「AIを使いこなせてる」と思ってるけど、実際どのレベル? DeNAが全社導入したAIスキル評価指標「DARS」が、その答えを出してくれる。開発者・非開発者・組織の3軸×5段階。この記事を読みながら自分のレベルを測って、次に何をすれば1つ上がるかがわかる。
この記事でわかること
- DARSの5段階レベルの具体的な定義(開発者/非開発者/組織)
- 自分が今どのレベルにいるか(セルフチェック付き)
- 次のレベルに上がるために具体的に何をすればいいか
- Claude Code等のAIツールとDARSレベルの対応関係
対象読者
- AIツールを使ってるけど「自分のレベル」がわからない人
- 社内のAI活用を推進したい人
- 「AIスキル」をどう評価すればいいか悩んでる人
目次
- DARSとは何か
- 個人レベル: 非開発者の5段階
- 個人レベル: 開発者の5段階
- 組織レベルの5段階
- 自己診断: あなたは今どのレベル?
- 次のレベルに上がるためのアクション
- DARSを自社に導入するなら
- まとめ
DARSとは何か
DARS(DeNA AI Readiness Score) は、DeNAが2025年8月に全社導入したAI活用スキルの評価指標。
3つの特徴:
- 開発者と非開発者で別の基準 — エンジニアと企画職では「AIを使いこなす」の意味が違う。それぞれに合った尺度を設計
- 人事評価には直結しない — 等級別の「推奨要素」として位置づけ。罰則ではなく成長の指標
- 半期ごとに目標設定 — 評価サイクルごとに現在地を可視化して、次の目標を立てる
DeNAは2025年2月に「AIにオールイン」を宣言。DARSはその実行手段として導入された。
💡 DARSの本質は「AIを使えるかどうか」ではなく「どう使えているか」を段階的に定義したこと。 「AI使ってます」と「AIで業務を変革してます」は全然違う。
参考: DeNA公式発表 / フルスイング(DeNA公式ブログ)
個人レベル: 非開発者の5段階
ビジネス職、クリエイティブ職、マネージャー等の「コードを書かない人」向けの評価軸。
| Lv | 状態 | 具体的にやってること |
|---|---|---|
| 1 | 試し始めた | ChatGPTやClaude等を触ったことがある。たまにメールの文面やアイデア出しに使う |
| 2 | 日常的に使ってる | 毎日の業務でAIを使う習慣がある。議事録要約、資料作成、リサーチ等 |
| 3 | 業務プロセスを設計できる | 「この業務フローのここにAIを入れたら効率化できる」と自分で設計できる |
| 4 | ツール横断で活用できる | 複数のAIツールを組み合わせて使う。既存SaaSとAIを連携させる |
| 5 | 他者の生産性まで引き上げる | 自分だけでなく、チーム全体のAI活用レベルを上げる仕組みを作れる |
Lv.1→2は「習慣化」、Lv.2→3は「設計力」、Lv.3→4は「統合力」、Lv.4→5は「リーダーシップ」。レベルが上がるごとに求められる能力の質が変わる。
個人レベル: 開発者の5段階
エンジニア向け。AIツールの活用度がそのまま段階になっている。
| Lv | 状態 | 具体的にやってること |
|---|---|---|
| 1 | 対話型AIで補完 | ChatGPTやClaudeにコードの質問をする。エラーメッセージを貼って解決策を聞く |
| 2 | IDE連携と生成の基礎 | GitHub CopilotやCursorでコード補完を使う。AIにテストやドキュメントを書かせる |
| 3 | 補佐的エージェント活用 | Claude CodeやDevin等のAIエージェントを使って、一連のタスクを任せる |
| 4 | チーム連携の自動化 | 複数のエージェントを連携させる。CI/CDにAIを組み込む。LLMOpsの知識がある |
| 5 | AIエージェントの設計・展開 | AI Platform/フレームワーク/ツールをオーケストレーションし、AIエージェントを設計。全社的な開発生産性を向上させる |
Lv.3の「エージェント活用」が今の境界線。ここから上は「AIに指示を出す側」から「AIの仕組みを設計する側」に変わる。
組織レベルの5段階
チーム・部署単位での評価。
| Lv | 状態 | 具体的な特徴 |
|---|---|---|
| 1 | 試し始めている | チーム内でAIを試す人がいる。個人の取り組みレベル |
| 2 | 日常的に利用 | チーム全員がAIを日常業務で使っている |
| 3 | リード人材がいて継続運用 | AI活用をリードする人がいて、ナレッジが蓄積・共有されている |
| 4 | 業務・組織構造が変わった | AIの導入によって既存の業務プロセスや組織構成が実際に変容した |
| 5 | AI前提で戦略設計 | AIだからこそ可能な戦略が実行されている。KPIもAI前提で再設計 |
DeNAの目標: 2025年度末までに全組織がレベル2に到達。
自己診断: あなたは今どのレベル?
