はじめに
3ヶ月に1回やってくる社内の「備品・機材の棚卸業務」。
これまでは紙のリストや重たい機材を持ち歩き、「これって管理番号何番の機材だっけ?」「何の機材だっけ?」と現物とリストを目視で照らし合わせながらチェックしていました。
台帳を探す時間や誤記入の確認に膨大な工数がかかっており、「もっとスマートにできないか?」とGemini(生成AI)に壁打ち相談したところ、Googleフォーム・Googleスプレッドシート・QRコードを組み合わせたシンプルかつ強力な仕組みを提案してもらいました。
本記事では、特別なアプリ開発不要・コストゼロで導入できる棚卸の仕組みと、その実装手順をまとめます。
仕組みの全体像
作成したワークフローは以下の通りです。
[棚卸対象の備品]
└── QRコードを貼付(物品情報を含む事前入力URL)
│
▼ スマホカメラでスキャン
[Googleフォーム]
├── 物品名・管理ID:自動入力済み
├── 棚卸日:入力
└── 実施者:入力
│
▼ 送信
[Googleスプレッドシート]
└── 回答がリアルタイムに行追加・蓄積される
スマホ1台持ってオフィスを歩き、「ピッ」と読み取って「送信」を押すだけで棚卸台帳が自動更新されます。
実装ステップ
1. Googleスプレッドシートで備品台帳を作成
まずは棚卸対象を一覧化したシートを用意します。
| 管理ID | 備品名 | 保管場所 | フォーム事前入力URL | QRコード |
|---|---|---|---|---|
| ITEM-001 | 外部モニター 27インチ | 執務スペースA | (後述の手順で生成) | (関数で表示) |
| ITEM-002 | プロジェクター | 会議室1 | ... | ... |
2. Googleフォームを作成
棚卸時に送信するためのフォームを作成します。
- 管理ID(記述式・短文回答)
- 備品名(記述式・短文回答)
- 棚卸日(日付)
- 実施者(プルダウン、または記述式)
- 状態・備考(ラジオボタン:「異常なし」「故障・破損」「紛失」など)
ポイント
「管理ID」と「備品名」は、QRコード側から自動で流し込むため、現場で手入力させる必要はありません。
3. 「事前入力リンク」URLを取得する
スキャン時にフォームへ物品情報を自動で渡すため、Googleフォームの事前入力リンク機能を活用します。
- 作成したGoogleフォームの右上メニュー(縦の3点リーダー)から 「事前入力したリンクを取得」 を選択。
- フォームが開くので、「管理ID」に
TEST_ID、「備品名」にTEST_NAMEなどのダミー値を入力し、最下部の 「リンクを取得」 をクリック。 - コピーしたURLを確認すると、以下のような形式になっています。
https://docs.google.com/forms/d/e/[フォームID]/viewform?usp=pp_url&entry.123456789=TEST_ID&entry.987654321=TEST_NAME
この entry.123456789= の後ろに続くパラメータを、備品ごとのデータに置き換えます。
4. スプレッドシート関数でURLとQRコードを一括生成
スプレッドシート上でURLを動的に組み立て、QRコード画像を表示させます。
事前入力URLの生成(D列)
="https://docs.google.com/forms/d/e/[フォームID]/viewform?usp=pp_url&entry.123456789=" & ENCODEURL(A2) & "&entry.987654321=" & ENCODEURL(B2)
QRコードの自動描画(E列)
Google API(QRコード生成API)や公開APIを利用して、IMAGE 関数でセル内にQRコードを描画します。
=IMAGE("https://api.qrserver.com/v1/create-qr-code/?size=150x150&data=" & ENCODEURL(D2))
これで、台帳にアイテムを追加するだけで個別フォームへのリンクとQRコードが自動生成される状態になります。
5. シールラベル印刷と現品貼付
生成されたQRコードをラベルプリンター(またはA4タックシール等)で印刷し、各備品に貼付します。
現場での運用フロー
- スマホのカメラで備品のQRコードをスキャン。
- ブラウザでGoogleフォームが開き、「管理ID」がすでに入力された状態で表示される。
- 「棚卸日」「実施者」を選択・入力して送信。
- Googleフォームと連携させたスプレッドシートに、回答タイムスタンプと共に行が自動追加される。
導入の効果
| 項目 | 導入前(目視+紙/PC) | 導入後(QR×フォーム) |
|---|---|---|
| 1点あたりの確認時間 | 1〜2分(台帳検索+目視照合) | 約10秒(スキャンして送信) |
| 入力ミス・漏れ | 転記ミス、チェック行ズレが発生 | ほぼゼロ(ID自動入力のため) |
| 作業スタイル | 重いノートPCやバインダーを抱えて移動 | スマホ1台で手軽に実施 |
| 進捗の可視化 | 棚卸完了後に集計して初めて発覚 | スプレッドシート上でリアルタイム把握 |
まとめ
大掛かりな資産管理システムを導入しなくても、Google Workspaceの標準機能+QRコードだけで、現場の棚卸コストを大幅に削減することができました。
生成AIに「こういう現場の困りごとがある」と相談することで、手持ちのツールの組み合わせ方を素早く導き出せたのも大きな収穫でした。
同じように定期的な社内棚卸や備品管理に悩んでいる方は、ぜひ試してみてください。