はじめに
私は株式会社ZOZOにSREとして入社して4年目となり、今年の4月からエンジニアリングマネージャーとして新しいチームのリーダーを務めています。
この記事では、女性としてSREのキャリアを歩み、エンジニアリングマネージャー(EM)を目指すまでに実際に行ったこと・心がけてきたことをまとめます。
SRE領域はどうしても女性が少なく、エンジニアリングマネージャーとなるとさらにロールモデルが減ります。
「目指してみたいけれど周りに相談できる人がいない」「自分に務まるのだろうか」
そんな迷いを持つ方に、少しでもヒントになれば幸いです。
エンジニアリングマネージャーになる前の想い
SREの部署には女性が少なく、ロールモデルを見つけることが難しかったため、当初はキャリアイメージがなかなか掴めませんでした。
「本当に自分がマネージャーになれるんだろうか?」
そんな漠然とした不安が、ずっと心のどこかにありました。
また、将来のライフイベントについても正直に言えば不安がありました。
特に産休・育休はどうしても男性より期間が長くなる可能性があります。
その間、メンバーや上司に負担をかけてしまうのではないかという心配もありました。
技術の進歩が早い業界だからこそ、
- 「復帰後にキャッチアップできるか?」
- 「ポジションは残っているのか?」
- 「自分が抜けても、チームが困らない状態にできるのだろうか?」
といったモヤモヤを抱えることは、自然なことだと思います。
それでも私は、エンジニアリングマネージャーという役割が自分のキャリアにとって大きな挑戦であり、必ず経験したいポジションだと気づき、覚悟を決めました。
不安がなくなったわけではありません。ただ、その不安と向き合いながら一歩踏み出すことが大事でした。
エンジニアリングマネージャーになるためにやったこと
まず取り組んだのは、自分の思い込みや癖がつく前に、マネジメントの基礎となる考え方を言語化して理解することでした。
マネジメントは「技術が強ければ自然にできるようになるもの」ではありません。
役割も、求められる行動もまったく別のものです。
だからこそ、一度立ち止まり、“何をすべき仕事なのか”を知る必要があると思いました。
そのために読んだ本は以下の3冊です。
-
エンジニアのためのマネジメントキャリアパス
-> マネージャーというロールの「責務と心構えの基本」がわかった本 -
エンジニアリングマネージャーのしごと
-> 1on1・フィードバック・意思決定など、日々の実務が具体的に理解できた本 -
エンジニアリングチームのリード術
-> チームをどう導くか、リーダーシップの型を知ることができた本
これらを読むことで、
「エンジニアリングマネージャーとは、チームの成果を最大化するための役割である」
という共通の軸が自分の中にできました。
新チームのエンジニアリングマネージャーとして実践していること
エンジニアリングマネージャーとしてチームの成果を最大化するために、私が特に重視して取り組んでいることを3つ紹介します。
1.チームとしてのビジョンを掲げる
新しいチームのエンジニアリングマネージャーになって最初に取り組んだのは、「このチームは何を大事にし、どこへ向かうのか?」を明確にすることでした。
そのため、Google re:Work のフレームワークを参考にしながら次の5つを言語化しました。
- Core Value(組織の基盤となる信念)
- Purpose(組織が存在する理由)
- Mission(達成しようと心の底から思える長期的な目標)
- Strategy(Mission達成のために将来にわたって展開する手段、長期的な戦略)
- Goal(ストラテジーを短期的で達成可能な目標へと落とし込んだもの)
これらをチームに共有することで、「なぜ、今それをやるのか?」をメンバーが納得感を持って判断できるようになり、日々の意思決定にも一貫性が生まれました。
また、女性としてエンジニアリングマネージャーを務める中で、将来的に不在の期間があったとしても、こうした指針があることでチームの軸がブレず、継続して成長できると考えています。
2.楽しい仕事・やりがいのある仕事はメンバーに任せる
エンジニアリングマネージャーになって特に意識しているのは、技術的に面白い仕事やチャレンジングなタスクを、できるだけメンバーに任せることです。
エンジニアリングマネージャーになりたての頃は、どうしても
- 自分がやったほうが早いかもしれない
- つい技術的なタスクに手を出したくなる
という気持ちが出てきます。でも、エンジニアリングマネージャーの役割は「自分が活躍すること」ではなく、メンバーが活躍し成長できる環境をつくることだと考えています。
そこで私は、
- 技術的に学びが大きいタスクは積極的にメンバーにアサインする
- 自分はレビュー・意思決定・調整業務に時間を使う
- 一方で、小さめの運用作業や調査などはあえて自分が巻き取り、AIツールの試行や効率化の検証を通じて技術のキャッチアップを続ける
というスタイルにしています。
こうすることで、メンバーが新しい技術や領域にどんどん挑戦できるようになり、チーム全体の技術力が自然と底上げされていくと感じています。
また、技術の進歩が早い業界だからこそ、私自身も適度に手を動かすことで、将来のキャッチアップへの不安を少しずつ解消できていると感じています。
メンバー・上司と対話する
エンジニアリングマネージャーとして欠かせないと感じているのが、メンバーや上司との対話の質を上げることです。
タスク管理や進捗確認だけではなく、日々のコミュニケーションを通して信頼関係を築くことが、チーム運営の土台になると考えています。
メンバーとの対話
メンバーとの1on1では、次の点を意識しています。
- タスクの相談だけでなく、「今の気持ち」や不安も含めて話せる場にする
- メンバーの描きたいキャリアや強みを理解する
- こちらも必要に応じて、自分の考えや迷いを共有し、透明性を持つ
特にリモートワーク中心の環境では、意識していないと「必要な話だけしかしない」という状況になりがちです。
そこで、仕事とは直接関係のない雑談をする時間も大切にしています。
- 最近気になっている技術の話
- ブラックフライデーで買ったもの紹介
- 日常の小さな出来事
といった雑談は、チームの雰囲気を柔らかくし、困ったときに相談しやすい関係づくりにもつながっています。
上司との対話
上司との対話では、
- チームの状況
- 自分自身のマネージャーとしての課題
- 将来的なライフイベントも含めたキャリアの不安
なども率直に相談しています。
特に女性としてキャリアを続けていく上では、不安を一人で抱え込まないようにすることが重要だと感じています。
「不安がある=できない」ではなく、どうすれば続けられる環境になるかを一緒に考えてもらう、という姿勢で対話するようにしています。
対話を重ねることで、メンバーの状況や気持ちを正しく把握できるだけでなく、安心して働ける環境づくりにもつながり、結果的にはチームの成果にも直結すると感じています。
まとめ
エンジニアリングマネージャーとして踏み出すまでには不安もありましたが、ビジョンの言語化や仕事の任せ方、対話を大切にすることで、チームとして前に進めるようになってきました。
女性としてキャリアの不安を抱えることは自然なことです。
それでも、一歩ずつ取り組めば確実に前に進めます。
同じように不安を抱える方が、少しでも前を向けるきっかけになれば嬉しいです。