はじめに
「AIでエンジニア不要になる」って話、最近ほんとに多い。
Xのタイムラインを開けば「Claude Codeで1日で○○作った」「もうジュニアエンジニアはいらない」みたいなポストが流れてくるし、「AIで開発コストが当たり前の値段交渉」がされる。
正直、俺も毎日Claude Code、Cursor、Codexを使って開発している側の人間だから、AIの凄さは身をもって感じているし、実際、一人でやれる範囲がめちゃくちゃ広がった。
フロントエンドは今までやってことなかったが習熟に時間は掛からなかっし、なんなら今はデスクトップアプリも開発できるようになっている。
でも、だからこそ思う。
「AIに代替される」のは君です となる日はそう遠くないと感じている。
そこで私なりにどういう人間が生き残るのか 考えたので残しておく
前提: 「生き残る」ってどういう意味か
先に定義しておく。
ここで言う「生き残る」は、ちゃんと金を稼げるって意味だ。
仕事自体はたぶんなくならない。でも、AIで誰でもそれなりのコードが書けるようになると、「XX言語が書ける」だけでは単価が上がらない。**XXで開発していました。**では頭打ちになるだろう。
PMなら残れるか?CTOなら残れるか?いうと私は懐疑的だ。
以上を踏まえて「稼げるエンジニア」であり続けるには何が必要か、私なりに考えた6つのタイプを書いていく。
タイプ1: 一部のつよつよエンジニア
まず身も蓋もない話から。
トップ層のエンジニアは、AI時代でもふつうに生き残る。 というか、むしろAIを最も使いこなせるのはこの層だから、差は広がる方向にある。
ここで言う「つよつよ」は、「React書けます」「AWSの資格持ってます」みたいなレベルの話じゃない。もっとガッチガチのレイヤーの話だ。
具体的にどういう人かというと:
- OSを0から書ける ── カーネル、メモリ管理、プロセススケジューラを自分で実装できる。Linuxのソースコードを読んで「ここの設計、こうした方がいい」と言える
- バイナリが読める ── コンパイルされたバイナリをディスアセンブルして、何をやっているか理解できる。「このセグフォ、アラインメントのズレだな」がgdb叩かなくても分かる
- RFCをさらっと読む ── HTTP/3のRFCが出たら「ふーん」で読んで、QUICの仕様変更点を把握できる。プロトコルの設計意図を理解して「この実装だとRFCに準拠してない」と指摘できる
- コンパイラを書いたことがある ── 字句解析、構文解析、コード生成の一連の流れを自分で実装した経験がある。言語の挙動を「仕様上こうなるはず」で説明できる
- ネットワークスタックを理解している ── TCPのウィンドウ制御、輻輳制御を説明できる。パケットキャプチャを見て「ここでリトランスミッションが起きてる」がすぐ分かる
こういう人間がAIを使うとどうなるかというと、AIの出力の「嘘」が見える。AIが生成したコードを見て「これ、メモリリークするな」「この並行処理、デッドロックするパターンがある」「このアルゴリズム、計算量O(n^2)になってるけどO(n log n)でいけるだろ」が瞬時に分かる。
コンピュータの深層まで潜れる人間は、AIがどこで嘘をついているかも見抜ける。表層だけ触っているエンジニアにはそれができない。
このタイプは、AIを「もう一人の優秀なジュニアメンバー」として使い倒せる。自分にはCPUに近いレイヤーの理解があるから、AIの成果物の質を正しく評価して、方針を修正して、最終的にちゃんとしたものに仕上げられる。
問題は、このタイプに「なろう」と思ってなれるかどうか。 OSのソースコードを読み始めて、コンパイラを自作して、RFCを原文で読む習慣をつけて...この道を10年~20年歩いてきた結果がこれだ。
私が考えるに才能と環境が揃わないとこのレベルにはたどり着けない。このレイヤーの世界は、好きじゃないと続かないし、好きになれるかどうかは才能だ。「努力すれば誰でも」なんて綺麗事は言わない。
ちなみに私はつよつよエンジニアではない。ライフは-1だ。
タイプ2: 普通に旧帝大+早慶上智
