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ドイツで1年間完全テレワークをしてみて

Last updated at Posted at 2021-03-08

このサイトを見ている方の多くが昨年以来テレワークを経験しているか、継続されてると思います。
自分もほぼ丸1年間完全テレワークを現在ドイツで行っており、いろいろと感じたことをご紹介したいと思います。テレワークでも自分の場合は、在宅勤務でサテライトオフィスとかを使うこともなく、丸1年間仕事関係の人とは一切会うことはありませんでした。

ロックダウンと在宅勤務

ドイツは去年より法律で強制力を持ったロックダウンを何回か行っています。それに伴い企業にも協力を要請しています。自分が知っている限りでは2020年後半以降のロックダウンでは、企業は可能な職種の場合は在宅勤務ができる環境を整えないといけないことになっているようです。2020年は3月の半ばより最初のロックダウンが始まりました。それに伴い多くの会社でテレワークがはじまりました。ただそれより以前から、社内的には現状下で通勤するのを好まない場合はテレワークをすることが認められていましたので、自分は3月始まってすぐに在宅勤務に切り替えました。
理由はいろいろとあるのですが、だいたいこんな感じです。

  • そもそも一緒に仕事をしている同僚が同じオフィスにあまりいないので、通勤してもそれほど相乗効果を得られない
  • 会議はもとより基本的にオンラインで、会議室を使うのも年に数回程度であった
  • オフィスの構成が小部屋で一部屋3-4人で、まえから風邪などがうつりやすい環境と感じていた
  • 通勤自体は車通勤で安心だが、大半が車通勤なので会社近辺の通勤渋滞がひどく時間の無駄であった
  • 日本のオフィスと違い扉がたくさんあり、必ず取っ手をつかって開閉が必要
  • 住み慣れてると言えども外国であり、もし感染するか濃厚接触者になって隔離となった場合に助けてもらえる家族が近くに住んでいない

自分が在宅勤務を始めて1-2週間して多くの会社でテレワークがはじまりました。基本的に出社は無しで在宅勤務となり、以前とは全く逆の状況になりました。

同じオフィスの同僚

同じオフィスの同僚は部署は同じなので似たような仕事をしていますが、担当しているプロジェクトが違うので一緒に仕事をすることはほとんどなく、何か分からないことがあったら助け合うといった感じです。以前から通勤してもそれほど相乗効果がないと感じていました。
ですので、在宅勤務中はほとんどやり取りもなく、在宅勤務になって顔を合わせることが無くなっても業務上は全く問題がありません。

オンライン会議

エンジニアですのでそれほど多くの会議に出るだけではありませんが、それでも毎日いくつかあったりします。ただ、普段仕事を一緒にしている人はそもそも同じオフィスにいるわけでもなく、国すらも違います。ですのでそもそも対面での会議はほとんどなく、基本的にはオンラインですべて英語です。
これは今のようにSlackやTeamsがあるまえから会議は電話会議が中心だったので、対面の会議のほうが珍しいというのが普通でした。
また、電話会議が広く普及していたので、いまのようにビデオ会議をできるツールが出てもほとんどの人がビデオを使うことはないです。ビデオを使っている人もたまにいますが、基本的に参加者の自由で強制されることはありません。そういわけで数年間も一緒に仕事をしていながら、お互い顔も見たことのない人が沢山います。

今は在宅勤務になってビデオを使わないのは結構助かったりしています。

ちなみに、以前は数年に一回プロジェクトのメンバーがどこかのオフィスに集まってワークショップのようなものを行うこともありましたが、これは今後はなくなっていくのではと思っています。

オフィスの構成

ドイツのオフィスは小部屋で区切らてているのが多いようです。訪問先や訪ねた役所なども多くがそうでした。数人で小部屋だと普段はフロアー全体が一つのオフィスよりも静かで雑多な感じはありませんが、風邪などが流行りだすと空気がこもりやすくあまり心地の良いものでありません。
また、ドイツは北海道ぐらいの気候で夏はそれほど蒸し暑くないためか、基本的には空調というものがないオフィスが多いです。あるのは、壁に接続された暖房だけです。ですので、窓を開閉して空気の入れ替えを行います。当然、同室の同僚同士でも体感温度は違うので必ず暑すぎたり寒すぎたりします。
また自分の部屋が心地よくても隣の部屋で窓を全開にして換気すると、こちらの部屋もかなり冷え込みます。
これは人にもよると思いますが、個人的にはあまり心地いい環境ではありません。
在宅勤務になると自宅でも空調はありませんが、自分に合った環境にできますし、換気も自分の都合のいいようにできるので快適性は格段に良くなりました。

