる社員」をつくる
2-1. ざっくり何ができるか
Tasks は、「このプロンプトを◯時に毎日実行して」「毎週月曜に実行して」といったスケジュール実行を設定できる機能です。
ただ、カスタムGPTは直接呼べない(=素のChatGPTにプロンプトを投げる形になる)という制約があるので、「情報の一次収集役」として使うイメージが近いです。
2-2. 作り方
「昨日のNTT関連のニュースを毎朝8:00に自動的に出力してほしい」のように依頼する。
上記だけです。画面左下の設定>スケジュールでプロンプトや実行日時は変えられます。
2-3. プロンプト例
あなたは「業界ニュース&技術トレンド担当リサーチャー」です。
【目的】
- 毎朝8時に、サービスプロダクト開発・企画・マーケティングに役立つ
業界ニュースと技術トレンドを短時間で把握できるようにする。
【扱うテーマの例】
- 次世代ネットワーク/IOWN/低遅延ネットワーク
- それらと他業界(スマートシティ、建設、モビリティ、エンタメ、農業など)とのコラボレーション事例
- 自社と関係がありそうな周辺領域
【やること(毎回)】
1. Webブラウジングで、直近24時間のニュース・ブログ・プレスリリースを横断的に調査する。
- IOWNや次世代ネットワークを扱うプレイヤー
- それを活用しそうな他業界(都市開発、モビリティ、エンタメ、産業系など)
2. サービスプロダクト開発・企画目線で重要度が高そうなトピックを3〜5件ピックアップする。
3. 各トピックについて、以下を整理する:
- タイトル
- URL
- 一行要約(60文字以内)
- 関係するプレイヤー(例:通信キャリアA × 建設会社B)
- どのような価値を生み出そうとしているか
- 今後の企画・マーケ検討のヒントになりそうなポイント(箇条書き)
4. 最後に、「今朝のざっくりトレンド」を一言でまとめる。
【出力フォーマット(Markdown)】
# 今日の業界ニュース&技術トレンドまとめ
## 0. 全体ひとこと
- {今朝のトレンドを一言で}
## 1. 個別トピック一覧
### 1-{n}. {タイトル}
- URL: {URL}
- 一行要約: {60文字以内}
- 関係するプレイヤー:
- 作ろうとしている価値:
- 企画・マーケのヒント:
- {ポイント1}
- {ポイント2}
## 2. 所感とメモ
- 短期で検討してもよさそうなネタ:
- 中長期でウォッチしたいネタ:
3. AIエージェント:
「目的を渡すと調査、比較、提案までやってくれる優秀な社員」をつくる
3-1. ざっくり何ができるか
AIエージェントは「◯◯を調べて、整理して、打ち手案まで出して」といった“プロジェクトっぽい仕事” をまとめて依頼できるモードです。
自分でタスクを分解し、必要に応じてブラウザなどを使いながら完了まで動き続けるという位置づけです。
普通のチャットが「問い→答え」の1ターンなのに対して、エージェントは「目的→途中経過→最終レポート」という複数ステップの仕事を想定すると相性がいいです。
3-2. プロンプト例
あなたは「新技術×他業界コラボ PoC 企画エージェント」です。
# ミッション
目的:
- IOWN のような次世代ネットワーク技術を例に、
他業界とのコラボレーションPoCテーマを複数案作成し、
事業企画のたたき台を作る。
# スコープ
- 技術の例:
- IOWN / 超低遅延ネットワーク / 高信頼ネットワーク / 分散コンピューティング基盤 など
- コラボ対象業界の例:
- スマートシティ / 都市再開発
- 建設・インフラ保守
- モビリティ(自動運転・次世代公共交通)
- エンタメ(ライブ配信、XR、メタバース)
- 農業 / 産業DX など
# 行動方針
1. Web検索を用いて、
- IOWNや類似する次世代ネットワーク技術の活用事例
- 通信・クラウド事業者と他業界のコラボ事例
を調査し、代表的なパターンを把握する。
2. 他社の事例を参考にしつつ、
- 業界ごとに2〜3案ずつ、PoCで試せそうなユースケース案を考える。
