人工知能研究会 第15回 人工知能研究会「スマートロボットの最前線」
第15回 人工知能研究会「スマートロボットの最前線」@ソフトバンクに参加しました。
https://air-osaka.doorkeeper.jp/events/56910
大阪大学・石黒浩先生の講演で、テーマは「ロボットと未来社会~人間と対話するロボットの基本問題~」です。
http://www.irl.sys.es.osaka-u.ac.jp/
メモメモ。
イントロ
・石黒先生はベンチャーでコミューやソータというロボットを開発している。
https://www.vstone.co.jp/products/sota/
課題
・人と関わるロボットの開発が研究機関、社会の課題。
研究機関としては自律型ロボットを開発したい。
取り組み
・自律対話型ロボットをsouth x southwest 2016でデモ。
https://www.sxsw.com/
ロボットを会話。
音声認識、雑談システム(NTT)、アンドロイド技術。
・自律対話の2アプローチ
- ビッグデータアプローチ
たくさんの対話パターンを集めて分析。chatbot。 - ストーリーアプローチ
限られた話題に限定して対話ロジックをつくる。
・ビッグデータアプローチ
簡単な会話はOKだが、こみいった話題は難しい。
一問一答。話題が飛躍するとついてこない。
https://www.youtube.com/watch?v=ZApd7fV6-rQ
・south x south west 2017にも参加する。
ロボット2体、人間二人で議論をする。
3月10日~19日開催。
・アイドルロボット。ニコニコ動画で生放送中。コメントに回答する。
http://news.nicovideo.jp/watch/nw2644099
与えられた質問に対して1,000パターンを学習すると10%程度の正解率になる。
ニコニコ動画では4,000パターン(正解率40%)で実演中。
ネット上でアイドル化して社会に出していきたい→実用化、ロボット社会の実現。
・ロボット社会
ロボットが街中で活躍する社会。
なぜ人間型ロボットが必要なのか?
・人は人を認識する脳をもつ。
・人は人にとってもっとも関わりやすい存在。
・すべてのものは必ず人間らしくなっていく。2次元ではなく3次元。
喋る炊飯器とか。
・だからPepperは必然。
誰もが簡単に手に入るプラットフォームが必要。
プラットフォーム型(ソフトウェアアップデートが可能な)ロボット。
今後の取り組み
・英語の教師
英語の対話相手としてのロボット
・ある幼稚園は園内にソータを置いて、子供の写真を撮っている。
親は必ず子供の写真を買う。
良い儲けらしい。
・ロボットはアプリケーション・プラットフォーム。
いま必要なのはキラーアプリケーションの登場。
パソコンのMS Office、スマホのSNS。ロボットは?
人を知るためのロボット研究(石黒先生のロボット研究)
・興味はロボットではなく人間。
ロボットを研究することで人間を理解したい。
ロボット開発✕認知科学・脳科学
→人間らしいロボットを作ると脳科学の新発見がでてくる。
・ロボット工学の2アプローチ
- 自動運転
- 産業ロボット
・存在感とはなにか? 対話とはなにか?
研究とは?
・研究とは新しい分野を作ること。
既存の分野の枠組み・学問におさまる研究は研究ではない。
最先端の研究には名前・枠組みがない。
・なぜ研究に名前があるのか? e.g.ロボット工学、認知科学
フォロワーのために名前が必要。
存在感とはなにか?
