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Kiro CLIをtmuxで並列運用したら「AI監視員」から「AI管制官」になれた話

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Last updated at Posted at 2026-08-24

TL;DR

  • Kiro CLIはターミナルで動くAIエージェント
  • tmuxで複数セッションを並列起動すると、複数タスクを同時に回せる
  • 「AIの返答を待つ時間」がほぼゼロになる
  • セッション切れ対策・観察方法・運用設計のコツを実録で公開

きっかけ:「AIが考えてる間、何もできない問題」

Kiro CLIを使い始めてすぐに気づく不満があります。

AIが作業している間、自分は何もできない。

$ kiro chat
> 認証機能を実装して

Kiro: ファイルを読み込んでいます...
Kiro: 実装を進めています...
(3分待つ)
Kiro: 完了しました。

この3分間、ターミナルは占有されています。別のタスクを動かしたくても、同じターミナルでは無理です。

これを解決するのが tmux との組み合わせ です。


tmux × Kiro CLIの基本構成

なぜtmuxなのか

tmuxは「ターミナルマルチプレクサ」です。1つのSSH接続・ターミナルウィンドウの中で、複数の仮想ターミナルを並列で動かせます

重要な特性が2つあります:

  1. セッションが切れても中断しない — ネットワークが切れても、tmuxセッション内のプロセスは動き続ける
  2. 並列実行 — 複数のペインで異なるコマンドを同時に走らせられる

Kiro CLIをtmuxの中で動かすと、「AIが作業中でも、自分は別のペインで作業できる」 状態になります。

基本構成図

┌────────────────────┬────────────────────┐
│ ペイン1              │ ペイン2              │
│ $ kiro chat        │ $ kiro chat        │
│ > 記事執筆タスク    │ > コードレビュータスク│
│ Kiro: 作業中...    │ Kiro: 完了しました  │
├────────────────────┴────────────────────┤
│ ペイン3                                   │
│ $ git log --oneline                      │
│ $ vim memo/todo.md                       │
└─────────────────────────────────────────┘

上2つのペインでKiro CLIが並列実行中、下のペインでは自分が別作業できます。


セットアップ手順

1. tmuxの起動と基本操作

# tmuxセッションを名前付きで起動
tmux new-session -s kiro-work

# セッション一覧
tmux ls

# セッションにアタッチ
tmux attach -t kiro-work

2. ペインを分割する

tmuxのデフォルトプレフィックスは Ctrl+b です。

Ctrl+b → %    # 左右に分割
Ctrl+b → "    # 上下に分割
Ctrl+b → ←↑↓→  # ペイン間を移動
Ctrl+b → d    # デタッチ(セッションは継続)

3. Kiro CLIを各ペインで起動

各ペインで kiro chat を起動するだけです。

# ペイン1
$ cd ~/projects/article-repo
$ kiro chat

# ペイン2(Ctrl+b → % で分割後)
$ cd ~/projects/code-repo
$ kiro chat

それぞれのKiro CLIは独立したセッションとして動作します。互いに干渉しません。


実際の並列運用パターン

パターン1:記事執筆 × コード開発を同時進行

私が実際に使っている構成です。

ペイン1:Kiro CLI(Zenn記事執筆)
ペイン2:Kiro CLI(Goツールの実装)
ペイン3:監視・確認用(git/vim操作)
# ペイン1
$ kiro chat
> Zennの記事を執筆して。テーマはtmux活用。

