AI開発時代、空いた時間で何してる? 〜「待ち」を未来の自分への投資に変える〜
はじめに
未経験からエンジニアになって3ヶ月目。
最近の自分のコーディング、けっこうな割合が「AIの出力待ち」で占められてることに気づいた。
特に最近はClaude Codeの /loop みたいに、実装そのものをAIに任せることが増えてきた。
こうなると待ち時間は数十秒どころか、平気で 30分超えたりする。
……この時間、みんな何してる?
正直に言うと、最初の頃の自分はぼーっと画面を眺めてた。
あるいは社内チャットツールを開いて、なんとなくスクロールしてた。
でも最近、「この待ち時間、地味にもったいなくないか?」と思うようになった。
今回はその話。
AIが手を動かしてる間、自分は何を「装備」しておくべきか。
結論から言うと、自分はこの時間を 「会社のやり取りを吸収する時間」 に充ててる。
これがめちゃくちゃ効くな、と最近実感してるという話をしたい。
1. 実装を任せると、待ち時間は「分」単位になる
まず前提として、AIに実装を任せる時代の「待ち時間」は、昔とは桁が違う。
- ちょっとした質問:数十秒
- まとまった実装を
/loopで任せる:30分とか平気でいく
この30分、ただ待ってるだけだと完全に死ぬ。
でも逆に言えば、まとまった枠が1日に何回も生まれてるということでもある。
自分の場合はこの時間を二段構えで使ってる。
-
セッションA:長めの実装を
/loopで回す(完成まで時間かかる) - セッションB:その間に別の小さめのタスクをAIに投げる
こうやってAIを複数並行で動かすと、今度は「Aの実装が完成して、それをレビューするまでの待ち時間」が生まれる。
このAが出来上がるのを待ってる時間こそ、これから話す「知識集め」に充ててる。
ちょっとした裏付け
実はこの「待ち時間が増える」現象、研究でも指摘されている。METRが2025年に出した調査では、AIを使った開発者は能動的にコードを書く時間が減り、代わりにプロンプト入力・出力待ち・レビュー・アイドル(何もしてない)時間が増えていた、という結果が出ている。体感だけじゃなく、データ的にも「待ち時間は実在して増えてる」ということらしい。
(参考リンクは記事末尾に)
とにかく、AI開発時代は 「自分は手を動かしてないけど、タスクは進行中」という時間が確実に増えてる。
この時間をどう使うかで、地味に差がつくと思っている。
2. 会社のやり取りは、知識の宝庫だった(ここが本題)
で、本題。
自分はこの待ち時間を、社内チャットツールでの会話・質問・疑問・指摘を「見る」ことに使ってる。
なぜか。最近、強烈に実感したことがあって——
会社内のやり取りって、本当に知識の宝庫なんだ。
ドキュメントには載らない、生きた問題と解決のログがそこにある。
整形されたドキュメントやWikiには、結論しか書いてない。
でもチャットには、
- 誰かが「ここでハマってる」っていう生の詰まりポイント
- それに対して先輩が「それはこうだよ」と返す解決の瞬間
- 「これってどういう設計が正しいんだっけ?」みたいな、答えの出てない議論
が、リアルタイムで流れてる。
問題が起きて、解決されるまでの全過程が見えるのは、整ったドキュメントには絶対にない価値だと思う。
なぜ「他人のやり取り」が自分に効くのか
ここが一番伝えたいところ。
自分がこれを追う理由は、シンプルにこう思ってるから:
他の人が「今」やってること = 未来の自分が「いつか」経験すること
先輩が今ハマってるバグは、いつか自分もハマる。
誰かが今レビューで受けてる指摘は、いつか自分も受ける。
つまり、**他人のやり取りは「未来の自分の予習教材」**なんだよね。
しかもタダで、リアルタイムで、自分の会社の文脈そのままで流れてくる。
こんな贅沢な教材、なかなかない。
だから、AIの実装が完成するのを待ってる間、自分は社内チャットツールを眺めて「お、こんな話してるんだ」とアンテナを張るようにしてる。
