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施工前検討会で過去の不具合事例を参照する:IFC部位情報×構造化ナレッジRAGのデモ

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Last updated at Posted at 2026-07-07

はじめに

建設現場では、過去の不具合事例報告書や是正報告書に、多くの知見が蓄積されています。

過去案件で発生した不具合の内容、原因、対処方法、再発防止策などは、次の案件でも活用できる重要な情報です。
一方で、これらの資料はPDF、Excel、Word、PowerPoint、スキャン文書など、さまざまな形式で保管されていることが多く、必要なタイミングで必要な情報を探し出すのは簡単ではありません。

特に施工前検討会や品質確認の場では、対象となる部位について、過去に似た不具合が発生していないか、その原因は何だったのか、どのような対処や再発防止策が取られたのかを確認したい場面があります。

そこで今回は、IFC上で選択した部位に応じて、構造化された不具合報告書から関連する過去事例・原因・対策を表示するデモを作成しました。

本記事では、不具合報告書や是正報告書をAIが参照しやすいナレッジとして構造化し、IFC上の部位情報と組み合わせて活用する例を紹介します。

なお、今回は図面そのものの構造化は行っていません。IFCモデルや部位クリックは、構造化ナレッジを利用するためのデモUIとして扱っています。

※デモで使用している不具合事例データはすべて架空のものです。
※IFC(Industry Foundation Classes)とは、BIM(Building Information Modeling)のデータを異なるソフト間で共有・交換するための世界標準のデータ形式(ファイル拡張子:.ifc)です。
※IFCモデルは公開されているサンプルデータを使用しています。

施工前検討会で過去事例を活用する難しさ

施工前検討会では、これから施工する部位や工種について、施工方法、品質上の注意点、過去の不具合、再発防止策などを確認します。

過去の不具合事例を参照できれば、同じような手戻りや品質不良の再発防止につながります。
しかし、実際には以下のような課題があります。

  • 不具合事例報告書や是正報告書が複数の形式で散在している
  • 過去資料を探すには、担当者がキーワード検索やフォルダ探索を行う必要がある
  • IFCモデル上で見ている部位と、過去資料の記述がつながりにくい
  • 報告書を開いてから、原因や対策を読み取る手間がかかる
  • ベテラン担当者の経験に依存し、過去知見が十分に再利用されない

一般的なRAGチャットでは、ユーザーが質問文を入力して文書を検索します。

たとえば、次のような質問です。

○○マンションの外壁(3階・南面・RC壁)で過去に発生した不具合と対策を教えて

この方法でも一定の検索はできます。
ただ、施工前検討会や品質確認の場では、確認したい対象が「IFCモデル上で見ているこの部位」であることも多いはずです。

今回のデモでは、IFCモデル上で選択した部位の情報を手がかりに、不具合報告書内の関連情報を参照できるようにしました。

今回作ったデモ

ブラウザ上にIFCモデルを3D表示し、ユーザーが部位をクリックすると、右側の画面に部位情報、AIが生成した意味タグ、関連する不具合事例が表示されます。

image.png

左側:

  • IFCモデルの3D表示
  • 部位をクリックして選択

右側:

  • 選択した部位の情報
  • AIが生成した意味タグ
  • 関連する不具合事例の一覧
  • 原因、対処方法、再発防止対策

部位をクリックすることで、対象部位に関係しそうな過去事例を画面上で確認できます。
施工前検討会や品質確認の場で、過去の不具合報告書を参照しやすくすることが目的です。

選択部位
  ↓
部位プロパティ取得
  ↓
AIによる意味タグ生成
  ↓
構造化済み不具合ナレッジを参照
  ↓
関連する事例・原因・対策を表示

デモの仕組み

1. 不具合報告書をAIが参照しやすい形に構造化する

image.png

今回構造化しているのは、図面ではなく、不具合事例報告書や是正報告書などのナレッジ部分です。

ここでいう構造化とは、PDFやOffice文書、スキャン文書などに含まれる文章や画像を、AIが扱いやすい形に整えることを指します。

たとえば、文書内の見出し、本文、画像などの構造を保ちながらデータ化することで、RAGやAIチャットが参照しやすいナレッジとして利用できるようにします。

不具合報告書をそのままAIに読み込ませることもできますが、文書のレイアウトや画像、見出し構造がうまく扱われない場合、必要な情報にたどり着きにくくなることがあります。