非開発者向けセルフチェック
以下に当てはまるものを全部チェック:
- AIツール(ChatGPT, Claude等)を使ったことがある → Lv.1以上
- 週3回以上、業務でAIを使っている → Lv.2以上
- 「この業務はAIに任せたほうが早い」と判断して、実際にフローを変えた → Lv.3以上
- 複数のAIツール/サービスを連携させて使っている(例: AI + Notion, AI + Slack連携) → Lv.4以上
- チームメンバーにAI活用を教えている。仕組み化して他の人も使えるようにした → Lv.5
開発者向けセルフチェック
- ChatGPTやClaudeにコードの質問をする → Lv.1以上
- CopilotやCursorでコード補完を日常的に使う → Lv.2以上
- Claude CodeやDevin等のAIエージェントにタスクを丸投げできる → Lv.3以上
- 複数エージェントの並列実行やCI/CDへのAI統合をやっている → Lv.4以上
- AIエージェントの設計・Skill作成・オーケストレーションを組織的に展開 → Lv.5
組織向けセルフチェック
- チームに1人はAIを使ってる人がいる → Lv.1以上
- チーム全員が日常的にAIを使っている → Lv.2以上
- AI活用のリーダーがいて、ナレッジが共有されている → Lv.3以上
- AIの導入で業務プロセスが実際に変わった → Lv.4以上
- AI前提でKPIや戦略を設計している → Lv.5
次のレベルに上がるためのアクション
レベルごとに「次にやること」を具体的に書く。
Lv.1 → Lv.2: 「たまに使う」から「毎日使う」へ
| やること | 具体例 | 工数 |
|---|---|---|
| AIを「最初の相談相手」にする | メール返信、議事録要約、調査の初手をAIで | 0分(習慣の変更) |
| ブラウザのホームをAIチャットに | 毎朝開くページをChatGPT/Claudeにする | 1分 |
| 1日3回AIに何か聞く | 何でもいい。「聞く習慣」を作る | 0分 |
Lv.2 → Lv.3: 「使ってる」から「設計できる」へ
| やること | 具体例 | 工数 |
|---|---|---|
| 自分の業務フローを書き出す | 1日の作業を全部リストアップ | 30分 |
| 「AIに任せられる箇所」を特定 | リストの中で反復・テンプレ化可能な作業 | 15分 |
| 実際にAIで1つの業務を自動化 | 例: 週報のドラフト自動生成 | 1時間 |
Lv.3 → Lv.4: 「1つのツール」から「複数の連携」へ
| やること | 具体例 | 工数 |
|---|---|---|
| MCP(Model Context Protocol)を学ぶ | AIがNotionやSlack等と直接連携する仕組み | 2時間 |
| 2つ以上のツールをAIで繋げる | 例: Gmail → AI要約 → Notion自動記録 | 半日 |
| 定期実行の仕組みを作る | スケジュール実行で人手を完全排除 | 1日 |
Lv.4 → Lv.5: 「自分が使う」から「組織を変える」へ
| やること | 具体例 | 工数 |
|---|---|---|
| Skillファイルを作る | 自分のAI活用パターンを再現可能な形式で文書化 | 2時間 |
| チーム勉強会を開く | 「自分はこう使ってる」を共有する場を作る | 1時間 |
| AI活用のテンプレートを配布 | 誰でもコピペで使えるプロンプト集を作る | 半日 |
Lv.3→4が一番ハードルが高い。 単体のAIツールを使うのと、複数を連携させるのでは、必要な知識量が全然違う。ここを超えるにはMCPやAPI連携の基礎知識が必要になる。
DARSを自社に導入するなら
DeNAのDARSをそのまま使うのは難しい(DeNAの文脈に特化してるから)。でもフレームワークとして参考にするのは有益。
導入のポイント
DeNAがやったこと:
- 人事評価とは切り離した — 「AIを使ってないと減点」ではなく「成長の指標」として位置づけ
- 開発者と非開発者で分けた — 同じ尺度で測ると不公平になる
- 半期ごとに更新 — AI技術の進歩が速いので、基準自体を更新していく
自社で使うなら最低限やること:
- 上の5段階を自社の職種に合わせてカスタマイズ
- 全社員に「自分は今どのレベルか」を自己申告してもらう
- 「次のレベルに上がるための研修/リソース」を用意する
💡 大事なのは「測ること」自体ではなく「次のアクションが明確になること」。 レベルだけ測って放置すると形骸化する。
まとめ
DARSで見えた「AIスキルの構造」
| Lv.1 | Lv.2 | Lv.3 | Lv.4 | Lv.5 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 非開発者 | 試す | 日常化 | 設計する | 統合する | 組織を変える |
| 開発者 | チャットで聞く | IDE補完 | エージェント活用 | チーム自動化 | オーケストレーション |
| 組織 | 個人の試行 | 全員利用 | リーダーがいる | プロセスが変わる | 戦略がAI前提 |
今日からやること
- 今日(3分): 上のセルフチェックで自分のレベルを確認する
- 今週: 「次のレベルに上がるためのアクション」から1つ選んで実行する
- 今月: チームメンバーにもセルフチェックを共有して、チーム全体のレベルを把握する
レベルを知ることが目的じゃない。「次に何をすれば上がるか」がわかることに価値がある。
参考ソース: