はじめまして、データ好きなシステム屋です。
先日、Scrum.orgのスクラムマスター上位資格である Professional Scrum Master II (以下、PSM-II) に合格できました。
(スコアは97.3%、1問ミスしたようです....残念)
PSM IIはPSM Iに比べてスクラムガイドの表面的な知識だけでなく、現場での実践力、状況判断が強く問われる試験です。
しかも、合格基準点(85%)が高く、問題数が少ない(30問)ので、試験としての難易度が少々高めです。
https://www.scrum.org/assessments/professional-scrum-master-ii-certification
さらに、英語メインの資格ということもあり、日本語での受験記や対策情報が非常に少ないのが現状です。
※PSM-Ⅰは日本語版がありますので、英語だけがネックの方はぜひトライを。
これからPSM IIの受験を検討している皆様のために、私の学習方法や当日の立ち回りなどのナレッジを記録として残しておきます。
1. 受験の動機
もともと大学院の講座などでスクラムの基礎知識は修得しており(恐らくCSM同等レベルと思います)、実務でも書籍を10冊程度、読み込んで、実際のプロジェクトにスクラムを新規導入・ルール構築した経験がありました。
そのため、「今さら基礎レベル(PSM Iなど)を受けても学びが少ない。せっかく挑戦するなら、しっかり勉強する価値のある手応えのあるレベル(PSM II)に挑もう」と考えたのがきっかけです。
2. 受験時のバックグラウンド(前提スペック)
私のキャリアは少し変わっていて、現場の技術者、スペシャリストから組織マネジメント、アジャイルへのシフトというステップを踏んできました。
- キャリア初期: ホスト(汎用機)でのCOBOLやオンライン処理の追加開発からスタート。
- オープン系・DBスペシャリスト時代: バックエンド開発を経て、DBチューニング、トラブルシューティングをメインとするDBスペシャリストへ。
- システム構築PJ支援: システム全体の辻褄合わせ、運用部門やインフラ部隊との調整、設計レビューなどを担当。専門外の領域でも問題を発見・解決する必要に迫られ、ここで 「対人アプローチとしてのコーチング」 の必要性を強く感じ勉強し始めます.....。
- エンジニア組織管理・IPO伴走: 社内基幹システムを支えつつ、エンジニア部門の業務統括、管理者として、無事の上場まで伴走。
- 現場復帰・アジャイルとの出会い: 現場に戻り、スクラムを新規で部分的導入するPJにてルール構築&運営を担当。その他PM支援まで範囲を広げ、現在に至ります。
PSM IIは単純な暗記ではなく「スクラムマスターとして現場でどう振る舞うか」という抽象度の高いシナリオ問題が多数あります。上記のような「他部署との調整」「全体俯瞰」「コーチング」の実務経験があったことが、問題の意図を理解する上で大きな助けになったのではないかと考えます。
(「要はどこが問題なの?」と要点を整理して判断するスキルですね)
3. 使用した教材・学習方法と「攻略のリアル」
使った教材・コンテンツは以下の通りです。
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PSMに追加料金で付帯できる公式学習講座
https://www.scrum.org/courses/self-paced/professional-scrum-master-advanced-fundamentals -
Scrum.org 公式の Open Assessment
https://www.scrum.org/open-assessments/scrum-open - Udemyの模擬問題集(2つ)
実際に使ってみて感じた「教材のリアル」と「学習のコツ」は以下の通りです。
① 公式講座と試験範囲のギャップ
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公式講座の立ち位置: 正直な感想として、学習としては大変勉強になりますが、 「これだけで試験対策とするには不十分」 という印象でした。
確認テストもついているのですが、このテストの解説がほぼほぼないので、試験範囲の参考にしつつ...という感じです。 - AIの学習内容について: 公式講座内には「AIの活用」に関するコンテンツが含まれていますが、 実際の試験には出てこなかったので安心してOK です。
② 大規模スクラム(Nexus等)の原則は必須
試験には 大規模スクラム に関する問題も出題されます。複数チームでスクラムを行う際の原則(Nexusガイドなどのポイント)はしっかり頭に入れておく必要があります。
③ 【重要】模擬試験は「複数(2つ以上)」受けるのが吉!