AIの待ち時間 × 会社の知識の宝庫。この組み合わせが、今の自分の一番の勉強法になってる。
3. 拾ったものは、AIに解説させて「頭の片隅」に置く
とはいえ、ただ眺めるだけだと専門用語が出てきて「???」で終わることも多い。
そこでAIの出番。
気になったやり取りを、そのままAIに投げる。
「これどういうこと?」「なんでこの指摘が出たの?」
実装を待ってる時間に、別のAIに会社のやり取りを解説させる。時間の二毛作。
自分の場合はさらに一歩進めて、解説をHTMLドキュメントにまとめたりもしてる。
(このへんは「装備化」シリーズでずっとやってるやつ)
ここで大事なのは、完全に理解しようとしないこと。
当然、完全には理解できない。人に説明できるレベルにもならない。
でも、それでいい。目的は暗記じゃなくて、
「あ、こういうものがあるんだ」を頭の片隅に置いておくこと。
知ってる状態と、知らない状態。
この2つには、次に同じ場面が自分に回ってきたとき、決定的な差が出る。
- 知らない状態:「うわ、何これ、全く分からん」と固まる。一歩目が踏み出せない。
- 頭の片隅にある状態:「あ、これ前にチャットで見たやつだ。たしかAIに聞いたら〇〇って言ってた気がする」から始められる。
未経験の自分にとって、一番の敵は「知らないことへの恐怖」だと思ってる。
待ち時間に拾った断片は、その恐怖を少しずつ溶かしてくれる。
4. ただし「丸投げ」ではない、ここは重要
ここまで「待ち時間を別のことに使う」と書いてきたけど、これはAIに実装を全部投げて放置という話ではまったくない。
セッションAの実装が完成したら、必ず:
- 「どういう方針で実装したのか」をAI自身に説明させる
- その上で、自分で中身を読んでレビューする
つまり自分の中では、待ち時間はこういう流れになってる:
実装を投げる → (完成までの待ち時間で会社のやり取りを吸収) → 完成したらちゃんとレビューする
「待ってる時間を有効活用する」のと「出てきたものを鵜呑みにする」のは、まったくの別物。
レビューをサボると、結局あとで自分が痛い目を見る。
待ち時間の活用と、完成物のレビューは、必ずセットで考えている。
まとめ
- AIに実装を任せる時代、「手を動かしてないけど待ってる時間」は確実に増えてる
- その時間を、自分は 会社のやり取りを吸収することに充ててる
- なぜなら 会社内のやり取りは知識の宝庫で、ドキュメントに載らない生きた問題と解決のログがそこにあるから
- そして 他人が今やってることは、未来の自分がいつか経験すること。だから他人のやり取りは未来の自分の予習教材になる
- 拾ったものはAIに解説させて、完全に覚えようとせず「頭の片隅」に置く
- ただし実装の丸投げではない。完成物のレビューは必ずセット
AIが手を動かしてる間、自分は未来の自分を準備する。
ぼーっと待つか、会社に転がってる宝を拾うか。
1回の待ちがそこそこ長いぶん、1日トータルだとかなりの量になる。
この積み重ねが、半年後の自分を助けてくれると信じてやっていきたい。
アンテナ、常に張っていきましょう。
おまけ:この記事も「待ち時間」から生まれた
最後にひとつ。
実はこの記事のネタ自体、AIの実装を待ってる時間に「あれ、この待ち時間ってみんなどうしてるんだ?」とふと思いついたものだったりする。
期せずして、この記事を書く流れそのものが、今回伝えたかったことの実演になっていた。
……という、ちょっとできすぎたオチで締めます。
参考
- METR「Measuring the Impact of Early-2025 AI on Experienced Open-Source Developer Productivity」 https://metr.org/blog/2025-07-10-early-2025-ai-experienced-os-dev-study/