・人間らしいロボットと対話を続けていくと、ロボットがロボットであることはどうでも良くなる。
人間は慣れていく。
・米朝師匠(落語)のロボット。
ロボットでも観衆に笑いが起これば本物同然。
死なない存在としてのロボット。
http://kikaijinz.com/?p=573
・夏目漱石のロボット
夏目漱石はもう誰も会ったことがない。しかし、日本人は皆知っている。
アンドロイドを作るのに充分なデータ(デスマスク、写真、文章・・・)が残っている。
既存のデータをロボットに統合することで、夏目漱石を再現できるようになる。
https://www.youtube.com/watch?v=o4jLUveoBj8
・演劇ロボット
人間らしさがどういうことか、実践で分析できる。研究室での研究にはない。
観察に基づく認識と想像に基づく認識
・人間は2とおりの認識をする。
・観察に基づく認識
観察をとおして認識していく。
不気味の谷
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E6%B0%97%E5%91%B3%E3%81%AE%E8%B0%B7%E7%8F%BE%E8%B1%A1
・想像に基づく認識
見た目が人間そのものだと怖い。
デザインをデフォルメして人間らしさを削ると(年齢や性別が不明で、ニュートラルにすると)、人間は想像して好意的に思うようになる。
存在感を再現するための最低限の条件
・ハグビー
抱きまくらの中に携帯電話が入っている。
抱きしめられる携帯電話。
声が聞こえ、抱き心地を得られる(聴覚+触覚)→安心感を得られる。
http://hugvie.jp/
→2つのモダリティが人間の存在感の最低条件。
聴覚+触覚、視覚+聴覚・・・
・落ち着きのない小学1年生にハグビーを配ると、落ち着くようになる。
対話とはなにか?
・人は対話を理解しているのか?
人の話を理解できないと対話できないのか?
・ストーリーをつくる
ロボット2体、人間ひとりで対話をする。ロボット2体どうしが主導して会話し、人間を巻き込むスタイルだと、対話が成立しているように聞こえる。音声認識しなくても対話が進む。
→対話に必要なのは音声認識ではなく、ストーリーを共有すること。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/bplus/10/3/10_179/_pdf
・発話なくても対話できる
高島屋で発話なしの洋服販売ロボットを置く。
タッチパネルで対話パターンを選択すると、ロボットが話してくれる。
客は多様な対話パターンを持っていない。
自分でパターンを選べば、ポジティブな対話をした気になる。
結果、大繁盛。
https://www.youtube.com/watch?v=auZNagFV6UI
・タッチパネル対話
話さなくても、タッチパネルでタブレットが発話するだけでOK。選択肢から選んでも、対話は成立する。
選ぶだけで、人間は自発的な対話だと思えてくる。
・Ishikiシステム、インタラクション・コンポーザ
http://dl.acm.org/citation.cfm?id=2906884
質疑応答タイム
Q・ロボットが世界に広まるとき、ロボットが反乱するという負のイメージが外国にあるが、どうか?
A→ロボットの恐怖心も減ってきている。
歴史上、技術に対する反発は多くあるが、それも一時的なもの。便利な技術は広まっていく。
Q・人格を再現できるのか? 今後30年後ではどうか?
A→30年は不明。
再現できる人格は社会的な人格(表現しやすい)だが、個々人の人格はもっと複雑。
社会的な人格は安定している、バリエーションが少ない。
Q・写実的な表情のロボットを作っているが、Pepperはどう評価する? Pepperに表情はないが?
A→Pepperの目をくぼませることで、目が合うように見えるデザインは良い。
しかし顔は重要なメディアなので、もっとデザインをがんばってほしかった。
Q・自動運転が話題になっているが、事故があったら製造者と運転者のどちらに責任がある?
A→保険。
自動車会社も運転者も保険に入っている。
自動車事故は毎年あるが、自動車産業はなくならない。マーケットがあるから。
社会的なバランスが取られていく。
Q・ロボットは人間を超えられるか?
A→ロボットと人間を比べる理由がわからない。
人間は9割技術。ロボットは人間の技術であり、一部。
パラリンピックの選手は一部機械だが、100%人間。人間の要件に100%の身体はない。
人間の定義は拡張されていく。
Q・アイドルは人格を想像できないが、なぜアイドルロボットを作るのか?
A→みんなが好きになるから。
アイドルは人格を想像できないが、なじみんなアイドルが好きになるのか?
アイドルはロボットに近いのでは?
Q・感情は再現できるか?
A→簡単。笑ってみえれば良い。
複雑な感情は難しいが、表象が感情として捉えられる。