AI Ready-Dataでは、AIによる構造化処理に加えて、DNPのBPOによる確認・補正を組み合わせることで、構造化データの品質を高めます。

これにより、過去の不具合報告書や是正報告書を、単なる保管資料ではなく、AIが参照しやすいナレッジとして活用しやすくします。

2. IFC部位情報から意味タグを生成する

image.png

次に、IFCモデル上で選択した部位の情報を取得します。

たとえば、ユーザーが大梁をクリックした場合、その部位のプロパティを取得し、AIが関連ナレッジ参照用の意味タグを生成します。

以下は意味タグの例です。

選択部位:大梁

生成された意味タグ:
- 大梁
- 鉄骨
- S型
- I型
- 梁部材
- 2階
- 荷重支持
- スパン6399mm
- 幅250mm
- 高さ500mm
- 内部構造

意味タグは、不具合報告書や是正報告書の中に含まれる表現とつなげるための手がかりとして使います。

たとえば、単に「大梁」だけで参照するよりも、「鉄骨」「梁部材」「2階」「荷重支持」などの情報を組み合わせることで、関連する過去事例を探しやすくなります。

3. 意味タグをもとに関連ナレッジを表示する

image.png

生成された意味タグをもとに、構造化済みの不具合ナレッジを参照します。

参照対象となるのは、元文書をそのまま投入したデータではなく、文書の構造を保ちながらAIが参照しやすい形に変換した構造化データです。

画面上で確認できる情報は、たとえば以下のような内容です。

一致タグ:
鉄骨

ドキュメント名:
不具合事例報告書

タイトル:
鉄骨梁の建方時におけるレベルずれ

原因:
仮締め段階で梁のレベル確認が不十分だった。
柱との接合部で微小なずれが残ったまま本締めに進んだため、梁全体の高さ精度に影響した。

再発防止対策:
1. 仮締め後、本締め前に梁レベルを確認する。
2. 長尺梁は両端だけでなく中間部のたわみ・高さも確認する。
3. 建方精度確認のチェックポイントを施工前に共有する。
4. 後続工事に影響する梁は重点管理部位として記録する。

表示された不具合事例をもとに、施工前検討会や品質確認の場で、対象部位に関係しそうな過去事例、原因、対処方法、再発防止策を確認できます。

このデモでできること・対象外

今回のデモでできることは以下です。

  • IFCモデルをブラウザ上で表示する
  • 選択した部位のプロパティを取得する
  • AIが部位プロパティから意味タグを生成する
  • 意味タグを使って、構造化済みの不具合報告書を参照する
  • 関連しそうな過去事例を一覧表示する
  • 不具合内容、原因、対処方法、再発防止策に関する記述を確認する

一方で、以下は今回の対象外です。

  • 図面そのものの構造化
  • 施工リスクの完全な自動判定
  • 新規資料追加時の完全自動運用

あくまで、構造化した不具合報告書を、IFC上の部位情報から参照しやすくするためのデモです。

今後の展開

今回は、不具合事例報告書や是正報告書を構造化し、IFCモデル上の部位情報と組み合わせて活用する例を紹介しました。

今後は、以下のような活用にも展開できます。

  • CADから書き出されたPDF図面など、2D図面から部位情報を抽出する
  • 施工写真、検査チェックシート、是正記録など、施工・確認時に残る資料と部位情報を紐づける
  • 表示された関連事例をもとに、AIチャットで要約や横断確認を行う

なお、新しい資料を追加する場合には、その都度構造化処理が必要になります。
継続的に運用する場合は、構造化のコストも含めて検討する必要があります。

まとめ

過去の不具合報告書や是正報告書には、次の案件でも活用できる知見が含まれています。
一方で、資料が複数の形式で保管されていると、施工前検討会や品質確認の場で必要な情報をすぐに参照することは簡単ではありません。

今回のデモでは、不具合報告書をAIが参照しやすい形に構造化し、IFC上の部位情報と組み合わせて活用しました。

IFC上で選択した部位のプロパティからAIが意味タグを生成し、その意味タグを手がかりに、関連しそうな過去事例・原因・対策を表示します。

AI Ready-Dataでは、AIによる構造化処理とDNPのBPOによる確認・補正を組み合わせ、既存資料をAIが扱いやすいナレッジとして整備します。

自社に蓄積された不具合報告書、是正報告書、施工記録、検査記録などを、施工前検討会や品質確認業務で活用できるナレッジとして整備したい場合は、DNPのAI Ready-Dataをご活用ください。

👉 DNPドキュメント構造化AIサービス(AI-Ready Data)

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