「学歴かよ」って思うかもしれないけど、ここで言いたいのは学歴そのものじゃなくて、「この人は優秀な人だ」というバイアスが先ずはいいたい。
残酷な現実として、面接でも商談でもチーム編成でも、「東大です」「慶應です」と言った瞬間に相手の態度が変わる。同じことを同じように言っても、学歴フィルターを通った人間の発言は「さすが」と受け取られ、そうでない人間の発言は「ふーん」で流される。
これは理不尽だけど、バイアスは存在する以上、それを持っている側が有利だという事実は変わらない。使える武器は全部使え。持っている人間は全力で活用する。結果、同じスキルでも評価に差がつく。
旧帝大とか早慶上智を出ている人間は、受験という明確なゴールに向かって大量のインプットをさばいた経験がある。別にそれ自体は偉くも何ともないんだけど、**「知らないことを短期間でキャッチアップする訓練を、10代のうちに済ませている」**という点で強い。今から頑張って学歴を手に入れるか?30歳過ぎて東京大学に受かりました!34歳で下駄を履けました!となっても22歳でその称号を持っている人と勝負をしなければいけないのだ。
もちろん学歴がなくても学習能力が高い人はたくさんいる。逆に高学歴でも思考停止している人もいる。ここで言いたいのは、変化への適応力が高い人は、ツールが何に変わっても食っていけるということになる。
もちろん私は旧帝大+早慶上智ではない。ここでもライフは削られる。
タイプ3: 陽キャ + テンソル整い
これ、エンジニア界隈であまり語られないけど、めちゃくちゃ大事だと思っている。
AIがコードを書いてくれる時代に、エンジニアに求められる能力は技術力だけじゃなくなる。というか、技術力の比重が下がった分、コミュニケーション能力と見た目の印象の重要度が上がる。
なぜか。
AIで開発の民主化が進むと、エンジニアの役割は「作る人」から「何を作るか決める人」にシフトする。要件を聞き出す、ステークホルダーと調整する、チームをまとめる。これは全部「人と話す仕事」だ。
で、ここでいう「テンソル整い」は見た目がイケメンって意味じゃなくて、清潔感があって、話しやすい雰囲気があるということ。
陽キャ + 整い:
- MTGで発言が多い → 存在感がある
- 非エンジニアの経営陣にも信頼される
- 「あの人に相談しよう」の第一候補になる
- 社内政治も自然とこなせる
陰キャ + 不潔:
- MTGでミュートのまま → いてもいなくても同じ
- 「あの人、何言ってるかわからない」と思われる
- 技術的に正しくても声がかからない
- 実力はあるのにポジションを取れない
残酷な話だけど、同じスキルなら印象がいい方が選ばれる。これはAI時代に限った話じゃないけど、技術力での差別化が難しくなるほど、この要素の比重は上がる。
別にパリピになれって言ってるわけじゃない。ちゃんと風呂入って、髪整えて、相手の目を見て話す。これだけで上位30%に入れるのがエンジニア業界の現実だったりする。
でもこれ、生まれと育ちの時点でかなり決まってる部分もある。コミュ力は後天的に伸ばせると言われるけど、根本的な「人と話すのが苦じゃない」って性質は、育った環境と気質に依存する。持って生まれた資質がモノを言う領域ではある。
もちろん陽キャ + テンソル整いでもないので、ここでもしっかりとライフは減っている。
タイプ4: インフルエンサーという名のネット芸人
バカにしてるわけじゃない。ガチで生き残ると思っている。
エンジニア系インフルエンサー、つまりYouTubeやX、Zennで発信しまくっている人たち。技術力が突出しているかと言うと、正直ピンキリだ。でも彼らには**「知名度」**という、技術力とは別次元の武器がある。
AI時代に何が起きるかというと、技術的なアウトプットの品質差がなくなる。AIを使えば、初心者でもそれなりのコードが書ける。記事だって書ける。じゃあ何で差がつくかって、**「誰が言っているか」**で差がつく(まぁ元々そんなよのなかだったが)。
インフルエンサー:
- 同じ内容の記事でもフォロワー数で拡散される
- 「あの人が薦めてるなら使ってみよう」の信用がある
