はじめに:AIの速度に震えた日
「データ分析は準備が8割」
前回までの記事でそう書きました。
前回:【e-Stat×AI】「同じ人口・同じ地域」で所得格差83倍。データが暴いた「過疎でも勝つ自治体」の勝ちパターン
前々回:e-statの魔境にAIと挑んだら、データ準備の『だるさ』をpipeline・並列処理でねじ伏せられた話
今回は、その先の話です。
「分析結果をどう提案に落とし込むか」
ここで、AIの真価を見せつけられました。
衝撃の結論から言います
先に結論を言います。
この表を見て、絶望してください。あるいは、歓喜してください。
| 工程 | 人間がやった場合 | AIと協働した場合 | 速度差 |
|---|---|---|---|
| データ取得・整形 | 2週間 | 30分 | 28倍 |
| 統計的妥当性検証 | 1週間 | 15分 | 56倍 |
| 成功事例の調査 | 2週間 | 1時間 | 28倍 |
| 提案書作成 | 1週間 | 2時間 | 28倍 |
| 合計 | 約6週間 | 約4時間 | 約100倍 |
100倍です。
10倍じゃない。100倍。
人間の「3ヶ月(営業日ベース)」が、AIなら「半日」で終わります。
しかも、人間が見落としがちな「やらなかった場合のリスク」まで勝手に提案してきた。
Part 0:この記事で伝えたいこと
AIは「考える時間」を圧倒的に増やしてくれる
AI駆動開発では:
AIがデータ処理 → 人間が考える → AIが提案書作成 → 人間が判断
↑\_\_人間は考えることに集中\_\_↑
「作業」から「思考」へ。
これがAI駆動開発の本質です。
従来のデータ分析は、いわば「地獄の苦行」でこれだけで人間は力尽きる。
AI駆動開発では、景色が一変します。
人間は「考えること」に全てのMPを注ぎ込める!
Part 1:統計的妥当性の検証が「15分」で終わった戦慄
分析結果の「それ、本当?」問題
データ分析あるある:
「空き家率と経済成果に相関がある」
と言っても、
「たまたまじゃない?」
「サンプル数少なくない?」
「他の要因が影響してるんじゃ?」
と突っ込まれる。
人間がやると1週間かかる検証
統計的に「偶然ではない」ことを証明するには:
- 相関係数の算出
- p値の計算
- 有意水準の判定
- 擬似相関の検証
- サンプルサイズの妥当性確認
これを1つの指標ペアでやるだけでも大変なのに、複数指標の組み合わせを検証するとなると...
AIに投げたら15分で完了
# AIが自動生成した検証コード
def validate\_correlation(df, x\_col, y\_col):
"""相関の統計的妥当性を検証"""
# 1. Pearson相関検定
r, p\_value = stats.pearsonr(df\[x\_col], df\[y\_col])
# 2. 有意性判定
significance = "有意" if p\_value < 0.05 else "有意でない"
# 3. 偏相関分析(人口規模を統制)
partial\_r = calculate\_partial\_correlation(df, x\_col, y\_col, control='population')
# 4. サンプルサイズの妥当性
n = len(df)
power = calculate\_statistical\_power(r, n, alpha=0.05)
return {
'correlation': r,
'p\_value': p\_value,
'significance': significance,
'partial\_correlation': partial\_r,
'sample\_size': n,
'statistical\_power': power
}
結果:
| 分析項目 | 相関係数 | p値 | 判定 |
|---|---|---|---|
| 空き家率→所得 | -0.265 | 0.0046 | 有意(1%水準) |
| 労働力率→所得 | +0.498 | <0.0001 | 有意(0.1%水準) |
| 財政力→所得 | +0.576 | <0.0001 | 有意(0.1%水準) |
擬似相関の検証まで自動でやってくれた
「人口規模の影響で見かけ上の相関になってるだけでは?」
という疑問に対して、AIが勝手に偏相関分析を実行。
人口規模を統制した偏相関分析:
空き家率 ⇔ 所得: r = -0.258(p = 0.006)
→ 人口規模を考慮しても関係は維持
「偶然ではない」ことを数値で証明できる。
これを論破するために、人間は通常1週間かけてExcelを叩き、統計ソフトと格闘します。
AIは「人口規模の影響で見かけ上の相関になってるだけでは?」という、上司がドヤ顔で言いそうなツッコミに対しても、先回りして「偏相関分析」で黙らせるデータを用意してくれましたwww
Part 2:経営学を「自治体語」に翻訳するAIの変幻自在
従来のやり方
- Google検索で「自治体 成功事例」を探す
- 記事を読み込む
- 成功要因を分析する
- 自分の提案先に適用できるか検討する
これを数十の成功事例でやると、最低2週間。
AIに「成功パターンを分類して」と頼んだら
【成功パターン分類】
パターンA:製造業集積型(18都市)
├── 代表例:刈谷市(トヨタ)、日立市(日立製作所)
├── 成功要因:大企業誘致(60%)、関連産業集積(25%)、人材教育(15%)
└── 再現可能性:低(条件依存)
パターンB:首都圏ベッドタウン型(12都市)
├── 代表例:流山市、印西市、守谷市
├── 成功要因:立地(50%)、子育て施策(30%)、ブランディング(20%)
