はじめに
機械設計の多くは GUI CAD を使って行われていますが、
「この設計をもう一度作れと言われたら面倒だな」
と感じたことはないでしょうか。
私は設計を再利用可能な資産として扱うために、
GUI 操作ではなく コードとして設計を記述する 方法を取っています。
この記事では、その考え方を
Full Code Mechanical Design として紹介します。
GUI CAD の限界
GUI CAD は形状を作るには非常に便利ですが、
設計意図や判断理由が残りにくいという問題があります。
例えば、
- なぜその寸法なのか
- どの条件が変わると形状が変わるのか
- 別の設計に流用できるのか
といった情報は、操作履歴の中に埋もれてしまいます。
結果として、設計は「その場限りの成果物」になりがちで、
再利用や自動化が難しくなります。
設計をコードで書くという発想
設計をコードで書く、というと
「CAD を捨てるのか?」と思われるかもしれませんが、
そうではありません。
ここで言うコード化とは、
- 設計を パラメータ
- 設計判断を 条件分岐
- 設計ルールを 関数や構造
として記述することです。
形状そのものではなく、
形状が生成されるルール を残す、という発想になります。
Full Code Mechanical Design とは
Full Code Mechanical Design では、
- 図面や GUI 操作を最終成果物にしない
- 設計の本体は「コード」
- CAD は結果の可視化・確認に使う
という役割分担を取ります。
コードには、
- 寸法の依存関係
- 制約条件
- 設計意図
がそのまま残るため、
「なぜこうなっているのか」を後から追うことができます。
GUI 操作とコード設計の違い
GUI CAD とコード設計の違いを簡単にまとめると以下のようになります。
| 観点 | GUI CAD | コード設計 |
|---|---|---|
| 再現性 | 人依存 | 高い |
| 差分管理 | 困難 | Git 等で可能 |
| 設計意図 | 残りにくい | 明示的 |
| 再利用 | 手作業 | パラメータ変更 |
特に「差分が取れる」という点は、
設計レビューや長期運用で大きな差になります。
どんな人に向いているか
この考え方は、すべての設計者に向いているわけではありません。
特に向いているのは、
- 設計を何度も作り直す人
- 類似形状を量産する人
- 設計ルールを共有・教育したい人
- Python などのコードに抵抗がない人
逆に、単発・一品ものの設計では
GUI CAD の方が速い場合もあります。
小さく始めるコツ
最初からすべてをコード化する必要はありません。
- 寸法計算だけをコードにする
- パラメータ表をコードで管理する
- 形状生成の一部だけを自動化する
といった形で、
GUI CAD と併用 しながら始めるのがおすすめです。
おわりに
設計をコードで書くという考え方は、
効率化のためだけのものではありません。
設計を「その場限りの作業」から
再利用可能な知識資産 に変えるための方法です。
GUI CAD を否定するのではなく、
その限界を補う手段として、
コード設計という選択肢を持っておくと
設計の自由度は大きく広がります。
出典・補足
本記事は、以下の資料で整理している考え方を
Qiita向けに要約・解説したものです。
- Full Code Mechanical Design
https://samizo-aitl.github.io/full-code-mechanical-design/
本記事本文は「考え方の共有」を目的としています。
具体的なコードや資料の利用条件については、
上記ページをご参照ください。