はじめに
リモートワークでは、Web会議やリモートデスクトップなど、ネットワーク品質がそのまま仕事のやりやすさに直結します。
自宅の回線が不安定だと、会議中の音声・映像が途切れたり、リモート端末の操作がカクついたりと、地味にストレスが溜まります。
この記事では、「有線LANを引けない仕事部屋の通信環境を、MoCA 2.5 を使って改善した」という、自宅の事例をまとめました。
あくまで個人の検証・実践内容であり、所属組織とは無関係です。その点をご理解いただければと思います。
前提環境
自宅のインターネット回線は以下の通りです。
- 回線:光ファイバー(コミュファ光、TV無しネットのみ)
- 引き込み:電柱から光ファイバーを宅内のクローゼットまでへ直接引き込み
- 設置場所:1Fクローゼット内に、ONU一体型のホームゲートウェイ(Wi-Fi付き)を設置
全体構成のイメージは以下の図のような形です(広さなどはイメージです)。
※図は生成AIで作成してもらいました。
HGW がクローゼットの中にあるため、家全体にWi-Fiを満遍なく届けるのは難しそうだと判断し、最初から何らかの対策が必要だと考えていました。
当初構成:Mesh Wi-Fi でがんばる
最初は、次のような構成で運用していました。
- クローゼットからリビングへ伸びている cd管(配管) にLANケーブルを通す
- リビング側に Mesh Wi-Fi のアクセスポイント(親機)を設置
- 2Fと仕事部屋にも Mesh のアクセスポイントを設置し、家全体をカバー
イメージ図は以下の通りです。

(配管を通す際に呼線を折ってしまったり、コネクタ作成に苦戦しました)
この構成でしばらく運用していたところ、仕事部屋のノートPCのWi-Fi接続がときどき不安定になる問題が出てきました。
特に顕著だったのが Teams会議 で、以下のような状態になることが頻発しました。
- 自分や相手の音声・映像が固まる
- 相槌のタイミングがズレるくらいレスポンスが悪くなる
回線自体は悪くなさそうなのに、なぜか不安定
不思議だったのは、速度測定をすると 速度もpingもそれほど問題がない という点です。
いわゆる「数字上は問題ないのに、体感としては明らかに不安定」という状態でした。
ドアを開けておくと多少マシにはなりますが、以下のような弊害があります。
- ドアを開けっぱなしにすると冬は普通に寒い
- 子供が乱入してくる
さらに悪いことに、仕事部屋にはcd管が来ておらず、有線LANを後から通すのがかなり難しい という事情もありました。
(引っ越し前の家では同じような構成で問題なかったので、仕事部屋にはcd管を引かなかったのですが、これは完全に判断ミスでした……)
方針転換:同軸(テレビ配線)を使って有線化できないか
そこで発想を変えて、テレビ視聴用の同軸ケーブル(同軸配線) に着目しました。
自宅は各部屋にテレビ用の同軸が壁内配線されています。
同軸を使って LAN を延長するソリューションがあること自体は知っていましたが、
- 「どうせ 100Mbps くらいしか出ないだろう」
- 「リモートワーク用途だと厳しそう」
と勝手に思い込んでしまい、候補から外していました。
MoCA 2.5 との出会い
そんななか、以下の記事で MoCA 2.5 という 2.5Gbps 対応の規格 があることを知りました。
MoCA 2.5 では、理論値ベースとはいえ 最大 2.5Gbps のスループットが見込めます。
実効速度は落ちるにしても、1Gbps超でリンクアップできる可能性がある のはかなり魅力的です。
一方で、いくつか気になる制約・注意点もあります。
- BS放送の周波数と重複しているため、BS放送が視聴できなくなる
- MoCA信号がアンテナ側へ漏洩しないよう、フィルタでの対策が必要
- アダプター自体がそこそこ高価
それでも、仕事部屋の安定性向上という観点では十分メリットがあると判断し、導入することにしました。
導入構成:MoCA 2.5 で仕事部屋を有線化
最終的なネットワーク構成は以下のようになりました。
使った機器
MoCA 2.5 アダプター
- 製品:goCoax MA2500D(2.5GbE / 同軸で最大2.5Gbps)
これを
- リビングの壁の同軸端子
- 仕事部屋の壁の同軸端子
にそれぞれ接続し、同軸を経由した “疑似有線LAN” を作るイメージです。
ローパスフィルタ(漏洩対策)
MoCA信号がアンテナ側に漏れないようにするため、ローパスフィルタも併用しました。
- 製品例:SOLIDCABLE BS/CSカットフィルタ 電流通過型 ローパスフィルタ FIL-BCP
設定と確認
配線後、Mesh Wi-Fi の管理画面を確認すると、仕事部屋のアクセスポイントが「有線接続」として認識されている ことが分かりました。
速度測定の結果も、以前より明らかに良くなっています。
何より体感として、Teams会議の品質がかなり安定した のが大きいです。
- 音声・映像の途切れがほぼ解消
- リモート端末の操作もスムーズ
- ドアを閉めていても安定
「やっぱり有線は強い」と、あらためて感じました。
まとめと今後の課題
今回の結論です。
- 仕事部屋は、可能な限り有線化するのが最強
- 有線が引けない場合でも、既存の同軸配線 + MoCA 2.5 で救えるケースがある
一方で、まだ課題も残っています。
- 2Fにもcd管があるので有線化はしたのですが、
Mesh Wi-Fi の 有線バックホールがうまく優先されず、L2ループっぽい挙動 をしているように見える - 2F配線も優先化してスター型にしたら、もはやMeshではなく普通のAP構成にしたほうがいいのでは?という気もしている
今後は、有線バックホールを有効化できないか検証をしつつ、将来的には他のAPへの切り替えあたりを検討していく予定です。
おすすめのAP / Wi-Fi製品 があれば、教えていただけると嬉しいです。
お知らせ
こちらの記事は ctc Advent Calendar 2025 の記事です。
このあとも、ctc(中部テレコミュニケーション株式会社)のメンバーが技術にまつわる知見を投稿していきますので、ぜひご覧ください。





