はじめに
前回の記事では、PM試験に限らず、
IPA高度区分試験に共通する前提として、
- 午後が試験の本命であること
- 午後Ⅰと午後Ⅱはまったく別の試験であること
を整理しました。
(PMの話を書くつもりが、ST/AUにも通用する内容になってしまいましたが……)
今回はそこから一歩進み、
PM試験で想定されている「プロジェクトマネージャ像」
について整理していきます。
この認識がズレたまま午後問題、特に午後Ⅱに挑むと、
「書いていることはあっているのに、なぜか評価されない」
という状態に陥りがちです。
IPAの言う「プロジェクトマネージャ」の定義を抑える
まず前提として押さえておきたいのが、
IPAが定義している「プロジェクトマネージャ」とは何か
を抑えるということです。
なぜかというと、プロジェクトマネージャの定義が会社や人によって
あまりにもバラつきがあるためです。
- 開発も設計もバリバリやるプロジェクトマネージャ
- 顧客調整と進捗管理がメインのプロジェクトマネージャ
- 実態はPLやSEが回している、名ばかりのプロジェクトマネージャ
どれも現実には普通に存在します。
しかし、試験で問われるプロジェクトマネージャは、
IPAのシラバスにて明確に定義されています。
ここを取り違える(役目を間違える)と、午後Ⅰ・午後Ⅱともに
不正解になってしまいます。
IPA試験におけるプロジェクトマネージャは「管理する側」
PM試験で想定されているプロジェクトマネージャは、
一言で言うと、
「プロジェクトを回す人ではなく管理する人」
です。
午後Ⅰの設問を読んでいると分かりますが、
- 詳細設計をゴリゴリ書く
- コードを書いて問題を直す
- 自分でテストを回す
こういった行動は、
プロジェクトマネージャの仕事としては基本的に想定されておらず、
主にプロジェクトリーダーやメンバの作業として定義されています。
プロジェクトマネージャの仕事は、経営層・顧客からの指示や、
プロジェクトリーダーやメンバが実施した作業や状況を踏まえて、
- 状況を把握する
- 問題を認識する
- 方針を決める
- 指示を出す
- 必要に応じてエスカレーションする
という、判断と意思決定です。
特に午後Ⅱでは、
プロジェクトマネージャが自分で手を動かすと、一発レッドカード
と言っても過言ではありません。
具体的なIPAのPM像を把握するため、1度、IPA公式の
シラバスを通読されることをおすすめいたします。
(ものすごく読みづらいですけど、頑張って読みましょう…)。
前述の通り、会社や客先の「プロジェクトマネージャ」との
定義が異なる場合もあるかと思いますが、本試験はあくまで
IPAの試験ですので、IPAの定義に合わせた回答を意識しましょう。
PM試験の前提知識:PMBOK6 / PMBOK7 / アジャイル
次に、PM試験の前提となる知識は、次の三層構造です。
- PMBOK第6版(ウォーターフォール型)
- PMBOK第7版(原理・価値・概念寄り)
- アジャイル開発手法
PMBOK6について
PMBOK8のある今、既に過去の過去となったPMBOK6ですが、
ウォーターフォール開発において経典であることには変わりはありません。
- 10の知識エリア
- 5つのプロセス群
この構造は、午前・午後問題の思考フレームとして
今でも普通に使われており、出題されています。
実際、午後Ⅱでは
PMBOK6の知見で書ける問題が 1題は出る可能性が高い と感じています。
※なお、最初から最後まで読む必要はありません。参考書の抜粋、
知識エリアとプロセス群のマップ、概要を抑えておけばOKです
私も全量は読んでいません
PMBOK7とアジャイルの位置づけ
PMBOK7は、
- 8つのパフォーマンス領域
- 12の原理・原則
といった、考え方の軸を提供するものです。
ただし、PMBOK7だけでアジャイルを理解しようとすると、
どうしても抽象的になりがちです。
そのため、試験対策という意味では、
アジャイルの具体像を知っている方が圧倒的に有利だと感じました。
その補完として、
- チームの役割分担
- 合意形成の考え方
- プロダクト志向
- スプリント(ないしはイテレーション)の回し方
を理解するために、
アジャイル開発の書籍を1冊読むことをおすすめします。
定番ですが、
- 『アジャイルサムライ』
は、試験対策以前に
読み物としても面白いので非常におすすめです。
最近の傾向と、IPAの「迷い」
若干余談ですが、令和以降のPM試験は、
- PMBOK7寄り
- DX文脈
- アジャイル前提
にシフトしています。
(過去問は令和の問題を中心に行いましょう)。
一方で、IPAは
アジャイル開発におけるPMの立ち位置を明示していません。
- スクラムマスターはシステムアーキテクトが担うと明言
- プロダクトオーナーは顧客側が担うことが多い
その結果、
- アジャイル特化の午後Ⅱ問題は出しづらい
- しかし、アジャイルを無視もできない
という、やや歪んだ状態になっています。
午後Ⅱの設問を見ていると、
「ウォーターフォールでも書けるし、アジャイルでも書ける問題」
が多く、
IPAがPMBOK7でのPMの立ち位置に悩んでいるという印象を受けました。
みよちゃん本に書いていた「アジャイル開発を経験した人が絶対的に少ない」
という事情もあるかもしれませんね。
次回予告
ここまでが「午後問題を読むための前提」となります。
- PMは管理者である
- 判断・指示・調整が仕事
- 自分で手を動かさない
- PMBOK6/7は思考フレーム
- アジャイルは補助線として理解する
次回はこれを前提に、
PMの午後Ⅰは、どう読めばいいのか
を、具体的な設問構造とともに解説していきます。
あとがき
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事がどなたかの受験のヒントになればうれしいです。
今後も試験対策や実務で役立つ情報を発信していきますので、
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