町のつくり

ドイツでは居住地区とそうでないところが町の中ではっきりと分けられています。ですので、どれほど田舎に行ってもぽつりと一軒家があるといったことはなく、住宅は必ず居住地区に密集しています。ですので、在宅勤務になって田舎に引っ越しても住んでいるところの周りは基本的に住宅で、隣と離れているということはあまりありません。
良い面は田舎に行っても、基本的に街中に住むことになるのである程度の利便性は得られます。そのかわり、街中なのである程度の騒音など都会で出る問題も発生することがあり得ます。
自分の場合は町の中心部に住んでいるので、オフィスにいる時より昼間に通行人の声などを聞こえるようになりました。オフィスは郊外にあるので車の騒音などはありますが、あまり通行人はいません。

仕事終わりの一杯

こちらの人は日本の会社のように、仕事終わりに一杯のようなことは殆どしないようです。自分もこちらに勤めてから、年に何回か海外や他の都市から出張で同僚が来た時に食事に行ったりする程度です。
基本的に仕事と家庭を完全に切り離しているので、仕事の後に会社の人とっていうのはないみたいです。また、ほとんどの人が自動車通勤をしていて仕事場の近辺でお酒を飲むとなると、その日だけ公共交通機関を使ったりしないといけないのでそれも原因かと思います。また、忘年会や新年会のようなものもありません。会社でクリスマスパーティーを行っていたり、クリスマスマーケットにみんなで出かけるといったことはあるようですが、部署ごとに忘年会のようなものもありません。
ですので、在宅勤務になって会社の人との交流が少なくなったようなこともなく、オンラインで飲み会的なものもあまりありません。

リモートワークの権利

一般会社員の権利はこちらではかなり重要視されていて、例えば就業時間外の上司からの連絡メールの禁止の法律であったり、有給の消化率や残業の少なさなどかなり良い環境だと思います。そんな中、ロックダウンが始まって半年後ぐらいに、ドイツ政府のニュースではリモートワークの権利を法的に認めようというニュースが出てきました。すでに多くの人が在宅勤務をできているので、パンデミックが終わった後でも希望する人は在宅勤務をする権利を持つべきという内容のようです。まだ、提案の段階で法整備までは進んでいないようですが、労働者の権利を重視する国らしい内容だと思いました。

通勤

自分が勤めている地区はどちらかと言えば田舎で、それほど公共交通が発達しているわけでもないので多くの人が車通勤をしています。これは、アメリカにいた時もそうでしたが、車通勤が中心だと本当にラッシュアワーは時間の無駄になります。公共交通、特に電車だとラッシュアワーでもある程度到着時間は計算できますが、交通渋滞の場合はそうもいきません。(混んだ電車はそれはそれで大変ですが。)
9時前に到着するには少なくとも30分ほど余分に時間がかかります。自分はそれを避けるために以前から9時半ごろ到着で出勤していました。これだと余分の30分をかけなくてもすみます。また帰宅時も5時過ぎに会社を出ると駐車場の出口から渋滞していて、また30分以上余分にかかります。
ただ、平日でも金曜日は朝も夕方も渋滞はありません。と言うのも、金曜日はそもそも通勤する人が極端に少なく在宅勤務もしくはお休みを取ってる人が多いからです。
在宅勤務が始まってこの無駄な時間が無くなったのは本当に助かっています。また、渋滞にはまって会議に遅れるなんてこともなくなったので、以前より会議の集まりは良くなったように感じられます。

国境越えの通勤

ヨーロッパは地続きで車、自転車、徒歩で簡単に国境を超えることができます。そのためか、国境を越えて通勤している人もたくさんいるようです。自分が住んでいるドイツ南西部はフランスと面していて、国境付近に住んでいる人の中には国境を越えてドイツからフランスまたはフランスからドイツに通っている人も多いようです。これができていたのも基本的には、国境に検問などがなく日本でいうと県境を越える程度の感覚で通行できるからだと思います。
しかしコロナが始まって以来、国境警備を強化したり、検問を行ったり、時には封鎖したりしているため、国境付近での大渋滞の話をよくニュースで見かけるようになりました。国境を越えて通勤しないといけない人にとっては、相当ストレスのたまる状況になっているはずです。

外国人

ドイツで仕事を始めて9年近くになってきて住み慣れてはいますが、それでもやはり自分はこちらの人から見たら外国人で当然のように生活習慣や考え方も異なります。もし自分が感染するか濃厚接触者になって隔離となった場合に、日本にいる時みたいに家族や友人がいてすぐに助けを得られる状態ではありません。これは、日本に住んでいる外国籍の人も同じような状況や不安を持っていると思います。
この状況ではやはりかなり保守的に行動する必要があり、何かあっても頼るものがないものと思って行動しないといけません。

税制上の対策

海外と日本のエンジニアの様々な比較-納税でも書きましたが、ドイツでは普通の会社員でも基本的には確定申告をしないといけません。自分も何年もしていますが、それでも知らないことばかりです。普段の年だと特に収入、経費に特別な項目でもない限り前年と変わりないのであまり時間もかけずに済ますことはできます。ただ2020年の確定申告は、コロナで在宅勤務が大半だったために少しややこしくなりそうです。
ドイツでは、コロナ以前から在宅勤務をある程度すると一定の条件を満たした場合、使っている部屋を経費として控除することができます。条件にもよりますが、最大で1200ユーロほど控除できるようです。また、在宅勤務をしていてカンパニーカー(海外と日本のエンジニアの様々な比較-福利厚生)をほとんど使っていない人が大半なので、使用を前提に課税されていた毎月の課税額を削減することもできるようです。在宅勤務のために仕事に必要なもの、たとえばコンピューター、ルーターなど、さらにインターネットや電話代の一部も職種によっては経費として計上できるようです。
課税対象額が千ユーロ単位で変わると、確定申告後に戻ってくる額は数百ユーロにもなるのでちょっと時間をかけてでも、勉強して新たな経費の項目を追加する価値はあると思います。

在宅勤務をしてみて

在宅勤務を前提に仕事をしていると、色々と仕事の仕方も変わりました。以前は9時ごろから5-6時まで基本的には出社するのが普通でしたがそれがなくなったため、かなり自由な仕事の仕方ができています。

  • 始業時間が早くなった。以前は渋滞を避けるために少し遅めに出社していました。ドイツの人は早起きの人が多いので、早めに出社しても渋滞は避けられません。その出社がなくなったので、朝食の前に軽く仕事始めることができます。
  • 数時間おきに長めの休憩などをとれる。例えば朝起きて1時間ほど仕事して、朝食をとって、朝食後にまた1-2時間仕事をしてから1時間ほど運動をしその後また1-2時間ほど仕事。その後に昼食をとって昼寝といったこともできるようになりました。これは切り替えがしやすく休憩後の生産性もよくなります。
  • 仕事時の仕方や、会議などは基本的には特に変更なし。前述のように、基本的にリモートで仕事をしているようなものだったので、場所がオフィスから自宅に代わったというだけで特にそれ以外は仕事の進め方などは変わったようには感じません。
  • 同僚と全く会わなかった。そもそも会社付き合いだけで、仕事の後に飲みに行くという習慣がほとんどこちらではないので出社しなくなって1年間同僚とは一度も顔を合わせることがありませんでした。
  • 帰宅の必要がないので、終業時間が遅くなった。帰宅をする必要がないので、時間をあまり気にすることなく仕事ができるようになったため、以前より遅い時間まで仕事をするようになりました。ただ、先ほど書いたように間に長めの休憩を取ったりしているので残業が増えたという感じではないです。

最後に

いかがでしたか?ドイツで1年間在宅勤務をしてみて、色々と見聞きした事をかいてみました。国や地方によってテレワークや在宅勤務の仕方も違ってくると思いますがいかがでしょうか。
ある程度リモートでも会議やワークショップ、オンラインイベントなどが行えることが分かったので今後はパンデミックが終わった後も、オンラインとオフラインを使い分けるようになるのではと思います。会社的にも経費削減になるし、オンラインをより多用するのではとも思います。これを機に仕事環境がよりよくなればいいですね。

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