またもサイバー攻撃の被害事例が増えた。
アサヒ、アスクルに続く大手企業の被害として、先月食品メーカーのニチレイがランサムウェア攻撃を受けた。
既にシステムは全面復旧しているものの、回復の間は食品流通に深刻な影響を与えた。
夏本番を控えて、冷凍食品に狙いを定めるのは消費者にも大ダメージを受けるのは必至で、そういう意味でも悪質な攻撃だったと言わざるを得ない。
そして今回はニチレイ以外の食品会社にもその影響がでている。
意外な影響の波及
ニチレイのサイバー攻撃によってニチレイだけでなく、ケンタッキー・フライド・チキン(KFC)への配送も一時的にストップを余儀なくされた。
この報道は一部から驚きを持たれた。「ニチレイってKFCの関連会社なの?」みたいな反応。全然そうじゃなく、KFCが物流部門をニチレイに外部委託していた、ただそれだけだった。
KFCは食材不足に陥ったわけではなく、物流が機能しなかったことで全国的に食材調達が滞り、店舗によっては提供メニューの制限、最悪の場合には臨時休業まであったようだ。
自分たちが攻撃されたわけではなく、でも売上チャンスを逃してしまった。ニチレイはどういう表情でKFCへ謝罪に行ったのだろうか。当事者だったら胃が痛くなる。
他社物流の委託ケースはとても多い
いきなりだが物流には3つのカテゴリーがある。荷主(今回で言うとKFCがここに該当)、物流事業社(ニチレイ)、そして倉庫事業社。
いくら食材があったところで、必要なところに届けられなければならない。そのため食品会社にとっては物流の食材の一部みたいなもの。ただ物流には物流特有のノウハウが必要で、全ての食品会社がそれを活かせるわけではない。在庫や配車だけでなく、食品だから冷蔵などの温度の管理もマストだ。
そうなると体力があって物流も内製化できる超大手食品会社や、専門の物流会社しかそのような管理ができない。
KFCの企業規模的に物流の内製化は可能だったと思うが、ここをアウトソースしていた。もともとは外資ということもあるのか、必要最低限の設備で事業を行なう判断は決して否定されるものではないが、今回のようなリスクは踏まえないといけない。
物流のシステム依存度の高さ
システムがやられてしまったとはいえ、運転手やトラック、倉庫などがやられたわけではないのだから効率性は下がるが、配送はできるのはないか?と個人的に思ったが調べてみたらそんなことはなかった。
商品がどこに何個あるか(倉庫管理)、どのトラックに何を積むか(配車システム)、店舗からの注文・在庫拡充(受発注システム)が一つでも動かなくなったら何もできない。
そして温度管理システムもやられたら、冷凍が必要な鶏肉を普通冷蔵してしまうし、普通冷蔵が必要なコールスローをカチコチに凍らせてしまうこともありうる。
物流はただでさえそんな危険性と隣り合わせなのに、ここで近年の課題に浮上した人手不足、地獄の2024年問題が降りかかってくる。
今後もし今回のような物流を破壊して長期間の復旧を要するサイバー攻撃を受けたらひとたまりもない。サイバー攻撃を100%受けないようにすることは無理だが、可能な限りそういう対策には力を注いでいくべきだと思う。
ひとりごと
熊本の大地震。かなり大きな被害で、イオンモール熊本の痛ましい事故で若い女性が亡くなってしまった。
あの状況で末端の社員に金庫保管を命令した会社の対応について非難されている。命令したことやその内容自体は理解できなくもないが、遺族やメディアの前で口にしている言い訳がましい主張に関しては不愉快極まりない。
正直に全てを話して償いの意思を見せるのが、企業としてあの状況で最も傷の浅い振る舞いだと思うのだが、そんなのは感情論で生きてる我々だけの世界で、社会的にはいかに他責させるかの方がよっぽど重要なのだろう。
辺野古ボートも新潟の部活バスも今回も。頭の良い弁護士やコンプラ担当が考えて、ああいうことをさせているのだから、絶対的にあの振る舞いが社会的に正解ということ。
揉み消しがうまかったり、上手にしらばっくれる人間ばかりが評価されたり出世できる世の中は嫌悪せざるをえない。