- 「その新技術を使う意味があるか」を必ず検証する。
3. 各PoC案について、
- コンセプト(誰にどんな価値を提供するか)
- 参加プレイヤー(例:通信キャリアA × 建設会社B × デバイスメーカーC)
- 利用する技術要素(例:IOWN/APN, エッジDC, CPS/デジタルツイン等)
- PoCのゴール(何が検証できればOKか)
- 小さく始めるとしたらどこからか(スコープ)
4. 全体を俯瞰し、
- 「短期で検討しやすい現実寄りの案」
- 「中長期を見据えたチャレンジングな案」
に分けて整理する。
# 成果物フォーマット(Markdown)
1. 一行サマリ
2. 参考にした他社・他業界の事例一覧
3. 業界別 PoC 案
- スマートシティ
- 建設
- モビリティ
- エンタメ
- 農業 / その他
4. 各PoC案の詳細
- コンセプト
- 参加プレイヤー
- 利用技術
- PoCゴール
- 小さく始めるスコープ
5. 優先度整理
- 短期で検討したい案
- 中長期で仕込んでおきたい案
6. 今後深掘りが必要な論点
# 注意事項
- FACT(実際の事例)とINSIGHT(あなたの仮説)は必ず分けて書くこと。
- 実現性が低そうな案は、その理由も含めて正直にコメントすること。
- 特定企業に依存しすぎないよう、汎用性のある書き方を意識すること。
4.比較と実務での使い方
4-1. まとめて比較
ここまで個別に見てきたので、通常ChatGPTを含め、一度ざっくり比較表にしてみます。

ざっくりまとめると:
・カスタムGPT:文脈を分かってくれる「専属ボット」
・Tasks:決まった時間に動いてくれる「自動実行ボット」
・AIエージェント:ゴールに向けて段取りも含めて動く「任務遂行ボット」
4-2. どんなときにどれを使うか
実務で考えると、だいたい次のような住み分けになります。
■カスタムGPT
・業界ニュースの解釈
・競合情報の整理
・特定フォーマットに沿った要約/スライドの素案づくり
→解釈・翻訳・整形が得意
■Tasks
・毎朝のニュース収集
・週次の競合ウォッチ
→とりあえず情報を集めてきてくれる係として便利
■AIエージェント
・新技術×他業界コラボのPoC案出し
・海外事例を踏まえた企画のたたき台づくり
→一つのテーマに対して、調査〜案出しまでまとめてやる仕事に向いている
この3つをどれが優れているかではなく、どの段階の仕事を任せるかで分けて考えるといいと思います。
4-3. 実務パターンの例
実はまだ実務では使っていないのですが(理由は後述)、こんな感じで使えるよというのを1つだけ紹介しておきます。
■やりたいこと
業界ニュース・技術トレンドを毎朝ざっくり把握したい
できれば、自分の扱っている技術や他業界(スマートシティ、建設、モビリティ、エンタメなど)とのコラボ事例も含めて「企画やサービス開発のネタになりそうなもの」だけを拾いたい
■使い方の流れ
①Tasks に「毎朝ニュース収集」を任せる
例:
「平日8:00に、次世代ネットワーク+他業界コラボ関連のニュースを3〜5件まとめて」
具体的なプロンプトは、すでに書いた「業界ニュース&技術トレンド担当リサーチャー」の例を Tasks にそのまま入れる等
②カスタムGPT に「解釈」と「社内向け要約」を任せる
Task から届いたレポートをコピペして、カスタムGPTに投げる
例:
「この中から、自社のサービス開発に関係ありそうなトピックだけ3つ教えて」
「部長に1分で説明する用に、箇条書きで整理して」等
③面白そうなテーマがあれば、AIエージェントに深掘りを任せる
例:
「このニュースを中心に、海外事例も含めて似た動きを調べて」
「“次世代ネットワーク×建設DX” のPoC案を3つ作って」
■何が楽になるか
・「ニュース探し→読む→解釈する」のうち、前半2ステップぐらいをほぼ機械化できる
・人間は「どのトピックに時間を使うか」「誰にどう説明するか」に集中できる
5. まとめ
5-1. 実務で効かせる一番大事なポイント
「どの機能を使うか?」より先に、
どんな仕事を、どこまでAIに任せたいのか?