└── 再現可能性:中〜高
パターンC:観光・リゾート型(7都市)
├── 代表例:熱海市、軽井沢町、草津町
├── 成功要因:観光資源(40%)、ブランド確立(35%)、サービス品質(25%)
└── 再現可能性:高
パターンD:公的機関・研究機関型(4都市)
├── 代表例:つくば市、東海村
├── 成功要因:国策(80%)
└── 再現可能性:極低
1時間で「再現可能性」まで分類してくれた。
私が驚愕したのは、AIに
「1カ所で頑張るより、広く展開したほうがいいよね」
「1か所で10%改善するより、50か所で5%改善する方が効果的という観点も入れたい」
と伝えた時です。
AIは即座に 「規模の経済」 という概念を、自治体の文脈へ完璧にローカライズしました。
【スライド:規模の経済 ~横展開で効果を最大化する~】
■ 「1か所で10%改善」 vs 「50か所で5%改善」
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| アプローチ | 対象 | 改善率 | 総効果 | 投資効率 |
|-------------|-------------------|-----------|---------------|---------|
| 集中投資型 | 1商店街に1億円 | +30%売上 | 3,000万円/年 | 3倍 |
| 横展開型 | 10商店街に各1,000万円| 各+10%売上| 1億円/年 | 10倍 ★ |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ なぜ横展開が効くのか(規模の経済)
【① 固定費の分散】
• 企画・調査コストは1回で済む
• マニュアル・ノウハウは使い回せる
• 研修コストが1/N になる
【② 学習効果】
• 1か所目の失敗を2か所目で活かせる
• 成功パターンが蓄積される
• PDCAが高速で回る
【③ 相乗効果】
• 「堺市全体」としてのブランド認知
• メディア露出の増加
• 住民の「自分ごと化」が進む
【スライド:規模の経済 ~横展開で効果を最大化する~】
■ なぜ横展開が効くのか
① 固定費の分散:企画・調査コストを1/Nに
② 学習効果:1か所目の失敗を2か所目で活かす
③ 相乗効果:市全体のブランド認知を「自分ごと化」させる
さらに、行動経済学の「損失回避バイアス」すら使いこなしてきました。
AIの提案:
「この施策で1,000人増えます」と言うより、「何もしないと5年で1.2万人減り、近隣都市に全て奪われます」 と言いましょう。
人間は「得」より「損」に2倍反応する。
この心理を突いた「やらなかった場合のリスク」のスライドが生成された瞬間、私は
「アンタ、コンサル経験あるの?」
と画面に問いかけました・・・
AIが行動経済学を理解して提案してきてる😂
Part 3:堺市の「勝ち筋」をAIがブーストする
「課長の悩み」を理解させる
自治体に提案する時、相手は誰か?
課長級の担当者です。
彼らの悩みは:
- 上司説明 - 「なぜこの施策が必要なのか」を部長・副市長に説明できるか?
- 議会対応 - 「税金の使い道として妥当か」を議員に説明できるか?
- 市民対応 - 「なぜ他のことに使わないのか」と市民に聞かれた時に答えられるか?
AIにこの観点を伝えたら...
「上司説明・議会対応・市民からの問合せ対応を意識した提案書にして」
と指示したら、こんなスライドが生成されました:
【スライド:統計的根拠 + 上司説明用】
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■ 統計分析の結果(数字の根拠)
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| 分析項目 | 相関係数 | p値 | 有意性 |
|-------------|---------|--------|-------------|
| 空き家率→所得 | -0.265 | 0.0046 | ★★ 1%水準 |
| 労働力率→所得 | +0.498 | <0.0001| ★★★ 0.1% |
| 財政力→所得 | +0.576 | <0.0001| ★★★ 0.1% |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 上司への説明ポイント
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「なぜこの施策が必要か?」
→ 統計的に有意な関係が証明されているから
「本当に効果があるのか?」
→ p値0.0046 = 99.5%以上の確率で偶然ではない
→ 類似都市で実際に成果が出ている
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 議会での想定質問と回答
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
Q: 「統計だけで施策を決めていいのか?」
A: 「統計は判断材料の一つ。他市での成功実績と組み合わせて、
根拠のある施策立案を行います」
Q: 「失敗したらどうするのか?」
A: 「小規模実験から開始し、効果測定を行います。
撤退基準も事前に設定します」
もはや、私が書くより説得力がある。
「根拠が弱い」と指摘すれば、即座に具体的な成功都市名(流山、長久手など)を列挙し、論理の隙間を埋めてくる。
「上司への説明ポイント」と「議会での想定質問」まで生成された。
課長さん、これコピペで説明できますよ...
