はじめに
2026年7月6日にこれまでVCF-5.2系のみ対応していたAmazon EVSがVCF9.0/9.1への対応が発表されました。
同時に、VCF-5.2.2のデプロイはフルモードだったのに対し、SELF_DEPLOYEDモードにてセットアップが可能となりました。(VCF9.0/9.1はSELF_DEPLOYEDモードのみ)
今回は、SELF_DEPLOYEDモードにて、VCF9.1を稼働させていきます。
本Blogは、エンジニア向けのナレッジ提供を目的としております。
記載された内容は極力”実稼働”させてフィジビリティをとっておりますが、本番で稼働させる場合は専門家にご相談ください。(弊社でも可能です・・・)
前提条件
事前に準備しておいたほうが良いことをまとめておきます。
ライセンス関連
VCF9.0/9.1から評価版で稼働させることができますが、BroadcomのサイトからのOVAのダウンロードやVCF-Installerのリポジトリの登録のためのVCFのサイトへのログインは必要です。有効なサブスクリプションを持つサポートサイトにログイン可能なアカウントを用意します。(もっともハードルが高いポイントです)
IPアドレス設計
Amazon EVSは、VPCの中にVLAN Subnetを作成してその中でESXやNSXやEdge(Overlay)が稼働します。
好みはありますが、VLANを/24単位で作成する場合は大きめのVPCが必要です。
ネイティブのリソース(EC2やRDS)などと共存する場合は、それらのサブネットも考慮しておきましょう。
ラボ環境は、わかりやすさを優先して/24単位でSubnetをアサインしています。

注意点はVLAN10(Native VLAN)です。VMKernel(Host管理IF)はNative VLANになります。
VCF-Installerで作成時もVLAN 0を明示的に書く場所があり、VLAN 0の記入が必要となります。
Amazon EVSはVMware Cloud on AWSのようなStretched Clusterはサポートされません。(考え方はオンプレミスのデータセンタと同じ発想です。DRが必要であれば別のRegionなりAZなりに作成が必要となります)
本ラボ環境は、VPCのサイズを/19(/24を32個分)にて作成しています。
NSXのOverlayはVPC Subnet外のレンジが利用できるため、もう少し小さくでも問題はありませんが、
NativeのAWSと連携することを考慮しています。
HCXをPublic IP経由で接続を希望される場合、VPCのSecondary Subnetに/28のPublic IPのサブネットを作成してください。/28のPublic IPは緩和申請とIPAMの利用が必須となります。CLIでSubnetを作成する場合はPublicのフラグを付与してください。
VLAN Subnetは初期作成から変更できませんのでご注意ください。
Private Hosted Zone
Amazon EVSはDNSにて名前解決を行います。通常は正引きのみですが、VCFは逆引きも必要となります。事前にホスト名などを決めておき、正引き/逆引きのゾーンの作成とVPCへ紐づけを行っておきましょう。(割と忘れる)
参考情報はこちら。VCF5系と9系が混在していますが、少なからずこのぐらいのホスト名の準備が必要です。

