Audio to MIDIは、鼻歌や楽器のスケッチを素早くノートへ移すのに便利です。ただし、変換直後のMIDIを完成データとして扱うと、余分なノート、オクターブ違い、細切れの音価などが後工程で問題になります。
この記事では精度を比較するのではなく、変換結果を編集可能な下書きとして受け取り、短時間で使える状態へ整える順番をまとめます。
1. 変換前に入力を小さくする
最初から曲全体を入れるより、まず8〜16小節ほどの単音フレーズで試す方が、問題の原因を切り分けやすくなります。
- ボーカル、口笛、ベース、単音ギターなど、主旋律が一つの素材を使う
- 長い無音、環境ノイズ、強いリバーブをできるだけ減らす
- コードとメロディが重なった完成ミックスは、必要なら先にステムへ分ける
- 同じフレーズを何度も録らず、短い代表区間から始める
入力が複雑なままだと、変換後に見えるエラーが「演奏由来」なのか「解析由来」なのか判断しにくくなります。
2. エラーを5種類に分ける
ピアノロールを開いたら、いきなり一音ずつ直すのではなく、まずエラーの種類を数えます。
| 種類 | 見え方 | 最初の対応 |
|---|---|---|
| 余分なノート | アタック前後に短い音が並ぶ | 明らかなゴミ音を削除 |
| オクターブ違い | 一部だけ12半音ずれる | フレーズ単位で上下を確認 |
| 音の分断 | 1音が細かい複数ノートになる | 同音程なら結合を検討 |
| 音の欠落 | 聞こえる音がノートになっていない | 前後関係を見て追加 |
| タイミングの揺れ | 発音位置がグリッドから少し外れる | 最後に弱くクオンタイズ |
この分類を先にすると、同じ修正をまとめて行えるため、編集の往復が減ります。
3. 修正は「削除 → 音程 → 境界 → タイミング」の順
私が使いやすいと感じる順番は次の通りです。
- 極端に短い余分なノートを削除する
- オクターブ違いと明らかな音程違いを直す
- 分断されたノートを結合し、必要な箇所だけ分割する
- ノートの開始位置と長さを整える
- 最後にベロシティを調整する
先に強くクオンタイズすると、誤検出されたノートまでグリッド上に固定されます。削除と音程修正を済ませてからタイミングを触る方が、元のフレーズ感を残しやすくなります。
4. クオンタイズは二択にしない
「クオンタイズする/しない」ではなく、用途によって強さを変えます。
- 打ち込みのガイドにする場合:拍頭だけを揃え、細かな揺れを残す
- 別の音色で鳴らす場合:短すぎる音価を整理し、発音の重なりを確認する
- 譜面化する場合:拍子と最小音価を先に決め、装飾音を分けて扱う
- 元演奏のニュアンスを残す場合:全選択で一括処理せず、問題の小節だけ直す
変換結果は「正解の譜面」ではなく、音を再編集するための入口です。用途が違えば、同じMIDIでも望ましい整え方が変わります。
5. 波形ではなく、再生結果で最終確認する
最後は元音源とMIDIを交互に聴きます。見るポイントは三つです。
- フレーズの頂点になる音が合っているか
- 休符が消えて、音がつながりすぎていないか
- 別音色に替えても意図したリズムとして聞こえるか
修正箇所が多すぎる場合は、MIDI側で粘るより、入力を短くして録り直す方が早いことがあります。特にノイズの多い素材や複数楽器が重なる素材では、入力の作り直し自体が最も効果的な編集になります。
使えるチェックリスト
[ ] 入力は短く、主旋律が一つに聞こえる
[ ] 余分な短音を先に削除した
[ ] オクターブ違いをフレーズ単位で確認した
[ ] 分断・欠落ノートを直した
[ ] クオンタイズは用途に合わせて弱く適用した
[ ] 元音源とMIDIを耳で比較した
私はCreatuneチームの一員です。ブラウザで音声をMIDIへ変換し、そのまま編集工程へ移す場合は、CreatuneのAudio to MIDIでこの流れを試せます。この記事は変換精度の実測比較ではなく、結果を扱うための編集手順を整理したものです。