どうしてデータベースにはたくさんの種類があるの?
はじめに
データベースとは、たくさんのデータを整理して保存するための仕組みです。でも、どうしてこんなにたくさんの種類があるのでしょうか?
昔は、リレーショナルデータベース(RDBMS)が一番よく使われていました。これらのデータベースは、エクセルのスプレッドシートみたいに、データを表(テーブル)にして保存します。とても便利で、長い間多くの会社で使われてきました。
エクセルのスプレッドシートを思い浮かべてください。データを行と列に整理して書き込むイメージです。エクセルでは、シートがテーブルに相当し、セルにデータを入力していきます。ただし、エクセルは基本的に個人用のツールであり、大量のデータを管理したり、複雑な検索や更新を行うには限界があります。
一方、(エクセルに比べて) リレーショナルデータベースは、大量のデータを効率的に管理できるように設計されています。各テーブルはエクセルのシートと似ていますが、テーブル間の関係(リレーション)を定義することができます。これにより、異なるテーブル間でデータを結びつけ、一貫性のあるデータ管理が可能になります。また、リレーショナルデータベースは、SQLを使用して複雑なクエリやトランザクションを実行することができます。
補足:トランザクションの観点:
リレーショナルデータベースは、トランザクション処理をサポートしています。トランザクションとは、一連の操作を一つの単位として扱い、すべての操作が成功するか、あるいはすべてが失敗するかを保証する仕組みです。これにより、データの一貫性と信頼性が保たれます。例えば、銀行口座間の資金移動など、複数の操作が一貫して実行される必要がある場合に重要です。エクセルでは、これらのトランザクション処理を自動的に行うことはできません。
このように、リレーショナルデータベースは、大規模なデータ管理やトランザクション処理が必要なシステムにおいて、エクセルよりも強力で柔軟なツールとなります。
データの種類が増えた!
でも、インターネットが普及して、たくさんの種類のデータが増えてきました。たとえば、SNSの投稿、オンラインショップの商品レビュー、大量の写真や動画などです。こうしたデータをリレーショナルデータベースだけで管理するのは難しくなってきました。
そこで、データの種類に合わせて新しいデータベースが登場しました。それぞれのデータベースは、特定の種類のデータや用途に特化しています。
1. ドキュメント指向データベース
データをJSONやXMLのような形式で保存します。自由な形でデータを保存できるので、SNSの投稿や商品レビューなどにぴったりです。
大きなファイルキャビネットのようなものです。いろいろな形のファイルが保存されています。
主な特徴:
- 柔軟なデータモデル
- 高速な書き込み性能
- 水平スケーリングが容易
代表的な製品:
- MongoDB
- CouchDB
- Firebase Firestore
- Azure CosmosDB (Core または Document と呼ばれる使い方)
2. キーバリューストア
データをキーと値のペアで保存します。シンプルでとても速いので、キャッシュ(よく使うデータを一時的に保存する場所)としてよく使われます。
大きな辞書のようなものです。単語(キー)とその意味(値)がペアになっています。
主な特徴:
- シンプルなデータモデル
- 高速な読み書き性能
- キャッシュとして利用されることが多い
代表的な製品:
- Redis
- Amazon DynamoDB
- Memcached
- Azure Storage Table
- CosmosDB (Table)
3. グラフデータベース
データをノード(点)とエッジ(線)で表現します。人や物の関係を表すのに適しているので、ソーシャルネットワークや推薦システムに使われます。
大きな地図のようなものです。地点(ノード)と道(エッジ)があり、それぞれの関係がわかりやすいです。
4. カラム指向データベース
データを列ごとに保存します。大規模なデータ解析やデータウェアハウスに適しています。
図書館の本棚のようなものです。各棚には特定のカテゴリの本が並んでいます。
主な特徴:
- データ間の関係性を重視
- 高度なクエリが可能
- ネットワークデータの処理に適している
代表的な製品:
- Neo4j
- Amazon Neptune
- ArangoDB
まとめ
要するに、いろいろな種類のデータを効率よく管理するために、たくさんの種類のデータベースが必要になったのです。それぞれのデータベースには得意なことがあり、適材適所で使われています。
データベースの種類が増えたおかげで、私たちはもっと便利で多様なサービスを利用できるようになりました。それが、たくさんのデータベースがある理由です。