要約
日本語で書いた文章を英訳して世界に向けて情報発信。これを無料オンラインサービスであるDeepLとGrammarlyを活用して手早く実現する手順をまとめる。
はじめに … これからは英語だ!
空間的な制約を超え、世界中の人々を相手に、ソフトウェアや情報を売って商売する。コロナ後はこれだろう。多くの人にとって、英語での情報発信がネックとなるだろうが、幸いにもきょうびはオンラインサービスによる強力な支援を享受できるのだ。本記事では、既存の日本語文書をもとに、その英訳版を手早く作る手順を説明する。以下の2つのオンラインサービスを利用する。
いずれのサービスにおいても誰もが自由に基本機能を利用できる。あなたが書いた日本語をAIがタダで見てくれるのだ。そしてその品質にはなかなかに侮りがたいものがある。
日本語文書から英語翻訳版を作る手順
- 日本語の原文を用意する。
- 原文をDeepLに掛けて英訳第1版を作る。
- 英訳第1版をDeepLに掛けて逆日本語訳を作る。
- 逆日本語訳の内容をチェックする。
- ひどいようなら原文を修正し始めからやり直す。
- まずまずの出来であれば英訳第1版を修正して逆翻訳を再度試みる。
- 逆日本語訳がまともな日本語になるまでこれらの手順を繰り返す。
- 逆日本語訳をさらにDeepLで英訳して英訳第2版とする。
- 英訳第2版をGrammarlyに掛ける。
- おそらくいろいろ文句を言われるので、頑張って修正。
- overall score80以上をとりあえずの目標に。
- できた文書をブログなりWIKIなりSNSなり適切な媒体を通して公開。
DeepLによる翻訳
それでは、手持ちの日本語文書を翻訳してみよう。筆者がQiitaで公開している記事のイントロ部分をサンプルとして使用する。以下のような文章だ。
対象テキストをコピーして、deepLのスタートページ中の入力フォーム(左側の入力欄)に張り付ける。
するとすぐに英語の訳文が作成されて右側の欄に表示されるはずだ。
上のような感じになる。ぱっと見た限りでは、かなりいい感じの英文が得られているように見える……。だが、これを鵜呑みにしてそのまま使っているようではまだまだである。ステップバイステップでのチェックと修正対応を怠ってはならない。
この際に有効なのが、できた英文を日本語に逆翻訳して、その逆翻訳文の内容をチェックするという手法なのである。
このように、逆翻訳文ができたら、自分の意図と食い違いの無いかすぐにチェックする。正しい「逆翻訳」ができるようになるまで、英訳第1版を修正してみよう。
元の日本語があまりにフリーダムすぎる書きぶりだった場合、逆翻訳の内容がかなり元とは違った酷いものになっていることだろう。そういう場合は、最初に戻って原文の体裁を整えるところからやり直そう。大抵は「主語が曖昧」・「係り受けの対応関係がちゃんとできていない」・「文がいちいち長すぎる」などの問題のある日本語だったはずだ。文章構造が整理されておらず幾通りにも意味が取れるような文章がうまく翻訳できないのは当然である。
おかしな翻訳が出てきたら、翻訳サービスに八つ当たりするのではなく、まず自分の作文を反省すべきである。まともな日本語を用意することが、オンライン翻訳を使いこなすコツである。
Grammarlyによるチェック
翻訳のステップで試行錯誤して何とか「英訳第2版」が仕上がったなら、さらに校正ツールの助けを借りて英文の品質アップを図る。
英文第2版のテキストをgrammarlyの入力欄にコピペする。
するとすぐにチェックが始まる。入力中の本文にところどころアンダーラインが引かれた箇所が出現するだろう。そのそれぞれをクリックすると、本文右側にカードのようなものが表示される。カードの一つ一つに何らかの指摘事項が書き込まれているはずだ。
本文を修正することによりこのカードを消すことができる。Grammarlyでの校正は入力したり修正したりした端から自動的に行われ、評価が随時更新される。
DeepLの英語はやや冗長になる傾向があるようだ。ここで単純化(回りくどい表現を改め、関係代名詞の多用を避けて文を短く分割し、難しい単語をより平易な単語に置き換える)の方向で修正するとよいだろう。
ページの右端には、構成対象としたテキストについての全体的な評価が表示されている。
一番上にあるoverall score(総合評価)をまずチェックしてみよう。私の感覚では、overall scoreが80を超えると、まあまあ見れる英語になっている。Correctness(正確性)、Clarity(明確さ)も見ておくべきだ。もちろん最高評価を目指そう。
前述のように、「単純化」の方向で修正を繰り返すとこれらの値も上がっていく。合格ラインに達するまで修正を繰り返し最終版を完成させる。
こういう時だからこそ世界にアピールする
コロナウィルスによる未曾有の騒動で、経済活動に大きな変革が余儀なくされている2020年4月。こういう時だからこそ、ネットを活用して空間的制約を超えたところでの商売に注力せねばなるまい。
市場は日本の外にもある。インターネットを使えば、国境をこえ彼我の距離を問題とせず、世界中の人とコミュニケートできる。ソフトウェアや情報を商品とすれば商売できるはずだ。ただし、英語が使えればだ。
しゃべるより、書く
日本語・英語を問わず、YouTubeなどで名調子でしゃべくって情報発信している人も増えてきた。だが、最後に威力を発揮するのは、おしゃべりのうまさよりも、テキストベースでの情報発信だと思う。
おしゃべりはしょせん一過性だ。
おしゃべりの内容はググってもキーワードで引っ掛けられない。受け手は自分のペースで聞くことができない。テキストを書くよりも作成には時間がかかるから量を蓄積するという面でも動画発信は不利だろう。息長く活動を続けたいなら、やはり書いて書いて書きまくって文書を蓄積していくべきなのだ。
最後に
こうして作った英文は、まあ、ネイティブやプロの翻訳者には、アマゾンの中国製製品の日本語広告みたいに見えてるかもしれない。しかし、意味が通じないということはないと思う。自作ソフトの英文アピールぐらいならこれで取り敢えず宜しいんじゃないだろうか。