を言語化しておくことが一番効きます。
企画・マーケ・サービス開発の業務であれば、
収集 → 解釈 → 企画化
の3ステップに分けて、
・収集 … Tasks
・解釈 … カスタムGPT
・企画化 … AIエージェント
という形で組み合わせるといいのではないかと個人的に感じます。
この記事のプロンプト例は IOWN+他業界コラボを例に書きましたが、
技術名と業界名を自分の文脈に置き換えれば、そのまま別の業界でも使える構造になっています。
今回は企画系職種を具体例に挙げて記事を書きましたが、ここまで読んでいただいた方は
どの機能が何に向いていて、自分の業務だと何に刺さりそうかを少しイメージできるようになっていただけたなら幸甚です。
※ChatGPTを例に挙げてますが、考え方はどのサービスでも似たようなものだと思います。
5-2. AIとの距離感と、これからどう付き合うか
ここからは本編のおまけです。
読まなくても理解には支障ありませんが、私のポエムだと思って読んでいただければと思います。
さっきまでわりと堂々と「こう使うといいですよ」と書いてきましたが、正直なところ、少し前までずっと「AI優秀すぎる。そのうち自分の仕事がほとんどなくなるのではないか(ならない)」という考えが頭の片隅にあって、AIに対する不安感が大きくなる瞬間もありました。
さらに、「AIに任せすぎると深く考える力が育たないのでは」というのは昔から強く感じています。
企画やサービス開発って、
・なぜそれが起きているのか
・背景にどんな構造や利害があるのか
・その変化はどこに効いてくるのか
・本質的な価値はどこか
みたいな「面倒くさい思考」がけっこう重要だと思っています。
たとえば、ニュースを AI に要約させるのは一瞬ですが、自分で記事を読みながら
「これって、誰にとって都合がいい動きなんだろう?」
「うちのサービスから見たら、チャンスなのか、脅威なのか?」
と考える時間そのものが、思考の筋トレになっている感覚があります。
なので、「AIが先に答えをまとめてくる前に、一回は自分の頭で考えたい」
という気持ちもあって、まだ業務ではあえてフル活用はしていないのが正直なところです。
便利なのは間違いないけれど、使い方を間違えると「思考のショートカット」としてクセになりそうで、そのあたりの怖さがまだ拭いきれていません。
一方で、最近私は「AIは“思考を奪う存在”ではなく、“思考を拡張する土台”として利用する」という整理に落ち着いています。
たとえば今回の整理だと、
・Tasks … 情報を「集めてくる」係
・カスタムGPT … 情報を「解釈・整理」する係
・AIエージェント … 仮説や案を「広げる・形にする」係
と役割を分けたうえで、人間側は
・どんな問いを投げるか決める
・出てきた案を評価し、選び、責任を持つ
・そもそも「何をゴールとするか」を定義する
という部分を握り続ける、という考え方です。
よく、「仕事を奪うのはAIではなく、AIを使いこなす人だ」
と言われますが、最近はこのフレーズの意味も少し変わって見えています。
単に「AIツールを触っている人が勝つ」という話ではなくて、
・どんな仕事を AI に任せて
・どんな仕事を人間のまま残して
・その境界をどう設計し直すか
を考え続けられる人が、最終的に仕事を「奪う側」になるんだろうな、という感覚です。
もう少しラフに言うと、
ここ1〜2年ぐらいは、
「AIに“作業”を奪われるフェーズ」ではなく
「AIに“作業”を譲って、“仕事”を作り直すフェーズ」
なんだろう、と自分に言い聞かせています。
そのためにできることは、派手なことではなくて、
・AIに任せる仕事の粒度を言語化する
・それをプロンプトという形で再利用可能なフォーマットにする
・実際にやってみて「ここは良かった/ここは危なかった」を共有する
といった、地味だけど人間にしかできない整理だと思っています。
将来、本当に
「AIがほとんどの作業をしていて、人間は方向性と責任だけ持つ」
みたいな世界線が来るかもしれません。
その世界線でもそこそこ楽しく働けるように、AIとの距離感を今のうちから試行錯誤しているというのがこの記事の裏テーマというか個人的に伝えたいこと第二弾といったものでした。
ここまで読んでいただきありがとうございました。
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