# ペイン2(並列で動かす)
$ kiro chat
> mediaコマンドにQiita対応を追加して

# ペイン3で自分は別作業
$ git log --oneline -5
$ vim memo/memo.20260816.md

パターン2:調査 × 実装を並列化

ペイン1:既存コードを網羅調査
ペイン2:調査が終わり次第、実装を投入

調査が終わったタイミングでペイン2に指示を出すだけです。

パターン3:複数リポジトリを同時に進める

複数リポジトリを運用している場合に有効です。

# ペイン1:GoリポジトリでKiro
cd biz-tools && kiro chat

# ペイン2:JSリポジトリでKiro
cd e2e-tests && kiro chat

# ペイン3:PHPリポジトリでKiro
cd hack-note && kiro chat

3リポジトリが同時に進みます。


「管制官」として運用するためのコツ

並列運用を快適にするには、Kiroへの指示設計が重要です。

コツ1:最初に「全部やること」を宣言させる

❌ 悪い指示
> 記事を書いて

✅ 良い指示
> Zenn記事を執筆してください。
> 完了したらcommit → push → PRまで一気に進めてください。
> 途中で確認は不要です。

最初の指示に「どこまでやるか」を含めると、途中で止まらなくなります。

コツ2:Steeringで「自律運転モード」を作る

.kiro/steering/full-auto-workflow.md を設定しておけば、#full-auto の一言でKiroが自律的に作業します。

.kiro/steering/full-auto-workflow.md
---
inclusion: manual
---

# 完全自動ワークフロー

`#full-auto` で呼び出された場合、以下のルールで作業を進める。

## 基本方針
- 質問しない。memoと既存コードから推論する
- 承認を求めない。必要な作業はすべて実行する
- 完了まで止まらない。エラーが出たら自力で修正する

これを設定済みで並列起動すると、各ペインのKiroが独自判断で作業を完走します。

コツ3:ペインごとにディレクトリを分ける

同一リポジトリで2つのKiroを動かすと、ファイルの競合が起きます。

✅ ペインごとに別リポジトリ
ペイン1:~/projects/zenn-articles
ペイン2:~/projects/biz-tools

❌ 同じリポジトリで複数起動
ペイン1:~/projects/app(src/auth/login.ts を編集中)
ペイン2:~/projects/app(同じファイルを編集しようとする)

異なるリポジトリ、または同一リポジトリでも異なるブランチなら競合しません。


セッション切れ対策

tmuxの最大の価値は「セッションが切れても継続する」ことです。

デタッチして別作業

# Ctrl+b → d でデタッチ(Kiroは動き続ける)
$ tmux attach -t kiro-work  # 後で戻る

ログを確認する

# tmuxのペイン出力をログファイルに保存
Ctrl+b → :
pipe-pane -o 'cat >> ~/kiro-pane1.log'

Kiroが何をやったか後から確認できます。

セッションが増えた場合の整理

# セッション一覧を表示
tmux ls

# 不要なセッションを削除
tmux kill-session -t old-session

実測:並列運用前後の比較

実際に計測した結果です。

作業 直列(従来) 並列(tmux)
記事執筆 + PRまで 約25分 約10分(他タスクと並行)
3リポジトリのコミット 30分 12分
調査 + 実装 60分 30分

体感の変化として、「AIが考えてる間に自分が次の指示を仕込む」習慣ができます。Kiroを「部下」として使うより「別の現場で動いてるチームメンバー」として扱う感覚です。


トラブルシューティング

「どのペインが何をやってるかわからなくなる」

ペインにタイトルをつけましょう。

# ペインにタイトルをつける
printf '\033]2;記事執筆\033\\'
printf '\033]2;biz-tools実装\033\\'

または、tmux.confで自動的に現在のディレクトリを表示:

~/.tmux.conf
set -g status-right '#(basename #{pane_current_path})'

「Kiroが途中で止まっている」

tmuxのペインを見ると、確認待ちの場合があります。

Kiro: このファイルを削除してもよいですか? [y/N]

Steeringに「確認不要の操作一覧」を書いておくと減らせます。

「WSL環境でtmuxが重い」

WSL2上でtmuxを動かすと若干重くなる場合があります。

~/.tmux.conf
set -g default-terminal "screen-256color"
set -sg escape-time 0

まとめ:「監視員」から「管制官」へ

tmuxなしのKiro CLIは、AIを監視する係です。一度に1つの作業を見守り、終わったら次を指示します。

tmuxありのKiro CLIは、複数のエージェントを管制する係です。複数の作業を同時進行させ、完了報告を受け取るだけです。

実際の使い方:

  1. 朝、tmuxセッションを起動してペインを3〜4個作る
  2. 各ペインでKiro CLIを起動、今日のタスクを渡す
  3. 自分は別の作業や休憩をしながら進捗を確認
  4. どれかが完了したら次のタスクを投入

AIが「待ち状態」になる時間がほぼなくなります。

Kiroを使っているなら、今日からtmuxと組み合わせてみてください。体感が変わります。

付録:関連コースについて

本記事のようなKiro活用のノウハウを、Udemyコースとして体系的にまとめています。

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