- 転職しなくてもスカウトが来る
- 副業・講演・書籍のオファーが来る
- 自分のプロダクトを出せばフォロワーが初期ユーザーになる
無名のエンジニア:
- 良い記事を書いても無風状態
- 知らない人の推薦は誰も読まない
- 本業の給料だけで戦う
- プロダクトを出しても誰にも気づかれない
ネット芸人と言ったのは、技術力がそこまでじゃなくても、「発信力」と「キャラ」で食っていけるからだ。実際、エンジニア界隈のインフルエンサーの中には、技術記事のクオリティは微妙だけど、語り口と切り口がおもしろくてバズる人がいる。最近だとAI無職の人なんかはそれはもう芸の領域だ。
AI時代にはこの傾向がさらに加速する。技術の中身はAIが補ってくれるから、**人間側に求められるのは「伝える力」と「ファンを作る力」**になる。
ただし注意点もある。インフルエンサーは浮き沈みが激しい。 トレンドが変われば一気にフォロワーが離れるし、炎上リスクもある。安定感で言えばドメイン知識マニア(タイプ6)の方が上。でも当たったときのリターンはでかい。
「技術を発信する人」は「技術を使う人」より目立つ。 目立つ人間は仕事に困らない。シンプルな話だ。
まあこれも、**「おもしろいこと言える才能」**がいるんだけどな。芸の世界は努力だけじゃどうにもならない部分がある。
私の残機も少なくなってきたぞ。
タイプ5: マッチョで体力お化け
これも真面目に言っている。ネタじゃない。
実際に周りにこういうエンジニアいる。朝6時に起きて、7:00〜8:30で週5ワークアウト。 で5分割トレーニングがが組まれている。食事はタンパク質を中心でPFCバランスがーという感じだ
マッチョお化けの1日を見ると引く:
06:00 起床、プロテイン
07:00 ジム(ベンチプレス、インクラインダンベル、ケーブルフライ...)
08:30 シャワー、朝食
09:00 業務開始、Claude Codeで並列タスク3本走らせる
12:00 昼食
13:00 午後の業務、集中力が落ちない
18:00 業務終了、夕食
22:00 プロテイン飲んで就寝
こいつら、15時に眠くならない。 水曜日にダレない。金曜日も月曜日と同じテンションで稼働してる。
AI時代のエンジニアリングは、体力勝負の側面が強まる。理由は単純で、AIを使えば一人あたりの生産量が増えるから、やれることが増えた分だけ求められる量も増える。
この高負荷を毎日こなし続けるには、フィジカルの強さが前提になる。
ガチで鍛えてるエンジニア:
- 午前中にAIと3タスク並列処理、午後も同じペースで継続
- 週5日コンスタントにアウトプットを出し続ける
- 深夜のトラブル対応後も翌日普通に稼働
- ストレスはスクワットで潰す。メンタルが安定している
- 睡眠の質が高い。朝から頭が回る
運動習慣ゼロのエンジニア:
- 午前中は頑張るけど午後は集中力が切れてSNS巡回
- 水曜あたりから明らかにパフォーマンスが落ちる
- 一度リズムが崩れると1週間引きずる
- ストレスを酒とSNSで処理する。メンタルが不安定
- 寝つきが悪い。午前中ぼーっとしてる
筋トレしているエンジニアが強いのは、マッチョだから偉いとかそういう話じゃない。週5でジムに行ける規律と、体重 x 3g のタンパク質を毎日管理できる自己管理能力が、そのまま仕事のパフォーマンスに直結しているだけだ。
「コードを書く」のは脳みその仕事だけど、「脳みそを1日中フルで動かす」のは身体の仕事だということに気づいてない人が多い。
ただ、これも身体のベースが持って生まれたものだという事実からは逃げられない。同じトレーニングしても筋肉のつき方は人それぞれだし、そもそも慢性疾患を抱えている人間と健康体の人間では前提条件が違う。「強くなれる体」を持っているかどうか自体が才能だ。その前提がない側の人間がどう戦うかって話になる。
私も朝ジムにいくがドレッドミルに乗って、ダラダラのYoutube見ているぞ。
下のYoutubeがおすすめだ。
タイプ6: 特定分野の資格や業界知識マニア
最後に、個人的に一番確実に生き残れると思っているタイプ。
