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docker-compose: マルチステージビルドの中間イメージにタグ付けするベストプラクティス

Last updated at Posted at 2020-07-27

はじめに

自分のメモ用に殴り書き。この記事では、docker-compose を使って、マルチステージビルドで中間生成される Docker イメージにタグ付けするためのベストプラクティスを紹介します。

TL;DR

  • Dockerfile の各ステージには名前を付けましょう。
  • 各ステージの中間イメージビルド用の docker-compose.build.yml を作りましょう。
  • 以上
  • なお、docker-compose は、バージョン 3.4 以上である必要があります。
    • V3.4 でサポートされた buildtarget という機能を利用します。

Dockerfile マルチステージビルドのムカつくところ

  • Dockerfile のマルチステージビルドは中間イメージにタグを付けてくれません。
  • 結果として、<none>:<none> という無名の Docker イメージが残存し続けます。
  • たまに掃除して上げないと、docker images に大量の無名イメージがリストされます。
  • 不要なイメージでサーバーストレージも無駄に消費します。
# image:latest は Dockerfile で生成された最終成果物となる Docker イメージ
REPOSITORY              TAG                 IMAGE ID            CREATED             SIZE
image                   latest              439521aeed0d        1 hours ago         1.48GB
<none>                  <none>              f683a5456003        1 hours ago         1.33GB
<none>                  <none>              a92a033bf4e7        1 hours ago         1.03GB
<none>                  <none>              7fa2a4097f16        2 hours ago         1.33GB
<none>                  <none>              20acbe3cae6c        2 hours ago         1.03GB
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<none>                  <none>              8679ced16d20        3 hours ago         1.03GB
<none>                  <none>              f683a5456003        4 hours ago         1.33GB
<none>                  <none>              a92a033bf4e7        4 hours ago         1.03GB
<none>                  <none>              7fa2a4097f16        5 hours ago         1.33GB
<none>                  <none>              20acbe3cae6c        5 hours ago         1.03GB
<none>                  <none>              dee5b549543c        6 hours ago         1.33GB
<none>                  <none>              8679ced16d20        6 hours ago         1.03GB
...延々と続く

マルチステージビルドって何?

  • 公式ドキュメント(英語)
  • Docker イメージのビルド工程を複数ステージに分割して最終イメージを生成する、Dockerfile の機能です。
  • 複雑になりがちだった Docker イメージ生成プロセスを効率よくするために導入された機能です。
  • 例えば、Webアプリケーションサーバーの Docker イメージの場合、フロントエンドのパッケージ生成は、node:latest イメージを使い、バックエンドのパッケージ生成は、python:latest イメージを用いて、最終的にフロントエンドとバックエンドの生成物を alpine:latest イメージにデプロイするといった感じになるでしょう。(図とか欲しいけど、そんな時間ない、殴り書き)

擬似サンプル: シンプルなマルチステージビルド

  • この記事では次のような Dockerfiledocker-compose.yml を利用して、手順を説明します。
Dockerfile
# 第1ステージビルド: node:latest を用いて、フロントエンドパッケージをビルドする
FROM node:latest
RUN build_frontend_package
# 第2ステージビルド: python:latest を用いて、バックエンドパッケージをビルドする
FROM python:latest
RUN build_backend_package
# 最終ステージビルド: alpine:latest をベースイメージとし、フロントエンドとバックエンドのパッケージを組み込んだ Web アプリケーションサーバを構築する
FROM alpine:latest
COPY --from 0 frontend_package
COPY --from 1 backend_package
RUN build_production frontend_package backend_package
docker-compose.yml
version: "3.4"
services:
    web:
        build: .
        image: image:latest

ポイント1: 各ステージには名前をつけましょう

  • FROM イメージ名 AS ステージ名 を使って、それぞれのステージに名前をつけてください。
  • そうすると、Dockerfile 内や、docker-compose から、その名前でステージを参照できます。
  • docker-compose でステージ名を指定してビルドするために、ステージに名前を付けるんです。
Dockerfile
# 第1ステージビルド: node:latest を用いて、フロントエンドパッケージをビルドする
FROM node:latest AS frontend_stage
RUN build_frontend_package
# 第2ステージビルド: python:latest を用いて、バックエンドパッケージをビルドする
FROM python:latest AS backend_stage
RUN build_backend_package
# 最終ステージビルド: alpine:latest をベースイメージとし、フロントエンドとバックエンドのパッケージを組み込んだ Web アプリケーションサーバを構築する
FROM alpine:latest AS final_stage
COPY --from frontend_stage frontend_package
COPY --from backend_stage backend_package
RUN build_production frontend_package backend_package

ポイント2: docker-compose.build.yml というファイルでビルドしましょう

  • 執筆段階では、docker-compose を使うなら、docker-compose.yml のみで実現するのは無理だと思います。
  • docker-compose.build.yml では、buildcontexttarget という設定を入れます。
  • context には、カレントディレクトリとか Docker のビルドコンテキストのパスを入れておきます。
  • target には、(先ほど名前をつけた) マルチステージビルドのステージ名を入れて上げます。
  • ファイル名は任意です。docker-compose.build.yml である必要はありません。
docker-compose.build.yml
version: "3.4"
services:
    frontend:
        build:
            context: .
            target: frontend_stage
        image: frontend:latest
    backend:
        build:
            context: .
            target: backend_stage
        image: backend:latest
    final:
        build:
            context: .
            target: final_stage
        image: image:latest
  • docker-compose.yml からは、build 設定を抜いておきましょう。(残しておいてもOK。使わないだけ。)
docker-compose.yml
version: "3.4"
services:
    web:
        image: image:latest

ビルドしてサービスを起動する方法

  • docker-compose build に、-f オプションで docker-compose.build.yml を指定してビルドします。
$ docker-compose -f docker-compose.build.yml build
  • ビルドが完了したら、docker-compose.yml を用いて、サービスを起動して上げます。
    • 注意: docker-compose.build.yml ではありません
$ docker-compose up -d
  • Docker イメージの一覧を表示すると、中間イメージがタグ付けされています。
$ docker images
REPOSITORY              TAG                 IMAGE ID            CREATED             SIZE
image                   latest              439521aeed0d        1 hours ago         1.48GB
frontend                latest              f683a5456003        1 hours ago         1.33GB
backend                 latest              a92a033bf4e7        1 hours ago         1.03GB

まとめ

  • Dockerfile の各ステージには名前を付けましょう。
  • 各ステージの中間イメージビルド用の docker-compose.build.yml を作りましょう。
  • 細かな修正とかして、何度も docker-compose ビルドし直したりしても、タグ付けされます。(当たり前)
  • 知らず知らずのうちに、手元ビルドで大量に残存していた無名イメージがなくなります。
  • マルチステージビルドの中間イメージにタグ付けする方法は他にもありますが、私の試行錯誤したかぎりでは、これがベストプラクティスだと思います。
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