初めに
PostgreSQLに限らず、メモリ管理についての理解が必要だと感じています。
この記事ではなぜメモリ管理をするのかも含めてメモリについて理解を深めていけるようにまとめていきます。
なぜメモリ管理が必要なのか?
メモリ管理が必要な理由としては
データベースのパフォーマンス、スケーラビリティ1、信頼性に影響を与えます。
パフォーマンスの最適化
ディスクアクセスをするよりもメモリの方が高速です。頻繁にアクセスされるデータやインデックスをメモリ内にキャッシュすることが大事です。
適切に管理したメモリを使用することで、データベースはディスクI/Oの回数を減らし、応答時間を短縮できます。
システムリソースの効率的な利用
メモリの最適化をすることで同時に処理できるクエリの数やユーザーの数が増加し、システムのスループットが向上します。
メモリの不足がパフォーマンスのボトルネックになることを避けるためにもメモリ管理が大事です。
トランザクション処理の効率化
トランザクション処理中にはWALバッファや共有バッファが利用されます。
適切なメモリ管理によって、トランザクションのコミットやロールバックを迅速に処理でき、全体的なトランザクションスループットが向上します。
PostgreSQLのメモリ管理
PostgreSQLのメモリ管理は2つに区別されています。
PostgreSQlサーバプロセス全体で共有される共有メモリ域と
バックエンドプロセスで確保されるプロセスメモリ域です。
それぞれについて理解を深めていきます。
共有メモリ域
複数のプロセスから参照や更新される共有領域。
PostgreSQLの起動時には、PostgreSQLの設定パラメータ(shared_buffers)の値と、Linuxのカーネルパラメータ(shmmax)の値を比較して、shmmaxよりshared_buffersの値が大きい場合にはエラーメッセージが出力される。
共有メモリ域はさらに以下の領域に分けられる。
- 共有バッファ(shared_buffers)
テーブルやインデックスのデータをキャッシュする領域 - WALバッファ(wal_buffers)
ディスクに書き込まれていないトランザクションログ(WAL)をキャッシュする領域 - 空き領域マップ(Free Space Map)
テーブル上の利用可能な領域を指し示す情報を扱う領域。テーブルやインデックスの各ページにどの程度の空きスペースがあるかを追跡するためのデータ構造。 - 可視性マップ(Visibility Map)
各テーブルページ内の行が全てのトランザクションから見て可視かどうかを追跡するための領域。バキューム処理の高速化のために、処理が必要なページかどうかを可視性マップで判断します。
プロセスメモリ域
バックエンドプロセスごとに確保される作業用のメモリ領域
以下のように分類される。
- 作業メモリ(work_mem)
クエリ操作で行われるソートやハッシュテーブル操作に割り当てられるメモリ。
作業メモリを適切に設定することで性能の向上が期待できる。
作業メモリに大きな値を設定すると、システム全体のメモリ圧迫につながる可能性がある。 - メンテナンス用作業メモリ(maintenance_work_mem)
VACUUM、CREATE INDEXなどに使用されるメモリ。
メンテナンス時間の短縮には、work_memより大きめの値を設定することが望ましい。 - 一時バッファ(temp_buffers)
バックエンドプロセスごとに作成される一時テーブル用のメモリ領域。
まとめ
メモリ管理について理解を深められたでしょうか?
メモリの理解があれば、データベースのパフォーマンス向上のために役立てることができるかも知れないです。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
参考
-
データベースにおけるスケーラビリティとは?
データ量の増加、同時アクセス数の増加、より高度なクエリの処理などデータベースの使用拡大に応じて性能を維持または向上させることができるかどうか。 ↩