メインのデータストアについて
VCF9.0/9.1からVSAN Datastoreが必須ではなくなりました。メインのデータストアをNFS(FSx for NetApp ONTAP)で構築することが可能です。またこれに伴い最小4ホスト構成が外れ、2ホストから稼働させることが可能となります。(本番稼働推奨は3ホストから)今回のラボ構成は、i4i.metalではなく。i7i.metal-24xlの2ホスト構成にて作成しています。
本番環境で稼働させる場合NSXアプライアンスが3ホスト必要となります。
2ホストで動かす場合、片方のホストにNSXのアプライアンスが2台動くため構成不可となります。なおVSANで動かす場合は3ホストからとなります。(Witnessが作成できないため2 Hosts VSANは組めません)
名前解決の方針
Amazon EVSはオンプレミスからESXやvCenterをFQDNで呼ぶ必要があります。
Private Hosted Zoneにて作成する場合、オンプレミスからFormwerderなどの対応が必要ですが、Inbound Resolverが必要なことにご注意ください。またクラウドからオンプレへの名前解決が必要であれば、Outbound Resolverも必要となります。
Transit GatewayとBGP Route Serverが必要
SDDC上のNSXは、Overey環境でVPC外のアドレスでSubnetの作成が自由に可能です。(例:10.0.0.0/24など)
Overlay SubnetはBGPで経路交換を行うため、NSX EdgeとVPC Route Serverの間でBGPにて経路交換(Advertise)を行います。(VPC Route ServerのEndpointはService Subnet上に作るため、eBGP Multihopで構成します。)
VPC Route Serverは受け取った経路をVPC上の指定されたRoute Tableに追加します。そのためEC2などはシームレスにアクセスすることが可能となります。ただしTransit GatewayのRoute TableにはVPC Route Serverが受け取ったサブネットは反映されないため注意が必要です。(追加/削除は手作業)
NSX-Edge上で稼働するT0-RouterはBGP Route Serverから経路は受けとりません(渡すだけです)。T0-RouterにDefault GatewayをStaticで記入する必要がありますのでご注意ください(オンプレミスでNSXを触られる方は注意が必要です。セットアップ時に忘れます。)
NAT GatewayはOverlayのSubnetを認識できません。OverlayのSubnetからNAT Gateway経由でインターネットに抜けさせる場合は、NSX側でNATの設定が必要となります。
デプロイ手順とCLIコマンド
いつものように作業の流れから説明します。
VPC(箱)の作成
事前に作成が必要なものは以下の通りです。
- Service Subnet
- Public Subnet
- NAT Gateway
- FSxN Subnet
- Transit Gateway Subnet
- FSx for NetApp ONTAP
- Route53 Hosted Zone(正引き/逆引き)
- Route53 Inbound Resolver
これらの作成は手作業でもTerraformでも可能です。
当ラボの環境はTerraformで作成しています。
GUIまたはCLIからAmazon EVS環境の作成
SELF_DEPLOYEDモードではSubnet作成までを実施します。
GUIでWizard形式で進めてもよいですし。AWS CLIで作成も可能です。
今回はAWS CLIで作成しています。
aws evs create-environment `
--profile <profile> `
--environment-name tokyo-evs_202607 `
--vpc-id <vpc-id> `
--service-access-subnet-id <subnet-id> `
--vcf-version SELF_DEPLOYED `
--terms-accepted `
--initial-vlans '{
"vmkManagement": { "cidr": "172.27.97.0/24" },
"vmManagement": { "cidr": "172.27.100.0/24" },
"vMotion": { "cidr": "172.27.98.0/24" },
"vSan": { "cidr": "172.27.99.0/24" },
"vTep": { "cidr": "172.27.102.0/24" },
"edgeVTep": { "cidr": "172.27.101.0/24" },
"nsxUplink": { "cidr": "172.27.104.0/24" },
"hcx": { "cidr": "172.27.103.0/24" },
"expansionVlan1": { "cidr": "172.27.105.0/24" },
"expansionVlan2": { "cidr": "172.27.106.0/24" }
}' `
--region <region>
10分~20分程度で作成されます。
デプロイされたVPCの構成はこちらになります。(AI生成のため参考程度でどうぞ)

ホストの作成
こちらもGUIまたはCLIで作成可能です。
CLIはこちらをどうぞ
aws evs create-environment-host `
--environment-id "<env-id>" `
--host '{
"hostName": "esx01",
"keyName": "<keyname>",
"instanceType": "i7i.metal-24xl"
}' `
--profile <profile>
今回はesx01、esx02を作成しています。
なお、esx01のrootのパスワードはシークレットマネージャーに記載されます。
VCF-Installerのセットアップ
-
DeployされたESXの1台にAWSのManagement Consoleから300GB程度のEBSをデータストア用としてアタッチします。
esx上にてブロックデバイスとして認識させ、作業用のデータストアとして作成します。

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BroadcomのサイトからSDDC-ManagerのOVAを入手します。
ファイル名のサンプル:VCF-SDDC-Manager-Appliance-9.1.0.0300.25536191.ova
セットアップはWizardに従い実施してください。
おわりに
今回はAmazon EVSにおけるVCF 9.1(SELF_DEPLOYED)の概要と、前提条件の整理およびVCF-Installerのセットアップ前準備までを解説しました。
次回の 【No.2】 では、実際にVCF-Installerを起動し、初期パラメータの投入からSDDCのデプロイ完了までの具体的な手順を詳しく解説していきます!