はじめに
ChatGPTをはじめとするAIの急速な進歩により、エンジニアの付加価値について考える人も少なくないのではないでしょうか。AIは多くの技術的な質問に対し、即座に答えてくれます。
そうした状況の中で、技術記事サイトの将来はどうなるのか?
私はふとこのように考えましたが、直ぐさまある結論に至りました。
結論から申し上げると、私はAIの発達によって技術記事サイトが廃れることはないと思っています。むしろ、AIが発達するからこそ、人間が書く技術記事の価値がより鮮明になると考えています。
以下、私の個人的な主観と、これから気を付けなければならない戒めなどをつらつらと書き連ねます。
AIにはない技術記事の価値
1. 現場のリアルな経験と葛藤
AIが生成する回答は、分かりやすく整理された情報が多いですが、実際の開発現場では多くの葛藤や、その結論に至るまでの重要な過程があります。
- 「なぜその技術を選んだのか」という背景
- 「他の選択肢と比較してどう判断したのか」という思考過程
- 「実装中にぶつかった想定外の壁」とその解決策
- 「後から振り返って感じた反省点」
これらの情報は、学習効率を向上させ、より深い理解を獲得することができると私は考えます。
「なぜその技術選択をして、どこで躓いたのか」という情報があれば、後続の開発者は同じ罠にはまることを避けられます。また、思考のパターンを学ぶことで、問題解決能力そのものが向上します。
さらに、表面的な「HOW TO」ではなく、「なぜそうしたのか」という背景を知ることで技術への理解が深まります。設計思想やトレードオフの判断基準を学べるため、応用力が身につきます。
他にも熟練した開発者でも同じような壁にぶつかっていることが分かるので、学習への不安が軽減されます。
これらの人間ならではの試行錯誤の過程は、AIには提供できない貴重な情報です。
2. 個人のメモに宿る価値
特に注目したいのは、個人が残した「自分用のメモ」です。一見すると他の人には関係ないように思えるこれらのメモも、とても大きな価値があるのです。
# 今日のハマりポイント(自分用メモ)
あくまで例です。内容は適当です。すみません。
## 状況
この機能でなぜか想定していた動作が2回実行されてしまう
ドキュメント通りにやっているはずなのに...
## 試したこと
1. 設定ファイルを見直し → 問題なし
 → ○○という記事で、同じ状況に悩まされている人を見つけたが、その人曰く○○の設定を修正したらうまくいったとのこと。しかしうまくいかず。
2. 開発環境特有の問題を疑う → しかし同じ問題が本番環境でも発生している
3. 結局、○○○の処理が影響していた
 → ログを見ると、○○のようになっていたため、ここが怪しいと思ったらビンゴでした。
## 学び
ログをちゃんと見れば分かったのに、なぜか決めつけで調べてた。
デバッグツールを使えば一発で分かった。
なんで最初からやらなかったんだろう...
このような個人メモからは、
- その人なりの思考の流れが分かる
- 同じミスを犯しそうな人への警告になる
- 解決に至るまでの心理的な変化が読み取れる
といったメリットをもたらしてくれます。
AIの進歩で変わること、変わらないこと
変わること
- 基本的なチュートリアルはAIで十分になる
- 定型的な解説記事の需要は減る可能性がある
- より専門性の高い内容への需要が高まる
- 新たな取り組みへの興味関心が高まる
変わらないこと
- 個人の経験に基づいた知見の価値
- 失敗談や試行錯誤の過程への関心
- コミュニティとしての交流の重要性
- 独創的な視点と深い洞察への需要
あくまで私個人の憶測の範囲にはなるのですが、AIの進歩により、技術記事サイトは上記のように変わったり、変わらなかったりするのではないでしょうか。
これからAIがプログラミングをする時代にはなりますが、技術記事は変わらず叡智の宝庫だと私は思います。技術記事から学ぼうとするエンジニアが生き残る時代になるかもしれませんね。
これからの技術記事に求められるもの
- 個人の体験と感情を含んだ記事
- なぜその判断をしたのかという背景説明
- 失敗から学んだことの共有
- チーム開発での実践的な知見
おわりに
AIは確かに多くの技術的な疑問に答えてくれます。しかし、人間が実際に手を動かし、悩み、試行錯誤した結果得られる知見は、AIには提供できない価値があります。
特に、個人が残した「自分用のメモ」であっても、その人なりの葛藤や経緯を垣間見ることができ、同じ道を歩む他の開発者にとって大きな助けとなります。
技術記事サイトは廃れることなく、より人間らしい、よりリアルな知見の共有の場として進化していくのではないでしょうか。
みなさんはどう思われますか?AIの時代における技術記事の価値について、ぜひコメントで教えてください。