Part 4:「勝ち筋ストーリー」まで作ってきた話
最後の仕上げを頼んだら...
「堺市ならではの強みを活かした提案にして」
と指示したら:
【スライド:堺市だからこそできる「勝ち筋」】
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■ 他市にはない「堺市だけの武器」
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
| 堺市の武器 | 活用方法 | 他市との差別化 |
|------------------------|--------------------------------|---------------------------|
| 百舌鳥・古市古墳群(世界遺産)| 「世界遺産のまちで子育て」ブランディング | 関西で唯一の世界遺産都市 |
| 刃物・自転車の伝統産業 | 「ものづくりのまち」×クリエイター誘致 | 伝統×革新の独自性 |
| 政令市のインフラ | 7区同時展開のスケールメリット | 中規模都市にはできない |
| 大阪都心30分圏 | 「都心に近いのに住みやすい」訴求 | 神戸より近く大阪より住環境良 |
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
■ 堺市の「勝ち筋」ストーリー
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【Before(現状)】
「大阪のとなりの政令市」
→ 知名度低く、選ばれない
【After(3年後)】
「世界遺産×ものづくり×子育て」の唯一無二のブランドを持つ都市
【なぜ堺市なら実現できるか】
① 世界遺産は他市には真似できない
② 刃物・自転車の歴史は本物
③ 政令市の財政基盤がある
④ 成功事例の施策はすぐ導入可能
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
成功事例は「真似」できる
堺市には「武器」がある
横展開で「効率」が上がる
再現性は「実績」で証明済み
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
あとは「やる」だけ。
今日から始めませんか?
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
「Before/After」「勝ち筋ストーリー」「クロージング」まで完璧に構成されている。
これ、コンサルファームのプレゼン資料と同等のクオリティでは...?💴
まとめ:AIと協働した結果
速度の違い
| 工程 | 人間 | AI協働 | 速度差 |
|---|---|---|---|
| データ取得・整形 | 2週間 | 30分 | 28倍 |
| 統計的妥当性検証 | 1週間 | 15分 | 56倍 |
| 成功事例の調査 | 2週間 | 1時間 | 28倍 |
| 提案書作成 | 1週間 | 2時間 | 28倍 |
| 合計 | 6週間 | 4時間 | 約100倍 |
AIが勝手にやってくれたこと
- 統計的妥当性検証 - p値、偏相関分析まで自動
- 成功パターンの分類 - 再現可能性まで評価
- 課長の悩み対応 - 上司説明・議会対応・市民対応を想定
- 規模の経済 - 横展開のメリットを構造化
- 行動経済学 - 「やらなかった場合のリスク」で損失回避バイアスを活用
- 勝ち筋ストーリー - Before/Afterとクロージングまで完璧に構成
人間がやったこと
- 方向性を決める - 「堺市向けの提案書を作りたい」
- 観点を指示する - 「課長の悩みを意識して」「規模の経済を入れて」
- 品質をチェックする - 「成功率90%は根拠が弱い」
- 最終判断する - 「これでOK」
結論
AIは「作業」を100倍速くしてくれる。
人間は「考える」ことに集中できる。
これがAI駆動開発の本質です。
今回の検証で分かったのは、AIと協働することで、私たちは
「資料作成マシーン」から「戦略的リーダー」へ強制的にアップデートされる
ということです。
AIは、作業を100倍速くしてくれます。
空いた時間で、あなたは何を考えますか?
結論:AI駆動開発の本質は、人間に「考える自由」を取り戻させることにある。
AIが作成した提案書の抜粋
技術的補足:使用したツール
1. python-pptx(PowerPoint生成)
from pptx import Presentation
from pptx.util import Inches, Pt
prs = Presentation()
slide = prs.slides.add\_slide(prs.slide\_layouts\[6])
# テキストボックスを追加
textbox = slide.shapes.add\_textbox(Inches(0.5), Inches(0.5), Inches(9), Inches(1))
tf = textbox.text\_frame
p = tf.paragraphs\[0]
p.text = "AIが生成したタイトル"
p.font.size = Pt(24)
p.font.bold = True
prs.save('提案書.pptx')
2. scipy.stats(統計検定)
from scipy import stats
# Pearson相関検定
r, p\_value = stats.pearsonr(df\['空き家率'], df\['所得'])
# 独立t検定
t\_stat, p\_value = stats.ttest\_ind(group\_high, group\_low)
3. pandas(データ処理)
# 113自治体を一気に分析
df.groupby('region').agg({
'所得': \['mean', 'std', 'min', 'max'],
'空き家率': \['mean', 'std'],
})
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