想定読者
- Microsoft Fabric の Fabric Apps(プレビュー) / Rayfin を触っている、または気になっている方
- 日本リージョン(Japan East)で Fabric の新しいプレビュー機能を動かしたい方
- 「プレビューを早めに触るとどんな感じか」を知りたい方
TL;DR
- Fabric Apps が Japan East で使えるようになっていました(公式ドキュメントの region availability ページが 2026-07-08 更新で、Japan East の非対応欄から Fabric App が消えています)。
- 2026-06 時点では Japan East は未対応で、
rayfin upが 403 "The feature is not available" で失敗し、Korea Central に容量を新設して回避していました。 - 今回あらためて Japan East の容量に再デプロイしたところ、追加のログインも不要でそのまま完走し、サインイン → データの登録・完了・削除(CRUD)まで動作しました。
- ただし これはプレビューです(GA ではありません)。また対応したのは Japan East で、Japan West はまだ未対応です。
背景 — 6月は Japan East で動かず、Korea Central に逃がしていた
Fabric Apps は 2026 年の Microsoft Build で公開プレビューになった、TypeScript でデータモデルを書くと SQL データベース + GraphQL API + 認証 + 静的ホスティング一式を Fabric 容量上にデプロイできる仕組みです。SDK/CLI の名前が Rayfin で、npx rayfin up でデプロイします。
このプレビューを 6 月に触った際、Japan East の容量では rayfin up が 403 "The feature is not available" で止まりました。認証エラーの 403 とは別物で、原因はリージョンの機能可用性でした。当時は Japan East / Japan West の両方とも未対応で、対応リージョンである Korea Central に容量を新設して回避しました(その顛末は前回の記事に書きました)。
前回: Claude Code × Microsoft Fabric Apps(プレビュー)— Rayfin で TypeScript からアプリ基盤を一発デプロイ、そして 403 ハマり
何が変わったのか — Japan East が対応リージョンに
Fabric のリージョン対応状況は、公式ドキュメントの region availability ページで確認できます。このページを見ると、Japan East の「利用できない機能」欄から Fabric App (preview) の記載が消えていました(ページの更新日は 2026-07-08)。
一方で Japan West は依然として非対応のままです(同ページの非対応欄に残っています)。つまり「日本リージョンなら OK」ではなく、現時点で対応したのは Japan Eastという点は押さえておくとよいと思います。
また、当然ですが Fabric Apps は引き続きプレビューです。overview ページにも "This feature is in preview." と明記されています。GA(一般提供)ではありません。
出典: Fabric region availability / What is Fabric Apps (Preview)
実際に Japan East に再デプロイしてみた
ドキュメントの表記だけで「対応した」と言い切るのは早いので、実際に Japan East の容量へ再デプロイして確かめました。手順はおおむね次のとおりです(識別子はダミーに置き換えています)。
前提として、テナント管理者側で管理ポータルの Tenant settings で「Fabric Apps (preview)」を有効にしておく必要があります。
# 1. Japan East の容量上に、デプロイ先の新しいワークスペースを作成する
# (fab = Microsoft Fabric CLI。容量指定は必須)
fab mkdir <workspace-name>.Workspace -P capacityName=<japan-east-capacity>
# 2. まずは dry-run で「何が行われるか」を確認する(API は呼ばれない)
npx rayfin up --workspace-id <workspace-id> --dry-run
# 3. 本デプロイ
npx rayfin up --workspace-id <workspace-id> -y
# 4. データベースのマイグレーションを適用する
npx rayfin up db apply -y
--workspace-id の代わりに -w <ワークスペース表示名> でも指定できます。--dry-run は「作成される項目・適用される設定・デプロイされる静的コンテンツ」を実際の API 呼び出しなしで一覧してくれるので、事前確認として便利でした。
今回は、既存の Korea Central 版の設定を壊さないように、デプロイ記録(rayfin/.deployments.json)をバックアップしてから、Japan East 用に新しいワークスペースを作ってそこへデプロイしました。
結果、6 月に 403 で止まっていた rayfin up が、今回は Japan East でそのまま完走しました。build → デプロイ → DB 設定の適用まで一気に通り、公開 URL も https://<app>-japaneast.webapp.fabricapps.net の形(ホスト名に japaneast が入る)で払い出されました。
動いた — 登録・完了・削除まで
デプロイした Todo アプリをブラウザで開くと、Fabric のブローカー認証で SSO サインインができ、そのまま 登録 → 完了トグル → 削除の一連の操作が問題なく動きました。認証・データの読み取り・書き込み(ユーザーごとの行レベルセキュリティ込み)まで、Japan East 上で一通り確認できたことになります。
注記・ハマりどころ
- プレビューの情報はすぐ古くなります。リージョンの対応状況は短い間隔で変わることがあるので、「今こうなっている」も今後変わり得ます。この記事も 2026-07 時点のスナップショットとしてお読みください。
- 対応は Japan East のみ。Japan West はまだ未対応です(2026-07 時点)。
- Fabric の機能可用性は、テナントのホームリージョンではなく 容量が置かれているリージョンで決まります(Multi-Geo の考え方)。「テナント設定を ON にしたのに動かない」ときは、容量リージョンの可用性マトリクスを先に確認するのが近道です。
まとめ
プレビュー段階の機能は「今できないこと」も多いですが、逆に 早めに触っておくと、1〜2 か月で状況が動くのを体感できます。今回はまさに、6 月に日本リージョンで動かず海外の容量に逃がしていたものが、7 月には Japan East でそのまま CRUD まで動くようになっていました。
日本で Fabric Apps を試したい方は、Japan East の容量で一度動かしてみると良いと思います(プレビュー・Japan East 限定である点はご留意を)。