PSM II対策の核となるのが模擬試験の活用ですが、必ず異なる作成者の問題集を2つ以上用意することをおすすめします。
模擬問題なので、どれにも似たような設問が出てくるのですが、作成者によって 「シナリオの解釈が異なり、回答(正解)が分かれるケース」 が存在します。
一見「どっちが正しいんだ?」と混乱しそうになりますが、実は この「解釈の違い」を比較し、なぜ回答が異なるのかを突き詰めて考えるプロセスが、とても勉強になります。
単に正解を暗記するのではなく、「自分ならどの原則を根拠にして、どう判断するか」を理由とともに説明できるようになるまで模擬試験を回すことが、合格への一番の近道です。
4. PSM試験の傾向(私見):「原理原則」と「現実」を切り分ける
実務経験が豊富な人ほど陥りがちな罠ですが、PSMはあくまで「教科書的(=スクラムガイド)な原理原則」に基づいて回答すべき試験 というのが勉強してみた限りの所感です。
現場での泥臭い運用や「自分のプロジェクトではこうやっている」という、世の中の現実の慣習は一度横に置いて、「本来のスクラムガイドの原則(基本)」に徹底的に忠実に回答すること を意識してください。
「現実の対応」と「本来の原則」を頭の中で明確に分けておくことが、迷った時の強力な軸になります。
実務でも「原則通りではこうだけれど、現実はそうはいかないから、こうする」と考えられると、あとでよくわからなくなるような謎のルールを引かなくて済むと思います。
勉強中にスクラムの用語の解釈などに迷ったら、こちらも参考になると思います。
- スクラムガイド拡張パック: https://scrumexpansion.org/ja/
5. 英語問題(翻訳)の解き方と注意点
公式でも案内されている通り、Google翻訳のブラウザプラグイン(拡張機能) を使用して日本語化しながら解きました。
ただし、翻訳の罠 には十分注意してください。
模擬試験を解いていると、一部の翻訳において、意味が正反対になってしまうような誤訳 が見られたと思います。
(1件だけ、記憶にあります)
また、日本語がスクラムガイドと違う訳になる場合もあります。スクラムで出てくるキーワードはGoogle翻訳でどう訳されるか確認しておくほうが無難です。
「おや?」と思う選択肢や、文脈が怪しいと感じた設問では、原文(英語)に切り替えてニュアンスを確認するほうが安心かもしれません。
(勉強していると慣れるので、問題ないかもしれませんが)
6. 試験当日の時間配分とコツ
試験当日に意識したことや、実際に受けてみて感じた個人的ポイントです。
① 時間は十分にあります
しっかり勉強して臨んでいれば、時間は焦る必要がないくらい十分にあります。まずは普通のペースで1周解き、怪しい問題にはフラグ(チェック)をつけておいて、後からゆっくり戻ってくる立ち回りで全く問題ありません。
② 部分点があるので諦めない
PSM IIには部分点(試験ページにpartial credit provided on some questionsと書いてあります)が存在します。
複数選択問題などで怪しい選択肢があっても、パニックにならず冷静に「一番スクラムガイドの原理原則に近いもの」を選んでください。
消去法のアプローチがおすすめです。
③ 1つの問題に囚われすぎない
中には解釈に迷うような独特なシナリオ問題もあります。1つの問題で長く悩みすぎるのは得策ではありません。基本原則に立ち返り、設問と自分の回答の「理由付け」を確かめながら進めていきましょう。
最後に
PSM IIはハードルが高く見えますが、スクラムの本質的な考え方を学ぶには良い資格だと思います。
この資格を勉強することで、試験の設問を通して、判断ポイントを自分なりに考えられる契機にもなります。
この記事が、これからPSM IIに挑戦するスクラムマスターやエンジニアの皆様の役に立てば嬉しいです!