ここで言う「業界知識」は、「ちょっと詳しい」レベルの話じゃない。ガチの話をする。
実際にいるのはこういう人間だ:
- 法律 x エンジニア ── 司法試験に受かっている。 契約書のリーガルチェックをコードレビューと同じ感覚でやれる。リーガルテックのプロダクトを自分で設計して自分で法的妥当性を検証できる
- 金融 x エンジニア ── 自分の資産を数億運用している。 株式・オプション・デリバティブの仕組みを実弾で理解している。金融系システムの要件定義で「この計算ロジック、現実の取引だとこうなるから違う」と指摘できる
- 自動車 x エンジニア ── 自分で車をバラしてエンジンを載せ替えできる。 ECU(エンジン制御ユニット)のファームウェアを書くときに、メカニカルな挙動を体で知っている。「この制御だとノッキングする」が経験則で分かる
- 医療 x エンジニア ── 看護師や臨床検査技師の資格を持っている。 電子カルテの設計で「夜勤の看護師がナースステーションで3秒以内に患者情報を確認できないとオペレーションが回らない」みたいな現場のリアルが分かる
AIに「金融系のトレーディングシステムを設計して」と聞けば、それっぽい答えは返ってくる。でも、**実際に数億のポジションを持ったことがある人間の「この約定ロジックだと、板が薄いときにスリッページで即死する」**みたいな肌感覚は、AIには出てこない。
車のエンジン載せ替えをやったことがある人間が書く組み込みソフトウェアと、ドキュメントだけ読んで書くソフトウェアは別物だ。体験に裏打ちされた知識は、情報を集めただけの知識とは深さが違う。
このレベルのドメイン知識を持っているエンジニアは、AIでは代替不可能。なぜなら、知識の出どころが公開情報じゃなくて実体験と実務だから。
しかも、ここまで深い知識は参入障壁が異常に高い。司法試験に受かるのに何年かかる? 株で数億の資産を作るのにどれだけのリスクを取る? エンジンの載せ替えを覚えるのにどれだけ油まみれになる? 後から追いつこうとしても、そこに人生の何年かを突っ込んだ人間には勝てない。
「AIにコード書かせて、ドメイン知識で設計と要件定義をする」 ──これが一番安定した生き残り戦略だと俺は思っている。
ただし、ハマれる分野に出会えるかどうかは運だ。法律に興味を持てる人間もいれば、条文を読むだけで意識が飛ぶ人間もいる。車をバラすのが楽しい人間もいれば、油の匂いで吐きそうになる人間もいる。「自分の人生を突っ込めるドメイン」との出会いは、ほぼ運命みたいなものだ。興味がないのに無理やり深掘りしても、ガチ勢には勝てない。
もちろん司法試験も通ってないし、金融資産を数億動かしているわけでない。
最後もティウンティウンティウンだ。
ここまで読んで気づいたと思うけど、これクソゲーだろ
6つのタイプを並べた。で、各タイプの末尾に正直に書いた通り、どれもこれも才能か運が絡んでいる。
整理するとこうなる:
- つよつよエンジニア ── 才能: 技術的なセンス、抽象思考力 / 運: 良い師匠・良い現場に出会えたか
- 学習能力が高い人 ── 才能: 地頭、集中力の持続 / 運: 10代で学習習慣を身につけられる環境だったか
- 陽キャ + 整い ── 才能: 外向性、コミュ力の素養 / 運: 育った環境、親の社交性
- ネット芸人 ── 才能: 表現力、キャラの立ち方 / 運: バズのタイミング、プラットフォームの波
- 体力お化け ── 才能: 体質、回復力、基礎体力 / 運: 健康な身体で生まれてきたか
- ドメイン知識マニア ── 才能: 特定分野への興味関心 / 運: その分野に出会えたかどうか
才能ゲー + 運ゲー = クソゲー。
「努力すれば報われる」って言葉が好きな人には悪いけど、努力できること自体が才能だし、努力が報われる場所にいること自体が運だ。
それでも戦うしかない
ここまで読んで「じゃあ何もしなくていいじゃん」って思ったなら、それは違う。
クソゲーなのは認める。初期ステータスの差はある。運要素もでかい。
でも、ゲームを降りたら確実に負ける。 **「戦わなければ生き残れない...」**と。