1年ほど前、[ドイツで1年間完全テレワークをしてみて]という記事を書きました。あれからさらに1年たって、変化があったことなどを書いてみようかと思います。
ロックダウンと在宅勤務
ご存じのように、ヨーロッパの各国では強制力をもったロックダウンを何度か行ってきました。それに伴って、在宅勤務もほぼ強制的に行われてきましたが、デルタ株のピークが過ぎたころからロックダウンなどの規制は徐々になくなってきました。現在では普段の生活ではほぼ全面的に撤廃されている感じです。特定の場所、公共交通機関などではマスクの着用義務があったりしますが、それ以外ではお店の中でもマスクをする必要はありません。
規制がなくなったころから、在宅勤務からオフィス勤務に戻すかもしくはハイブリッドワーク(在宅と出社を組み合わせた勤務)にするかなどの話をよく聞くようになりました。自分が務めているところは、基本的には在宅ですが出社をすることもできます。
これはそれぞれの好みや家庭事情などもあるようですが、同僚でもオフィスのほうは仕事がはかどると言う人もいれば、在宅のほうがいいと言う人もいるようです。部署によって所属の社員がすべて同じオフィスで勤務しているようなところは、週に日を決めて出社とかしているようです。
オフィスも全員が毎日出社する前提のレイアウトではかなり無駄が出てほとんどが空席となるので、最近では固定席をなくしている会社もあるようです。この場合、普段一緒に仕事をしない、もしくはあったこともない人が隣で座っていて新しいネットワークはできますが、普段の仕事上でのコラボレーションが目的で出社している場合は逆に働くような気もします。
在宅勤務で変わったこと
- 以前のように9時ー5時ではなくなりました。もともと時差のある国の人と仕事をしていたので9時ー5時で成り立つ職種ではないのですが、以前のように通勤がなくなったので働いている時間の幅が以前より広がったと思われます。人によっては午前中は休んで、午後から夜遅くまで勤務したり、途中に長めの休憩をとったりと人それぞれの予定や事情に合わせて仕事をしているようです。
- 社員もそれに慣れてきているので、”誰々は何曜日の午前中はオフラインだからミーティングをずらそう”といったように同僚の事情により配慮して予定を組んでいるように見受けられます。
- エンジニア的にはこれはかなり助かり、集中して時間をとって仕事をできる時間がより増えて生産性が上がっていると思います。
- 複数のコラボレーションツールを使うようになりました。SlackやTeamsやZoomなど複数採用しているので、人によったらどちらかのツールに偏って使っていたり、ミーティングはTeamsでチャットはSlackなど両方を常に開いていないといけない状態になったりします。
- ワークショップなどは以前だと広めの会議室を週単位で借り切って行っていたりしたのですが、これもオンランでそれ用のツールなんかを使って行っています。オンラインで行うようになってから、以前のように1週間とか数日とか言った長い単位ではなく、午前中だけとか数時間だけといった短い単位でのワークショップをできるようになりました。
- 最近は普通の風邪やコロナで軽症の場合、在宅勤務なので休みを取らずに働いている人も見かけるようななりました。以前だと、風邪だと通勤するには大変で周囲の人にうつすので休みを取るのが普通でしたが、最近ではうつす心配もないし通勤の必要もないので仕事を続けている人もいるようです。
エンジニアの仕事をしていて
- これは以前からもそうですが、同じプロジェクトのエンジニアのメンバーと仕事をしてるとリモートでもまったく差し支えなく、使えるツールを使って技術的な話や、コードレビューなどなんでも普通に行えます。むしろリモートのほうが複数人で同時に行えるのでやりやすかったりすると思っています。
- 特にエンジニア系の仕事をしている人はリモート率が高いので、会議でも”今どこにいるのか?”というのが話題になったります。リモートになって特にオフィスのそばに住む必要がないので、地元に帰ったり、休暇を兼ねてヨーロッパのほかの国から仕事をしている人もいるようです。
- エンジニア同士ではもとからあまりメールを使っていませんでしたが、SlackやTeamsを使うようになってからは本当にメールを使う機会が減りました。チーム内やプロジェクト内の連絡もほぼSlackやTeamsで済まされています。エンジニアの仕事はJiraなどのシステムを使って経過を追っているので、メールでやり取りすることもありません。
税制上の対策
ドイツではコロナ以後、在宅勤務をする人が増えたのでそれらの人の家庭での経費負担の削減のために控除項目ができました。以前は仕事専用の部屋などを持っていないと、自宅を仕事で使用した際の経費控除ができなかったのですが、すべての人が仕事部屋を持てるような家に住んでいるわけではないのでそのような人でも年間最大600ユーロまで控除出来うようになりました。ドイツでは会社員でも普通に確定申告が必要なので、このような控除項目を活用するといくらかは還付金がもらえることもできます。
最後に
最近、フランクフルトに滞在している人と話をしたのですが、コロナ以前はフランクフルトから1時間以上かけて、時には渋滞で2時間近くかかって通勤していたそうです。ホームオフィスになってそれが無くなり、また時差のあるところの人と会議をするために、夜遅く仕事をするので逆に朝は運動に時間を使えるようになったと言っていました。
自分も久しぶりにアウトバーンを運転してみましたが、以前のような渋滞は全くなくなっていました。多くの人がテレワークをすることによって渋滞の緩和もされ、車通勤も減るので環境にも良い効果があるのかと思ったりもします。今回のことでこれからの働き方は大きく変わるのではないかと感じられました。