はじめに
先日、AWS Certified Solutions Architect – Associate(SAA-C03)に合格しました。
- スコア:841(合格ライン 720)
- 勉強期間:約2ヶ月
- 総勉強時間:約50時間(平日30分〜1時間 + 週末に少し)
私は実務経験5年程度のフリーランス Web エンジニアで、普段は Django / React / TypeScript を使った開発をしています。AWS は業務や個人開発を通じて EC2、RDS、ECS / ECR、Lambda、ALB、SQS、SNS、DynamoDB、S3、CloudFront、Bedrock あたりを扱った経験があります。個人では予約サイトを AWS 上で運用しています。
「開発でよく使うサービスは一通り触ってきたけど、ネットワークやマルチAZ設計といったアーキテクチャ寄りの知識を体系的に学んだことがない」という状態からのスタートです。同じような境遇の方の参考になれば嬉しいです。
なぜ SAA を受けたのか
- 開発で使うサービス(コンピューティング、DB、メッセージング系)は触ってきた一方、VPC 設計や高可用性・DR といったアーキテクト寄りの領域は独学の穴が多かった
- 特にマルチAZ構成などの冗長化は、個人開発だとコストの関係でそもそも選択しにくく、触る機会自体がなかった。実務でも触れる範囲は限られるため、こうした領域は資格勉強で補うのが手っ取り早いと考えた
- アーキテクチャの選択肢を「知らないから選べない」状態を解消したかった
- 経験5年の区切りとして、AWS の知識を一度体系的に棚卸ししたかった
結果
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| スコア | 841 / 1000 |
| 勉強期間 | 約2ヶ月 |
| 総勉強時間 | 約50時間 |
| 受験方式 | テストセンター(ピアソンVUE) |
使った教材
Ping-t のみです。参考書は使わず、最初から最後まで問題演習中心で進めました。
使い方はシンプルで、
- まず全問を一通り解く(この段階では正答率は気にしない)
- 実用レベル問題を全問コンボ化(2回連続正解)
- コンボ化した後も忘れる問題は出てくるので、演習を繰り返して定着させる
インプット用の参考書を持たなかった分、解説をしっかり読み込むことと、次の章で書く「自分のプロダクトへの置き換え」で理解を補いました。
受験タイミングの判断基準
いつ申し込むか迷う方が多いと思いますが、私は次の基準を満たした時点で受験を決めました。
- 実用レベル問題を全問コンボ化済み
- 演習問題の正答率が直近3回の平均で9割に到達
「1回まぐれで9割」ではなく3回平均にしたのは、出題のブレによる上振れを除きたかったからです。この状態で本番スコアが 841 だったので、目安としてはそれなりに機能したと思います。
勉強法:自分のプロダクトに置き換えて覚える
前提として、50時間で済んだのは主要サービスを実務で触った経験があったことが大きいです。完全未経験からだと、もう少しインプットの時間が必要だと思います。
その上で、効率化に一番効いたのは、試験の知識を「自分が運用しているサービスならどうするか」に置き換えて理解したことだと思っています。
SAA の問題は「大企業が」「グローバル展開する EC サイトが」といった規模感のシナリオが多く、丸暗記するとすぐ忘れます。そこで、出てきたサービスを毎回自分のプロダクトに当てはめて考えました。
いくつか例を挙げます。
例1:Global Accelerator
「グローバルにユーザーがいる場合のレイテンシ改善」という文脈で頻出ですが、自分のサービス(利用者はほぼ国内)には明らかに不要。「うちには要らない」と判断できる = ユースケースを理解しているということなので、逆に記憶に残りました。
例2:S3 + CloudFront
これは実際に使っている構成なので、OAC(Origin Access Control)や署名付き URL の問題は「自分の設定を思い出すだけ」でした。実務で触っている範囲は勉強時間ゼロで得点源になります。
例3:DynamoDB のキャパシティモード
「アクセスが予測できないワークロードにはオンデマンド」という定番論点も、「シーズンだけアクセスが跳ねる自分のサービスならオンデマンド一択だな」と考えると一瞬で腹落ちしました。
この勉強法のポイント
- 個人開発でも小さなサービスでも、「自分の文脈」を1つ持っておくと、すべての問題がケーススタディになる
- 「このサービスは自分には過剰」という判断も立派な理解。試験でも「要件に対して過剰な選択肢を切る」力がそのまま活きる
スケジュール感
| 時期 | やったこと |
|---|---|
| 1ヶ月目 | Ping-t を一通り解いて全体像を掴む。知らないサービスの洗い出し |
| 2ヶ月目 | 実用レベル問題のコンボ化を進める。苦手分野を重点的に周回 |
| 直前 | 演習問題で正答率を確認し、3回平均9割に達した時点で申し込み |
うまくいかなかったこと
当初は1ヶ月で取り切るつもりでしたが、途中で仕事や私生活が忙しくなって勉強時間をほとんど取れない期間ができてしまい、結果的に2ヶ月に伸びました。
問題だったのは期間が伸びたこと自体よりも、ブランクの間にせっかくコンボ化した問題を忘れてしまったことです。再開後は「一度覚えたはずの問題を解き直す」ところからのやり直しになり、正直この分の時間はロスでした。
振り返ると、資格勉強は総勉強時間よりも密度(短期間に集中できるか)の影響が大きいと感じます。これから受ける方は、業務の繁忙期を避けて「集中して詰め込める1〜1.5ヶ月」を確保できるタイミングで始めるのがおすすめです。忙しくなりそうな時期が読めているなら、先に受験日を申し込んで締め切りを作ってしまうのも手だと思います。
Ping-t と本番の難易度比較
受験前に一番気になっていたのが「Ping-t だけで本番に通用するのか」でしたが、結論としては本番のほうが余裕を持てました。
Ping-t の問題は「この要件を満たすにはどのサービスをどう組み合わせるべきか」という複合的なシナリオ問題が中心です。普段からこの難易度で鍛えられていたおかげか、体感として、本番では Ping-t の演習より平易に感じる問題もあり、全体を通して余裕を持って解き進められました。
あくまで個人の体感ですが、Ping-t で正答率が安定しているなら、本番の難易度に対して過度に身構える必要はないと思います。
試験当日
テストセンターで受験しました。
- 本人確認は2点必要で、私はマイナンバーカードとクレジットカードで確認しました。身分証1点だけだと受験できないので、事前に確認しておくことをおすすめします
- 試験は65問130分ですが、1時間ほど余らせて退出しました。見直しは特にせず、解き終わった時点で終了
受けてみて
- ネットワーク(VPC、Transit Gateway、Direct Connect)、組織管理(Organizations、Control Tower)、マルチAZ・DR 設計など、個人開発ではコスト的に選択肢に入らない領域を体系的に知れたのが一番の収穫でした
- 「知らないから選べなかった」選択肢が増え、実務でのアーキテクチャ検討の解像度が上がった実感があります
まとめ
- 教材は Ping-t のみ。全問コンボ化 + 演習正答率3回平均9割を受験の判断基準にした
- Ping-t はシナリオ問題中心で難易度高め。Ping-t で安定していれば体感として本番は余裕を持てた
- 実務や個人開発で AWS に触れているなら、その文脈に試験知識を紐づけるのが最短ルート
- 50時間でも、演習中心 + 自分事化で 841 は取れる
- 「自分のサービスには要らない」と判断できることも理解のうち
これから受験する方の参考になれば幸いです。
